紫色の見た目が特徴的な夏野菜、ナスの育て方についてまとめているページです。
ナスは調理法が豊富で癖がない事から好きな人が多い野菜ですが、手軽にプランターでも育てられるので家庭菜園の野菜としても定番です。実のなる野菜はシーズン中は何度でも収穫できる事も人気の一つです。
下記では家庭菜園でナスを育てる際のポイントについて解説しています。
ナスの特徴
ナス科ナス属の植物で、ナスの原産地はインド東部という説が有力といわれています。
身体の体温を冷ます作用のある夏野菜の代表格ともいえる野菜で、品種も多く丸や卵型の短い形や、中長や長形といった長ナス等があります。
昔はナスはとても高い食べ物で、庶民が食べるのはとてもじゃないが難しいという高級、貴重な野菜でした。ナスを食べられる事はとても縁起が良いと考えられていたことから一富士・二鷹・三なすびといわれていたほどです。
ナスの特徴的な見た目といえば茎の色が実と同じ紫色。元気なナスは葉の根元部分も紫色になりますが、管理状態が悪く元気がないと紫色が薄くなることもあります。
他の夏野菜に比べると比較的育てやすい傾向がありますので、初心者向きの野菜です。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | ナス |
成長速度 | 遅い |
花・種 | 紫色の花が咲き、小さな種が実の中にできます |
日照量 | 日なたを好む |
温度 | 20~30℃ |
湿度 | 土は乾燥しない様に管理する |
花言葉 | つましい幸福、真実、優美、希望 |
ナスが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
ナスは日なたを好む野菜です。庭や畑等の直植えをする場合は日当たりの良い場所を選んで植える様にします。
また、連作すると育ちが悪くなる連作障害も起きやすいので、ナスやトマト・ピーマン等のナス科野菜は3年以上育てていない場所を選ぶ様にしてください。
そしてベランダ菜園の一つとしてナスを栽培する人も多く、プランターでの栽培や、野菜用の培養土の袋ごとプランター代わりにして植える人もいます。
ベランダでの置き場所も日当たりが良い場所を好みます。風通しが良い場所を選ぶと病虫害のリスクも少なくなります。
ただ、エアコンの室外機が近いと熱を持った強風が当たる可能性もあるので、ナスにとっては良くない影響も出てきます。
ナスは高温すぎる環境も苦手です。エアコンの室外機の風が当たりにくい場所において管理してください。
温度・湿度
ナスは寒さに弱く、暑さにはやや強い傾向があります。
ナスを種から植えて育成させていく場合は、発芽に適した地温が25~30℃位なので、気温が上がる4月~5月あたりに種まきをするのが適しています。
またナスの育成環境に適している温度は20~30℃位です。
育てていく際に注意したいのが乾燥です。ナスは水を多く欲しがる野菜なので、土が乾燥しない様に水やりをする必要があります。
ただ、湿度が高いという環境だと育成に影響が出てくる場合もあり、加湿状態は根が傷む原因となったり、病虫害の原因となる事がありますので風通しを良くするといった対策もしておくと良いでしょう。
用土
畑でナスを地植えする場合は、植える予定の2週間前に苦土石灰を混ぜ込み、1週間前に腐葉土や堆肥、肥料を土に混ぜ込み畝を作っておきます。
プランター栽培を行う場合は赤玉土(小粒)6割に対し腐葉土3割、バーミキュライト1割を混ぜた土に、苦土石灰を少量混ぜた土を使います。もしくは、野菜用の培養土を購入して使うのも便利です。
プランターで育てる場合ですが、ナスは保水性が良い土を好みますので、大きめのものを用意しましょう。目安としては30リットル以上の大きさを選ぶ様にしてください。
ナスを上手に育てるコツ
水やり
ナスは土の乾燥をとても嫌います。
水が不足すると花が落ちやすくなり育成に影響してきますので、保水力の良い土を維持するためにも水やりは欠かさず行ってください。水やりの目安は、土の表面が乾燥してきたあたりで水やりをするとよいです。
注意点としては、夏の気温が高い時期の日中に水やりをするのは避けてください。日中の水やりは高温と合わさると蒸れやすい状態になります。
夏場の水やりに適したタイミングは朝と夕方がベストです。気温が若干下がっている時間帯に与える様にしてください。
肥料の与え方
ナスを植える前にある程度元肥は混ぜ込んでいますが、ナス自体が肥料を好む野菜です。追肥のタイミングはナスのつぼみが付いて膨らみ始めるあたりからなので5月下旬あたりからです。
地植えの場合はたい肥と苦土石灰を株もとに混ぜ込みます。45㎝程離した場所に混ぜ込みましょう。プランターで育てている場合は化成肥料を使います。
肥料を置く場所は根よりもちょっと外側です。ナスの葉の広がりと根の広がり具合は比例している事が多いので、葉の広がりよりも外側に置くと良いでしょう。
以降は2週間おきに追肥をすることをおすすめします。
冬越し
ナスは夏に花を咲かせ秋にかけて実をつけます。ナスは通常、数年育ち続ける多年草です。
日本では冬という季節があり、ナスは寒さに弱いため一年草という扱いになります。冬には寒さで枯れてしまうので、冬越しのための対策は不要です。
花が咲き、ナスの実ができた際に、実の中にある小さな粒々がナスの種です。追熟させ、実と種をしっかりと分離させ乾燥させると種を取ることができます。
翌年も収穫したい場合は、種を採取して保管しておき春にまくのがおすすめです。
ナスの選び方
ナスは種まきからでも育てる事ができますが、5月あたりからポット苗が販売される様になります。
ポット苗を選ぶ際に葉が元気なものを選びます。
葉がある程度厚みがある株はしっかりと栄養を取りつつ元気に育っている目安となります。徒長していないものを選び、節間が短いものを選ぶ様にしてください。
つぼみが付き始めていて、葉や茎に病気が見られないこと、そして虫もついていない株かを確認して選ぶ様にしましょう。
ナスの増やし方
ナスの増やし方は種を採取して植える方法があります。
ナスを収穫せずに追熟させて、実の中の種をとり、ざるを利用して洗い、乾燥させてジッパー付きの袋に入れて冷蔵庫に保管しておくと良いです。
春になって植えることで芽が出てきます。別に販売している種を購入して植えるのも有効です。
ナスは接ぎ木できます。
土台になるナスは一番下の本葉を一枚だけ残して切ります。差し穂にする木は、子葉よりも下部分で切り、挿しやすい様に鉛筆みたいに先を削ります。
台木につまようじ等で穴をあけ、すぐに差し穂を挿します。固定させたい場合はバンドを利用し、固定させてください。
ナスの植え替え
ナスの植え替えのタイミングは、ポット苗で育てている時に本葉が7、8枚あたりになった時です。
畑で地植えをする場合、畝を立てて地熱が上がる様にマルチをかぶせておくとよいです。畝は70㎝ぐらいの幅にし、50㎝ぐらい離した1列の状態で植えます。(1条植え)
ポット苗はたっぷり水を含ませ、2㎝~3㎝程高くなる様に植えて水やりをします。支柱を立て、ひもで誘引しておきましょう。
プランターの家庭菜園の場合は、苗と同じ大きさの穴に水を含ませた苗を定植させ、水やりをします。地植え同様、支柱を立て、ひもで誘引しておきましょう。
病気・害虫
ナスを育てていくうちに葉に白い粉状のものがついている時はうどん粉病の可能性があります。
間を空けずに植えたり、葉が密集して風通しが悪くなると起きる病気です。症状が出ている葉や実はすぐに取り除きましょう。
ナスはハダニも付きやすく、梅雨明けあたりに乾燥してきた時に発生しやすいです。ハダニを見つけたらハダニに効果のある乳剤やスプレーでしっかりと駆除しましょう。
ミナミキイロアザミウマやヨトウガ、アブラムシも付きやすいので、見つけたら駆除し、薬剤散布した方が良いです。
成長していく中で青い状態のまま突然枯れだしたら青枯病という土壌病になるので、この場合は株を抜き取るしかありません。