鈴なりに咲く花が見応のあるルピナスの育て方をご紹介しているページです。
花壇に密集して植えられたルピナスの花はとても綺麗で映える風景を作ってくれます。下記ではルピナスを上手に育てるポイントについて解説しています。
ルピナスの特徴
ルピナスは北アメリカを原産とするマメ科ウヒチマメ属(ルピナス属)の草花です。本来は多年草ですが、暑さに弱いため日本を含めた暖地では一年草として扱われます。
小さな花が空に向かって鈴なりに咲く姿が逆さにした藤に似ていることから「昇り藤」という縁起のよい別名が付いています。
春から初夏にかけて白や赤、ピンク、黄など色彩豊かな花が咲き、20~150cmほどの草丈になります。花後に枝豆に似たサヤが育ち、うちわのような葉形をもつため「葉団扇豆(ハウチワマメ)」と呼ぶこともあります。
日本へ渡来した明治時代には主に作物の肥料として利用されましたが、園芸品種の改良が進み、今では初夏の花壇を彩る観賞用の草花として広く親しまれています。
基本データ
難易度 | やや易しい |
流通名 | ルピナス、昇り藤 |
成長速度 | 普通 |
花・種 | 4月下旬から6月にかけて開花します |
日照量 | 耐陰性がありますが日当たりを好みます |
温度 | 暑さに弱いため戸外での夏越しは難しいです |
湿度 | 多湿を嫌うため乾燥気味に管理します |
花言葉 | 想像力、いつも幸せ |
ルピナスが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
ルピナスの栽培には日当たりと風通しのよい場所が適しています。耐陰性があるため日陰でも管理できますが、日によく当てた方が元気な株に育ちます。
寒さには比較的強く-5℃程度までなら耐えますが、株が凍ると傷んでしまうので、冬はできるだけ10℃以下になる室内へ移しましょう。地植えの場合はマルチングなどで防寒対策を施すと安心です。
ルピナスはもともと冷涼な気候に生息する植物なので、高温多湿を苦手とします。25℃を超えると生育が止まるため日本では夏越しが難しい草花です。
毎年同じ場所で栽培すると生育不良になる「連作障害」が起きやすい性質を持つため、一度ルピナスを植えた場所に連作する場合は、2年以上開けるようにしてください。
酸性土を嫌うため、地植えにする場合は苦土石灰を混ぜて酸度を調整し、中性~弱アルカリ性の土壌を作りましょう。
温度・湿度
ルピナスはもともと多年草ですが、暑さに弱いため25℃を超えると生育が止まります。日本では夏越しが難しいので一年草として扱います。
寒さには強く、品種によっては-5℃まで耐えます。ただし、凍結すると株が弱るので、外の気温が5℃を下回る時は10℃以下を保つ室内へ移して管理するのが無難です。
じめじめした環境は苦手なので、年間を通してやや乾燥気味に育てます。用土には水はけのよい土を使用し、水の与えすぎには注意しましょう。
用土
ルピナスは多湿を嫌うため、土が常に湿った状態になると根腐れを起こしてしまいます。植え付ける用土には水はけのよい土を使用してください。
自作する場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:軽石またはパーライト1などの割合でブレンドした土がおすすめです。市販の草花用培養土を使う場合は、1割ほどパーライトを加えて水はけを改良しましょう。
地植えにする場合は、酸性土を嫌うため植え付ける前に苦土石灰を混ぜて1週間ほど置き、酸度を調整します。
ルピナスを上手に育てるコツ
水やり
ルピナスは土の過湿によって根腐れを起こしやすい植物なので、やや乾燥気味に管理するのがポイントです。
鉢植えの場合は、土の表面が乾燥しているのを確認したらたっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安ですが、受け皿に溜まった水はすぐに捨ててください。
高温多湿による蒸れを防ぐため、水やりは涼しい午前中に済ませましょう。花に水がかかると傷んでしまうので、株元に注ぐようにします。
地植えのルピナスには特に水やりの必要はありません。
肥料の与え方
苗の植え付け時に、元肥として緩効性化成肥料を施します。
さらに追肥として、地植えのルピナスには生育期が始まる春に同じく緩効性化成肥料を施します。
鉢植えの場合は春と秋の生育期に、規定の濃度に希釈した液体肥料を2週間に1度のペースで水やりの代わりに与えます。
ルピナスを始めとするマメ科の植物の根には根粒菌と呼ばれる微生物が共生しており、栄養となる窒素分を集めてくれます。そのため、施す肥料には窒素分の少ないものを選びましょう。
冬越し
ルピナスはもともと冷涼な地域に生息するため耐寒性には優れています。
ただし、地中まで凍るような寒冷地で冬越しをする場合は、敷きわらや腐葉土などでマルチング施すなどの防寒対策をしましょう。
鉢植えのルピナスは、外気が5℃を下回ったら室内へ移すと安心です。生育適温は5~15℃なので、なるべく暖房の効いていない10℃以下の環境に置いてください。
冬は生育がゆるやかになるため、水やりの頻度を減らして乾燥気味に管理します。
ルピナスの選び方
ルピナスの苗を購入する際は、蕾がたくさんついたものを選びます。株元の下葉が黄色く変色した苗は生育不要の可能性があるため避けましょう。
害虫がついていると後になって株が弱ることがあるので、葉の裏まで確認してから買うようにしてください。
また、ルピナスは種も販売されています。種子は安価に手に入るのでおすすめです。
ルピナスの増やし方
ルピナスは種まきによって数を増やすことができます。
種の採取は、花が咲き終わると実る枝豆のようなサヤが乾燥したタイミングでおこないます。茶色くなったサヤから種を取り出して封筒などに入れ、乾燥剤と一緒に密閉容器に入れて日陰で保管しましょう。
9~10月頃になったら種まきをします。ルピナスの種は硬いので、土にまく前に一晩水につけて給水させておきます。
ルピナスは太い根がまっすぐ伸びる直根性の植物なので、根にダメージを受けやすい移植を嫌います。種は鉢や庭などに直接まくのがおすすめです。
種をまいた後は乾燥しないよう水やりをしながら日陰で管理します。2週間ほどで発芽するので、本葉が2~3枚出てきたら適度に間引きましょう。
発芽後は、日当たりのよい暖かい場所で通常通り育てます。
ルピナスの植え替え
ルピナスは太い根を土中にまっすぐと張る直根性の植物です。根に少しでもダメージを受けると株が弱ってしまい、うまく根付かないため移植には向いていません。
植え替えの作業によって根を傷つける可能性が高いので、種や苗を植え付ける際には、初めから栽培に適した場所を選び、直まきするのが理想です。
育苗ポットに種をまいて苗を育てる場合は、苗が小さいうちに鉢または地面に植え付けましょう。根を傷つけないよう慎重に作業してください。
病気・害虫
ルピナスには目立った病気の心配はほとんどありません。
ただし、多湿に弱い植物なので、水はけの悪い土を使用したり水を与えすぎたりすると根腐れを起こしてしまいます。
根が腐ると葉が黄色く変色したり、茎や幹が柔らかくなったりします。用土にパーライトなどを加えて水はけを改良し、土の乾燥を確認してから水を与えるようにしましょう。
1年を通して乾燥気味に管理するのがルピナスを元気に育てるコツです。
ルピナスには害虫もあまり見られませんが、時々アブラムシやハダニがつきます。
これらの害虫は茎や葉に棲みついて養分を吸い取り、株を弱らせます。見つけたらすぐに割り箸や粘着テープなどで取り除くか、数が多い時は薬剤を吹きかけて駆除しましょう。
ルピナスの毒性や危険性について
ルピナスは、全草にキノリチジンアルカロイドという有毒成分を含んでいます。
特に種子には多く含まれ、一度に大量のルピナスを食べると呼吸困難や昏睡状態、痙攣などの中毒症状を引き起こします。
小さな子どもやペットなどが誤食しないよう、手の届かない場所で管理するようにしてください。