日本でも江戸時代から栽培されてきたと言われる定番の根菜、ニンジンの育て方を解説しているページです。
ニンジンはセリ科だけあって独特の香りがする野菜ですが、様々な料理に使われ無くてはならない食材です。少し難しいですが家庭菜園でも育てる事ができ、上手に育てられた時は収穫するのが楽しい野菜だと思います。
このページではニンジンの特徴や育てるポイント等をご紹介していきます。
ニンジンの特徴
ニンジン(人参)は中央アジア原産のセリ科ニンジン属のニ年草です。
ある程度土作りに注意した方が良いもあるので、中級者向きの野菜になります。初心者の人はプランターでも育てやすいベビーキャロットあたりがおすすめです。
種類により根の部分に違いがあります。根が短い種類や長い種類もありますし根の色がオレンジだけでなく、ベルギーやフランスで収穫されるホワイトニンジン。島ニンジン等の黄色、黒ニンジンといった紅紫色や紫色といった種類もあります。
ニンジンはオレンジ色の根の部分を食べるイメージが強いと思います。根の部分にはベータカロチンが豊富に含まれているのですが、もし栽培するのであれば葉にも注目してください。
ニンジンの葉はビタミンAが2倍以上、たんぱく質3倍、カルシウム5倍といった栄養だけでなく脂質、ビタミンE、鉄分も根よりも豊富です。
ニンジンの葉も活用できるのは育てている人だからこそ入手できるというメリットもあります。ニンジンを収穫したら是非、炒め物に活用したり、乾燥させて粉末にして乾燥パセリの様にハーブ感覚で使う等、活用してみてください。
基本データ
難易度 | やや簡単 |
流通名 | ニンジン |
成長速度 | 遅め、種まきから3か月~4か月程度で収穫できます |
花・種 | セリ科の特徴的な白い花をたくさん咲かせ、茶色い2㎜程度の種がとれます |
日照量 | 日なた |
温度 | 18℃~22℃、涼しめの環境を好みます |
湿度 | 多湿環境を嫌います |
花言葉 | 幼い夢 |
ニンジンが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
ニンジンは日当たりが良い場所を好みます。
あまり日当たりが良くない場所での育成は葉ばかりが成長して茂り、根の肥大が良くない傾向がありますので、日当たりがよく風通しが良い場所を選びましょう。
ニンジンの栽培では連作障害があるので、1年~2年は間を空けて植えます。
もし前回の収穫でネコブセンチュウ類やネグサレセンチュウ類といったセンチュウの被害があった場合は、他の場所へ植えてください。ニンジンはセンチュウの被害には弱い傾向があります。
ベランダでガーデニングを行う際も同様に日当たりが良く風通しが良い場所を選んであげてください。夏撒きをする場合は、エアコンの室外機の風が当たらない場所を選びましょう。
温度・湿度
ニンジンの生育適温は15℃~20℃と比較的涼しい環境を好みます。
種まきのタイミングは春と秋の2回ありますが、秋に撒いたほうがトウ立ちもしにくく育てやすい傾向があります。
種まきの際も35度以上になると発芽しませんので、気温が高すぎる時期の栽培はやや難しいです。逆に低温環境でも15℃以下になると温度が低くなるにつれて発芽までの日数が長くなります。
ニンジンは多湿環境を嫌います。多湿環境が続くと根腐れや病虫害だけでなく根割れの被害に遭いやすくなりますので、多湿を避けた育成環境を心がけましょう。
用土
ニンジンを植える前の土作りとして、2週間前に完熟堆肥、石灰、元肥を混ぜ込みよく耕します。使用する堆肥はもし固まった状態の場合は良くほぐしてください。
注意点は完熟堆肥を使う事。未熟堆肥を使うと股根になりやすいです。
ポイントは良く耕す事と、石があったら取り除いてください。畝を作る前にもう一度耕して石や土、石灰、肥料の塊がない土壌作りをします。
ベランダで栽培する場合は大きめで40cm程度の深さのある鉢やプランターを使うと栽培しやすくなります。土は野菜栽培用の培養土を使うと簡単です。
培養土の上部分を開け、水はけ用の穴を下に数か所開け、そのまま袋栽培を行う人もいます。
ニンジンを上手に育てるコツ
水やり
ニンジンは種を植えてから発芽するまでと育成初期のあたりまではしっかりと水やりをします。
種まき後の水やりは水に勢いがあると種が流れてしまうので、霧吹きやじょうろを使ってしっかりと水を与えましょう。
発芽して本葉が出始めてから徐々に水やりの頻度は減らしても大丈夫です。発芽後の水やりの目安は、土の表面が乾いてから与えます。朝方か夕方のどちらかのタイミングがおすすめです。
水をやり過ぎると根腐れやカビが原因となる病気にもなりやすいので注意しましょう。
肥料の与え方
ニンジンは間引きを行うタイミングで追肥をします。
- 1回目は本葉が3~4枚になったあたりで間引き、その後に化成肥料等を追肥します
- 2回目は本葉が5~6枚になったあたりで間引き、株間が12cm~15cm程度になるよう調整します
- 2回目も間引きした後に化成肥料を追肥してください
- 株元に肥料をまき軽く土と混ぜ株元に寄せます
ニンジンは根が太りだしてきて根元部分が見えるとその部分が緑色になりやすいので土をかぶせて緑化を防ぐと良いので、以降、根が見える位に成長していたら土をかぶせてあげてください。
冬越し
ニンジンは10℃以下の低温環境下で本葉が3~5枚出ている状態だと花芽が出やすくなります。春になるとトウ立ちしてしまうので、トウ立ちしたニンジンは種とり用でそのまま置いて花を咲かせるのも良いでしょう。
冬時期はあまり低温にならない様にトンネル栽培を行う事で2月くらいでも種まきを行っている例があります。
ビニールトンネルをつくっておくと冬時期でも栽培が可能で、うまく栽培することで1年中収穫もできるので、冬時期は10℃以下にならない様に注意しつつ管理しましょう。
ニンジンの選び方
ニンジンは根を傷めると成長に影響が出てきます。
そのため、移植すると又根になってしまうので、通常は種から植えて、徐々に間引いていく方法での育成になります。通常、ニンジンは苗の販売をしているのは見かけないので、種を購入する方法で育てましょう。
ニンジンの種は色々種類があります。
直植えや、深めの大きな袋栽培の場合は、ベーターリッチや向陽二号、黒田五寸あたりが人気です。特に向陽二号は育てやすい品種になります。
プランター栽培ではミニニンジンがおすすめです。
購入する種類に迷ったら参考にしてみてください。
ニンジン(向陽二号)の種
ミニニンジン(ベビーキャロット)の種
ニンジンの増やし方
ニンジンは種から簡単に増やす事が出来ます。
冬時期にとうが立ち、花芽がついているニンジンは種とり用でそのまま咲かせておくことをおすすめします。しばらくすると白い花が咲き、更にしばらくすると種がとれます。
ニンジンの種自体に発芽抑制物質が含まれているので発芽しにくいのと、購入した種でもいえる事なのですが、時間がたちすぎた種は更に発芽率が落ちます。
種を取ったら早めに植えるのがポイントです。
- 種を植える前にしっかりと土に水を与え、1cmおきで種をまきます
- 好光性種子の種類なので、土は5mm程度かぶせましょう
- この時、土を軽くかけるだけだと土が乾燥しやすいので、しっかりと土を押さえつつ植えた方が良いです
発芽まで水分を切らさない様に水やりする必要があります。もし、10日経過しても発芽しなかったら15℃~20℃温度の環境下で種をまきなおしてみましょう。
ニンジンの植え替え
ニンジンは根を傷めない様に根を太らせて成長させる事が大事なので、根をいじらずに育てます。
育苗をして移植すると又根になってしまうので、育苗はおすすめしません。ニンジンは種から植えて徐々に間引いていく方法で育てましょう。
芽が出てから本葉が2~3枚程度出たあたりで2cm~3cm間隔になる程度に間引きを行います。
その後、本葉が5枚程度になったあたりで12cm~15cmの株間にします。株間を広めにとった方が根が太りやすいです。
間引きの際の注意点として、残しておく根を傷めない様にしたいので、間引きを行う前に水やりをしておくと良いでしょう。
ニンジンの栽培は植え替えを行わずに間引く方法で育ててください。
病気・害虫
ニンジンはキアゲハの幼虫による被害に注意してください。
葉に黄色い小さい粒がついていたら卵なので取り去ります。幼虫を見つけたら駆除してください。
幼虫がつくと葉をかなり食べられてしまうので早めに発見、駆除します。ヨトウムシも同様に注意してください。
ネコブセンチュウによる被害があった場合は、同じ場所での栽培は2年程度空けて連作を避けましょう。
病気ではうどん粉病や軟腐病といった細菌による病気の被害もありますので、見つけ次第、株ごと敷地外で処分した方が良いです。
裂根に関しては生理障害の一つになります。原因として成長後期時に水をやりすぎていたり、肥料のやりすぎがあるのですが、他にも収穫時期が遅れる事によって裂根します。