素敵な庭造りに欠かせないガーデンプランツとして人気が高い、クレマチスの育て方をまとめたページです。
つる性植物のため使い勝手が良く、アーチや柵などに這わせると華やかなになります。
下記ではクレマチスを上手に育てるポイントについて解説しています。
クレマチスの特徴
クレマチスはヨーロッパや日本、中国、北アメリカなどを原産とするキンポウゲ科クレマチス属(センニンソウ属)に分類されるつる性の多年草です。
世界には300種以上の原種が分布しています。さらに、日本原産の「カザグルマ」、中国の「テッセン」、欧米の「インテグリフォリア」をもとに品種改良が進められ、今では数え切れないほど多くの園芸品種が存在します。
繊細な色合いを持つ花は、白や赤、ピンク、黄、青、複色など色彩に富みます。花形もさまざまで、大輪のものから小さい花を下向きに咲かせるもの、ベル型のものなど多くの種類から選べます。
また、花の咲きかたによって、新しい枝に花を咲かせる「新枝咲き」、前の年に伸びた枝に花をつける「旧枝咲き」、両方に花が咲く「新旧両枝咲き」の3タイプに分けられます。
イギリスでは「つる性植物の女王」と呼ばれるほど人気が高く、鉢植えだけでなく切花やブーケにもよく利用されます。
基本データ
難易度 | やや易しい |
流通名 | クレマチス、カザグルマ、テッセン |
成長速度 | やや速い |
花・種 | 品種によって開花期は異なります |
日照量 | 日光を好むため日当たりのよい場所に置きます |
温度 | 暑さ・寒さともに比較的強い植物です |
湿度 | やや乾燥に弱いですが過湿にも注意してください |
花言葉 | 精神の美、旅人の喜び、策略 |
クレマチスが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
クレマチスの苗は、土壌の水はけがよく、少なくとも半日以上は日がよく当たる場所に植え付けます。過湿に弱いため、風通しのよい環境を選ぶのがコツです。
鉢植えの場合は、ベランダや東向きの窓際などに置くとよいでしょう。耐陰性があるため半日陰でも育てられますが、花付きが悪くなったり徒長したりすることがあります。
ただし、強い日差しが当たると葉焼けや乾燥により枯れる可能性があるので、直射日光や西日には当てないでください。夏場は明るい日陰に移すと安心です。
冬の寒さにも強い植物ですが、霜や雪に当たると株が弱ることがあります。戸外で栽培する場合は霜よけを施し、鉢植えのクレマチスは軒下などに移動させるとよいでしょう。
やや乾燥に弱いものの、じめじめした環境も嫌います。植え付ける土には、水はけ・水もちのバランスに優れたものが適しています。
温度・湿度
クレマチスは夏の暑さにも冬の寒さにも強い植物です。生育適温は20℃前後となっています。
霜や雪に当たると枯れる可能性があるので、戸外で育てている場合は霜よけを施すと安心です。鉢植えの場合は寒風に当たらない軒下などに移すとよいでしょう。
耐暑性はあるものの強い日差しが当たると葉焼けを起こして傷んでしまいます。日よけを施すか、半日陰になる場所に移動させると安心です。
丈夫な植物ですが極端な乾燥・過湿には弱いです。風通しのよい場所で栽培し、水切れしないよう気をつけてください。
用土
クレマチスは排水性と保湿性のバランスに優れた土を好みます。乾燥にやや弱い反面、土が常に湿った状態になると根腐れを起こしてしまうため注意します。
土を自作する場合は、赤玉土(小粒)4:鹿沼土4:腐葉土3などの割合で混ぜた土がおすすめです。園芸店などで販売されているクレマチス専用の培養土を使用してもかまいません。
地植えのクレマチスは土質をあまり選びませんが、砂質の場合はバーミキュライトを混ぜると水もちがよくなります。
クレマチスを上手に育てるコツ
水やり
鉢植えのクレマチスには、鉢土の表面が乾いているのを確認してからたっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安ですが、受け皿に溜まった水は根腐れの原因となるのですぐに捨ててください。
一般的に地植えの多年草は降雨のみで問題ありませんが、クレマチスは乾燥をやや嫌うため、乾燥しているときは水を与えます。
高温で乾燥しやすい夏場は水やりの回数を増やし、休眠期となる冬は乾燥しない程度の水を与える程度に頻度を減らします。
肥料の与え方
クレマチスは肥料を好む植物です。肥料が不足すると枝が充実せず花つきが悪くなるため、生育に応じて適切に施肥します。
苗木を植え付ける際に元肥として緩効性の化成肥料を施したら、その後、生育期間の春から秋にかけて、同じく緩効性肥料を1~2か月に1回のペースで追肥します。
液体肥料を使用する場合は、規定の濃度に薄めたものを月2~3回水やりの代わりに与えます。
高温多湿によって株が弱りやすい梅雨から夏にかけては、施肥の頻度と量を減らします。また、冬はクレマチスの休眠期にあたるので肥料は不要です。
冬越し
クレマチスは寒さに強い植物なので、基本的には戸外で冬を越すことができます。
ただし、氷点下が続くような厳寒地では、霜や雪による凍結を防ぐため防寒対策を施すと安心です。株元に敷きわらや不織布などを被せてマルチングをおこないましょう。
鉢植えのクレマチスは軒下に移動して雪や寒風を避けるか、気温が下がる夜間のみ室内へ移すなどの工夫をします。
休眠期となる冬は地上部が枯れますが、根が生きていれば開花するので水を切らさないようにしましょう。品種によっては真冬につるのみ残るものもあります。
クレマチスの選び方
クレマチスの苗を買う際は、株元から伸びる枝数が多く、葉色につやがあるものを選びましょう。花よりも葉の状態がよいものを優先します。
初心者であれば、栽培が比較的容易な新枝咲きの四季咲き品種を選ぶのがおすすめです。
クレマチスの増やし方
クレマチスは「挿し木」や「つる伏せ」で数を増やせますが、挿し木のほうが手軽です。
挿し木で増やす場合は、その年に伸びた新しいつるの固い部分を10cm程度切り取って挿し穂にします。先端から2~3枚を残し、土に埋まる下のほうの葉を取り除きます。
切り口に発根促進剤をつけ、赤玉土や鹿沼土など挿し木用の土に挿し込みます。割り箸などで土に穴をあけ、5~8cmほどの深さに埋めましょう。
挿し木の後はたっぷりと水を与え、土が乾燥しないよう水やりを続けます。半日陰で管理すると2か月ほどで発根するので、鉢や庭へ植え付けてください。
クレマチスのつる伏せは、親株から切り離さず、つるの節から発根させて新しい株を増やす方法です。
前年から今年にかけて伸びているつるを、土中に2節ほど埋め込みます。翌年の春になったらつるを引っ張って根付いているか確認しましょう。
つるが抜けなければ根が出ている証拠なので、親株から切り離して苗として扱います。
クレマチスの挿し木とつる伏せは4月から7月頃が適期です。
クレマチスの植え替え
クレマチスをずっと同じ鉢で育てていると根に鉢がまわり根詰まりを起こします。根詰まりは根腐れや生育不良の原因となるので、2~3年に1度を目安に一回り大きい鉢へ植え替えましょう。
鉢底から根が出てきたときも植え替えのタイミングです。
クレマチスの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な培養土を鉢1/2程度入れる
- 元の鉢から株を抜き出し新しい鉢へ入れる
- 深植えになるよう土を加えてならす
- たっぷりと水を与えて化成肥料を施す
クレマチスの根は弱りやすいので根鉢を崩さないよう植え付けます。つるの1~2節分の深さまで埋めると花つきがよくなります。
クレマチスの植え替えの適期は、休眠期にあたる12月~2月中旬です。
病気・害虫
クレマチスがかかりやすい病気には「立枯れ病」や「うどんこ病」が挙げられます。
立枯病にかかると、葉や茎に褐色や黒色の斑点が現れ、進行すると植物全体に広がります。生育が著しく悪くなり、立ち枯れの状態になります。
症状を見つけたら被害箇所を早めに切除し、枯れ落ちた葉も処分します。地上部のみがかかる病気なので、根が生きていれば新芽が出ます。
うどんこ病は、葉に白い斑点のようなカビが発生する病気です。放置するとカビが葉に広がって光合成の妨げとなり、葉が枯れてしまいます。酢や重曹水を吹きかけることで繁殖を予防できます。
クレマチスにはつきやすい害虫にはアブラムシやナメクジがいます。
アブラムシは茎や葉に棲みついて養分を吸い取り、株を弱らせる害虫です。見つけたらすぐに割り箸や粘着テープなどを使って取り除きましょう。
ナメクジが這った跡は、粘液がついてキラキラ光ります。半分にカットしたペットボトルにビールを入れて株の近くに置いておくとナメクジを捕殺できます。
クレマチスの毒性や危険性について
クレマチスの葉や茎には、プロトアネモニンやサポニンといった有毒成分が含まれています。
株を傷つけた際に出てくる汁に触れると、皮膚がかぶれる、水泡ができるなどの炎症を起こすことがあります。また、誤って大量に摂取すると、胃や腸の粘膜がただれる可能性もあります。
植え替えなどの作業をする時は必ず軍手などを使用し、小さな子供やペットがいる家庭では手の届かない場所で管理すると安心です。