板付けすると壁にかけてインテリアとしても楽しめるビカクシダ(コウモリラン)の育て方をまとめているページです。
巣葉(そうよう)と普通葉と呼ばれる役割が異なる葉を持つシダ植物の一種で、その独自の見た目が気に入り育てる人も多い人気の植物です。
このページではビカクシダを上手に育てるポイントについて解説しています。
ビカクシダの特徴
ビカクシダは、コウモリランともよばれる植物で、垂れ下がるような葉が蝙蝠の羽根に見えることからつけられたといわれています。
原産地はアフリカやアジアなどの世界中の熱帯地域に広く自生する植物で、シダの仲間です。原種は18種類ほど存在しており、ウラボシ科ビカクシダ属の多年草になります。
ビカクシダの一番大きな特徴は、株もとから生える貯水葉、もしくは外套葉と呼ばれる葉と、前方向に伸びる胞子葉と呼ばれる2種類の葉を持つことです。
貯水葉はもともと緑色の葉ですが、寿命がきて枯れるときには茶色く変色します。貯水葉の特徴は、たとえ枯れても落葉することなくどんどんと積み重なっていき、スポンジのように水を貯えることができるというものです。さらに枯れた貯水葉は少しずつ細菌により分解され、自らの養分にしてしまうという特殊な生態です。
もう一つの特徴である胞子葉は、こちらも緑の葉ですが寿命が来ると枯れて褐色になり、貯水葉とは違って落葉します。胞子葉の役割は、葉の裏に胞子を付けることで、繁殖のためにある葉になります。
ビカクシダは見た目が特徴的で育てるのは一見すると難しそうですが、丈夫なので初心者向きであるといえます。
もともと原産地では、木や岩について大きくなる着生植物です。原産地の熱帯では雨季と乾季がはっきり分かれており、雨季に貯水葉に水をため込み、ため込んだ水分を活用して乾季を過ごします。
基本データ
難易度 | 簡単 |
別名 | コウモリラン |
成長速度 | 普通 |
成長期 | 4月~10月 |
花・種 | シダ植物のため花ではなく胞子を作ります |
日照量 | 日光を好む |
温度 | 耐寒性は弱く耐暑性はある |
湿度 | 過湿を好む |
花言葉 | 信頼、助け合う、魔法 |
ビカクシダの育て方
室内で育てる場合
ビカクシダはシダの仲間といっても耐陰性はあまり無く日当たりを好みます。室内で育てる場合は日差しが入る窓際に置くと良いでしょう。
春や秋の日差しが柔らかい時期には日光浴をさせますが、直射日光は苦手なので夏の直射日光が強い時にはカーテンで調整してください。
貯水葉は枯れても取り除かないでそのままにしておき、胞子葉は枯れたらすぐに取り除いた方が良いです。
熱帯原産の植物という事もあり耐暑性はあるのですが、耐寒性はありません。屋内でも5度以下にならない場所、そしてエアコンの風が直接当たらない場所を選んで置きましょう。
屋外で育てる場合
屋外でビカクシダを育てる場合は直射日光が当たらない明るい半日陰がおすすめです。軒下だと管理しやすいでしょう。
風通しが良い場所の方が元気に育ちます。適度な日光浴が必要ですが、直射日光は葉焼けを起こす原因となるので、遮光ネット等で日差しを調整してあげてください。
耐寒性はないので、5度以下にならない管理をする必要があります。冬は室内に移動してあげましょう。
適した用土
着生植物なので水苔単体に植え付けて問題はありません。水苔をまいてた板やバージンコルク等に活着させると良いでしょう。
土で育てる場合は水はけのよい用土を使います。ピートモスをベースにパーライトなどを配合すると良いでしょう。
植木鉢の選び方
ビカクシダを鉢植えにする場合は普通鉢や深鉢を使うと安定しやすいです。
鉢植えにする場合はピートモスをメインにパーライトや軽石を1割ずつ混ぜて水はけを良くしてあげます。
鉢を使用しないで育てられるのもビカクシダの特徴の一つです。水苔を巻いてハンギングにも向いていますし、ヘゴ板に着床させて育てる事も出来るので、見た目にも楽しめる植物になります。
ビカクシダの管理方法
水やりと肥料の与え方
成長期の管理方法
4月~10月くらいまではビカクシダが成長する時期です。基本的には水苔や用土が乾いたら水をやる方法で充分です。
ただ、水やりの際に貯水葉が大きい分、鉢植えだと水やりをしにくいという問題点が出てきます。
鉢植えの場合は鉢の下に置いてある水受け皿に水がたまる様に入れ、鉢の下から水を吸わせる「腰水」を行うと水切れの心配は少なくなります。
目安は水を吸い上げなくなるまでです。水をすべて吸い上げてしまった時には水を追加してください。
ヘゴ板や苔玉も乾燥しやすいので、同様の方法で水に浸けて水やりをすると良いでしょう。
空気が乾燥気味の時は葉水を与えてください。肥料は2ヶ月~3ヶ月に1度の割合で置き肥を与えます。
冬場の管理方法
冬はほとんど成長しないので肥料は必要ありません。
水やりは土や苔が乾いてから水やりをしますが、若干乾かし気味に管理しても大丈夫です。
室内に取り込んでいる際にエアコンの影響で空気が乾燥している場合は葉が乾燥しやすくなるので注意してください。必要に応じて葉水も与えてあげましょう。
植え替えるタイミング
ビカクシダの植え替えの目安は2年~3年に一度です。以下の状況も目安にしてください。
- 2年以上植え替えをしてない
- 鉢の底から根が見える
- 水やりをしても土が乾くペースが速くなってきた
鉢植えでも2年以上でだいぶ根が成長してきますし、板付けに使った水苔も出来れば1年~2年ペースで交換した方が良いです。
また、見た目全体でビカクシダの元気がないという場合は、水切れや逆に水のやりすぎによる根腐れも原因で考えられます。貯水葉が茶色く変色した場合は、なんらかのトラブルがあって根腐れを起こしている可能性が高いでしょう。
放置しすぎて根詰まりを起こさないためにも、2年おきぐらいでの植え替えをおすすめします。
剪定方法
ビカクシダの胞子葉が枯れてきた場合は風通しを良くするためにも剪定してあげましょう。
基本的に枯れてきてから胞子葉を切るのですが、春から秋の成長期に新芽を成長させる目的で下葉部分を剪定するという人もいます。ただ、剪定のし過ぎは光合成出来る葉が少なくなってしまうので注意してください。
目安として胞子葉は2~3枚程度は残しておいた方が良いです。胞子葉の選定は葉の根元部分から切ります。
冬も風通しが悪くなると害虫被害が出るので、風通しが良くなる程度に下葉を切り落とす管理方法も良いでしょう。風通しの良さをメインに剪定するかどうか判断してみてください。
ビカクシダの選び方
貯水葉が切り取られていないかを見ましょう。枯れた胞子葉がきちんと取り除かれているかも大切です。
葉がしっかりと大きく育っているもので、病気や害虫がいないものを選ぶようにしましょう。
ビカクシダの増やし方
ビカクシダの増やし方は胞子から増やす場合と、株分けで増やす場合の2種類になります。時期は春先~初夏にかけての暖かい日がいいでしょう。
株分けの場合は、株が大きくなりすぎた時に使う方法です。
胞子葉を中心にして子株の部分を切り取りましょう。切り取った株は水苔などをまきます。その後板に穴をあけ、ワイヤーやひもなどで板に水苔をまいた株を固定しましょう。水はしっかりあげるようにして、風通しの良い明るい日陰に置き、定着するのを待ちます。
胞子から増やす場合は、胞子葉の裏についている胞子を削り取るようにして採取します。
タッパや受け皿など浅い容器に土を入れ、その上に胞子をまいてください。土は胞子をまく前に湿らせておくといいでしょう。もちろん土ではなく、水苔に胞子をまく方法もあります。
発芽温度は20度前後ですので、寒くなりすぎないように気を付けながら明るい日陰に置いておきます。土が乾く前にこまめに霧吹きで土を湿らせます。芽が出て大きくなったら小分けに水苔や用土に植え付けましょう。
ビカクシダの病気や付きやすい害虫
ビカクシダは下記の病気、害虫に気を付けます。
病気 | 炭そ病 |
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害虫 | ハダニ、カイガラムシ |
かかりやすい病気
春から秋にかけての高温加湿環境で炭そ病にかかる場合があります。
葉に黒褐色の斑点が出来、徐々に範囲が広がる時は炭そ病の可能性が高いです。病変部はすぐに切り、薬剤散布を行いましょう。普段から風通しが良い場所で管理してください。
付きやすい害虫
年間を通して発生する可能性があるのがハダニとカイガラムシです。
ハダニは空気が乾燥している時につきやすいです。初期であれば葉を定期的に拭き取ったりしながら駆除しますが、既に増えてしまっている場合は専用の薬剤で駆除しましょう。
ハダニは薬の耐性が付きやすいので、1度で駆除するようにします。また、定期的な葉水でハダニを予防するようにしましょう。
カイガラムシは特に5月~7月につきやすいです。
カイガラムシが原因で更にすす病を発生させる例もありますので、見つけ次第駆除してください。幼虫であれば殺虫剤も効きますが、成虫は薬剤が効きませんので、ブラシでこすり落としましょう。
毒性や危険性について
ビカクシダに有害な毒性や危険性はありませんが、胞子葉の裏に胞子があるので、小さい子どもやペットがいる場合は誤って口にしないように気を付けましょう。