アスプレニウム・エメラルドウェーブは細かく波打つ葉が美しいシダ植物の仲間です。
このページでは、観葉植物として人気のアスプレニウム・エメラルドウェーブを枯らさずに育てる具体的な方法と、葉が変色した際の原因の見分け方についてご紹介します。
アスプレニウム・エメラルドウェーブの特徴
アスプレニウムは品種名ではなく、アスプレニウム属(チャドシダ属)に分類されるシダ植物の総称です。その中でもエメラルドウェーブは、代表的な品種として親しまれています。
エメラルドウェーブは、福岡県の杉本神龍園が生み出したオリジナル品種です。特徴的なのは、鮮やかなエメラルドグリーンの葉が細かく波打つようにウェーブする美しい外観です。切り花にしても2か月ほど持つ丈夫さや、曲げても折れない柔軟さから、フラワーアレンジメントにも重宝されています。
海外ではクリスピーウェーブと呼ばれており、ドイツで開かれた世界最大の国際園芸見本市で最優秀賞を受賞し、一躍有名になりました。
アスプレニウム属の他品種との違い
アスプレニウム属には他にも個性的な品種が存在します。例えば、葉が鳥の巣のように大きく放射状に広がる「ニダス(チャドシダ)」や、青みがかった鮮やかな緑色の葉が美しい「アズラ(ブルーキャップ)」などが代表的です。エメラルドウェーブは波打つ葉形が最大の魅力ですが、こうした他品種と葉の形や色味を比較しながら好みのものを選ぶのも楽しいでしょう。
基本データ
| 難易度 | 中級者向け |
| 成長速度 | 普通 |
| 花・種 | シダ植物なので花は咲かず、胞子で増えます |
| 日照量 | 耐陰性に優れ室内で十分育ちますが、直射日光は避けましょう |
| 温度 | 暑さに強く、寒さに弱いです(15度以上を目安に管理) |
| 湿度 | 多湿を好みます |
| 花言葉 | 進歩 |
アスプレニウム・エメラルドウェーブが好む環境
日当たりと置き場所
耐陰性に優れ、高温多湿に強いため、明るい日差しの差し込む室内に置くことができます。直射日光を避け、エアコンやヒーターなどの風が直接当たらないようにしましょう。浴室のような湿度が高い場所に置くこともできますが、熱いシャワーの湯気が直接当たらないようにし、カビの発生にも注意が必要です。
屋内で育てる場合
エメラルドウェーブは耐陰性に優れているので屋内で十分に育ちますが、より丈夫な株に育てるためにはなるべく明るい場所に置いてください。ただし、強い日差しが当たると葉焼けを起こし株が弱るため、直射日光は避けましょう。木漏れ日がそそぐイメージで、レースカーテン越しに日が当たる半日陰が適しています。
屋外で育てる場合
春から秋にかけて気温が15度以上ある環境では屋外でも育てられます。寒さに弱いため、冬は必ず屋内に取り込みましょう。葉焼けを防ぐため、直射日光は避け、明るい日陰に置きます。遮光ネットや寒冷紗を使用することで簡単に遮光できます。遮光率は環境に応じて調整してください。夏に気温が40度を超えるような場合は、日陰や屋内に移動させましょう。暑い時間帯の水やりは根が煮立ってしまうため、朝晩の涼しい時間帯に行います。
温度・湿度
アスプレニウム属は熱帯原産のシダ植物なので、エメラルドウェーブも高温多湿の環境に適しています。寒さには弱いため、気温(室温)は常に15度以上を保つようにし、10度以下にならない環境を維持しましょう。
冬場の具体的な管理としては、夜間の窓際は外気で冷え込むため、窓から離れた部屋の中央付近などに置くのがおすすめです。また、エアコンや暖房器具の温風が直接当たると急激な乾燥や温度変化で株を弱らせるため、風向きに注意し、鉢を適度な距離に保ちましょう。暖房を切る夜間は、保温シートや段ボールなどで鉢周りを覆う防寒対策も有効です。
適度な湿気を好みますので、土の表面が乾いたらたっぷり水やりをし、霧吹きなどで葉に水分をいきわたらせる(葉水)と元気に育ちます。ただし、水のやりすぎは根腐れの危険性があるため注意してください。
用土と鉢選び
市販の観葉植物用培養土で育てることができます。自作する場合は赤玉土:腐葉土=7:3で配合した用土が水はけも良くおすすめです。苔玉に植え込んでも楽しめます。乾燥したミズゴケを使って手軽に作れますし、市販されている苔玉キットもあります。
シダ植物は根の通気性が重要です。鉢選びのポイントは素材による通気性と排水性の違いを理解することです。プラスチック鉢は軽くて保水性が高めですが、通気性は低いため水やりの頻度を控えめにする必要があります。テラコッタ(素焼き鉢)は通気性・排水性に優れ、根腐れを防ぎやすい反面、土が乾きやすいため水切れに注意が必要です。また、側面にスリット(隙間)が入ったスリット鉢は通気性がさらに高く、根の呼吸を促すためシダ植物の育成に非常に適しています。株に対して少し余裕のあるサイズを選ぶと、根詰まりを防ぎやすくなります。
アスプレニウム・エメラルドウェーブを上手に育てるコツ
水やり
エメラルドウェーブは、水やりを失敗しなければ育てやすい観葉植物です。高い湿度を好むため、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりします。
冬場は、乾燥することで樹液の濃度が上がり耐寒性が高まるため、土の表面が乾燥してから2〜3日おいてから水を与える乾燥管理がおすすめです。屋内で育てると冷暖房で乾燥しやすいので、特に気をつけてください。乾燥すると葉先から徐々に黄色くなり、枯れると茶色くなります。葉が枯れ始めると新芽の育ちが悪くなるため、特に小さい株ほど水切れに注意が必要です。
葉水
乾燥を防ぐために、葉全体に霧吹きで水をまんべんなく与えます(葉水)。葉水をすることによってハダニなどの防虫効果もあります。一年を通して葉水は行いますが、冬は気温が低く植物の生長が止まるため、水をやりすぎると根腐れの原因になるので頻度を控えましょう。
肥料の与え方
成長期の春から秋にかけて肥料を与えると、より健康な株を育てることができます。緩効性の置き肥は月に2〜3回程度、液肥は10日に1回程度を目安に与えましょう。有機肥料よりも化学肥料を与えることで、鉢にコバエが寄ってくるのを防ぐことができます。
葉が黄色・茶色になったときの原因の見分け方
育成中に葉が変色してしまうことは多々あります。症状から原因を切り分け、適切に対処しましょう。
水切れが疑われるサイン
葉先から徐々に黄色くなり、最終的に茶色く乾燥したように枯れる場合、水切れの可能性が高いです。特に株が小さい場合や、夏場の乾燥時に起きやすいです。土の乾燥状態を確認し、水やりと葉水の頻度を増やしてみてください。
根腐れが疑われるサイン
葉が黄色や茶色になるだけでなく、全体にだらりと元気がない、または株元がふにゃふにゃと柔らかくなっている場合は根腐れの可能性があります。土が常に過湿状態になっていないか確認しましょう。根腐れが進んでいる場合は、植え替えによって腐った根を取り除く必要があります。
肥料焼けが疑われるサイン
肥料を与えた直後に葉先が茶色くなるなど変色が見られる場合、肥料の濃度が高すぎるか頻度が多すぎる可能性があります。即効性の液肥を使用した場合は、たっぷり水やりして土中の肥料分を流す応急処置をとり、以降の施肥は薄めるか頻度を下げて再発を防ぎましょう。
光量不足が疑われるサイン
葉が黄色くなり、同時に茎がひょろ長く伸びる(徒長する)場合や、全体的に色つやが悪くなる場合は光量不足の可能性があります。暗すぎる場所に置いていないか見直し、レースカーテン越しの明るい場所へ移動させましょう。
※複数の要因が重なっていることもあり得ます。深刻な場合は、株の状態や環境全体を見直してみてください。
アスプレニウム・エメラルドウェーブの選び方
色つやがよく、無駄に伸びた葉や茎がない、イキイキとした株を選びます。
また、アブラムシやハダニなどの病害虫が付いていないものを選びましょう。病害虫はエメラルドウェーブを弱らせ、最悪の場合は枯らせたり他の植物に移ったりするので、裏表まで入念に観察して選びましょう。
アスプレニウム・エメラルドウェーブの増やし方
シダ植物なので花は咲かず、胞子で増えます。葉の裏側についた胞子を刷毛やブラシで採取し、新聞紙に集めます。
苗床は、まず鉢に赤玉土を敷き、その上にミズゴケやバーミキュライト、軽石を混ぜたものを被せます。準備した苗床に集めた胞子を撒き、すぐに霧吹きで水をかけて胞子が飛び散るのを防ぎます。
胞子は乾燥に非常に弱いため、苗床にビニール袋をかぶせます。この時、カビが生えないように注意しましょう。腰水(鉢の受け皿に水をためて底面から吸水させる方法)で水分量を調整すると、カビの発生を予防できます。
十分な明るさと風通しの良いところに置くと、2週間くらいで芽が出ます。芽が出たら水と液肥を与えます。水は鉢からあふれるくらい与えることで、鉢内に発生したガスなどを除去します。葉がしっかりと大きく育ったら、親株と同じような用土に定植します。
アスプレニウム・エメラルドウェーブの植え替え
植え替えは5月~8月の高温多湿の時期を選んで行います。
鉢から株を出し、根の周りの古い土を半分から1/3ほど落とし、一回り大きな鉢に植え替えます。あえてコンパクトに育てたいときは、同じ大きさか少し小さめの鉢で育てることもできます。
ポイントは、根が混んで根詰まりを起こさないよう、混み合った根を間引くことです。
病気・害虫
屋内で育てる場合に注意する害虫は、アブラムシやハダニ、カイガラムシです。0.5~4㎜ほどの小さな虫が葉や茎を吸汁し、弱って枯らせたりウイルスの感染経路になったりします。
こまめな葉水を行い予防しましょう。もし害虫が付いてしまったら、歯ブラシでこすって落とすか、手でつぶすなどして取り除きます。また、木酹液を希釈して散布することで、害虫の予防・退治ができます。木酹液は植物をイキイキとさせる栄養分にもなるためおすすめです。
屋外で育てる場合は、ナメクジやバッタなどに気をつけます。生長点を食害されると枯れてしまうため、防虫ネットをかけて対策しましょう。