スミレのような花を咲かせるムシトリスミレは葉で虫を捕らえる食虫植物の一種です。
このページではムシトリスミレの育て方について解説しています。
ムシトリスミレの特徴
ムシトリスミレは、タヌキモ科ムシトリスミレ属の食虫植物で、原産地は北米やユーラシア大陸、それに日本です。
ムシトリスミレはその名の通り、スミレのような紫色の可憐な花を咲かせる植物で、一見したところでは食虫植物とはわかりません。ただし、花が似ているというだけで、スミレとは全く異なる種類の植物です。
他の食虫植物の様に捕虫器があるわけではなく、葉の表面に小さな毛が密集しており、その葉の表面から粘液を出して虫を捕えて消化までします。
粘液は葉の全体に付着しているため、虫を捕えやすくなっています。ムシトリスミレの学名はピンギュキュラといい、「油性」という意味があります。葉から出る粘液がどろりとしていて油のようだということからその名が付けられました。
ムシトリスミレにはいくつか種類があり、原産地によって育成方法が違ってきます。
日本原産の物は冬芽を作って越冬する比較的寒さに強いもの、北米産は温暖な地域に自生する比較的暑さに強く、メキシコなどの熱帯高山性のものは少々デリケートなのが特徴です。
水の調整が少々難しい植物で、特に日本に自生しているものはきめ細かな水の管理が必要です。
花の色は紫や赤、ピンクなどかなりバリエーションが豊かで、花を楽しみたい場合には熱帯高山性のものがおすすめです。ムシトリスミレは茎を15㎝前後のばしたところで曲がっていき、花は下を向いた状態で咲きます。
基本データ
難易度 | やや難しい |
価格 | 600円~2,000円 |
成長速度 | 普通 |
花・種 | 紫、白、赤、ピンク、オレンジ、黄色 |
日照量 | 日光を好む |
温度 | 種類によって耐暑性のあるものと耐寒性のあるものがある |
湿度 | 過湿を好む |
花言葉 | 幸福を告げる、欺きの香り |
ムシトリスミレが好む環境
日当たりと置き場所
暖地性のものは、1年を通して日当たりが良く、風通しの良い場所に置きます。耐寒性はほどほどで、冬場に土の表面が多少凍る程度ならば越冬は可能です。
熱帯産のムシトリスミレの場合は日なたではなく、明るい日陰に置くようにしましょう。風通しが大事で、風の通らない場所には絶対に置かないようにしてください。
北米産の暖地性の物とは違い、耐寒性はあまりないので、気温が10度を下回り、越冬するときは屋内の温かい場所に入れるようにしましょう。
屋内で育てる場合
暖地性のものは明るい日向において、風通しのいい場所にしましょう。リビングの窓のそばなどがおすすめです。
基本的には1年を通して日の光にあて、風を通す場所が望ましいです。熱帯産のものは明るい日陰を選ぶようにしましょう。
レースのカーテンなどで直射日光をやわらげるのがおすすめです。暖地性のムシトリスミレよりも風通しには気を使います。
屋外で育てる場合
屋外で育てる場合には、暖地性のものは年中日当たりが良く、風通しの良い場所を選びます。熱帯高山性のものは、明るい日陰で、良く風の通る場所に置きましょう。
土の品種も庭植えは可能ですが、庭植えをする場合にはあまり養分のない土を選ぶようにしましょう。
温度・湿度
土は常に湿っている状態にするのがおすすめです。過湿を好む植物です。耐暑性がありますが、耐寒性は原産地の違いによって違ってきます。
寒地性のものは耐寒性があり、暖地性、熱帯高山性のものは耐寒性がやや弱いので栽培するときには原産地を確認するようにしましょう。
用土
ムシトリスミレは、なるべく肥料分の少ない用土を用意します。もともと養分の少ない土地に自生する植物なので、鉢植えにするときにも土にそこまで養分は必要ありません。
赤玉土に鹿沼土を混ぜたものか、ピートモス、川砂などを混ぜます。ブレンドするのは難しい、という方は山野草用の土が市販されているので、それを利用するのもおすすめです。水苔で栽培することもできます。
ムシトリスミレを上手に育てるコツ
水やり
湿気を好むムシトリスミレは、常に用土を湿った状態にしておく必要があります。ただし鉢の中や株に水がたまった状態だと、腐って枯れてしまうので注意が必要です。
水やりをする場合は株全体にかけるのではなく、根本の部分にあげるようにしましょう。湿った状態を好みますが、水やりは土の表面が乾いてからの方がいいでしょう。水をあげすぎても根腐れの原因になります。
おすすめは「腰水」という方法で、鉢の下に置いてある水受け皿に、水をためておくというものです。水受け皿の水を吸い込んで、土が湿った状態を維持できるのですが、特に夏場などは水が傷みやすいので、定期的に水を入れ替えるようにしましょう。
葉水
ムシトリスミレに葉水は特に必要ありません。ムシトリスミレは、できるだけ葉や花に水がかからないように管理します。
葉や花に水がかかってそのままにしておくと、黒ずんで腐ってしまう場合があります。新芽や生長点に水がかかってしまうと、枯れてしまうこともあるので、水やりの際は十分注意しましょう。
肥料の与え方
ムシトリスミレに肥料は必要がありません。食虫植物ではあるものの、特に虫を与える必要もありません。
下手に虫を与えてしまうと、吸収しきれなかった部分から腐ってくることもあるので気を付けてください。
ムシトリスミレの選び方
園芸店などで買う場合は、他の人に触られすぎて葉が変色しているものは避けましょう。なるべく元気で葉が綺麗なものを選ぶようにします。
ムシトリスミレの増やし方
ムシトリスミレは株分けで増やすことができます。植え替えの時に、株が大きくなっているようなら株分けをしましょう。
その他、葉ざしという挿し木のような方法で簡単に増やすことができます。湿らせた水苔の上に、基部から外した葉をのせて、根が出るのを待ちます。き場所は明るい日陰が望ましいです。時期は冬の休眠期にしましょう。
ムシトリスミレは花が咲く品種だけあって、種からでも育てることができます。
種はとても小さく、あまり販売はされていませんが、もし種を手に入れたら、あたたかい時期に、水苔をよく湿らせておき、その上に種を蒔きましょう。
ムシトリスミレの植え替え
植え替えは年に1度、株が休眠している冬~春にかけて行います。新しい用土か新しい水苔を用意し、一回り大きい鉢に植え替えます。
特に難しいことはありませんが、植え替えを忘れてしまうと株が大きくなり、鉢が窮屈になってしまうので、きちんと植え替えをしましょう。
病気・害虫
屋外で育てる場合や庭植をする場合にはナメクジの食害に合う可能性があるので、気を付けましょう。
その他の病気や害虫はあまりつくことはありません。
ムシトリスミレの毒性や危険性について
ムシトリスミレは特に毒性などは確認背れていませんが、食虫植物ですので、子どもやペットが誤って触ったり、口に入れないように気を付けましょう。