独特の香りが癖になる緑黄色野菜、春菊の育て方をまとめているページです。
春菊と言えばすき焼きに欠かせない具材ですが、春先のまだ柔らかい若芽はお浸しにすると非常に美味です。春菊の栽培は簡単なので家庭菜園にも向いています。
下記では春菊を上手に育てるポイントについて解説しています。
春菊の特徴
春菊は地中海沿岸地方原産のキク科シュンギク属の植物です。大葉種、中葉種、小葉種と葉の大きさにより分類され、中葉種の人気がありよく栽培されています。病虫害にも強い方なので、初心者にも育てやすい野菜です。
春に菊に似た花が咲き、葉も菊に似ているといった由来から名前がついたという説があります。ヨーロッパでは食用にはされておらず、観賞用として育てられており、春菊を食用として利用しているのは東アジアのみです。
香りや風味が独特に感じる味わいですが、βカロテンが豊富に含まれているだけではなく、ビタミンCやEも多く摂取できます。鉄分やカルシウムといったミネラル成分も豊富なので、栄養を効率よく取れる野菜としてあえ物や鍋物にもよく利用されている野菜です。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | 春菊、キクナ |
成長速度 | 速い、40日~60日程度で収穫 |
花・種 | 黄色い菊に似た花を咲かせ、小さな茶色い種がとれます |
日照量 | 日なた、半日陰 |
温度 | 15℃~20℃ |
湿度 | 多湿状態は避ける |
花言葉 | とっておき、豊富、私を信じて下さい |
春菊が好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
春菊は日なたを好みますので、屋外での栽培、ベランダでの家庭菜園共に日当たりの良い場所に植えます。日なた以外の場所では半日陰程度の場所までは問題なく育ちますので、植える場所を探す際に参考にしてみてください。
病虫害が少ないキク科の植物という事もあり、キャベツやブロッコリー、大根といったアブラナ科のコンパニオンプランツとして近くに植える人もいます。
春菊は連作障害がある野菜です。同じキク科でもあるレタス類やゴボウ等を植えた場所に続けて植えるのは2年~3年は避けて違う場所に植えてください。
ベランダでのプランターを利用した栽培の場合、夏場にはとう立ちしやすいといった特徴がありますので、直射日光が当たらない場所を選んで置くと良いでしょう。
温度・湿度
春菊は15℃~20℃での温度環境だと育てやすく、種まきも5月~6月の春まきと10月あたりの秋まきの2回になります。
耐寒性はやや強いので、涼しめの環境では良く育ちます。本葉が出ている状態であれば0℃以下になっても越冬できる強さです。耐暑性はやや弱く、春まきの栽培では成長しやすいため、夏場はとう立ちしやすい傾向があります。
多湿環境にも弱い傾向があり、病虫害の原因ともなりますので、風通しが良い生育環境を心がけてください。
用土
春菊は酸性の土壌を嫌うので、屋外栽培の土は植える予定の2週間前から石灰を混ぜ込みよく耕しておきます。1週間前には堆肥と元肥を混ぜ込んでから更に耕し、畝を作っておきましょう。春菊は肥料が好きなので、この時点で混ぜ込む堆肥と元肥は多めでも大丈夫です。
ベランダでの家庭菜園の場合は、野菜用の培養土が手軽でおすすめです。栽培に適したプランターの大きさは20㎝m以上の深さのものを選び、鉢底石を底に敷いてから培養土を入れると根腐れ防止にもなります。
春菊を上手に育てるコツ
水やり
春菊は発芽するまでの間だけでなく、生育中も土の乾燥を嫌います。土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。
水やりのタイミングは朝と夕方の気温的にも涼しい時間帯を選んでたっぷりと与えます。昼間は気温が上がった状態で水やりをすると株自体が蒸れた状態になりやすいので避けてください。
屋外栽培での乾燥防止ではわらを敷くといった方法で乾燥予防ができます。栽培してみて土が乾燥しやすい様であれば取り入れてみる事をおすすめします。
肥料の与え方
春菊は肥料を多く必要とする野菜なので、土作りの際にも元肥や化成肥料をやや多めに混ぜ込みます。
成長していき、本葉が2~3枚になったら3㎝間隔になる様に1度目の間引きをし、本葉が3~4枚程度にまでなったら必要に応じて5㎝程度の間隔になるぐらいに2回目の間引きをします。2回目の間引きの後に追肥として化成肥料を与えます。
もしくは液肥を水やり代わりに行っても良いでしょう。追肥に関しては、1度目の追肥以降、様子を見ながら2週間おきで与えてみてください。
冬越し
春菊はある程度の耐寒性があるので、冬超しは可能です。0℃近くになると成長が止まります。また、霜は苦手で葉が傷みやすくなりますので、霜が降りる時期までに収穫を完了させる事をおすすめします。
冬時期の肥料は根からの吸収も悪いので、かえって根を傷める原因にもなります。追肥は避けましょう。
プランター栽培の場合は室内の日当たりの良い窓辺に移動させると冬超しが可能です。屋外での冬超し対策は、寒冷紗を掛けておく、もしくは不織布を利用してトンネルを作っておくとうまく冬超しできます。
冬超し後、急に気温が上がった際にとう立ちしやすくなりますので、とう立ちする前に収穫してください。
春菊の選び方
春菊は春や秋、それぞれの時期になると苗が販売されますので、苗を購入するという方法もあります。苗を選ぶ際は、本葉が3~4枚程度ついているもので色が濃い苗を選びましょう。
また、持ってみた時にあまりにも株がぐらつくという場合は、根に問題がおきているせいでぐらついている可能性もあるかもしれません。
種まきをしたほうが手軽に多く栽培できますし、間引きした若い芽はサラダ等で楽しむ事もできます。種を購入する際に色々と種類があると思いますが、大葉種、中葉種、小葉種と葉の大きさに違いがあり、中葉種が人気です。
種の種類でおすすめなのは病気等にもなりにくく、石灰欠乏症にもなりにくい「さとにしき」です。確実に育てたい、初めて春菊を育てるという人は参考にしてみてください。
春菊の増やし方
春菊は種まきで簡単に増やすことが出来ます。
春菊がとう立ちして花が咲いたら花が咲き終わった後もそのまましばらく置いておき、とう立ちした部分を長めに切り、いくつか束にしてドライフラワーの様に干しておくと良いでしょう。
花びらが乾燥した箇所を取っていくと茶色い小さな種がたくさんついている状態になりますので、種を取っていきます。春菊の種をまく際は、薄く土をかぶせる程度にしてください。たくさん土をかぶせると発芽しにくくなります。
他にも春菊は簡単に挿し木で増やすことが出来ます。株立ち型の種類を生育している際に20㎝程度の大きさになった時に先端を摘心しますが、その摘心した先端部分を土に挿しても育ちます。
春菊の植え替え
春菊は基本的に種まきをした場合、間引きをしながら最終的に株間を5㎝~10㎝程度になる様に間引きしていく方法が多いです。もし、植え替えるという場合や、苗を購入した場合は、本葉が3~4枚程度ついたあたりで植え替えてください。
植え替える際の株の間隔ですが、株ごと刈り取って収穫する場合は5㎝程度の間隔でも良いです。もし、収穫しながら生育していくという場合は10㎝~15㎝位の間隔をあけた方が良いでしょう。
植え替える場所にポットと同じくらいの大きさの穴を掘り、水に浸けたポット苗を土ごと植え、充分に水やりをします。
病気・害虫
春菊は元々病虫害に強い野菜なのですが、アブラムシやヨトウムシの被害に遭う事もあります。見つけ次第駆除してください。
ハモグリバエの被害も見られます。ハモグリバエにやられると、葉に虫が移動した様にうねった白いスジが見られるのですぐにわかります。葉ごと取り去る方法で駆除しましょう。
また、気温が上がってきたあたりから、炭疽病やべと病になる例もあります。土の水はけが悪いと起こりやすいので、水はけがよい生育環境にする、風通しが良い場所で育てるといった事前の対策をしておきましょう。