シマオオタニワタリは明るい緑の大きな葉を広げて育つシダ植物の一種です。
観葉植物としても育てられるシマオオタニワタリの上手な育て方をこのページでご紹介しています。
シマオオタニワタリの特徴
シマオオタニワタリは、数多くあるアスプレ二ウム属の中でも、特に巨大化する着生シダの一種です。
大きいものでは、単葉の長さ1.5m、幅0.2mとなり、人の背丈を超えます。大柄で見栄えのする姿から欧米でも、Bird’s nest fernと呼ばれ人気です。
主に熱帯に分布しており、樹木の幹や枝に付着して成長します。また、日本のように比較的寒冷な地域では、岩の上や地上で育ちます。
葉が放射状についており、入り込んだ落ち葉などが溶けることで養分を摂取し成長します。
オオタニワタリと区別する時のポイントは、葉の裏側にある胞子嚢群(ソーラス)です。
シマオオタニワタリは、ソーラスが葉幅の1/2以内につきます。両方ともに絶滅危惧種に指定されています。
基本データ
難易度 | 冬の温度管理があり中級者向け |
価格 | 2000~3000円(5号サイズ) |
成長速度 | 普通 |
花・種 | シダ植物なので花や種はなく、胞子で増えます |
日照量 | 高温多湿を好み、耐陰性に優れ、室内の日光が当たる場所で生育できます |
温度 | 暑さに強く寒さに弱いため、冬は10度以上を保ちましょう |
湿度 | 多湿を好みますが、根詰まりしやすいので植え替えが必要です |
花言葉 | 真実の慰み、雄々しい、あなたは私の喜び |
シマオオタニワタリが好む環境
日当たりと置き場所
シマオオタニワタリは直射日光を避け、半日陰に置きます。とくに、夏の直射日光は葉の日焼けを起こすので注意してください。
屋内で育てる場合
耐陰性があるので室内で育てることができます。しかし、より健康な株に育てるためには、よく日光に当てる必要があります。
葉焼けを防ぐためにも直射日光を避け、レースカーテン越しに日光が射すようにしましょう。やわらかい木漏れ日が当たるようなイメージです。
また、葉が痛まないように、エアコンなどの風が直接当たらないような場所に置きましょう。
屋外で育てる場合
春から秋にかけて屋外で育てることができます。
しかし、夏の直射日光を当てると刺激が強すぎて葉焼けし弱る危険性があるので、状況にあわせて日陰に移しましょう。
また、葉焼けは温度が高くなるにつれて起こりやすいので、遮光ネットや寒冷紗を使います。
遮光カーテンや寒冷紗は園芸店やホームセンター、100円ショップで購入することができます。遮光率は環境によって調整することが必要ですが、だいたい50~70%の遮光を選ぶといいでしょう。
温度・湿度
シマオオタニワタリは高温多湿を好みます。低温には強くないので、10度以下にならないように注意が必要です。
気温が15度前後になると成長が緩やかになります。ベランダなど屋外で育てている場合は、15度を目安に屋内に移動しましょう。
ただし、アスプレ二ウムは寒さに慣れさせる事も可能なようで、東京では外に置かれっぱなしのアスプレ二ウムの仲間を見ることがあります。霜に当たらなければ割と平気みたいです。
春から秋の成長期は土の表面が乾いてからたっぷりと水やりし、適度な湿度を維持します。冬は土の表面が完全に乾いてから2~3日後に水やりをしてください。あまり水を与えすぎると根腐れを起こすので、水やりのし過ぎには気をつけましょう。
用土
シマオオタニワタリは高湿度の環境にするとよく育ちます。バークチップやベラボン、ミズゴケに植え込むことがオススメです。
ミズゴケは常に湿っていると腐敗してきますので、適度に乾燥してください。屋内外ともに手入れのポイントは、用土にカビが生えないように注意します。
冬も温暖な地域では、庭木にミズゴケを用いて着生できます。屋外で越冬できない寒冷な地域の場合は、コルクや焼き板に着生させるか、植え込んでください。
シマオオタニワタリを上手に育てるコツ
水やり
シマオオタニワタリは気温(室温)が低くなると休眠する性質があります。季節や気温によって水やりのタイミングが変わるので注意しましょう。
15度以上の春から秋にかけて活発に成長する時期は、土の表面が乾いてからたっぷりと水を与えます。
夏は40度を超えるときは日陰に移動し、夕方から夜に水やりしましょう。夏バテ防止に活力剤を1000倍に希釈して、水やり2~3回に1度ほど与えます。
15度以下の冬は成長が緩やかになり、水をあまり必要としなくなります。そのため、土の表面が完全に乾いてから2~3日後に水やりをしてください。
また、シマオオタニワタリは乾燥させることによって樹液の濃度をあげ、耐寒性を強めることもできます。水分不足で葉が落ちてくるようなら、水やりの回数を増やして加減してください。
葉水
葉水は害虫がつくのを防ぎ、イキイキとした葉を保つ効果があります。丈夫な葉を長く楽しむために1日1回ほど葉水しましょう。やり方は、霧吹きなどで葉にまんべんなく水を散布します。
シマオオタニワタリは葉にホコリがたまりやすいです。葉水をするときに、濡らしたティッシュペーパーやハンディモップで葉の上を小まめに掃除しましょう。
肥料の与え方
肥料はなくても十分に育ちますが、肥料を与えると成長促進されます。春から秋の成長期に緩やかに効く肥料を与えましょう。具体的には、緩慢性の置き肥や、適切な濃度に希釈した液肥を10日に1度ほど与えます。
コバエの発生を防ぐために、有機肥料より化学肥料を使うことがオススメです。
シマオオタニワタリの選び方
アブラムシやハダニなどの病害虫が付いていないか、丁寧に株を観察してから選びましょう。病害虫はシマオオタニワタリを弱らせ、最悪の場合は他の植物に移っていまいます。
シマオオタニワタリの増やし方
シマオオタニワタリは胞子で増やす事が可能です。
胞子は葉の裏側に出来るので柔らかいブラシ等を使い紙に胞子を集めます。
鉢に赤玉土を敷き、その上にミズゴケやバーミキュライトを混ぜたものを載せ、シマオオタニワタリの苗床にします。この苗床にシマオオタニワタリの胞子を撒き、優しく霧吹きで湿らせ胞子が飛び散らないようにします。
シマオオタニワタリの胞子が付着した苗床は乾燥しないようにビニール袋をかけ保湿します。この苗床はカビが生えないように注意しましょう。
風通しの良い明るい場所に置くと約2週間でシマオオタニワタリの芽が出てきます。新芽が十分に育ったら親株と同じような用土に移し育成しましょう。
シマオオタニワタリの植え替え
シマオオタニワタリを健康に保つ秘訣は、植え替えをして根詰まりを防ぐことです。2~3年に1度ひと回り大きな鉢に植え替えます。また、小さい鉢のまま育てたい場合は、鉢から抜いて根の量を減らします。
根が鉢の中で混んでしまうと成長が妨げられ、枯れてしまう場合もあるので、のびのびとした環境を整えてあげましょう。
病気・害虫
アブラムシやハダニ、カイガラムシはシマオオタニワタリの葉や蕾に付着します。害虫に吸汁されることで株が弱っていきます。いずれも0.5㎜~4㎜ほどの小さな虫なので、よく株を観察して駆除しましょう。
具体的に駆除の仕方は、手動で除去したり、木酢液をかけたりします。木酢液は、害虫の予防や駆除ともに、根や芽に与えることで成長促進の効果もありオススメです。また、害虫が付かないためにも日頃から葉水を行いましょう。
屋外で育てているとナメクジやダンゴムシ、バッタに食害される機会が増えます。少し食べられるくらいなら問題ありませんが、生長点を食害されると枯れてしまいます。防虫ネットなどで予防しましょう。
シマオオタニワタリの新芽は食用にもなる
シマオオタニワタリもシダ植物の一種なのでワラビやゼンマイのように新芽は食用にもなります。
沖縄では野菜として食べられていて新芽は天ぷらにすると美味しく、地域によってはチャンプルーで楽しまれます。