鈴なりに咲かせる花がとても綺麗なエリカの育て方をまとめたページです。
エリカはツツジ科の植物で密集して咲く花は見応え十分。しかし、一つ一つの花はとても可憐で繊細な印象を与えてくれます。
下記ではエリカを上手に育てるポイントを解説しています。
エリカの特徴
エリカは南アフリカやヨーロッパ、北アフリカを原産とする、ツツジ科エリカ属に分類される常緑性の小低木です。
細い枝に小さな花が密に咲くのが特徴で、株全体を見るとはなやかな印象を受けますが、一つひとつの花も可憐で繊細です。
世界には740種のエリカが存在するといわれています。日本では、庭植えとして鑑賞さあれるポピュラーな「ジャノメエリカ」のほか、鉢植え向きの品種として40~50種ほどが流通しています。
開花期や花色、花形などバリエーションに富み、壷状やベル形の花をつけるものから細長い筒状のものまであります。開花期も品種によって異なり、大きく分けると春咲き種、夏~秋咲き種、冬咲き種、不定期咲き種に分類されます。
ヨーロッパではヒースとも呼ばれ、荒地で自生するほど強健な植物として知られています。
基本データ
難易度 | 普通 |
流通名 | エリカ、ヒース |
成長速度 | 普通 |
花・種 | 赤やピンク、オレンジ、黄などの花が咲きます |
日照量 | 日当たりを好みますが夏の直射日光は避けます |
温度 | 寒さには強く夏の高温多湿を苦手とします |
湿度 | 多湿を嫌うので風通しのよい場所で管理します |
花言葉 | 孤独、寂しさ、博愛、良い言葉 |
エリカが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
エリカは日当たりと風通しのよい環境で元気に育ちます。もともと荒れた地にも自生するほど強健な植物なので、やせ地を好む傾向があります。
ヨーロッパを原産とする種は耐寒性に優れますが暑さに弱く、南アフリカ原産のものは耐寒性の面でやや劣るものの高温には比較的耐えます。いずれも肥料分が多く湿度の高い環境に弱く、暑い時期の蒸れを苦手とします。
-5℃まで耐える品種もあり寒さには強いですが、強い霜が降りると株が傷むことがあるので、冬はマルチングなどで霜よけを施します。寒風の当たらない軒下などへ移すと安心です。
日当たりを好むものの夏の日差しには弱いので、直射日光や強い西日は避けます。蒸れを防ぐため梅雨時は雨のかからないベランダや軒下で管理してください。
エリカの根は細かいため、水はけのよい土壌に植え付け、乾燥させないことが大切です。弱酸性の土壌を好むため、地植えの場合はあらかじめピートモスを混ぜておくとよいでしょう。
温度・湿度
エリカの生育適温は品種によって異なりますが、基本的には寒さに強く暑さに弱い植物です。ヨーロッパ原産の種は耐寒性に非常に優れています。
夏の高温多湿を嫌うため、直射日光や西日の当たる場所は避け、風通しのよい場所において蒸れを防ぎます。
寒さに強い品種は-5℃まで耐えますが、南アフリカ原産の種は寒さもやや弱いため、鉢植えのエリカは室内に取り込むのが安心です。11月~3月までは窓際などの日当たりのよい場所で管理しましょう。
用土
エリカは多湿を苦手とする植物です。土の中が常に湿った状態になると根腐れを起こす可能性があるので、水はけのよい土に植えつけましょう。
鉢植えのエリカには、腐葉土4:鹿沼土4:ピートモス2などの割合で混ぜた土がおすすめです。夏場の高温多湿により根腐れしやすいため、ピートモスは2割以下にとどめておくと安心です。初心者であれば、市販の培養土を使用してもかまいません。
地植えの場合は、腐葉土をすき込んで水はけのよい土壌を作ります。中性~アルカリ性の土壌の場合、ピートモスを混ぜて弱酸性になるよう調整します。
エリカを上手に育てるコツ
水やり
鉢植えのエリカには、土の表面が乾きはじめたらたっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安です。
土の過湿を嫌うため、必ず土の乾燥を確認してから水やりをしましょう。ただしエリカは根が細く乾燥にも弱いため水切れにも注意してください。
夏場は根や株元が蒸れやすくなるので、朝か夕方以降の涼しい時間帯に水やりをします。葉や花に水がかからないよう株元に与えましょう。
地植えの場合は、植え付け後に根付いてからは水やりをやめ、降雨に任せます。
肥料の与え方
エリカの生育期となる春と秋に肥料を施します。
月に1度のペースで緩効性の固形肥料を置き肥するか、規定の濃度に薄めた液体肥料を2週間に1度、水やりの代わりに与えます。
特に鉢植えのエリカは栄養不足になりやすいため気をつけます。地植えの場合は、油かすと骨粉を混ぜたものを株元に置いてもよいでしょう。
高温で蒸れやすい夏場に肥料が残っていると根が傷むので、夏が近くなったら施肥の量を減らしてください。
冬越し
エリカは基本的に耐寒性に優れた植物です。ヨーロッパを原産とする種であれば戸外での冬越しも可能です。ただし、なるべく強い霜には当てないようにします。
南アフリカを原産とする品種は寒さにやや弱いので、戸外に置く場合は霜よけを施してください。氷点下が続くような寒冷地では室内に取り込むのが安心です。
日照不足になると花付きが悪くなるため、室内へ移す場合も窓際など日当たりのよい場所で管理しましょう。日中のみ戸外で日光浴させるのもおすすめです。
エリカの選び方
エリカの苗を購入する際は、株元から緑色がしっかりとした葉が茂っているものを選びましょう。黄色く変色したものは根詰まりを起こしている可能性があります。
冬に選ぶ場合は咲き進むのが遅いため、すでに8割ほど咲いている株がおすすめです。
エリカの増やし方
エリカは挿し木によって数を増やすことができます。
挿し木をする際は、まだ花が付いていない若い枝を切り取って挿し穂にします。5cmほどの長さに切り取り、土に埋まる部分の下葉を取り除きましょう、
枝の切り口を斜めにカットし、挿し穂の切り口を30分ほど水に浸します。水揚げ後は切り口に発根促進剤を塗ると根が出やすくなります。
挿し木用の鉢やポットに鹿沼土などの挿し木用の土を入れ、割り箸などで穴を開けてから、枝を挿し込みます。
まわりに土をかぶせて固定させたら、たっぷりと水を与えます。乾かさないように半日陰に置いて管理します。湿度を保つためにビニール袋をかぶせてもよいでしょう。
3か月ほどで根が出るので、安定したら新しい鉢へ植え替えてください。
エリカの挿し木は、花が咲き終わって新芽が充実した頃が適期です。
エリカの植え替え
エリカは根が細く生育旺盛なため、ずっと同じ鉢で育てていると鉢の中に根が回って根詰まりを起こします。根詰まりは根腐れの原因になるので、1~2年に1度は新しい鉢へ植え替えましょう。
鉢底から根が出てきたり、水の吸収が悪くなったりしたときも、植え替えのタイミングです。
エリカの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な用土を鉢の1/3まで入れる
- 鉢から株を抜き出し、古い土を優しく落とす
- 鉢の中央へ株を置いて土を隙間なく入れる
- 水をたっぷり与えて明るい日陰で管理する
鉢から株を抜く際、傷んだ根があれば取り除いてください。地植えのエリカは一度根付くと植え替えには向きません。
エリカの植え替えは花後すぐの4~5月が適期です。
病気・害虫
エリカには特に目立った病気の心配はいりません。
ただし、栽培環境や管理状態によっては株が枯れることもあります。エリカは多湿に弱い一方で水切れにも注意が必要なため、水を与えすぎても控えすぎても弱ってしまいます。
土が乾燥したのを確認してから水を与える、梅雨時は軒下などに移動させるなど、適度な水分量を保つようにしてください。
エリカにはアブラムシやハダニがつくことがあります。
これらの害虫は葉や茎に棲みついて養分を吸汁し、株を弱らせます。放置すると株が枯れることがあるので、早めに退治してください。
手袋をつけた手や粘着テープを使って取り除くか、水をかけて駆除する方法があります。数が多い場合は殺虫剤を吹きかけるとよいでしょう。