粘液を出す葉で虫を捕まえるモウセンゴケは世界に広く分布する食虫植物の一種です。
日本にも自生し食虫植物として人気のあるモウセンゴケの育て方や管理方法をこのページで解説しています。
モウセンゴケの特徴
モウセンゴケは常緑性多年草で、モウセンゴケ科モウセンゴケ属になります。世界中に200種類以上も自生していて、花色も白やピンク、オレンジなど多様です。
基本的には亜熱帯や熱帯などの暖かい地域に分布しています。漢字では毛氈苔と書きますが、別に苔の仲間ではありません。花をつけ、種が採れる種子植物です。
名前の由来はモウセンゴケが群生しているさまがまるで毛氈を敷いたように見えるからだといわれています。
葉の表面に線毛が生えていますが、その先に粘液を分泌して寄ってくる虫を捕え、消化吸収してしまう食虫植物になります。葉の先から出る粘液は光を反射してキラキラと光ることから人気のある植物です。虫が線毛にくっつくと他の線毛にも虫を捕えたことが伝わり、周囲の線毛が倒れこんで虫を逃がさぬようにからめとります。
ちなみに日本全国の湿地帯にも昔から自生していますが、現在では湿地帯が減少しており、絶滅危惧種に登録している県もあります。
種類によって比較的育てやすい品種から難しい品種まで様々です。
花が咲くと株が弱ってしまい、枯れてしまうこともあるので、長く育てたい場合には花が咲く前に切り取ってしまうこともあります。
基本データ
難易度 | やや難しい |
価格 | 600円~3,000円 |
成長速度 | 早い |
花・種 | 赤、ピンク、白、オレンジ、黄色 |
日照量 | 日光を好む |
温度 | 暑さに弱い、種類によっては耐寒性がある |
湿度 | 過湿を好む |
花言葉 | 不誠実、詐欺、物思い、セレナーデ |
モウセンゴケが好む環境
日当たりと置き場所
中には日陰でも問題なく育つ、耐陰性を持つモウセンゴケもありますが、基本的には日光を好みます。
もともと日本にも自生している植物のため、地植えでも問題なく育てることができますが、植える場合は日のよく当たる開けた場所に植えるようにしましょう。雑草やほかの植物の陰になってしまうと育ちが悪くなるので、なるべくほかの植物と被らないように植えてください。
耐暑性は実はそこまで無いので、特に夏場の暑さには注意が必要です。年間を通して風通しが良く、暑すぎない場所が望ましいです。
屋内で育てる場合
屋内で育てる場合にはなるべく日差しの良く入る、風通しのいい場所に置くようにします。できるだけ直射日光を当てるか、カーテンも光の通るものにしましょう。ただし、夏場は室内の気温が上がりすぎないように注意してください。
春や秋は直射日光も問題亜ありませんが、夏の日差しは刺激が強すぎるため、葉焼けをしないためにも直射日光は遮光するようにしましょう。乾燥に弱いため、エアコンの風が直接当たることの無いようにします。
冬に冬眠する品種の場合は、寒い環境を越えないと上手く春に発芽しなくなってしまうので、冬でも常に暖かい環境に置くのはやめておきましょう。
屋外で育てる場合
屋外で育てる場合は日当たりが良く、風通しの良い場所に置くようにしましょう。暑さと乾燥に弱いので、特に夏場は注意して、日差しがきつくなってきたら早めに明るい日陰に移動するようにしてください。
モウセンゴケは寒さには比較的強く、用土の表面が凍る程度であれば冬越しは可能ですが、鉢植えであれば冬は室内に移動するといいでしょう。
種類によっては地上部分を枯らして冬眠するものもあり、そういった品種は他の物よりも耐寒性が強いです。地上部分を枯らしても春になれば芽吹くので、地域にもよりますが、地植えをするなら冬眠する耐寒性の強いものがおすすめです。
温度・湿度
もともと湿地帯で育つ植物なので、過湿を好み、乾燥には弱いです。
熱帯や亜熱帯に自生するものが多いですが、案外暑さには弱いです。耐寒性はほどほどにあり、冬眠するものは耐寒性が強めです。
用土
モウセンゴケは土よりも水苔を使用すると管理がしやすいです。
土で育てたい場合には、保水性と通気性が大切です。基本的にはピートモスや鹿沼土、日向土をベースに、水苔やヤシガラなどの保水性に優れたものを混ぜます。
とくに水苔は植え付け部分に多めに隙間なく入れ込みます。
ヤシガラは日向土に混ぜ込むと通気性が良くなります。
もともと養分の少ない土地に自生している植物なので、土の養分は気にしなくても問題はありません。
モウセンゴケを上手に育てるコツ
水やり
基本的には湿地帯に自生する植物ですので、水を切らさないようにします。土が乾いてきたらしっかりと水をあげる必要があります。
モウセンゴケの場合は、水やりと一緒に、水受け皿に常に水をためておき、鉢底から水を吸わせる腰水管理をすると上手く育ちます。
水受け皿にためている水は定期的に取り換えるようにしましょう。特に夏場は水が傷みやすいので、早めに取り換えるようにします。
冬場も、冬眠する品種もしない品種も同じように水を切らさないように注意しましょう。
葉水
乾燥に弱いので、葉水はでいるだけこまめにあげるようにしましょう。
特に夏場の水分が蒸発しやすい時期や、冬の空気が乾燥する時期、エアコンなどで室内が乾燥しがちな時期には忘れずには水をしましょう。
肥料の与え方
肥料は年間を通して特に必要はありません。
虫も与える必要もありません。下手に肥料を与えてしまうと、虫を捕えるための葉が小さくなってしまいます。
モウセンゴケの選び方
葉がしっかりしていて大きいもの、元気なものを選びます。
害虫や病気には強くほとんどつくことはありませんが稀にハダニやカイガラムシがつくこともあるので、買う時にはそういった害虫がいないことを確かめてから購入するのがいいでしょう。
モウセンゴケの増やし方
モウセンゴケは種から増やすことができます。開花時期が6月~7月なので、花が終わってから種を採ることができます。種が採れたら、細かくした水苔にまいてみましょう。
水苔を入れた鉢を水を満たした水受け皿の上に置き、湿った環境を作ると発芽率が高まります。
モウセンゴケは株分けでも増やすことができます。
時期は3月~5月がいいでしょう。基本的には植え替えの時に株が大きくなりすぎていたら株分けをするようにします。
その他、葉ざしでも増やすことができます。
時期は4月~6月で、葉を基部から外して湿らせた水苔にしっかりと密着させます。明るい日陰においておくと1月ほどで根が伸びてきます。水を切らさないように常に湿った状態を維持することが大切です。
モウセンゴケの植え替え
モウセンゴケは成長の早い植物ですので、鉢が小さくなってきたら植え替えをします。
植え替えるときには用土はピートモスや鹿沼土、日向土とヤシガラを混ぜたものを用意し、根の周りには水苔を敷き詰めるといいでしょう。水苔は隙間なく詰めるようにしてください。植え替えるときにはなるべく浅めに植えるようにします。深く植えすぎると根が伸びにくく、根腐れを起してしまうことがあるからです。
植え替えをしたらしっかりと水をあげるようにしてください。
だいたい1~2年で植え替えをします。植え替えに時期は生育期に入る前に3月か4月頃がいいでしょう。
水苔の場合は、水苔が腐ってしまうため、こちらも1年~2年で新しい水苔を用意して植え替えます。
病気・害虫
食虫植物であるモウセンゴケには特に気を付けるべき害虫はつきません。
ただし、自然界の物はともかく、栽培しているモウセンゴケにはハダニやカイガラムシがごくまれにつくことがあるので、見つけたら早急に駆除するのが望ましいです。
かかりやすい病気も特にありません。
毒性や危険性について
モウセンゴケに毒性はありませんが、食虫植物で葉の部分から粘液が出ているので、小さな子どもやペットがいる場合には手でつかんだり、誤って口にしないように気を付けましょう。