トゲの付いた二枚の葉で虫を捕らえる面白い食虫植物、ハエトリグサ(ハエトリソウ)の育て方を解説しているページです。
独特な捕虫器を持つハエトリグサは食虫植物の中でも特に人気の高いです。このハエトリグサを上手に育てるポイントをご紹介します。
ハエトリグサの特徴
ハエトリグサは北米原産の食虫植物で、モウセンゴケ科のハエトリグサ属になります。園芸用に品種改良したものを含めると、およそ100種類ものハエトリソウが存在します。
食虫植物の中でもとくに有名なハエトリグサは、元は湿地帯に自生しており、多年草の植物で茎は短く、地を這うように葉を広げていきます。ダーウィンが熱心に研究し、「世界で最も不思議な植物」と呼んだことでも知られています。
捕虫器は二枚の葉を貝のように閉じたもので、中には鋭い棘があります。さらにこの二枚の葉の中にはセンサーも搭載されていて、虫が二回続けて触れてしまうと、二枚の葉をぱくりと閉じて虫を捕えます。中には消化液があり、虫をじっくり溶かして養分にします。
葉を触ると閉じますが、かなり体力を使うようで何度もはできません。面白いからと触って閉じさせる行為を繰り返すと、ハエトリグサにストレスがたまり、株も弱ってしまい、やりすぎると枯れてしまうこともあるため注意が必要です。
ハエトリソウは鉢植えにするだけでなく、中にはガラス容器の中で育てて楽しむ、テラリウムにしている人もいます。
基本データ
難易度 | 比較的簡単 |
成長速度 | 早い |
花・種 | 白く可愛らしい花が咲く |
日照量 | 日当たりを好む |
温度 | 耐寒性はあるが5℃を切らないように管理する |
湿度 | 多湿を好む |
花言葉 | 嘘、魔性の愛 |
ハエトリグサの育て方
室内で育てる場合
光合成をおこなうためにも日当たりが良い場所に置いてあげてください。
夏場には日当たりの都合による温度上昇で鉢内が蒸れてしまう可能性もありますので、高温になりそうな場合はカーテンを利用したり置き場所を調整して温度調整をしましょう。
冬は冬眠状態になりますが、そのまま日当たりが良い場所に置いておくのが適しています。通年、日当たりの良さは意識しておいてください。
屋外で育てる場合
熱帯雨林出身の他の食虫植物に比べるとハエトリグサは冬眠も行う耐寒性のある植物です。霜が降りない程度の寒さまでは越冬が可能ですが、庭植えにするのには向いていないので鉢植えでの管理をおすすめします。
夏は鉢内の温度が高すぎると蒸れてしまうので、風通しが良い半日陰の場所に移動してあげると良いでしょう。
冬は冬眠していますが日当たりが良い場所に置いてあげてください。霜が降りる温度の目安が3℃程度といわれているので、5℃を下回りそうな時は室内に移動してあげましょう。
用土
ハエトリグサは水苔を使うと簡単に育てられます。土を使用する場合には、赤玉土に、鹿沼土やピートモスを混ぜるといいでしょう。
植木鉢の選び方
種類にもよりますがハエトリグサはあまり大きいサイズには成長しません。
小さめの鉢で販売されている事も多いです。1株であれば3号鉢、4号鉢程度のサイズがあればよいでしょう。
特にサイズは気にすることなく植え替える際は平鉢や普通鉢が扱いやすいです。あまり深く根を張る植物ではありませんので深鉢はおすすめしません。
ハエトリグサの管理方法
水やりと肥料の与え方
成長期の管理方法
3月から10月くらいまでは元気に成長する時期です。
水切れを起こさない様に管理すると良いので腰水で育てると良いでしょう。腰水は受け皿に水を入れておき、そこから水を吸収させる方法なので水切れの心配も少なくなります。
ただし、夏場は注意が必要です。腰水の温度が上昇してしまうと蒸れやすく、根にダメージが及びやすくなります。夏場は腰水を冷たい水に交換する、もしくはなるべく温度上昇のリスクが少ない明るい日陰に移動するといった対処をしておきましょう。
湿度が高い環境を好むので、葉水は毎日与えてください。
ハエトリグサは栄養のない土でも育ちますし、基本的に虫を食べなくても育ちますので肥料は必要ありません。無理やり虫を与えるのも株への負担が大きくなるのでやめましょう。肥料を与えると肥料やけを起こす可能性もあります。
冬場の管理方法
冬は葉が出ていない状態なので一見枯れた様に見えますが冬眠しています。
そのまま土の水切れをおこさないよう管理してください。日当たりの良い場所に置いて、水は与え続けましょう。冬眠中なのでこの時期の肥料は必要ありません。
植え替えるタイミング
ハエトリグサは大きくなることもないので植え替えの必要はあるの?と思うかもしれませんが、植え付けている水苔や土を交換した方が良いのと、植え替えの際に傷んだ根を取り除いた方が管理はしやすいので毎年、植え替えてあげた方が良いです。
植えてから2年以上経過している場合は、植え替えを検討してください。
用土は水苔のみで植え替える、もしくは赤玉土にピートモスや鹿沼土をブレンドした土を利用します。12月~2月の冬眠状態の時期を利用して植え替えると株へのダメージも少ないです。
植え替える際は傷んだ根は取り除きます。見た目には区別しにくいですが、根の部分を洗っている時に柔らかすぎて取れていく根は傷んでいるものが多いです。キレイに洗い流してから植え替えましょう。
剪定方法
ハエトリグサは特に剪定を行う必要はありません。成長しすぎて樹形が乱れる心配もありません。
葉が枯れている部分がある時に取り除く程度なので、特に剪定管理は必要ない植物といえます。
ハエトリグサの選び方
園芸店やホームセンターなどで買う時は葉が黒くなっているものは避けましょう。
お客さんが面白半分に触って、ハエトリグサの閉じるところを見てみたいと、何度も葉を閉じてハエトリグサの体力がなくなっているということだからです。
一度はが黒ずんで元気がなくなってしまうと、元気を取り戻すのは容易ではありませんから、なるべくそういった株はやめておく方がいいです。葉が緑で、艶のあるものを選びましょう。
ハエトリグサの増やし方
種からでも増やすことはできますが、そもそも種の入手自体が難しいです。一般的には株分けで増やすのがおすすめです。
植え替えの時期に、育ちすぎて大きくなった株を分けるといいでしょう。用土は赤玉土にピートモスや鹿沼土を混ぜたものを使います。水苔でも問題なく育ちます。
ハエトリグサの病気や付きやすい害虫
ハエトリグサは下記の病気、害虫に気を付けます。
病気 | 特になし |
---|---|
害虫 | ハダニ、アブラムシ、ナメクジ |
かかりやすい病気
ハエトリグサは病気の心配はほとんどありません。水切れに対する心配はある植物ですが、病気になる事はないので管理はしやすいです。
付きやすい害虫
ハダニとアブラムシは養分を吸ってしまうので株が弱りやすくなるのと、増えやすいので見つけ次第駆除をしてください。
ハダニは水をかけて流す、アブラムシは薬剤散布がおすすめです。特にアブラムシはウィルス性の病気を媒介する原因にもなりますので、駆除後は風通しが良くなる環境で管理してください。
ナメクジは食害ですが、まれに捕虫器につかまっている場合があります。ナメクジが捕まっている場合は消化不良を起こしやすいです。
そのまま葉ごと腐ってしまう可能性も高いので、捕虫器ごと切り取って処分してください。
ハエトリグサの毒性や危険性について
特に毒性は確認されていませんが、捕虫器である葉の部分は棘があり、消化液が分泌されることもあるので、小さい子どもやペットが誤って口にしたり、捕虫器を触らないように注意してください。