マメ科の緑黄色野菜、つるなしインゲンの育て方をまとめているページです。
つるなしインゲンは収穫できるまでの期間も短く、ツルが無い事から管理もしやすく家庭菜園にピッタリの野菜です。
下記では、自宅でつるなしインゲンを育てる際のポイントについて解説しています。
つるなしインゲンの特徴
つるなしインゲンは中央アメリカ原産のマメ科インゲン属の野菜です。中国の禅僧でもある隠元が日本に伝えたという名前の由来説があります。
インゲンにはつるありとつるなしがありますが、つるなしの方が早く成長し、一度に収穫できます。
また、つるなしいんげんの方が生育期間も短く、栽培時に広範囲に広がる事もありません。ベランダを利用したプランター栽培もしやすく、育てやすいので初心者向きともいえるでしょう。
緑黄色野菜に分類され、βカロチンも摂取できますし、糖質や脂質の代謝にも欠かせないビタミンBや骨を丈夫にするビタミンKも多めに含まれています。食物繊維も豊富です。
さっとゆでて食感を楽しみながらシンプルにそのまま食べたり、マヨネーズをつけて食べる、あえ物にする等色々な食べ方が出来ます。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | つるなしインゲン |
成長速度 | 早生種だと種まきから収穫まで50日程度で収穫 |
花・種 | 白い小さく蝶の様な左右対称の花を咲かせ、サヤの中にインゲン豆の形をした種を作ります |
日照量 | 日なたを好む |
温度 | 10℃~25℃ |
湿度 | 多湿には弱い |
花言葉 | 豊かさ、喜びの訪れ、必ず来る幸福、喜びを運ぶ |
つるなしインゲンが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
つるなしインゲンは日光を好みます。地植え、ベランダでの栽培共に日当たりがよく、風通しが良い場所を選んで植えてください。
地植えの場合はマメ科の連作障害がありますので、同じ場所で続けての栽培は2年~3年程度間隔をあける、もしくは徹底的に土壌消毒を行う必要があります。
インゲンだけでなく、ソラマメや枝豆といった他のマメ科とも連作が起きない様な場所を選んでください。
土質的に砂地での栽培は水はけがよすぎて乾燥が起きやすいので避けます。
ベランダでの栽培では、エアコンの室外機による風が直接当たる場所は避けてください。
ある程度の暑さには耐えられますが、下のコンクリ等からくる照り返しが気になる場合は、小さな台やブロックの上に置く等、若干高さを上げてあげると良いでしょう。
花が咲く時期は受粉がしにくくならない様に雨に直接当たらない場所に置いてあげてください。
温度・湿度
つるなしインゲンの生育に適した温度は10℃~25℃です。温度的には高温に若干耐性がありますが、高温も30℃位までが目安です。
育つには育つのですが、25℃以上になると受粉率が落ちたりサヤの付きが悪くなるといった影響が出てきます。生育できる範囲の温度で言うと低温は10℃までです。
つるなしインゲンは特に低温には弱く、5℃以下の気温になると枯れてしまいます。
土の乾燥状態を嫌いますが、その反対の多湿状態も苦手なので、水はけがある程度よく、風通しが良い生育環境にしてください。
用土
つるなしインゲンは酸性の土壌を嫌います。石灰で中性になる様に調整してあげてください。
地植えを行う場合は2週間前あたりから石灰を混ぜ込みよく耕しておきます。1週間前に元肥と化成肥料を混ぜよく耕してから畝を作ります。
水はけを良くするためにやや高めの畝にするとよいでしょう。地熱を上げておきたい場合はマルチシートをかけておくと良いです。
ベランダでプランター栽培を行う場合は、土を作るより野菜用の培養土を購入してそのまま使う方が便利です。プランターは20㎝程度の深さのあるものを選び、60㎝程度の大きさがあると育てやすいです。
つるなしインゲンを上手に育てるコツ
水やり
つるなしインゲンは乾燥した状態での生育は花が落ちやすくなり、サヤの付き具合も悪くなります。土が乾燥している状態になったら朝か晩にたっぷりと水やりをしてあげてください。
花が咲いている時期で天気の良い日はプランター栽培の場合は朝晩と水やりしてあげると良いでしょう。株元に水を与えてください。
注意点としては、花が咲いている時期に上から全体的に水をかけるやり方は避けた方が良いです。うまく受粉できなくなり、サヤも付きにくくなります。
同様に花が咲いている時期は雨が直接当たらない場所にベランダ栽培の場合は移動してあげてください。
肥料の与え方
つるなしインゲンは最初の土作りの時に肥料は施してありますので、花が咲くまで追肥の必要はありません。
元々マメ科なので、根に根粒菌が付き、根から効率よく栄養を取り入れているのですが、早い段階で追肥を行ってしまうと根粒菌の付きが悪くなってしまうからです。
つるなしインゲンの追肥は花が咲いた段階で化成肥料を与えます。最初の追肥以降は、ある程度肥料が必要な生育状況になりますので、2週間おきに追肥してあげると良いでしょう。
冬越し
つるなしインゲンは寒さが苦手です。5℃以下になると枯れ死してしまいます。
そのため特に冬超しをする必要はありません。手軽に種を入手できますし、春以降、また種まきから育てる事も簡単にできます。
注意点としては、冬を越した後、春先に種をまく場合、あまり早すぎない方が良いです。
まだ遅霜が残っていると発芽しにくくなりますし、芽が出たとしても気温低下がきっかけで枯れてしまう場合もあります。遅霜の心配がない5月になってから再び栽培をしてください。
つるなしインゲンの選び方
つるなしインゲンの苗は5月ごろから販売されます。
一般的に種から栽培した場合に間引いて最終的に2本立ちにしている状態で植え付けますので、2本植えてあるポット苗が販売されていると思います。
選ぶ際は、本葉が3枚程度は出ている状態の苗を選んでください。葉が変に丸まったりしていないものを選びます。茎が太く、緑が濃い元気な苗を購入しましょう。
つるなしインゲンの増やし方
つるなしインゲンは種で簡単に増やすことが出来ます。
サヤを収穫していきますが、食用に適しているのは13㎝程度の若さやまでです。それ以上大きくなると固くなりまずくなるので、種とり用にしばらくそのままつけておくと種を採取することが出来ます。
種は春先に植えるまで湿気による影響がない場所に保管しておきましょう。種を植える際は1か所に4粒程度種を植えて、成長に伴い徐々に間引きをしていく方法で育てます。
挿し木等の方法は向いていません。
つるなしインゲンの植え替え
つるなしインゲンは本葉が4枚程度になったあたりが植え替えタイミングです。
市販の苗を購入している場合は2本立ちになっていると思いますが、種からの育成の場合、3本から4本成長している状態です。本葉が2枚出てきたあたりで生育の良い2本を残して間引きをして2本立ちにしておきます。
植え替える間隔は30㎝間隔で植えます。2本立ちのまま植え替えてください。
ポット苗と同じ大きさの穴を掘り、水にポットごとつけておいたポット苗を土ごと一緒に植え付けます。植え替えした後は充分に水やりをしてください。
病気・害虫
害虫に関しては5月過ぎあたりからカメムシがつきやすいです。
さやが吸汁されると、元気なさやがつかなくなる原因となります。見つけたら捕殺する、もしくは防虫ネットをかぶせての栽培もおすすめです。
ハダニがついている場合は乾燥している条件で発生しやすいので、敷きワラやマルチシートをする対策で土壌を乾かさない様にします。
葉に白い筋があったらハモグリバエの被害に遭っているので、葉を取り処分しましょう。
病害では黒褐色の病変が出来る炭疽病(たんそびょう)になりやすいです。
湿気が多い時期のカビが原因となりますので、風通しが良い管理を行い、病変があった株は症状が広がりやすいので抜いて処分した方が良いでしょう。
葉の色むらがある場合はモザイク病で、ウイルスをアブラムシが媒介しています。アブラムシ対策として白黒マルチを使うという方法で予防対策をするのも良いでしょう。