トゲの付いた二枚の葉で虫を捕らえる面白い食虫植物、ハエトリグサ(ハエトリソウ)の育て方を解説しているページです。
独特な捕虫器を持つハエトリグサは食虫植物の中でも特に人気の高いです。このハエトリグサを上手に育てるポイントをご紹介します。
スポンサーリンク
ハエトリグサの特徴
ハエトリグサは北米原産の食虫植物で、モウセンゴケ科のハエトリグサ属になります。園芸用に品種改良したものを含めると、およそ100種類ものハエトリソウが存在します。
食虫植物の中でもとくに有名なハエトリグサは、元は湿地帯に自生しており、多年草の植物で茎は短く、地を這うように葉を広げていきます。ダーウィンが熱心に研究し、「世界で最も不思議な植物」と呼んだことでも知られています。
捕虫器は二枚の葉を貝のように閉じたもので、中には鋭い棘があります。さらにこの二枚の葉の中にはセンサーも搭載されていて、虫が二回続けて触れてしまうと、二枚の葉をぱくりと閉じて虫を捕えます。中には消化液があり、虫をじっくり溶かして養分にします。
葉を触ると閉じますが、かなり体力を使うようで何度もはできません。面白いからと触って閉じさせる行為を繰り返すと、ハエトリグサにストレスがたまり、株も弱ってしまい、やりすぎると枯れてしまうこともあるため注意が必要です。
ハエトリソウは鉢植えにするだけでなく、中にはガラス容器の中で育てて楽しむ、テラリウムにしている人もいます。
基本データ
難易度 | 比較的簡単 |
価格 | 1,000円~2,000円 |
成長速度 | 早い |
花・種 | 白 |
日照量 | 日当たりを好む |
温度 | 耐寒性がある |
湿度 | 多湿を好む |
花言葉 | 嘘、魔性の愛 |
ハエトリグサが好む環境
日当たりと置き場所
ハエトリソウは日光が大好きです。この植物は、他の食虫欲物とは違いジャングルではなく、北米の湿地帯に自生しているため、できるだけ日当たりのいい場所で育てましょう。年間を通して、1日中日の当たる場所が望ましいです。
ただし、真夏の日差しは刺激が強いので、あまり日差しのきつい時期はなるべくレースのカーテンなどで遮光するようにしてください。真夏の日差しはきつすぎて、鉢の温度が急上昇し、鉢の中で土が蒸れて根が傷んでしまうことがあるためです。
ハエトリグサは、冬になると枯れたようになります。寒くなると成長が止まり、冬眠状態になるからです。
冬眠状態になると、地上部分は枯れたようになりますが、実際はきちんと生きていますので置き場所はそのままで、しっかり日光に当て、水を切らさないようにしてください。霜が降りるくらいの寒さまでなら問題なく越冬できます。
屋内で育てる場合
屋内で育てる場合には、なるべく日の当たる場所にしましょう。湿地帯の植物なので、水を切らすことなく過湿気味に育てます。
真夏に温度が急上昇して鉢内が蒸れるのを防ぐため、真夏の直射日光だけはレースのカーテンなどで遮るようにしましょう。
冬も地上部分は枯れたようになり冬眠状態になりますが、置き場所は変えることなく日光と水をしっかり与えましょう。
屋外で育てる場合
耐寒性があり、越冬も容易なため外で育てることもできます。なるべく1日中日の当たるところにおいてください。
ただし、真夏の気温が高くなりすぎるときは、鉢内の温度が急上昇して危険なため、真夏は風通しの良い半日陰に置くといいでしょう。
冬には冬眠状態になりますが、置き場所はそのままでしっかり日の光をあてましょう。霜が降りるくらいの寒さまでは越冬はできますが、雪が降るような場合には室内に入れてください。
庭植えにするには向かない植物なので、屋外で育てるときは鉢植えのままにしておくといいです。
温度・湿度
湿地帯の植物なので、水は切らすことなく過湿気味の方を好みます。
用土
ハエトリグサは水苔を使うと簡単に育てられます。土を使用する場合には、赤玉土に、鹿沼土やピートモスを混ぜるといいでしょう。
ハエトリグサを上手に育てるコツ
水やり
ハエトリグサは腰水管理をすると元気に育てやすいです。腰水管理は、受け皿に水を入れておき、そこから水を吸収させるというものです。
他の観葉植物と違って、湿った環境の好きなハエトリグサは、なるべく水を切らさないようにするのが理想的なのです。
ただし、真夏は水の温度が上昇して危険になるため、こまめに冷たい水と交換するようにしましょう。水の温度を上がったままにしておくと、根腐れを起してしまうこともあるのです。
葉水
空気中の加湿も大事なので、なるべく葉水は切らさないようにしてください。
肥料の与え方
ハエトリグサには肥料はほぼ必要ありません。肥料を与えると根腐れや肥料焼けをする可能性もあるので気を付けましょう。
また肥料の代わりに虫を与えるのもやめましょう。ハエトリグサは葉を閉じるのに凄くエネルギーを使うので、頻繁に虫を与えてしまうとかえって株が弱ってしまう原因になります。
ハエトリグサの選び方
園芸店やホームセンターなどで買う時は葉が黒くなっているものは避けましょう。
お客さんが面白半分に触って、ハエトリグサの閉じるところを見てみたいと、何度も葉を閉じてハエトリグサの体力がなくなっているということだからです。
一度はが黒ずんで元気がなくなってしまうと、元気を取り戻すのは容易ではありませんから、なるべくそういった株はやめておく方がいいです。葉が緑で、艶のあるものを選びましょう。
ハエトリグサの増やし方
種からでも増やすことはできますが、そもそも種の入手自体が難しいです。一般的には株分けで増やすのがおすすめです。
植え替えの時期に、育ちすぎて大きくなった株を分けるといいでしょう。
用土は赤玉土にピートモスや鹿沼土を混ぜたものを使います。水苔でも問題なく育ちます。
ハエトリグサの植え替え
なるべく株にダメージを与えないように、年に1度12月~2月の冬眠状態の時期に植え替えをします。
鉢は一回り大きいものを用意しましょう。用土は赤玉土にピートモスや鹿沼土をブレンドしたものか、水苔を使います。
株は植え替えるときには根についた土を水などで綺麗に洗い流します。この時傷んだ根も一緒に取り除きましょう。
病気・害虫
ハダニやアブラムシ、ナメクジなどがつくことがあります。ナメクジは特に屋外で育てる人は注意してください。
食害を引き起こすナメクジはとても危険で、稀に捕虫器の中に捕まっている場合がありますが、その場合は捕虫器の葉っぱごと切り取って捨てましょう。ナメクジは消化不良になることが多く、葉っぱごと腐ってしまう可能性があるからです。
アブラムシはウィルス性の病気を媒介することがあるので気を付けましょう。梅雨の時期に発生しやすく、すぐに繁殖してしまいます。広がるとなかなか駆除も難しい厄介な虫なので、見つけたらすぐに駆除しましょう。風通しを良くしていれば防げる害虫です。
ハダニもまた繁殖してしまうと駆除が厄介な害虫です。
葉から吸汁し、酷い時には株を枯らしてしまいます。高温で乾燥する夏場によく出てくる害虫なので、夏は注意して観察するようにしてください。
ハエトリグサの毒性や危険性について
特に毒性は確認されていませんが、捕虫器である葉の部分は棘があり、消化液が分泌されることもあるので、小さい子どもやペットが誤って口にしたり、捕虫器を触らないように注意してください。