自宅の庭を飾るシンボルツリーとして人気のシマトネリコの育て方をご紹介しているページです。
スラッと伸びる姿と沢山茂る青々とした葉が木陰を作ってくれ涼しげな印象を与えてくれる事から、シマトネリコを庭に好んで植える方は多いです。
下記ではシマトネリコを自宅で育てる際のポイントについて解説しています。
シマトネリコの特徴
シマトネリコは、日本の沖縄や台湾、中国などを原産とするモクセイ科トネリコ属に分類される常緑性の高木です。
光沢のある小ぶりの葉が密に茂るのが特徴で、葉の間から降り注ぐ木漏れ日が涼しげな印象を与えます。庭木として広く親しまれるほか、最近では鉢植えの観葉植物として楽しむ人も増えています。
街路樹として植えられているシマトネリコは1本立ちの種が多いですが、家庭の庭木には細い幹が立ち並ぶ株立ちの方が柔らかく優しい雰囲気があり、人気が高いです。
初夏になると枝先に白い花を房のように咲かせます。キンモクセイが属するモクセイ科の花木なので、花には独自の濃厚な香りがあります。
沖縄などの島に生息するトネリコであることから、シマトネリコと名付けられたとされています。
基本データ
難易度 | やや易しい |
流通名 | シマトネリコ、タイワンシオジ |
成長速度 | やや速い |
花・種 | 5月下旬から7月上旬にかけて開花します |
日照量 | 耐陰性がありますが日当たりのよい場所を好みます |
温度 | 暑さに強いですが寒さにはやや弱い植物です |
湿度 | 乾燥を苦手とするため水切れに注意しましょう |
花言葉 | 偉大、服従、思慮分別、高潔、荘厳 |
シマトネリコが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
シマトネリコは耐陰性があり日陰でも育ちますが、日に当てた方が元気に育ちます。観葉植物として室内で管理することも可能ですが、なるべく日当たりのよい場所においてください。
寒さにはあまり強くないため、暖地での栽培が向いています。冬はマイナス3℃前後まで耐えますが、氷点下が続くような寒冷地では、初めから鉢植えにして室内へ移す方が安心です。
室内に置く場合は日がよく当たる窓辺などで管理しましょう。ただし、強い日差しに当てると葉焼けを起こしてしまうので、レースのカーテン越し程度のやわらかい光に当ててください。
戸外で地植えにする場合は、半日程度の日照が確保できる場所に植えましょう。日照不足が続くと弱々しい株になってしまいます。
シマトネリコは乾燥を苦手とする植物ですが、土壌の水はけが悪いと根腐れを起こしてしまいます。排水性と保水性のバランスに優れた肥沃な用土に植え付けてください。
温度・湿度
シマトネリコは暑さに強い反面、寒さにはやや弱い植物です。
-3℃前後までは耐えますが、-5℃を下回る日が続くと枯れることがあるので注意します。氷点下が続く寒冷地では、管理場所を変えられる鉢植えにして育てるとよいでしょう。
高温になる日本の暑さにも強いですが、乾燥を嫌います。夏の直射日光や西日などに当たり乾燥が続くと葉が落ちる可能性が高くなります。夏は水やりの回数を増やし、水切れを起こさないよう気をつけてください。
用土
シマトネリコは乾燥を嫌う植物ですが、土が常に湿った状態になると根腐れを起こしてしまいます。植え付ける用土には水はけのよい土を使用しましょう。
鉢植えの場合、赤玉土(小粒)6:腐葉土4などの割合でブレンドした土を使います。園芸店などで販売されている草花用培養土でもかまいません。
地植えの場合は、あらかじめ腐葉土を混ぜ込んで水はけのよい土壌を作ります。堆肥や赤玉土などを加えるとさらに水はけがよくなります。
シマトネリコを上手に育てるコツ
水やり
鉢植え・地植えともに、苗を植え付けてから2年未満の株には、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。
地植えの場合、植え付けから2年が経過したら、後は降雨に任せましょう。夏に晴天が続くなど、極度に乾燥している時のみ水やりをしてください。
鉢植えのシマトネリコには、4~9月の生育期には土の表面が乾いてきたら水を与えます。冬は水分が蒸発しにくいため、土が乾燥しきってから与える程度に頻度を減らします。
高温になる夏の時期は乾燥しやすいので、朝と夕の2回に分けて水をあげましょう。
肥料の与え方
シマトネリコは生育が旺盛なので特に肥料がなくても育ちますが、大きく健康な株にしたい場合は肥料を与えましょう。
植え付け時に緩効性肥料や有機質肥料を元肥として土に混ぜておき、生育に応じて追肥を施します。
地植えの場合は、2月頃に寒肥として緩効性肥料を株元のまわり埋め込みましょう。寒肥には新芽や花芽を付けやすくする効果があります。鉢植えのシマトネリコには、開花前の3月頃に緩効性の化成肥料を追肥します。
冬越し
シマトネリコは寒さにあまり強くありません。-3℃までなら耐えますがが、もとは亜熱帯に生息する植物なので、氷点下が続く寒冷地では戸外での冬越しは難しくなります。
関東以南では屋外で冬を越すこともできますが、寒い地域ではなるべく地植えにはせず、移動が可能な鉢植えで育てる方がよいでしょう。室内では日当たりのよい窓辺などに置いて管理してください。
暖地でも木が十分に成長していない間は寒さで落葉することがあるので、マルチングなどの防寒対策を施しましょう。
シマトネリコの選び方
シマトネリコの苗木を購入する際は、葉色が濃くつやがあるものを選びましょう。葉が黄色く変色しているものは弱っている可能性が高いので注意します。
1本立ちの株と複数の幹に分かれる株立ちのものでは見た目が異なるので、好みの樹形を選んでください。
シマトネリコの増やし方
シマトネリコは種まきと挿し木によって増やすことができますが、挿し木の活着率はあまり高くないので種まきで増やすのがおすすめです。土に落ちたこぼれ種からも発芽することがあります。
シマトネリコの種は、10月になり鞘状の実が茶色く枯れた頃に採取します。採取した種はビニール袋や密閉容器に入れ、翌年の春まで冷蔵庫で保管しておきます。
種まきの適期である4~5月になったら、育苗ポットに種をまいて土を覆います。芽が出るまで乾かさないように管理し、3~5枚の本場が育ったら鉢へ植え付けましょう。
挿し木で増やす場合は、5~7月頃に健康な枝を選んで先端から10cmほどの位置で切り取ります。切り口を1時間ほど水に浸して吸水させたら、発根促進剤を薄くまぶして清潔な用土に挿してください。
水を切らさないよう注意しながら明るい日陰で管理すると、数か月後に根が出ます。苗が安定したら新しい鉢や庭へ植え替えます。
シマトネリコの植え替え
鉢植えのシマトネリコは成長が速く、長年同じ鉢で育て続けていると鉢中に根が回り根詰まりを起こします。根詰まりは根腐れの原因にもなるため、1~2年に1度を目安に一回り大きな鉢へ植え替えましょう。
鉢の底から根が出てきたり水の吸収が悪くなったりした時も植え替えのタイミングです。
シマトネリコの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な用土を鉢の1/3程度まで入れる
- 鉢から株を抜き取り、土を丁寧に落とす
- 鉢の中央へ株を置いて周りへ土を入れる
- 水をたっぷり与えて日陰~半日陰で管理する
鉢から根を取り出した際に黒ずんだ根がある場合は、清潔なハサミなどで切り落としてください。シマトネリコの植え替えは、3月中旬から4月頃が適期です。
病気・害虫
シマトネリコは病害虫に強い植物ですが、管理の仕方や環境によっては「うどんこ病」や「すす病」にかかることがあります。
うどんこ病は、葉に白い斑点のようなカビが発生する病気です。放置すると葉が枯れてしまうので、被害箇所はすぐに切除してください。重曹水を散布すると繁殖の防止になります。
すす病にかかると葉の表面が黒く変色し、見た目が悪くなります。発症したまま放っておくと葉が落ちて株が弱ってしまいます。
アブラムシなどの排泄物が原因となることが多いため、害虫を発見したらすぐに駆除することで蔓延を防げます。
シマトネリコにつきやすい害虫にはハダニやアブラムシ、ハマキムシなどがいます。
ハダニやアブラムシは植物に付着して栄養分を吸い取り、株を弱らせる害虫です。見つけたらすぐに手や粘着テープなどで取り除きましょう。たくさん発生した場合は薬剤を吹きかけて退治します。
ハマキムシは、幼虫が糸を出して葉を丸め、その中に寄生して葉を食べます。発見したら被害を受けた葉ごと取り除いて駆除してください。