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ユリの育て方

大きく美しい花を咲かせるユリは香りも良く、庭植えはもちろん切り花としても楽しまれる植物です。

根は食用にもなる万能な植物のユリを上手に育てるポイントをこのページではご紹介しています。

ユリの特徴

ユリは北アメリカやヨーロッパ、アジアなど北半球の地域を原産とする多年草です。秋に球根を植えて初夏に花が咲く球根植物です。

世界には約100種が分布し、日本にもヤマユリやササユリ、テッポウユリなど15種ほどが自生しています。

鉢植えや庭植えといった鑑賞用のほかにも、ゆり根を食用にするなど、古くからさまざまな方法で楽しまれています。日本では古事記や日本書記にも登場するほど長い歴史を持つ花です。

ユリはいくつかの系統に分けられており、それぞれ雰囲気が異なりますが、どれも上品な佇まいで初夏の花壇や玄関先を華やかに演出します。花色は白や赤、ピンク、オレンジなど変化に富みます。

花が咲く頃になるとユリの甘い香りが庭中を包みます。切り花にして部屋に飾るのもおすすめです。

基本データ

難易度 やや優しい
流通名 ユリ
成長速度 普通
花・種 5月下旬から7月下旬にかけて開花します
日照量 日光を好むので日当たりの良い場所に置きます
温度 花芽をつけるには冬の寒さが必要です
湿度 土の過湿に弱いので水の与えすぎに気をつけます
花言葉 思いやり、愛の告白(赤)、失われた愛(白)、望みのない恋(黄)

ユリが好む環境

日当たりと植えるのに適した場所

ユリは品種によって日当たりを好むものと半日陰を好むものに分けられます。

テッポウユリやスカシユリ、ヒメユリなど葉の細いユリは日当たりを好み、オリエンタル系やヒメサユリ、ササユリなどの葉が広い品種は明るい日陰を好む傾向があります。

球根を植えた地中の温度が高くなるのを嫌うため、梅雨明けから夏の間は強い直射日光や西日が当たらない建物の東側など、なるべく涼しい場所で管理しましょう。

あらかじめ下草を植えておくか、株元に敷きわらを被せるマルチングを施しておくのもおすすめです。風通しのよい場所に植え付けてください。

ユリは水はけのよい有機質の土壌を好みます。地植えの場合は植え付ける前に40~50cmほど深耕し、腐葉土や堆肥、ピートモスなどを混ぜておきます。

土の水はけが悪い場合は、盛り土をレンガなどで囲み、レイズベッドを作るとよいでしょう。

温度・湿度

ユリは秋に球根を植えると初夏に花を咲かせます。発芽や開花には、一定期間の寒さを経験させることが必要なので、鉢植えの場合も戸外で管理します。

開花期にあたる夏は、地中の温度が上昇したり株元が乾燥したりするのを嫌います。敷きわらなどで株元を覆うマルチングを施すとよいでしょう。

ユリの生育適温は5~25℃です。寒さにはよく耐えますが、土が凍ってしまうと球根が傷む原因となるので、寒冷地では防寒対策が必要です。

土の過湿に弱いので、用土には水はけ・通気性のよいものを使用してください。

用土

ユリの球根は乾燥に弱いですが、土の中が過湿状態になると腐りやすくなるため、用土には水はけと水もちのよい土を使用します。

鉢植えの場合、市販の草花用培養土もしくは球根用の培養土を使うのが最も簡単です。水はけが悪い時は、川砂やパーライトなどを加えると改善します。

自作するのであれば、赤玉土と腐葉土を6:4の割合でブレンドしてから水はけを調整してください。

地植えの場合は、品種に合わせた土作りが必要です。特に野生種は球根が腐りやすいので、鹿沼土や日向砂、桐生砂などを多めに混ぜます。

ユリを上手に育てるコツ

水やり

鉢植えのユリには、鉢土が乾いたらたっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安です。

夏場の日中に水を与えると土の中が蒸れることがあり、冬の夕方以降に水やりをすると夜間に凍ることがあります。早朝から午前のうちに水やりを済ませましょう。

冬の間は芽が出ませんが、根は生育しているので水やりを忘れないようにします。

地植えの場合は、苗の植え付け時に水を与えた後は、基本的に降雨のみでかまいません。ただし、晴天が続くなど極端に乾燥している時は水やりをしてください。

肥料の与え方

ユリの球根や苗を植え付ける用土には、あらかじめ元肥として緩効性の化成肥料を混ぜておきます。地植えの場合は、植え付ける前に葉土や堆肥、ピートモスなどを入れて30cmほど深耕しておきます。

その後は追肥として、芽が出た頃と花が咲き終わった頃に緩効性肥料を置き肥するか、規定の濃度に希釈した液体肥料を2週間に1度のペースで水やりの代わりに与えましょう。

肥料の量が多いと根が肥料焼けを起こして傷むことがあるので、与えすぎには注意します。

冬越し

ユリは一定期間、冬の寒さを経験させることで花芽をつけ、開花します。耐寒性は強いため、鉢植えの場合も戸外で冬を越すことができます。

ただし、氷点下が続くような寒冷地では、株元に腐葉土やバークチップなどを被せてマルチングを施すとよいでしょう。

秋に球根を植えてから芽が出るまでは土の中で根が成長しているので、冬の期間も水やりを忘れないようにします。暖かい時期よりは頻度を減らしますが、土が乾燥したらたっぷりと水を与えてください。

ユリの選び方

ユリは基本的に球根を購入して育てます。球根を買う際は、乾燥しているものを避け、手に取ったときに重さのあるものを選びましょう。傷のある球根も避けます。

苗から育てる場合は、春から初夏にかけて園芸店などで購入します。株元がぐらぐらせずしっかりと根が張っており、葉色の良いものを選びます。

ユリの増やし方

ユリは、球根を掘り上げて子球を分ける「分球」という方法で増やすことができます。

ほかにも鱗片繁殖や木子繁殖、種まきなどさまざまな増やし方がありますが、開花するまで時間がかかったり、親と違う花が咲いたりするため、家庭ではあまり向きません。

ユリを分球して増やす場合は、まず花が咲き終わった後、種ができる子房(花が咲いていた箇所)を手で摘み取り、茎と葉のみが残る状態にします。

その後は通常通りに管理し、葉が黄色く変色して枯れ始めたら、根を傷めないよう球根を掘り上げます。

ユリの球根には皮がないため、保存する際は乾燥しないよう気をつけます。空気穴を開けたビニール袋に軽く湿らせたバーミキュライトやピートモスなどを入れ、球根を埋めるようにして保存してください。

秋になったら、球根の直径の3~4倍の間隔を空け、鉢植えの場合は球根1個分以上の深さに、地植えであれば球根の3倍の深さに植え付けます。

ユリの植え替え

ユリを何年も同じ場所で育てていると、土が劣化したり根が窮屈になったりするので、植え替えは定期的におこないます。

地植えのユリは、十分な間隔を開けて植えて入れば3~5年は植え替えなくてもかまいません。鉢植えの場合は土が痩せやすいため毎年植え替えるようにします。

ユリの植え替えに適した時期は11月頃です。花が咲き終わり、葉が黄色く枯れてきたタイミングで茎を地際から切り落とし、球根を掘り上げましょう。

多くの球根植物は掘り上げた後に球根を乾燥させる必要がありますが、ユリの球根には乾燥を防ぐ表皮がないため、すぐに新しい土へ植え替えます。

地植えで数年植えていたユリを掘り上げる際は、根を傷めないよう株の周囲を大きく掘るようにしてください。

病気・害虫

ユリがかかりやすい病気には「球根腐敗病」や「モザイク病」があります。

球根腐敗病にかかると土の中で球根が腐ってしまい、芽が出なくなります。芽が出たとしても葉色が退色して枯れてしまいます。

モザイク病はウイルス病とも呼ばれる伝染性の病気で、発症すると花びらや葉に斑が入ったりまだら模様が現れたりします。

いずれの病気も発症すると元通りにはならないので、見つけたらすぐに株を抜き取って処分しましょう。病気の原因となる害虫がつかないよう注意したり、作業に使うハサミをなどこまめに消毒したりして予防してください。

ユリにつきやすい害虫にはアブラムシがいます。

アブラムシは春先に発生しやすく、葉や茎について養分を吸い取るほか、モザイク病の原因となるウイルスを媒介します。

株元に薬剤を撒いたりして発生を防ぎ、害虫を発見したらすぐに割り箸や粘着テープなどで取り除きましょう。

ユリの毒性や危険性について

ユリの球根は「ゆり根」として食用されており、人間には毒になることはありません。しかし、一部の園芸品種は、猫にとって有害だといわれています。

全てのユリが当てはまるわけではありませんが、テッポウユリやオニユリなどは、1~2枚の葉を食べるだけでも猫にとっては致死量となります。

猫には全草が毒となり、誤食すると嘔吐や脱水症状などを引き起こします。猫のいる家庭でユリを飾る場合は、猫が触れない場所に置くようにしてください。

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