庭のシンボルツリーとして人気が高いジューンベリーの育て方をまとめたページです。
ジューンベリーは花、実、紅葉を楽しむ事ができる樹木で、ジューンベリーの実は食べる事もできます。
下記ではジューンベリーを育てる時のポイントについて解説しています。
ジューンベリーの特徴
ジューンベリーは、北アメリカを原産とするバラ科ザイフリボク属に分類される落葉性の低木または高木です。世界には約10種が分布し、日本にも「ザイフリボク」が自生しています。
葉がすべて展開する前に華奢な白い花を多く咲かせるのが特徴です。初夏には小さな赤い果実が実り、秋には紅葉します。樹形も美しく、四季を通して鑑賞を楽しめるためシンボルツリーとして人気の高い花木です。
「6月になる果実」を意味する「ジューンベリー」の果実は、生食やジャムに加工して食べることもできます。実は甘いですが種が多いので好みは分かれます。
果実を収穫するには庭植えで育てます。耐寒性・耐暑性に優れているため初心者でも育てやすく、庭木や公園木として親しまれています。
基本データ
難易度 | やや易しい |
流通名 | ジューンベリー、アメリカザイフリボク |
成長速度 | やや遅い |
花・種 | 4月下旬~5月上旬に白い花が咲きます |
日照量 | 耐陰性がありますが日当たりを好みます |
温度 | 耐暑性・耐寒性に優れた植物です |
湿度 | 適度な湿り気のある環境を好みます |
花言葉 | 穏やかな笑顔、穏やかな表情 |
ジューンベリーが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
ジューンベリーは樹高が3~5mほどになる花木なので、庭植えに向きます。耐陰性があるため半日陰でも育ちますが、日当たりのよい場所の方が花付きはよくなります。
可愛らしい花と果実を多く楽しむには、少なくとも半日程度の日当たりは確保してください。
やや湿り気のある環境を好み、極端な乾燥を苦手とします。夏の直射日光や強い西日が当たる場所は避けて植え付け、水切れには注意しましょう。
暑さ・寒さともに強いため、東北から九州にかけて広い範囲で栽培できます。夏の強い日差しを避ければ、特別な防寒対策や暑さ対策は必要ありません。
植え付ける場所の土質はあまり選びませんが、適度な湿り気を好むため保水力のある土を作るのがおすすめです。腐葉土や完熟堆肥をあらかじめすき込んでおきましょう。
苗木はあまり深植えにならないようにし、風が吹いた時に倒れないよう支柱を立てます。
温度・湿度
ジューンベリーは基本的に暑さにも寒さにも強い花木なので、夏越しや冬越しの対策は特に必要ありません。
ただし乾燥を苦手とするため、強い西日や夏の直射日光が当たらない場所に植えましょう。
適度な湿り気のある環境を好むので、地植えの場合は苗木が根付くまでたっぷりと水やりをします。鉢植えのジューンベリーには土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。
基本的には秋から冬にかけて植え付けますが、冬に凍結のおそれがある寒冷地では、春に植え付けるのがおすすめです。
用土
ジューンベリーは適度に湿り気のある環境を好むため、保水力のある土壌で育てます。
地植えの場合は腐葉土や完熟堆肥をたっぷりすき込んで肥沃な土壌を作りましょう。
鉢植えにする場合は、赤玉土(小粒)6:ピートモス2:腐葉土2などの割合で混ぜた土を使用します。園芸店などで売られている果樹用の培養土を使うのであれば、ピートモスを2~3割ほど混ぜます。
樹高の低いジューンベリーもありますが、7号以上の鉢を使うようにしましょう。
ジューンベリーを上手に育てるコツ
水やり
庭植えのジューンベリーには、基本的に水やりをする必要はありません。ただし、苗木を植え付けてから根付くまではたっぷりと水を与えます。
また、真夏に晴天が続くなど極端に乾燥する場合は水をあげるようにしてください。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安ですが、根腐れを防ぐため受け皿に溜まった水はすぐに捨てましょう。
肥料の与え方
ジューンベリーの苗木を地植えにする際には、元肥として腐葉土や完熟堆肥をたっぷり混ぜておきます。
さらに寒肥として、落葉期の12~2月の間に固形の油かす、もしくは緩効性化成肥料を施しましょう。寒肥は冬の休眠期に与える肥料のことで、春の芽出しに勢いをつけ、生育をよくする効果があります。
鉢植えのジューンベリーには、開花前の春と収穫後の秋に即効性の化成肥料を与えます。
冬越し
ジューンベリーは寒さに強いため、特別な防寒対策は基本的に不要です。-10℃前後まで耐えるため、霜や雪が当たっても弱ることはめったにありません。
ただし、気温が-10℃以下になる場合や、植えつけて間もない苗木には、株元をピートモスやバークチップなどで覆って凍結を防止するマルチングを施すと安心です。
マルチングの前には、病気の感染を防ぐため、株元に落ちている枯れ葉や枝を取り除くようにします。
ジューンベリーの休眠期となる冬の間に、剪定をおこない樹形を整えましょう。
ジューンベリーの選び方
ジューンベリーの苗を買う際は、枝が太くしっかりしているものを選びます。
苗木には1本仕立てのものから3本など複数に仕立ててあるタイプまでさまざまなので、好みの樹形のものを購入してください。
近年では矮性種(コンパクト品種)もよく流通しているので、植えるスペースによって品種を選ぶのもおすすめです。
ジューンベリーの増やし方
ジューンベリーの増やし方には「挿し木」と「種まき」の2つがあります。
挿し木で増やす場合は、梅雨時の6~7月頃が適期です。新しく伸びた健康な枝を先端から10cmほどの位置で切り取って挿し穂にします。
土に埋まる部分の葉を取り除き、上部の2~3枚を残します。切り口を水に浸して吸水させてから、挿し木用の土に挿し込みます。
挿し木後は乾燥させないよう水やりをしながら明るい日陰で管理します。発根をして苗が安定したら庭へ植え替えてください。
ジューンベリーの種は、果実が熟してから採取します。熟し切る前に鳥に食べられることが多いので注意しましょう。
収穫した果実をザルなどで洗い流し、種を取り出します。乾燥すると芽が出にくくなるためすぐにまきましょう。
水切れしないよう管理すると、翌年の春に芽が出ます。
ジューンベリーの植え替え
鉢植えのジューンベリーは、何年も同じ鉢で育てていると根がまわって根詰まりを起こします。根詰まりは根腐れの原因にもなるので、2~3年に1度を目安に一回り大きな鉢へ植え替えてください。
ジューンベリーの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な用土を鉢の1/3程度まで入れる
- 鉢から株を抜き出し、古い土を落とす
- 鉢の中央へ株を置いて土を隙間なく入れる
- 水をたっぷり与えて日当たりよい場所で管理する
植え替える際は根土と鉢土をよく密着させて、株がぐらつかないよう支柱を立てましょう。
ジューンベリーの落葉期となる11~3月頃が植え替えの適期です。
病気・害虫
ジューンベリーは丈夫な花木なので、病気にかかる心配はほとんどありません。
ただし、栽培環境や管理状態によっては冬以外にも落葉することがあります。特に乾燥には弱い植物なので、真夏の直射日光や強い西日には当てないようにしてください。
耐陰性はありますが、日照不足になると花付きが悪くなります。少なくとも午前中いっぱいは日が差す場所に植えましょう。
ジューンベリーにつきやすい害虫には「アブラムシ」がいます。
枝葉が伸び始める春に発生しやすく、株に寄生して栄養分を吸い取る厄介な害虫です。発見したらすぐに粘着テープで取り除くか、被害が大きい場合は薬剤を用いて駆除します。
また、害虫ではありませんが果実が熟すと鳥が食べてしまうことが多いです。木になった果実は早めに収穫するようにしましょう。
ジューンベリーの実の味・美味しい食べ方
ジューンベリーは実を楽しみで育てる方も多いですが、その味は甘く美味しいとされながらも個人差が大きいようです。
ジューンベリーには自然本来の美味しさを感じる事ができますが、市販されているリンゴやイチゴなどの食用に特化したフルーツと比べてしまうととても敵いません。
品種や育った環境によっても味が違うそうで、生食よりもジャムなどに加工して食べられる事が多いです。
種が多いのでそれが嫌な方は裏ごしして種を取り除き、ジャムにすると良いでしょう。