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サフランの育て方

高級スパイスとしても有名なサフランの育て方を解説したページです。

サフランはクロッカスと似ているためよく混同されがちですが、両者の違いの説明と、サフランの特徴や管理方法等をご紹介しています。

サフランの特徴

サフランはヨーロッパの地中海沿岸を原産とするアヤメ科サフラン属(クロッカス属)に分類される多年草です。夏の終わりに球根を植えると秋に花を咲かせます。

松葉のような細長い葉と紫色の花が特徴で、長く伸びた雌しべからは独特の芳しい香りが漂います。

古代ローマ時代より染料や香料、薬用として多く栽培されてきましたが、今では鑑賞用の植物としても広く親しまれています。上品な藤紫色の花びらと黄色の雄しべ、赤色の雌しべのコントラストが美しい植物です。

サフランの花の雌しべは、スペイン料理を中心にスパイスとしてもよく使われます。

サフランの雌しべは高級スパイスとしても知られている
スパイスのサフラン

市販されているサフランのスパイスには1グラム1,000円ほどの価格が付いています。1グラムを収穫するには約300本の花が必要なため、高級スパイスとして扱われています。

基本データ

難易度 やや易しい
流通名 サフラン、ヤクヨウサフラン
成長速度 早い
花・種 9月中旬から11月中旬にかけて開花します
日照量 日光を好むので日当たりの良い場所に置きます
温度 寒さには非常に強いため特に防寒は不要です
湿度 多湿に弱いため春以降は風通しのよい場所で管理します
花言葉 歓喜、過度をつつしめ、濫用するな

サフランとクロッカスの違い

サフランにはよく似た植物にはクロッカスがあります。

花だけを見ればサフランもクロッカスもよく似ていますが、開花時期と雌しべの形で区別することができます。

サフランは9月から11月頃に花を咲かせ、赤く長い雌しべをつけます。一方、クロッカスは3月から4月ころに花を咲かせ、黄色の短い雌しべをつけます。また、サフランの花は紫色ですが、クロッカスは黄色や白、紫色の花を咲かせます。

サフランの花は秋に咲く
サフランの花
クロッカスの花は春に咲く
クロッカスの花

他には、サフランモドキやイヌサフラン(コルチカム)という近縁種も存在しますが、開花時期や花の色、形等がサフランとは違います。

サフランモドキの花
サフランモドキ
イヌサフランの花
イヌサフラン

サフランが好む環境

日当たりと植えるのに適した場所

サフランの生育には日光が必要です。日当たりのよい場所を好むため、強い日差し以外が当たる真夏以外は日なたでの管理が適しています。日照が不足すると花付きが悪くなります。

球根の植え付けは8月下旬から9月中旬頃におこないましょう。秋以降に植え付けると花が小さくなることがあります。

寒さには非常に強い植物なので防寒の必要は特にありません。高温多湿に弱いため、春以降は球根を植えっぱなしにせずに掘り起こし、風通しが良く涼しい場所で保管するのがおすすめです。

草丈はあまり高くならないため、鉢植えにする場合は高さのない平鉢などに植えた方が開花時の見栄えがよくなります。

サフランは土に植えて適切な管理をしていれば毎年花を咲かせる多年草です。ただし、1度花を見るだけでよい場合は、土を使用しない水栽培でも楽しむことができます。

温度・湿度

サフランは耐寒性に非常に優れた植物なので、冬の間の防寒は特に必要ありません。生育適温は5~15℃程度と涼しい環境を好みます。

一方で、耐暑性はあまりなく、湿度の高い環境を嫌います。花後に球根を植えっぱなしにしていると腐りやすくなり、夏越しは難しくなります。春以降は球根を掘り起こし、風通しのよい涼しい場所で管理してください。

高温多湿の環境下では軟腐病が発生することがあるので、梅雨の時期は特に注意してください。

用土

サフランは多湿に弱い植物です。土が過湿状態になると球根が腐ることがあるので、植え付ける用土には水はけと通気性に富んだ土を使用します。

鉢植えの場合は、園芸店などで販売されている草花用の培養土か、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:堆肥1などの割合でブレンドした土がおすすめです。

地植えで育てる場合は、腐葉土や堆肥の入った肥沃な土が適しています。酸性土を嫌うため、植え付ける前に苦土石灰をすき込み土壌を中和しておきましょう。

サフランを上手に育てるコツ

紫色の花を咲かせるサフラン

水やり

サフランの水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えるようにします。ただし、土の過湿には弱いので、与えすぎには注意してください。土に指を入れて湿り気を確認するとよいでしょう。

冬の時期はサフランの生育がゆるやかになるため、葉が枯れてきたら水やりの回数を減らします。土が凍るのを防ぐためにもやや乾燥気味に管理してください。

地植えの場合、基本的には降雨のみで問題ありませんが、乾燥が長く続くようであれば水を与えます。

肥料の与え方

サフランの球根を植え付ける用土には、あらかじめ緩効性の化成肥料を元肥として混ぜておきます。地植えの場合は、植え付ける前に堆肥や腐葉土などをすき込んでおき、有機質に富んだ土壌を作りましょう。

翌年も花を楽しむには、球根を肥大させる必要があります。花後の11月下旬と2月下旬の2回に分けて、化成肥料を株元に撒くか、規定の濃度に希釈した液体肥料を与えます。

窒素分が多い肥料を施すと球根が弱ってしまうので、リン酸分が多いものを選びます。

冬越し

サフランは寒さに非常に強い植物なので、冬越しのための防寒対策は特に必要ありません。冬場も屋外に置いて管理することができます。

気温が下がる冬場は水がはけにくいため、水やりの頻度を減らしてやや乾燥気味の状態を保ちます。土が凍ると球根が傷んでしまうので、夕方以降の水やりは避けてください。暖かい日の午前中を選んで水やりをします。

氷点下が続くような寒冷地では、フラワースタンドを使用する、鉢を二重にするなどの凍結対策をおこなうとよいでしょう。

サフランの選び方

サフランの球根を買う際は、できるだけ大きなものを選んでください。

実際に1つ1つ球根を手に取り、大きさや重さを感じるものを購入します。小さい球根はあまり花付きがよくありません。

表面に凹凸や汚れがなく、締まった球根を選ぶと咲く花の数も多くなります。

サフランの増やし方

サフランは、球根を掘り上げる際に球根についた子球を分けることによって増やすことができます。

ただし、水栽培など土を使わずに育てている場合は栄養が不足していることが多いため、球根を大きくするのは難しくなります。新しい球根を毎年買うようにしましょう。

球根を分球して増やす場合は、球根を大きくするため花後の11月と2月頃に追肥をします。春になって葉が2/3以上枯れたら、球根を掘り上げてください。

掘り上げた球根は、葉が茶色く枯れるまで風通しのよい日陰に吊るしておきます。完全に枯れた葉を取り除き、新しくできた子球を親株から外しましょう。

数を増やした球根は、ネットなどに入れて涼しい場所で保管します。植え付けの時期になったら、5号鉢に3~5球、球根1~1.5個ほどの深さに植え付けてください。

サフランの植え替え

サフランは花後に球根を掘り上げて夏~秋にかけて植え付けるか、新しい球根を購入して育てるのが一般的です。花茎が伸びた後の植え替えは基本的におこないません。

園芸店などにはすでに花芽をつけた球根が売られているのが一般的なので、サフランの苗を植え替える機会もあまりないでしょう。

ただし、一部の店舗やインターネットではサフランの苗を販売しているところもあります。サフランの苗はだいたい9月から10月にかけて出回るようになります。

購入した苗を鉢などへ植え替える場合は、根を傷めないよう十分注意してください。

病気・害虫

サフランがかかりやすい病気には「軟腐病」があります。

軟腐病は植物に細菌が入り込んで葉を腐らせる病気です。高温多湿な環境下で発生しやすいため、使用する土の水はけと通気性は常によくしておきます。

一度発症した箇所は元に戻らないため、発見したら速やかに取り除いてください。薬剤を使用することによりある程度の予防は可能です。

サフランのようなハーブにはあまり害虫がつくことはありませんが、まれにアブラムシやハダニが発生します。

ハダニは葉の裏を好んで棲みつく白い粉のような虫です。アブラムシは新芽などの柔らかい箇所に発生します。

いずれも植物の養分を吸い取って株を弱らせるので、発見したらすぐに霧吹きや粘着力の弱いテープなどで取り除きましょう。被害が大きいときは殺虫剤を吹きかけて駆除してください。

サフランの毒性や危険性について

サフランが属するクロッカス属の球根には、人が中毒を起こすような毒はありません。しかし、犬や猫などの動物が口にすると下痢や嘔吐などの中毒症状を引き起こす可能性があります。

ペットや小さな子どもがいる場合は、なるべく手が届かない場所で管理するようにしましょう。

ちなみに「イヌサフラン」というサフランによく似た名前の植物がありますが、イヌサフランには全草に猛毒があるので注意してください。

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