クラッスラは小さな花を咲かせる多肉植物の一種で、よく栽培され見かける「金のなる木(花月)」もこのクラッスラの仲間です。
このページではクラッスラの育ち方や品種をご紹介しています。
クラッスラの特徴
クラッスラは南アフリカやマダガスカルなどの熱帯を原産とするベンケイソウ科クラッスラ属の多肉植物です。
世界には500種ほどの品種があると言われており、砂漠や草原などの乾燥した土地に自生する種が多いですが、湿地に生息するものも存在します。3~4cmほどの小さなものから数m近くになる大型種まで種類が豊富で、株が群生するものや垂直に伸びるもの、葉がロゼットを形成するものなど、草姿もさまざまです。
身近な多肉植物として知られる「金のなる木」や、秋の紅葉がきれいな「紅葉祭り」、班入りの葉を重ねる「南十字星」などが代表的な品種です。いろんな種類をコレクションして楽しむ愛好家も多いです。
クラッスラは種によって生育期が異なり、春秋型、夏型、冬型に分けられます。
基本データ
難易度 | やや易しい |
流通名 | クラッスラ |
成長速度 | やや遅い |
花・種 | 品種によって開花時期や花の色が異なります |
日照量 | 日当たりを好みますが直射日光は避けてください |
温度 | 寒さにはあまり強くないため冬は5℃以上を保ちます |
湿度 | 多湿に弱いので水の与えすぎには注意しましょう |
花言葉 | 一攫千金、富、幸運を招く、不老長寿 |
クラッスラが好む環境
日当たりと置き場所
日当たりの良い場所を好みますが、葉焼けを起こす品種もあるため真夏の直射日光は避けましょう。
屋内で育てる場合
クラックスは年間を通して屋内で育てることができますが、日光を好むため窓際などの明るい場所で管理します。日によく当てることで丈夫な株に育ちます。
ただし、強い日差しに当てると葉焼けを起こすことがあるので、真夏の直射日光は避けてください。高温多湿に弱い植物なので、風通しの良い室内に置くようにします。
冬は5℃を下回らないよう暖かい場所で管理してください。
屋外で育てる場合
クラッスラは春から秋にかけて屋外で管理することができます。
日光を当てると元気に育つため日当たりの良い場所に置くようにします。紅葉する品種は特に良く日に当てるときれいに発色します。高温多湿に弱いので、風通しが良く雨が当たらない場所で管理してください。また、葉焼けを防止するため真夏の直射日光は避けましょう。
耐寒気温は5℃前後の品種が多いので寒くなったら室内へ取り込みます。霜や雪が当たらない地域であれば戸外での冬越しも可能です。
温度・湿度
クラッスラは高温多湿を苦手とする植物です。戸外で管理する場合は雨が当たらない風通しの良い場所で管理し、真夏の直射日光は避けてください。
寒さにはあまり強くないため、周りの環境は5℃を下回らないようにします。霜や雪に当たると株が弱ってしまうので、屋外で育てている場合も冬場は室内に移すのが無難です。
クラッスラは葉に水分を蓄える多肉植物なので乾燥には強いですが、湿気には弱いため水はけの良い土を使用して根腐れを防ぎます。夏または冬の休眠期には水やりの回数を減らして乾燥気味の状態を保ちましょう。
用土
クラッスラは多湿を嫌う植物です。土が常に湿った状態になると根腐れを起こしてしまうので、用土には水はけのよい土を使用します。
自分でブレンドする場合は赤玉土(小粒)3:腐葉土3鹿沼土2:軽石(小粒)2、もしくは赤玉土(小粒)5:腐葉土3、パーライト2などの割合で混ぜた土がおすすめです。
初心者であれば、ホームセンターなどで売られている多肉植物用の土やサボテン用の土を使用してもよいでしょう。
クラッスラを上手に育てるコツ
水やり
クラッスラの水やりは育てる品種の生育期によって異なります。
「春秋型」の場合、春と秋の生育期には土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。冬の休眠期には1か月に1、2回、高温になる夏場は1か月に3、4回の水やりでかまいません。
「夏型」のクラッスラは春から秋にかけて生育します。5~9月の生育期には土の表面が乾燥したらたっぷりと水を与え、冬は断水しても良いでしょう。
秋から春に生育する「冬型」の場合、11~4月の生育期には土の表面が乾いたら水をたっぷり与えます。夏の蒸し暑さに弱いため夏場は断水するか、乾燥気味に育てます。
葉水
クラッスラのような多肉植物には基本的に葉水は不要です。葉に水分を蓄えているため乾燥に強く、多少水が不足しても問題なく育つ品種が多いです。
生育期は土が乾いたらたっぷりと水を与え、休眠期には水やりを控えて適切に管理すれば、乾燥が原因で枯れることはありません。
ただし、水やりを控える休眠期に室内の暖房などで葉が乾燥している場合は、霧吹きなどで水を吹きかけても良いでしょう。その際はクラッスラの葉が薄く濡れる程度の量に止めてください。
肥料の与え方
クラッスラのような多肉植物は、もともと荒涼とした栄養分の少ない土地に生息しているものが多いため、肥料はほとんど必要ありません。基本的には植え替えや植え付けのタイミングで新しい土に混ぜて施肥する程度で十分です。
追肥する場合は、生育期に緩効性の固形肥料を2か月に1回のペースで置き肥するか、規定の濃度に薄めた液体肥料を2週間に1回を目安に与えましょう。
紅葉する春秋型の品種の場合、秋以降の施肥は控えてください。
冬越し
クラッスラは霜や雪が当たらない環境であれば屋外で冬を越すことができます。ただし、寒さにはあまり強くないので、5℃を下回る場合は暖かい室内へ移して管理しましょう。
冬型のクラッスラには冬の期間も土が乾いたらたっぷりと水を与えますが、春秋型や夏型の品種には頻繁な水やりは不要です。冬を休眠期とする品種の場合、土がカラカラに乾くまで水を控えても良いでしょう。乾燥気味の状態を保つと耐寒性が強まります。
クラッスラの選び方
クラッスラを購入する際には害虫が付いていないか必ず確認してください。害虫が付着したものを買ってしまうと株が傷んだり他の植物に被害が及んだりする可能性があります。
葉が徒長しておらず間隔が詰まっていて、全体的に締まった株を選びましょう。
クラッスラの増やし方
クラッスラは挿し木と株分けによって増やすことができます。
茎が直立するタイプの品種には挿し木が適しています。茎を先端から3~7cmほどの長さで切り取り、土に埋まる部分についた葉を取り除きます。風通しの良い日陰に切り取った茎を3~4日置き、切り口を乾燥させてから新しい用土に植え込みましょう。
群生するタイプのクラッスラを増やすには株分けが適しています。株分けをする1~2週間前から鉢土を乾燥させ、親株を抜き取ります。
根についた土を揉み落とし、ナイフを使って2~3つに分けましょう。切り分けた株の切り口を風通しの良い日陰で1週間ほど乾燥させた後、新しい土へ植え付けてください。
挿し木・株分けのいずれの場合も、植え付け後はしばらく水を与えないようにします。1週間から10日ほど経ってからたっぷりと水やりをしましょう。
クラッスラの挿し木や株分けは品種ごとの生育期におこなってください。
クラッスラの植え替え
成長したクラッスラを同じ鉢で育てていると、鉢の中に根が回って根詰まりを起こしてしまいます。根の状態を確認するためにも1~3年に1度を目安に植え替えましょう。
鉢の底から根が出てきたり水の吸収が悪くなったりしたときも植え替えのタイミングです。
クラッスラの植え替えは以下の手順でおこないます。
- 植え替えの数日前から水を控えて土を乾燥させる
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な土を鉢の1/4程度まで入れる
- 鉢から株を抜き出し、根についた土を揉み落とす
- 鉢の中央へ株を置いて土を流し入れ、馴染ませる
- 半日陰で管理し1週間~10日後に水を与える
クラッスラの植え替えは、春秋型・夏型の場合は春または秋に、冬型の品種は秋口におこなうと良いでしょう。
クラッスラの品種・種類
クラッスラは品種により色や形状が大きく異なります。ここではクラッスラの一部を写真でご紹介します。
病気・害虫
クラッスラにかかりやすい病気には「黒星病」や「軟腐病」が挙げられます。
黒星病にかかると葉や茎に黒褐色の病斑が現れ、進行すると株を枯らします。雨水や昆虫によって感染することが多いです。軟腐病は植物に菌が入り込み、葉が溶けたように腐ってしまう病気です。梅雨時など高温多湿な環境で発生しやすいため、土の水はけは常に良くしておきましょう。
いずれの病気も発症した箇所は元に戻らないので発見したら速やかに取り除いてください。その後は殺菌剤を使って消毒しておくと予防になります。
クラッスラにつきやすい害虫にはカイガラムシがいます。
カイガラムシは気温が高く乾燥する時期によく発生します。葉や茎から栄養分を吸い取って株を弱らせる厄介な害虫です。発見したら歯ブラシなどを使ってこすり落としましょう。カイガラムシの成虫は硬い殻に覆われているため薬剤は効かないことが多いです。