アジアンタムは細い茎に扇形の細かい葉を茂らせる涼しげで人気のシダ植物です。
観葉植物として古くから親しまれるアジアンタムの上手な育て方をご紹介しています。
アジアンタムの特徴
アジアンタムは世界の温帯・熱帯地域を原産とするホウライシダ科ホウライシダ属のシダ植物です。
アジアンタムの品種は世界に約200種あり、日本にも8種ほど自生しています。細くて黒い茎に小さな緑色の葉がたくさん茂るのが特徴です。
繊細で可愛らしい草姿をもつアジアンタムは、観葉植物として飾られるほか、フラワーアレンジメントやプリザーブドフラワーとしても人気があります。
耐寒性については、日本で自生している品種であれば0℃近くまで耐えられますが、一般的な園芸品種は寒さに弱いため室内で育てるのが安心です。
葉には水を弾く性質があり、ギリシャ語で「濡れない」という意味をもつ「adiantos」が名称の由来となっています。
アジアンタムはシダ植物なので花や実はつけません。
基本データ
| 難易度 | やや易しい |
| 価格 | 400円〜2,000円(8号サイズ) |
| 成長速度 | やや速い |
| 花・種 | シダ植物なので胞子が出来ます |
| 日照量 | 日光を好みますが耐陰性があるため室内でも育ちます |
| 温度 | 寒さに弱いため冬は10℃以上を保つようにします |
| 湿度 | 乾燥に弱いですが土の過湿は根腐れの原因となります |
| 花言葉 | 天真爛漫、無垢、上機嫌、繊細 |
アジアンタムが好む環境

日当たりと置き場所
アジアンタムは日当たりの良い環境が好きですが、直射日光には弱いので葉焼けに注意してください。
屋内で育てる場合
アジアンタムは耐陰性があるため屋内でも育ちます。強い日差しに当たると葉焼けを起こして枯れてしまうので、直射日光が当たらない場所に置いてください。レースのカーテン越し程度の光を当てると良いでしょう。
ただし、全く日が当たらない場所には向いていません。日照不足になると葉の色が薄くなってしまうため、明るい室内で管理するのがおすすめです。
また、アジアンタムは乾燥すると葉がチリチリになってしまいます。エアコンの冷暖房の風が直接当たらないようにしてください。
屋外で育てる場合
アジアンタムは春から秋にかけて屋外で育てることができます。ただし、直射日光が当たると葉焼けを起こしてしまいます。遮光ネットや寒冷紗を使用して50%〜75%の遮光をしてください。
アジアンタムは寒さに弱い植物のため、冬になって気温が10℃を下回り始めたら速やかに室内に取り込みましょう。
温度・湿度
温帯から熱帯を原産とするアジアンタムは暑さに強いですが寒さには弱いです。品種によりますが、周りの環境は8〜10℃を下回らないようにします。
気温が10℃を切ってくると生育がゆるやかになります。ベランダなどの屋外で育てているアジアンタムは冬になったら室内へ移しましょう。
アジアンタムは乾燥に弱く、葉が傷みやすいので水切れすると枯れてしまいます。こまめに葉水を与えて空中湿度を高めに保つようにしてください。
用土
アジアンタムは湿度の高い環境を好みますが、土が常に湿った状態になると根腐れを起こしてしまいます。用土には水はけと保水性のバランスが良い土を使用しましょう。
自作する場合は赤玉土(小粒)5:腐葉土3:軽石(小粒)または川砂2などの割合でブレンドした土を用います。
市販されている観葉植物用の土を使用してもかまいません。その場合、用土に川砂を1割程度混ぜると水はけが良くなります。
鉢の選び方
アジアンタムの育成において、鉢の素材選びは湿度管理の観点から非常に重要です。
- プラスチック鉢:保水性が高く、土の乾燥を防ぎやすいのが特徴です。乾燥に弱いアジアンタムの管理を楽にしたい場合におすすめです。
- テラコッタ・素焼き鉢:通気性が高く、土の中の余分な水分を逃がしやすいのが特徴です。根腐れを予防したい場合に適していますが、その分土が乾きやすいため水やりの頻度を増やす必要があります。
いずれの鉢を選ぶ場合でも、水はけを良くするために鉢底穴があるものを選んでください。鉢のサイズは、株に対して少し余裕がある程度のものを目安としましょう。
アジアンタムを上手に育てるコツ

水やり
アジアンタムは乾燥に弱く、水切れを起こすと葉がチリチリと枯れてしまいます。
春から秋の生育期には土の表面が乾いてきたらたっぷりと水を与えます。鉢底から水が出るまでしっかり与えてください。気温の高い夏場はとくに乾燥しやすいので朝夕2回の水やりがおすすめです。
冬の期間は成長が緩慢になり水をあまり必要としなくなります。土の表面が乾燥してから2〜3日後に水やりをしてください。
旅行などで不在になるときは、たっぷりと水やりをしてからビニール袋をかぶせ、室内の暖かい場所に置いておくことで乾燥を防ぐことができます。
葉水
アジアンタムは乾燥に弱く湿気を好むので定期的に葉水を与えてください。
冬場は水やりの回数を減らしますが、その分空気が乾燥しやすくなるので霧吹きなどでこまめに水を吹きかけます。アジアンタムを育てる際は空気中の湿度を高く保つようにしましょう。
葉水には葉の乾燥を防ぐだけでなく害虫を予防する効果もあります。また、ホコリを防ぎ植物の見栄えを良くするためにも葉水は有効です。
肥料の与え方
アジアンタムは生育期である5月〜10月に肥料を与えます。
緩効性の固形肥料を2か月に1度のペースで土の上に置くようにします。液体肥料を使用する場合は規定の濃度に薄めたものを7〜10日に1回与えましょう。
肥料を与えすぎると根が傷んで枯れてしまうため適量を守ってください。冬場はアジアンタムの成長がゆるやかになるので肥料を施す必要はありません。
有機肥料ではなく化成肥料を使用することでコバエの発生を防ぐことができます。
剪定・切り戻し
アジアンタムは成長が早いため、放っておくと枝が伸びすぎて徒長してしまうことがあります。徒長した枝は見た目が乱れるだけでなく、株の風通しを悪くする原因にもなります。
伸びすぎた枝や、変色して傷んだ葉は早めに剪定して整理しましょう。剪定する際は、株元近くでカットすると新しい芽が出やすくなります。
また、剪定に使用するハサミは事前に消毒しておくことで、切口から病気が侵入するのを予防できます。定期的に切り戻しを行うことで、株全体をコンパクトに保ち、健康的な状態を維持しやすくなります。
葉が茶色くなる・枯れる原因と対処法
アジアンタムを育てていて最もよくあるトラブルが、葉が茶色くなったり枯れたりする症状です。原因によって対処法が異なるため、症状から正しく切り分けることが大切です。早期発見が回復の鍵となります。
- 葉先がチリチリになる(乾燥・水切れ):アジアンタムの最も多いトラブルです。空気の乾燥や水やりの不足が原因で起こります。応急処置として、たっぷりと水やりをし、葉水を頻繁に行って空中湿度を高めてください。ひどく乾燥している場合は、鉢ごとバケツの水に沈めて吸水させるのも有効です。
- 葉が黒く柔らかく変色する(過湿・根腐れ):土が常に湿っている状態で発生しやすい症状です。根腐れを起こしている可能性が高いです。対処法として、鉢から株を取り出し、傷んで黒ずんだ根をカットしてください。その後、新しい用土に植え替えて水やりの頻度を調整しましょう。
- 葉が白っぽく色抜けする(葉焼け):直射日光に当たりすぎたことが原因です。速やかに直射日光を避ける明るい日陰へ移動させてください。白く変色した葉は元に戻らないため、切除して株の負担を減らしましょう。
症状が進行している場合は、思い切って株元まで切り戻すことで、新しい芽の再生を促すことがあります。ただし、進行度合いによっては回復できない場合もあるため、日頃からの観察と早期発見を心がけてください。
アジアンタムの選び方
アジアンタムを購入する際には害虫が付着していないか必ず確認してください。
害虫の付いた株を選ぶとアジアンタムが弱ってしまったり、他の植物へ被害が及んだりする可能性があります。
また、葉がみずみずしくボリュームがあり、徒長していないものを選ぶようにしましょう。
アジアンタムの増やし方
大きく成長したアジアンタムは株分けによって数を増やすことができます。
株分けとは、親株から根や茎を切り分けて株の数を増やす方法です。アジアンタムを小さく仕立て直したいときにもおすすめです。
アジアンタムを株分けする場合、まずは鉢から株を取り出して古い土を軽くもみ落とします。株元にハサミやナイフなどで切れ込みを入れ、手を使って2〜4つの株に分けます。
傷んだ根をカットしたら、それぞれの株を新しい鉢へ植え替えましょう。
新しい芽が出てくるまではたっぷりと水を与えて風通しの良い日陰で管理します。発芽したら少しずつ明るい場所へ移して通常通り育てます。
株分けの時期は成長期に入る5〜8月頃が適しています。
アジアンタムの植え替え
アジアンタムは比較的成長スピードが速いため、放置すると鉢の中に根がまわって根詰まりを起こしてしまいます。根詰まりは根腐れや葉の変色を引き起こすので、2年に1回のペースで植え替えをしましょう。
水やりの際に上手く吸収しなくなったり鉢底から根が出てきたりした時も植え替えのタイミングです。
アジアンタムの植え替えは以下の手順でおこないます。
- 一回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 新しい用土を鉢の1/3程度まで入れてならす
- アジアンタムを鉢から抜き出し、古い土を軽く落とす
- 鉢の中心へアジアンタムを置いて土を隙間なく入れる
- たっぷりと水を与えて風通しの良い半日陰で管理する
植え替えの時期はアジアンタムの生育期である5〜9月が適しています。
病気・害虫
アジアンタムがかかる病気には「立ち枯れ病」が挙げられます。
立ち枯れ病は、葉や茎に病班が現れる病気です。進行すると植物全体に腐敗病班が広がり、立ち枯れの状態になってしまいます。
症状が見られたら被害箇所を早めに切除し、枯れ落ちた葉も焼却処分してください。病気が広がっている場合は薬剤を吹きかけて殺菌します。
アジアンタムの鉢は地面の上に直接置かず、風通しの良い場所で管理しましょう。
アジアンタムは湿度の高い環境で育てるため、ナメクジやカタツムリなどの害虫が付きやすくなります。どちらも葉の上を移動しながら柔らかい新芽を食べます。ナメクジやカタツムリが這った跡には粘液が残るため光って見えます。発見したら手や割り箸で取り除くか、薬剤を使用して駆除しましょう。
ハダニ
ハダニは空気が乾燥しているときに発生しやすい害虫です。葉の裏側に寄生し、吸汁することで葉にかすり状の白斑を作ります。放置するとクモの巣状の糸を張り、株を弱らせてしまいます。
ハダニは乾燥を嫌うため、こまめな葉水が予防に効果的です。発生してしまった場合は、殺虫剤の散布や粘着シートを活用して駆除してください。
アブラムシ
アブラムシは春から秋にかけて、新芽や茎に群生して汁を吸う害虫です。吸汁によって株が弱るだけでなく、ウイルス病を媒介することもあります。
見つけ次第、手で潰して捕殺するか、数量を減らしてから薬剤を散布して駆除しましょう。