ハート型の大きな葉と立ち上がる根茎が特徴的な植物、クワズイモの育て方をまとめているページです。
クワズイモは「食わず芋」と書き毒性があるため食用にはならない植物ですが、エキゾチックな見た目から観葉植物としてごく一般的に知られています。沖縄等の温かい地域では自生もしていて、通常のクワズイモの他、シマクワズイモやインドクワズイモ等が流通しています。
このページではクワズイモを上手に育てるポイントについて解説しています。
クワズイモの特徴
クワズイモはサトイモ科クワズイモ属の常緑性多年草で葉は年中ついて、大きなものだと直径60㎝ほどまで育つこともあります。
また、葉がハート型をしていることから「仲直り」や「復縁」の花言葉の由来になっています。
株が成熟してくると黄や緑の葉に包まれた白い棒状の花を咲かせます。
「食わず芋」の語源にあるように、イモ部分は毒性があり食べられず観賞用です。他には「出生芋」という別名もあり、開店祝いなどに贈呈するのもオススメです。
冬も比較的育てやすく、100円ショップでも手軽に購入できることから人気が高い観葉植物です。根茎から子株が出たり、挿し木で簡単に増やすことができるのも魅力の一つです。
基本データ
難易度 | 簡単 |
別名 | 出生芋、学名のアロカシアと呼ばれる事も |
成長速度 | 速い |
成長期 | 4月~10月 |
花・種 | 仏炎苞状の花を咲かせ、赤い実を付ける |
日照量 | 耐陰性があり明るい場所を好む。直射日光が当たると日焼けするので注意 |
温度 | 高温を好み15度以下になると成長が緩慢になり、5度以下で枯れてくる |
湿度 | 多湿を好む。乾燥気味だと葉色が悪くなる |
花言葉 | 復縁、仲直り |
クワズイモの育て方
室内で育てる場合
クワズイモが自生している場所は直射日光が当たらない場所で、明るい半日陰を好みます。
耐陰性もあるので室内で育てる事も可能ですが、ある程度日光に当たった方が元気に成長するでしょう。窓際でも大丈夫ですが、直射日光は苦手なので、レースのカーテン等を利用して明るさを調整してあげてください。
乾燥している湿度環境は苦手なので、室内に置く際はエアコンの風が直接当たらない場所を選びましょう。
屋外で育てる場合
クワズイモは明るい半日陰を好みます。直射日光が当たる場所は葉焼けを起こしてしまうので避けましょう。
時間帯で移動させるか、もしくは遮光ネットや寒冷紗で日当たりを調整します。
また、クワズイモは15度以下になると休眠する特徴があります。ある程度の耐寒性はあるものの、寒さに強い植物ではありません。
外気温が5度以下になる前に室内に移動させてください。
適した用土
クワズイモは多湿を好みますが、棒状の根茎が育ち茎になる性質なので根腐れを起こしやすいです。一本の棒が土に突き刺さっている様子をイメージしましょう。
根腐れを防ぐためにも、できるだけ水はけのよい土を使用します。
自分でブレンドする場合は「腐葉土:鹿沼土:赤玉土(小粒)を2:1:1の割合」でブレンドし生育に合わせて調整してみましょう。
また、土の表面を赤玉土や鹿沼土、化粧土など無機質な土で覆うと害虫が寄ってくるのを防ぐことができます。
植木鉢の選び方
クワズイモを鉢植えにする場合、根の成長も早いので、平鉢はおすすめしません。普通鉢か深鉢を選ぶと植えた時に安定しやすくなります。
鉢の大きさは今植えてある鉢よりも一回り大きめの鉢にしてください。一回り以上の大きすぎるサイズの鉢に植えつけると水はけが悪くなり根腐れを起こす原因にもなります。
もしこれ以上、鉢を大きくしたくない場合は根の量を減らしてから同じ大きさの鉢に植え替えるという方法も可能です。
クワズイモの管理方法
水やりと肥料の与え方
成長期の管理方法
クワズイモは15度以上になると成長し始めます。4月~10月までは成長期になりますので、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしてください。
葉からも水分を取り込む性質があり、乾燥が苦手なので毎日葉水を与えると良いでしょう。葉はホコリが溜まりやすいので洗い流すように葉水をします。
基本的に肥料を与えなくてもクワズイモは育ちますが、もし与える場合は薄めた液肥を10日おきに与えるか、緩効性肥料を2ヶ月おき位のペースで鉢の端に置いておきます。
冬場の管理方法
クワズイモは冬になるとほとんど成長しないので、水やりの目安は土が乾いてから2日~3日経過したあたりで与えましょう。
葉水を与えたり、濡れたタオルペーパーで葉を拭くのは毎日行っても大丈夫です。
肥料やけを起こす可能性がありますので、冬場の肥料は必要ありません。
植え替えるタイミング
クワズイモは成長が早い植物なので、出来れば1年に1回は植え替えをしてあげた方が良いです。
根詰まりをそのままにしていると根腐れを起こし枯れる原因にもなります。以下の状況は植え替えのサインになります。
- 2年以上植え替えをしていない
- 鉢の底から根が見えている
- 水やりをしてもすぐに土が乾く
- 葉が黄色くなってきた
- 鉢の土が盛り上がってきた
植え替えは成長しやすい5月~6月の時期に行うと良いでしょう。毎年、植え替えをすることで元気に育ちます。
剪定方法
葉がいっぱい出てきたクワズイモを挿し木にしたり、葉の量自体を減らそうとした時に剪定を行います。ある程度葉が出ている枝元部分を剪定はさみで切ります。
剪定した後の株を挿し木にする場合、切り口を1日程度乾かし、葉を半分に切ってから植え付けると成長しやすいです。
注意事項として、クワズイモはサトイモの仲間でシュウ酸カルシウムを多く含んでいます。
切り口から出る汁は素手で触れると痛みや湿疹の原因となるので、注意してください。手袋をしてから作業した方が良いでしょう。
クワズイモの選び方
葉がしっかりとしていて、根茎がずっしりと育っているものを選びます。
この時、葉の表面や裏側も確認し、ハダニやアブラムシ、アザミウマが付いていないかを確認しておきましょう。何れも小さい害虫なのでよく観察します。
クワズイモの増やし方
クワズイモは挿し木や株分けで増やす事が出来ます。
時期は5~8月に行うのが理想です。茎を切断し、切り口を日陰で乾かすと根付きしやすいです。
明るい日陰で用土を乾かさないようにしながら挿します。シマクワズイモは多少の日光なら当てたほうが挿しやすく、反対に斑入りのクワズイモは日光に当てないほうがよいです。
株分け
クワズイモは育てているうちに根元に子株ができます。子株を切り取って株分けして増やせます。
時期は植え替えと同じ5~6月に行います。子株は根をだすので、植え替えのときに親株から切り離して植え付けます。
植え付けのポイントは、根だけ用土に埋め乾燥を防ぎながら、切り口を日陰で乾燥させます。切り口が乾いたら鉢に植えます。2年程度で根がイモ状になります。
クワズイモの病気や付きやすい害虫
クワズイモは下記の病気、害虫に気を付けます。
病気 | 軟腐病、炭そ病 |
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害虫 | アブラムシ、ハダニ、アザミウマ |
かかりやすい病気
軟腐病はカビ菌による細菌感染を起こす病気です。茎の根元や根の部分が腐り柔らかくなってしまうため、治す方法はありませんが、茎部分が健康だった場合は挿し木をして立て直す方法もあります。
黒い斑点が出てくる場合は炭そ病を疑ってください。炭そ病もカビの菌による影響で発生しますので、病変部はすぐに取り除きます。
どちらも水はけが悪い土壌や温度湿度が高い環境で発生する可能性がありますので、水はけのよい土に植え、風通しを良くすることで予防していきしょう。
付きやすい害虫
ハダニは葉が乾燥している環境だと付きやすいです。葉の裏につき、汁を吸った場所は白くなります。
ハダニは水に弱いので、水で濡らしたティッシュでふき取る方法で駆除して、以降は予防も兼ねて葉水を行いましょう。
もし、大量に発生してしまっている場合は葉を全て切り落とす荒療治もあります。ただし、既に株が弱っている場合はそのまま枯れてしまう恐れがあるので、やはり予防が大事でしょう。
アブラムシがついて大量発生すると養分を吸われてクワズイモが弱る原因になります。他にもアブラムシは病気の媒介にもなりますので、見つけたら薬剤で駆除するか、テープを使って駆除してください。
他にはアザミウマと呼ばれる体長1~2mmの細長い黒い虫も注意が必要です。発生初期ならセロテープ等で除去して様子を見ますが、一向に減らない場合はオルトランdxで駆除出来ます。
ただし、オルトランを土に撒くとキャベツの腐ったような臭いがし出すので、室内ではあまり使いたくない薬剤です。効果が切れると同時に臭いも無くなっていきます。
クワズイモの毒性や危険性について
「食わず芋」という名前のとおり、樹液にはシュウ酸カルシウムが含まれていて食べることができません。誤って食べてしまうと吐き気や下痢などの中毒症状を引き起こします。
体質によっては樹液で皮膚がかぶれる事もあるので、なるべく樹液には触れないように注意してください。
過度に心配する必要はありませんが、もし樹液に触れてしまったら流水で洗い流してください。また、剪定や植え替えをするときはゴム手袋などをすると安心です。