アナナスはフルーツでお馴染みのパイナップルを含む植物の事で、このページでは花や葉を楽しむ観賞用の品種について解説しています。
トロピカルな印象を与えてくれるアナナスの特徴や育て方をご紹介します。
アナナスの特徴
アナナスはパイナップル科アナナス属に分類される植物を指しますが、日本ではパイナップル科に属するすべての植物をアナナスと呼ぶことが多いです。
熱帯アメリカを原産とするアナナスには、「エクメア」や「グズマニア」、「フリーセア」などの属があり、それぞれ大きさや葉の色、形が異なります。
多くの品種には筒状の葉があり、水を貯めて花を咲かせます。開花時期は種類によって異なりますが、5~10月に咲かせるものが多いです。
花の寿命は長くないものの、花の周りを囲う苞(ほう)が鮮やかな赤やピンク、橙などに色づく様子は5か月ほど楽しむことができます。
ピンク色の花苞に青い花を咲かせる「エクメア・ファスキアタ」や、ピンクから赤色の花苞を持つ「グズマニア・アマランス」、花苞の色が赤から黄色に変わる「フィリーセア・カリナタ」などが代表的な品種です。
基本データ
難易度 | 普通 |
価格 | 1,000円~4,000円程度(4号サイズ) |
成長速度 | やや速い |
花・種 | 一度花をつけた株には開花しません |
日照量 | 明るい場所を好みますが直射日光は避けます |
温度 | 寒さに弱いので冬は5℃以上を保ちましょう |
湿度 | 湿度の高い環境を好む品種が多いです |
花言葉 | 理想の夫婦、いつまでも健康で幸せ、情熱、あなたは完璧 |
アナナスが好む環境
日当たりと置き場所
アナナスは日当たりを好みますが、葉焼けを防止するため直射日光は避けましょう。
屋内で育てる場合
アナナスには耐陰性があるため屋内でも育てることができますが、日照不足になると色褪せてしまうので、できるだけ明るい場所に置くようにします。
ただし、直射日光に当てると葉焼けを起こしてしまいます。レースのカーテン越し程度のやわらかい光を当ててください。
空中湿度の高い環境を好むため、冷暖房の乾いた風が直接当たらないようにします。寒さにはあまり強くないので、冬の室温は5℃以上を保ちましょう。
屋外で育てる場合
アナナスは明るい場所を好むため、春から秋にかけて屋外でも育てることができます。
ベランダや軒下などの風通しのよい半日陰に置くと健康な株に育ちます。強い日差しを当てると葉焼けを起こしてしまうので、日なたで管理する場合は遮光ネットなどを使って光を弱めましょう。
冬場は霜に当たると株が枯れてしまいます。寒くなってきたら暖かい室内へ取り込むようにしてください。
温度・湿度
アナナスは熱帯を原産とするため耐暑性はありますが、寒さに弱いので冬は5℃以上を保つようにします。
ベランダなどの屋外で育てている場合は、外気が10℃を下回ってきたら室内へ取り込むとよいでしょう。夏場の40℃近くになる暑い日は、株が弱るので日陰に移して管理します。
多湿を好む性質がありますが、土の過湿は根腐れの原因となるので避けてください。アナナスの生育が緩やかになる冬場は、水やりの回数を控えて乾燥気味に管理しましょう。
用土
アナナスは樹木などに着生して育つ植物なので、用土には土ではなく水苔やヤシ殼チップを用いるのが一般的です。
水苔を水に浸して戻し、根の部分をふんわり巻きつけて鉢へ植え付けます。鉢底に軽石やちぎった発泡スチロールを敷いておくと水はけがよくなります。
ヤシ殼を使う場合は、まずヤシ殼を水に浸して水分を含ませ、なるべく絞らずに水を切って鉢に入れます。苗を植え付ける時は根の間にしっかりと詰めるのがコツです。
アナナスを上手に育てるコツ
水やり
アナナスの水やりの量やタイミングは季節によって変える必要があります。
生育期である春から秋の期間は、株の上から水を与えて筒状になっている葉の部分に水を溜めて育てます。用土が乾いてきたら、葉筒の水が入れ替わるくらいの量をたっぷりと与えましょう。
冬はアナナスの生育がゆるやかになるため水やりの回数を減らします。葉筒に溜める水は少量に留め、多い時は株を逆さにして減らすか、ティッシュペーパーなどで水を吸い取ってください。
アナナスの中でもエアプランツなど葉から水分を摂り込む品種には、霧吹きを用いて株全体に水を与えるようにします。
葉水
葉水は葉の乾燥を防止するのに加え害虫の予防にも効果があります。
アナナスは葉からも水分を吸収して育つので、乾燥が気になる時や冬場に水やりを控える時は、週に1~2回ほど霧吹きなどで水を吹きかけましょう。生育が衰える冬は水やりを減らして乾燥気味に管理し、葉水を与えて湿度を保つのが冬越しを成功させるコツです。
葉の表面をみずみずしく保つ葉水には、植物の見栄えをよくする働きもあります。
肥料の与え方
アナナスの肥料は春から秋にかけての生育期に与えてください。
液体肥料を規定の濃度に薄めたものを月2回のペースで与えます。筒状になった葉の根元にかけるように施肥することで生育がよくなります。もしくは、緩効性の固形肥料を2~3か月に一度を目安に置き肥しましょう。
生育がゆるやかになる冬の時期にはあまり水分や栄養分を吸収しなくなるので、肥料は不要です。栄養過多になると株を弱めることがあるので与えすぎには注意します。
アナナスの選び方
アナナスを購入する際は害虫がついていないか必ず確認しましょう。
カイガラムシなどの害虫が付着している株を選んでしまうと、株が弱ってしまったり他の植物へ移ったりする恐れがあります。葉に弾力感があり、重量感のある株を選びましょう。
アナナスの増やし方
アナナスは株分けによって数を増やすことができます。
花が咲き終わるころに株元から子株が出るので、ナイフなどで切り込みを入れてそっと剥がすように親株から切り分けます。水を含ませた新しい水苔で子株の根を巻きつけ、新しい鉢に植え付ければ完了です。2か月ほど経って発根をしたら、薄めた液体肥料を与えます。
切り分ける子株は葉を5~6枚つけたものを選びましょう。十分に成長していない子株を分けてしまうと成長が遅くなることがあります。
アナナスは一度開花すると同じ株に再び花をつけないので、繰り返し花を楽しむには子株を分けて育てる必要があります。
株分けに適した時期は、生育期に入る5~7月頃です。
アナナスの植え替え
アナナスは花を咲かせると株が弱って枯れることが多いので、基本的には株分けをして新しい株を育てていきます。
ただし、鉢植えに使用する水苔は時間が経つと傷んでくるので、1~2年に1度は新しい用土に植え替えましょう。
水苔に植えたアナナス植え替えは以下の手順でおこないます。
- 新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- アナナスを鉢から抜き出して古い水苔を取り除く
- 水を含ませた新しい水苔を根に巻きつけ、軽く絞る
- 鉢の中にアナナスを入れ、隙間に水苔を詰める
- 数日は水やりを控え、風通しのよい半日陰で管理する
根の間に挟まっている古い水苔を取り除く際はピンセットを使うと便利です。
アナナスの植え替えの適期は生育期に入る5~7頃です。
病気・害虫
アナナスにかかりやすい病気には「炭疽病」が挙げられます。
炭疽病を発症すると灰褐色の斑点が葉に現れて亀裂が生じ、進行すると株を枯らしてしまいます。炭疽病はカビ菌が原因なので、風通しの良い場所に置いて予防しましょう。被害箇所は早めに切除し、焼却処分するのが望ましいです。
アナナスに付きやすい害虫にはハダニやカイガラムシがいます。
ハダニは白い粉のような小さな虫で、高温かつ乾燥する環境を好んで発生します。養分を吸い取るので、発見したらすぐに霧吹きや粘着テープなどで取り除きます。こまめな葉水をおこなうことで予防ができます。
置き場所の風通しが悪いとカイガラムシが発生しやすくなります。幼虫には殺虫剤が効果的ですが、成虫すると薬剤が効きにくくなるため、歯ブラシなどでこすり落として駆除しましょう。