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サクラソウの育て方

山野草

江戸時代から様々な品種が作られてきた古典園芸植物、サクラソウの育て方を解説しているページです。

サクラソウ属の植物は世界中に約400種も存在しますが、ここではニホンサクラソウについてご紹介しています。

サクラソウの特徴

サクラソウはサクラソウ科サクラソウ属の多年草です。

みなさんは徳川家の将軍が園芸好きだったことをご存じですか?

特に、家康、秀忠、家光という初代~三代将軍は園芸が大好きで、それが各藩の大名に影響を及ぼしています。その結果、庶民も含めて園芸が大ブームとなりました。

この時代に広く愛好されて発展したのが江戸伝統園芸植物と呼ばれるもので、有名なものではキクやハナショウブがありますが、サクラソウもそのひとつです。

品種は300種を超え、さまざまな花色、形が生まれています。自然の状態では北海道の南部から本州・四国・九州まで分布し、高原や河川敷などなどの低湿地に自生しています。

多年草で毎年春に芽を出し、花後の6月には枯れて夏~秋は休眠期に入ります。サクラソウの名はいうまでもなくサクラの花に形が似ているからです。

基本データ

難易度 易しい
流通名 サクラソウ、日本桜草
成長速度 普通
花・種 4~5月に開花。花色はピンク、白、紫のほか複色もある
日照量 基本は半日陰だが、春は日当たりのいい場所で育てる
温度 耐寒性は強いが、耐暑性は弱い
湿度 乾燥に弱く、湿気のある環境で育てる
花言葉 初恋、純潔、希望、淡い恋、清らか、青春、若者、無邪気、自然の美しさを失わない、少年時代の希望、青春の喜びと悲しみ、若い時代と悲しみ、長続きする愛情

サクラソウが好む環境

日当たりと植えるのに適した場所

春の芽出しから花が終わるまでは日当たりのいいところで育てます。ただ、乾燥には弱いため、根元が直射日光を浴びないところが理想です。

日差しが強くなる6月後半~秋は明るい日陰の涼しい場所に移動させます。サクラソウは花が散るとすぐ翌年の花芽を形成させ始めますから、夏に乾燥させすぎると花芽が枯れ、翌年の開花が望めなくなります。

ベランダや地面に鉢を直接置くと地熱のため乾燥しやすくなりますから、鉢台やポットフィートを利用してみてください。

だからといって、品種によっては雨に当たると花や葉が傷んだり茎が折れたりすることがありますから、軒下などの雨を避けられるところを選びます。

温度・湿度

暑さを苦手としていますから、夏は日陰の風通しがいいところというのが基本です。

乾燥を防ぐ意味で鉢台に置くという方法をお勧めしましたが、これを使えば風通しもよくなります。また、鉢内の温度が上がらないように朝のうちに水やりをするといいでしょう。

地植えも同様に、夏はカラカラに乾燥しない落葉樹の下に植えます。 乾燥を避けて湿度を保つことがサクラソウを管理する秘訣のひとつなのですが、過度の水やりは根腐れを引き起こします。

できれば定期的に霧吹きすることをお勧めします。

用土

水持ちがよく、それでいて水はけのよい土が理想です。

市販の培養土でも十分なのですが、物足りない人は赤玉土(または桐生砂)、小粒の軽石、硬質鹿沼土(いずれも小粒)を等量混合します。それで乾きすぎるようなら軽石を減らすか、または腐葉土を混ぜてみてください。

用土に関してサクラソウで注意しなければならないのが増し土です。春になると新しい根茎が伸び、それはしばしば地表に露出します。

そのまま放置すると乾燥しやすくなりますから、用土を追加して根茎を覆います。根茎が露出するのは雨や水やりによる可能性もありますから、日常管理でその点もチェックしてください。

サクラソウを上手に育てるコツ

水やり

乾燥を嫌いますから、芽が出てから花が終わるまでは決して水切れしないよう多めに水やりします。

この点は特に難しくはないのですが、花が終わって7月を迎えると葉が枯れ始めます。多年草は秋の終わりから休眠期に入りますが、サクラソウは夏から冬までそれが続きます。

その間も完全に乾かすのは禁物で、控えめながらも水やりは継続しなければなりません。ビギナーにはそこが難しいところですが、地植えの場合は周囲の植物の具合で判断するという方法があります。

鉢植えではそうもいきませんから、一株、あるいは二株を寄せ植えにします。そして、同居している植物の状態で判断して、同じ用土を使っている他の鉢も同様に水やりします。

肥料の与え方

植え付け、植え替え時の元肥は緩効性の化成肥料を用います。

できればリン酸、カリが多めの肥料がベターです。サクラソウは窒素が多いと葉が大きく成長するものの、風通しが悪くなってダメージを受ける可能性があります。

量は少なめにしてください。4~5号鉢で1~2つまみというのが目安です。肥料が多いと根腐れしやすくなります。

芽出しから花が終わるまでは半月~ひと月に1回、液肥を1500倍に薄めて与えます。地植えの場合もやはり薄めた液肥を水やり代わりに与えます。

冬越し

サクラソウは寒さに強い植物です。ですから、冬だからといって特別な処置は必要ありません。

しっかり寒さに当てて来たるべき春に備えて準備をさせます。ただ、地上部はなくなって休眠状態に入っていますから、水やりは控えめにしなければなりません。肥料も与えません。

ひとつだけ注意することがあります。完全に乾燥させるわけにはいかないから冬でも水やりをするのですが、鉢内の水が夜になって凍ると根が傷みます。

水を与えるときは必ず午前中にしてください。

サクラソウの選び方

サクラソウが一般的な販売店に出回ることはめったにありません。常時扱っているのは専門で栽培・販売している店舗だけです(ほとんどの店舗はネット通販をしています)。

それなのに、春になると近くの販売店でサクラソウという名の株が販売されることがしばしばあります。

このサクラソウは「西洋サクラソウ」と呼ばれるもので、通常はプリムラという名で販売されています。ここでいうサクラソウとは別物であることを知ってください。

春の新芽が出た状態で株を選ぶチャンスに恵まれたら、健康的な葉であることを確認します。縮れたり黄ばんだりしているものは避けましょう。

サクラソウの増やし方

株分け、実生、根伏せとサクラソウを増やすには三通りの方法があります。いずれも難しくはありません。それなのに普及率が低く店頭に出回らないのは、それほど人気がないからでしょうか。

一般的なのは株分けで、植え替え時に分けると同じ性質の株を得ることができます。根の傷みや切り口などにそれほど神経質になる必要はなく、1~2芽単位で分けます。

根伏せも植え替えしたときに処理します。太くてきれいな根、または根茎を数㎝カッターやナイフで切り取って浅植えします。この場合、開花まで2年かかります。

一挙に株を増やすなら実生が一番です。花が終わったあと、5月下旬~6月上旬に種が採れますから、取り蒔きするか、または湿った土で包んで冷蔵庫で保管します。

乾燥させると発芽率が下がるし、冷蔵庫で冷やすことで発芽率が上がるのです。土に蒔くのは翌年の3月です。順調に生育すると次の年に開花します。

サクラソウの植え替え

サクラソウはよく根を張るので、鉢植えでは毎年植え替えるのが原則です。

時期は10~2月の休眠期ならいつでも構わないのですが、植え替えた直後に気温が急に低下するとダメージを受けるため、シートを被せたりという手間がかかります。できれば2月頃に植え替えた方が賢明です。

4~5号の深めの鉢で

通例としてサクラソウは4~5号鉢に2~5芽植えます(必ずしもこれに従う必要はありませんが)。根張りがいいタイプなので深目の鉢がいいでしょう。専用の桜草鉢もあります。

浅植えが基本

種を植える際、サクラソウは好光性ですから覆土は薄くします。同様に、植え付けるときも浅くします。掘り上げた株は古い土を取り除き、黒くなった根、根茎を取り除きます。そして、根を横に広げて、芽が表土の下2~3㎝になるように土を被せます。

ウォータースペースはたっぷりと

用土の表面と鉢の縁との間をウォータースペースと呼びます。水やりをしたとき、このスペースに水が溜まるからです。

一般的な植物では1~2㎝確保しますが、サクラソウはもっとたっぷり取ります。表土の位置が鉢の2/3になる程度とします。理由は、増し土をするためです。

病気・害虫

涼しい状態であっても多湿であれば灰色カビ病が発病しやすくなります。

サクラソウは乾燥に弱い性質で、芽出しから開花時期までたっぷり水やりをします。だが、この時期こそがもっとも注意すべきときで、茎、葉、花、蕾などに灰色のカビが発生します。

そうなれば患部を切り捨てるしかなく、殺菌剤を散布してとにかく他の部位、他の株に移らないように努めます。予防としては水はけをよくして、さらに風通しにも努めましょう。

アブラムシ、ヨトウムシ、ハダニといった害虫は目に見えますから捕殺、あるいは殺虫剤で対処します。

その点、ネコブセンチュウは厄介です。土の中に住む小さな虫が寄生すると根にたくさんのコブができ、しおれたり立ち直ったりを繰り返し、やがて枯れてしまいます。

異常を感じたら掘り上げて、コブを見つけたらそこを取り除き、新しい用土で植え替えます。鉢も消毒しましょう。

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