クロトン(ヘンヨウボク)の育て方を解説しているページです。
クロトンは植物らしからぬカラフルな葉を茂らせるトロピカルな観葉植物です。このページではクロトンの特徴、基本的な育て方をご紹介しています。
クロトンの特徴
クロトンはマレー半島や太平洋諸島などの熱帯地域を原産とするトウダイグサ科コディアエウム属に分類される常緑の低木です。
別名を「変容木(ヘンヨウボク)」とも言い、葉の色や形はバリエーションに富みます。鮮やかな光沢を持つ緑色の葉に赤や黄色、白、紫などが混じり、葉形にも幅の広いものや長いもの、針のように細長いものなど種類が豊富です。
カラフルでつややかな葉を持つクロトンはどこか南国を思わせるトロピカルな雰囲気があり、鉢植えで楽しまれるだけでなく夏花壇にも植えられます。
沖縄などの暖かい地域では、路肩の植え込みや庭木として日常的に栽培されています。
クロトンは夏になると白や黄色の花を咲かせますが、小さいためあまり目立ちません。
基本データ
難易度 | やや易しい |
価格 | 1,300円~3,000円程度(6号サイズ) |
成長速度 | 速い |
花・種 | 7~8月頃に白く小さな雄花と雌花が咲きます |
日照量 | 強い日差しを好みますが葉焼けに注意しましょう |
温度 | 寒さに弱いので冬は10℃以上を保ちます |
湿度 | 多湿を好みますが土の過湿は避けてください |
花言葉 | 妖艶、艶っぽい |
クロトンが好む環境
日当たりと置き場所
クロトンは強い日差しを好むので、真夏以外は直射日光を当てて管理します。
屋内で育てる場合
クロトンは屋内で育てることもできますが、日によく当てたほうが元気な株に育つので、なるべく明るい場所に置いてください。日光が弱いとクロトンに特有の鮮やかな葉色が出にくくなります。
ただし、高温になる真夏に強い日差しを当てると葉焼けを起こすことがあるため、夏場の直射日光は避けましょう。
冬は室温が10℃を切らないように管理しますが、暖房の風を直接当てると乾燥して葉が落ちることがあるので注意が必要です。
屋外で育てる場合
クロトンは日光が大好きな植物なので、春から秋にかけてはなるべく屋外の日向に置いてあげましょう。
直射日光に当てても問題ありませんが、40℃近くなる真夏の時期や、葉が薄い品種の場合には、葉焼けを起こす可能性があるため遮光をするか明るい日陰に移します。
春になってクロトンを室内から屋外に移す際は、いきなり直射日光を当てず、徐々に太陽の光に慣らしましょう。
温度・湿度
クロトンは熱帯を原産とする植物なので寒さが苦手です。ベランダなどの屋外で管理している場合は15℃を下回ってきたら室内に取り込んでください。
暑さには強いですが、高温になる真夏の直射日光に当て続けると葉焼けが起きやすくなります。40℃近くになる場合は軒下などの半日陰か明るい室内へ移します。
多湿を好む植物なので春から秋にかけて葉水を与えましょう。ただし、土の過湿は根腐れを引き起こすため用土には水はけのよい土を使用します。
用土
クロトンは湿度の高い環境を好みますが、土が常に湿った状態になると根腐れを起こす可能性が高くなります。できるだけ水はけのよい土を使用してください。
自分で作る場合は、赤玉土(小粒)6:ピートモス3:堆肥1、もしくは赤玉土(小粒)6:ピートモス3:川砂1などの割合でブレンドした土がおすすめです。ピートモスを混ぜることで土が軟らかくなり排水性がよくなります。
初心者であればホームセンターなどで売られている観葉植物用の土を使用するのが最も簡単です。
クロトンを上手に育てるコツ
水やり
クロトンの水やりは季節によって水やりの量やタイミングが異なります。
春から秋にかけての生育期には、土の表面が乾燥してきたらたっぷりの水を与えます。鉢の底から水が流れでるくらいの量が目安です。
気温が15℃を切ってくると生育がゆるやかになるため、水はあまり必要としません。冬場は土の表面が乾いてから2~3日後にあげる程度でかまいません。
夏は水切れを起こさないよう水やりの回数を増やしますが、暑さで根が蒸れるのを防ぐため、午前中か夕方以降の涼しい時間帯に与えましょう。
葉水
葉水は葉の乾燥を防ぐだけでなく、ハダニやアブラムシなどの害虫を予防する効果もあります。霧吹きなどで1日1回は水を吹きかけてあげましょう。
クロトンの葉にはホコリが積もりやすいため、葉水の際にハンディモップや濡らしたティッシュペーパーで優しく拭き取るようにします。ホコリが積もると光合成の妨げになってしまいます。
また、葉水を与えることで表面につやが出てみずみずしい見た目を保つことができます。
肥料の与え方
クロトンは丈夫な植物なので基本的にはあまり肥料を必要としません。
成長をよくしたい場合には、春から秋にかけての生育期に固形の緩効性肥料を2か月に1回のペースで置き肥するか、規定の濃度に希釈した液体肥料を2週間に1度与えましょう。
冬はクロトンの生育が緩慢になるため肥料は与えません。休眠期に肥料の成分が多いと肥料焼けを起こすことがあります。
クロトンが枯れかけている状態で肥料を与えても、栄養分を吸収することができず効果はあまり得られません。少しでも弱っていることに気づいたら早めに施肥してあげましょう。
クロトンの選び方
クロトンを購入する時は害虫が付着していないか必ず確認してください。
ハダニやアブラムシなどが付いている株を買ってしまうと、クロトンが傷みやすくなったり他の植物へ被害が広がったりする可能性があります。
葉色が鮮やかで濃く、艶があるもの、全体的にがっしりとしたものを選びましょう。
クロトンの増やし方
クロトンは、挿し木によって増やすことができます。
挿し木で増やす際は、まず健康な枝を先端から10cm程度のところでカットし、下の方の葉を取り除いて挿し穂にします。
切り口を20~30分ほど水につけて、赤玉土などの挿し木用の土を入れた容器に挿し穂の1/3程度を挿しましょう。このとき、発根促進剤に切り口を浸けてから挿し込むと成功率が上がります。
根が出るまでは直射日光の当たらない風通しのよい場所に置き、土が乾かないよう定期的に水やりをします。2ヶ月ほど経てば発根するので、鉢へ植え替えます。
親株から枝をカットする際に白い液体が出てきますが、触れるとかぶれることがあるのできれいに洗い流してください。
クロトンの挿し木は生育期である5~7月頃が適しています。
の植え替え
成長したクロトンを同じ鉢で育て続けていると、鉢の中に根が回って根詰まりを起こしてしまいます。根詰まりは根腐れの原因となるため、小~中鉢のものは1年に1度、大鉢であれば2~3年に1度を目安に植え替えましょう。
クロトンの植え替えの手順は以下の通りです。
- 一回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な土を鉢の1/3程度まで入れる
- クロトンを鉢から引き抜き古い土を落とす
- 鉢の中央にクロトンを置き、土を追加する
- 水をたっぷり与え、半日陰でしばらく休ませる
大きな株の場合は剪定をして高さを調整するとよいでしょう。カットした枝は挿し木によって増やすこともできます。
クロトンの植え替えは生育期である5~8月頃が適しています。
病気・害虫
クロトンがかかりやすい病気には「褐斑細菌病」が挙げられます。
褐斑細菌病にかかると葉に水に濡れたような淡い褐色の斑点が発生して腐敗します。斑点が広がると葉に亀裂が入り、雨風にさらされると破れて枯れてしまいます。
被害を発見したら発症箇所を切り取り、株を薬剤で消毒しましょう。葉の上から水をかけない、傷んだ葉をこまめに取り除くといった予防法があります。
クロトンに付きやすい害虫には「ハダニ」や「カイガラムシ」がいます。
ハダニは白い粉のような小さな虫で、葉の裏側に棲みつきます。カイガラムシは風通しが悪い環境下で発生しやすい害虫です。
いずれの害虫も葉や茎の養分を吸い取って株を弱らせるので、見つけ次第粘着テープなどで取り除きましょう。被害が大きい場合は殺虫剤を吹きかけて駆除します。
ただし、カイガラムシの成虫には薬剤が効きにくいため歯ブラシなどを使ってこすり落としてください。
毒性や危険性について
クロトンを初めとするトウダイグサ科の植物は、乳白色の樹液を持っています。
剪定時などに枝や茎を折ると樹液が出てくるので、ゴム手袋など装着して触れないようにしてください。体質によっては皮膚がかぶれることがあります。
犬や猫などが口に含むと場合によっては中毒を引き起こすことがあるため、ペットが触れられる場所には置かないほうがよいでしょう。