タマシダは細長い葉が枝垂れる用に密集する非常に美しいシダ植物です。
このページではタマシダの育て方について解説しています。
タマシダの特徴
タマシダは世界の熱帯・亜熱帯地域を原産とするツルシダ科タマシダ属に分類されるシダ植物です。
タマシダの品種は世界に約30種あり、日本でも温暖地域を中心に3種が自生しています。観葉植物として最も流通しているのはツデーという小型の品種です。
茎はごく短く、直立して多数の葉をつけます。葉柄から伸びる長い葉軸の左右に小さな葉がたくさん茂る愛らしい姿をしており、園芸品種として人気があります。
タマシダは寒さに弱いですが、乾燥に強く丈夫なので初心者の人にも育てやすい植物です。
地面を這って伸びるほふく茎に球状の塊をつけることからタマシダ(玉羊歯)という和名が付いています。タマシダはシダ植物なので花や実はつけません。
基本データ
難易度 | やや易しい |
価格 | 500円~2,000円(3号サイズ) |
成長速度 | やや速い |
花・種 | シダ植物なので胞子で増えます |
日照量 | 日光を好みますが耐陰性があるため室内でも育ちます |
温度 | 寒さに弱いため冬は5℃以上を保つようにします |
湿度 | 多湿を好みますが土の過湿は根腐れの原因となります |
花言葉 | 魅惑、愛嬌 |
タマシダが好む環境
日当たりと置き場所
タマシダは日光を好みますが、葉焼けを防止するため真夏の直射日光は避けましょう。
屋内で育てる場合
タマシダは耐陰性が強いため年間を通して屋内で育てることができます。
強い日差しが当たると葉焼けを起こしてしまうため、直射日光が当たらない場所に置きましょう。レースのカーテン越し程度の日光を当ててください。
ただし日照不足が続くと葉色が悪くなります。とくに吊り鉢で育てる場合は日光が不足しがちなので、月1〜2回は場所を移して平均的に日光を当てましょう。
また、冷暖房の乾燥した風が直接当たる場所での管理は避けてください。
屋外で育てる場合
タマシダは春から秋にかけて屋外で育てることができます。
ただし、真夏の直射日光が当たると葉焼けを起こしてしまいます。遮光ネットや寒冷紗を使って50%〜75%の遮光をしてください。
タマシダは寒さに弱い植物のため冬になったら室内へ取り込みましょう。
温度・湿度
熱帯・亜熱帯を原産とするタマシダは暑さに強いですが寒さには弱いです。タマシダを置く環境は5℃を下回らないよう注意しましょう。
冬になって気温が低くなると生育がゆるやかになります。ベランダなどの屋外で管理しているタマシダは寒くなったら室内へ移すようにします。
タマシダは乾燥にも耐えられますが、もともと多湿を好む植物なので水切れすると枯れてしまいます。こまめに葉水を与えて空中湿度を高めに保ちましょう。
用土
タマシダは湿度の高い環境が好きですが、土の過湿は根腐れを引き起こす原因となります。タマシダの用土には水はけのよい土を使用しましょう。
自分で作る場合は赤玉土(小粒)5:腐葉土3:軽石(小粒)または川砂2などの割合で混ぜた土を用います。市販されている観葉植物用の土を使用してもかまいません。
タマシダは湿気を好むため、水苔に植え込む、苔玉を作るといった方法でも育ちます。水苔は常に湿った状態にすると根腐れに繋がるので適度に乾燥させてください。
タマシダを上手に育てるコツ
水やり
タマシダは乾燥に強いですが水切れを起こすと葉が枯れてしまいます。春から秋の生育期には土の表面が乾いてきたら水をたっぷり与えてください。
真夏の時期は植物の上から水やりをすると高温で葉が蒸れてしまうので、鉢土の端から与えるようにします。夏場は早朝や夕方以降の涼しい時間帯の水やりがおすすめです。
冬の期間はタマシダの成長がゆるやかになりなります。水をあまり必要としないため土の表面が乾いてから2〜3日後に水を与える程度で良いでしょう。
葉水
タマシダは湿気を好む植物なので定期的に葉水を与えてください。
冬の休眠期には水やりの回数を減らしますが、乾燥しやすくなるので霧吹きなどでこまめに水を吹きかけます。水分が蒸発しやすくなる夏場も同様です。
タマシダを育てる環境では空中湿度を高めに保つようにしましょう。
葉水は葉の乾燥を防ぐだけでなく害虫の予防にも役立ちます。また、ホコリを防いでくれるので植物の見栄えも良くなります。
肥料の与え方
タマシダは4月~10月の生育期に肥料を与えます。
固形の緩効性肥料を2か月に1度のペースで鉢の隅に置くようにします。液体肥料を使用する場合は規定の濃度に希釈したものを10日~2週間に1回与えましょう。
肥料を与えすぎると肥料焼けを起こしてしまうので適量を守ってください。冬期はタマシダの成長が緩慢になるので肥料は不要です。
有機肥料ではなく化成肥料を使うことでコバエの発生を防ぐことができます。
タマシダの選び方
タマシダを買うときには害虫が付いていないか必ず確認してください。
害虫が付着しているとタマシダの株が弱ってしまったり、他の植物へ被害が及んだりする可能性があります。
タマシダを購入する際は葉がみずみずしく間伸びしていないものを選びましょう。
タマシダの増やし方
成長したタマシダは株分けによって増やすことができます。
株分けとは、親株から根や茎を切り分けて数を増やす方法です。タマシダをコンパクトに仕立て直す際にもおすすめです。
タマシダを株分けする場合、まずは鉢から株を取り出して古い土を1/3ほど落とします。株元にハサミやナイフを使って切り込みを入れ、手でそっと2~3の株に分けます。
傷んだ根をカットして1/3程度の葉を間引き、それぞれの株を新しい鉢へ植え付けましょう。
新芽が出るまでは水をたっぷり与えて風通しの良い半日陰で管理します。1~2週間したら通常通り育ててください。
タマシダの株分けは生育期である4~9月頃が適しています。
タマシダの植え替え
大きくなったタマシダを放置してしまうと鉢の中に根がまわって根詰まりを引き起こします。根詰まりは根腐れや落葉の原因となるため2~3年に1回を目安に植え替えをしましょう。
土が水を上手く吸収しなくなったり鉢底から根が出てきたりしたときも植え替えのタイミングです。
タマシダの植え替えは以下の手順でおこないます。
- 一回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 新しい用土を鉢の1/3程度まで入れる
- タマシダを鉢から抜き出し、古い土をもみ落とす
- 鉢の中心へタマシダを置いて土を追加する
- たっぷりと水を与えて明るい日陰で管理する
タマシダを大きくしたくない場合は、根の量を減らしてから同じ大きさの鉢へ植え替えましょう。
植え替えの適期はタマシダの生育期である4~9月頃です。
病気・害虫
タマシダがかかる病気には「炭疽病」が挙げられます。
炭疽病にかかると葉や茎に灰色や黒ずんだ斑点が現れて穴が開き、進行すると株が枯れてしまいます。
炭疽病はカビ菌が原因なので、タマシダを風通しの良い場所に置くことで予防ができます。発症した箇所は早めに切除し、感染を防ぐために焼却処分をするのが望ましいです。
タマシダに付きやすい害虫にはカイガラムシやナメクジがいます。
カイガラムシは植物の養分を吸い取って株を弱らせます。発生したら殺虫剤を使って駆除するか、歯ブラシなどでこすり落としましょう。
ナメクジは植物の上を移動しながら柔らかい新芽を食べます。見つけ次第すぐに割り箸などで取り除くか、薬剤を使用して駆除してください。