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沈丁花(ジンチョウゲ)の育て方

花がとても良い香りの植物、沈丁花(ジンチョウゲ)の育て方を解説しているページです。

沈丁花の学名は「Daphne odora」といい、ギリシャ神話に登場する女神のダフネと良い香りがするという意味の「odora」という意味の言葉を合わせた名前が付けられています。

春の沈丁花、夏のクチナシ、秋のキンモクセイは三大香木(さんだいこうぼく)とも呼ばれています。

本ページでは沈丁花を上手に育てるポイントをご紹介しています。

沈丁花の特徴

沈丁花は、中国中部からヒマラヤ地域を原産とするジンチョウゲ科ジンチョウゲ属にに分類される常緑性の低木です。日本へは室町時代に渡来したといわれています。

枝の先に鞠のように集まって咲く小さな花は肉厚で、白色の種や花の外側が紅紫色に染まる種があります。花の淡い色と葉の濃緑色とのコントラストが美しい花木です。

沈丁花の花は甘く香り、春の訪れを嗅覚から知らせてくれます。夏のクチナシ、秋に咲く金木犀とともに三大香木として親しまれています。

本来、雄株と雌株が存在しますが、現在日本に生息している沈丁花のほとんどは雄株だとされています。雌株は花後に小さな赤い実をつけますが、日本ではあまり見られません。

耐陰性があり半日陰でもよく育つ丈夫な植物なので、園芸初心者でも比較的容易に栽培することができます。

基本データ

難易度 やや易しい
流通名 沈丁花(ジンチョウゲ)、リンチョウゲ
成長速度 遅い
花・種 2月下旬から4月中旬にかけて開花します
日照量 強い西日の当たらない半日陰で管理します
温度 暑さ・寒さともに耐えますが直射日光は避けます
湿度 乾燥を嫌うため水切れに注意しましょう
花言葉 栄光、勝利

沈丁花が好む環境

沈丁花の花。とても良い香りがする

日当たりと植えるのに適した場所

沈丁花は成長が遅く移植を嫌うため、苗を植え付ける場所はよく選びましょう。

植え付ける際は根付きをよくするため日当たりのよい場所で管理しますが、根元に直射日光が当たると株が弱ってしまうため、強い西日や直射日光が当たる場所は避けます。

明るい日陰になるところであれば特に場所を選びません。日陰では日照不足となり花付きが悪くなるので注意します。

寒さにはあまり強くありませんが、マイナス5℃程度まで耐えるため、東北地方以南であれば地植えでの栽培が可能です。

地植えの沈丁花には霜が降りる前に根元を敷きわらや腐葉土で覆うなどして防寒対策を施します。寒冷地では管理する場所を移動できる鉢植えで育てた方が安心です。

沈丁花は、保水性と排水性に優れ、有機質に富んだ土壌を好みます。弱酸性の土が適していますが、水はけがよければあまりこだわる必要はありません。

温度・湿度

沈丁花は暑さ・寒さともにある程度耐える植物です。

ただし、高温になる夏は乾燥を苦手とする沈丁花にとって注意が必要となる季節です。水切れを起こさないよう土の状態を見ながらこまめに水を与えましょう。

耐寒気温はマイナス5℃程度なので、冬に氷点下が続くような寒冷地では地植えよりも鉢植えで育てるのがおすすめです。冬場は霜や寒風の当たらない場所に移します。

戸外で冬を越す場合は、敷きわらやむしろなどを被せて防寒対策を施すと株が傷みません。

用土

沈丁花は水もちと水はけがよく、有機質に富んだ土壌を好みます。

鉢植えの場合は、ホームセンターなどで販売されている花木用の培養土を選ぶとよいでしょう。自作する場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合でブレンドした土が適しています。

地植えの沈丁花は、水はけさえよければ特に土質を選びません。水はけが悪い場合は川砂やパーライトなどを混ぜると改善します。

苗を植え付ける1~2週間ほど前に堆肥や腐葉土をすき込み、肥沃な土壌を作っておきましょう。

沈丁花を上手に育てるコツ

水やり

沈丁花は乾燥を苦手とする植物なので、水切れの状態にならないよう注意します。

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安ですが、根腐れを防ぐため受け皿に溜まった水はすぐに捨てます。

気温の高い日中に水やりをすると根が蒸れることがあるので、なるべく午前中の涼しい時間帯におこないます。

地植え沈丁花の水やりは、根が安定した後であれば降雨のみで問題ありません。ただし、夏の高温期など極度に乾燥しているときには水を与えましょう。

肥料の与え方

沈丁花の肥料は、基本的に夏を除いた季節ごとに年3回与えます。

新芽が伸びる春の施肥は、4月中旬から下旬にかけてゆっくりと効く緩効性の肥料を株元に施すようにします。

株が充実する秋の9月頃にも、春と同様に緩効性肥料を与えます。冬には寒肥として有機質肥料または油かすと骨粉(リン分の多い園芸用肥料)を混ぜたものを1~2月頃に与えると、開花期に沈丁花が弱るのを防いでくれます。

冬越し

沈丁花は寒さにも比較的強いため、霜の当たらない地域であれば戸外でも冬を越すことができます。

冬に氷点下が続くような寒冷地では、敷きわらやいぐさなどで編んだ敷物などで防寒対策を施すと株が傷みません。霜や寒風に当たらない場所へ移せるよう、寒い地域では鉢植えで栽培すると冬場の管理がしやすくなります。

特に、温かい地方で育てられた苗を寒冷地に植える場合は最初の年に注意してください。沈丁花は徐々に冬の寒さに慣れていきますが、雪が積もると葉が凍みやすいので降雪地帯はなるべく雪がかからないように防寒してあげます。

寒肥として冬の間に有機肥料を与えると、春からの生育がよくなります。カビが生えやすいため、株元を掘って土へ埋めるように施肥するとよいでしょう。

沈丁花の選び方

沈丁花の苗は3~4月頃もしくは9~10月頃に出回り始めます。

苗を購入する際は、枝の節が詰まっており、艶のある健康的な葉が株元までついたものを選びましょう。

班入りの沈丁花を買う場合は、班の形がくっきりとした苗を選んでください。

沈丁花の増やし方

沈丁花は挿し木によって増やすことができます。

挿し木をおこなう際は、前日の夕方にたっぷりと水を与えておきます。翌日に健康的な若い枝を先端から10~15cmほどのところで切り取り、挿し穂にしましょう。

挿し穂の上葉を2~3枚残して下葉を取り除き、切り口を斜めにカットしたら1時間ほど水に浸します。

水揚げした枝の切り口に発根促進剤を薄くつけ、挿し木用の土を入れた鉢に枝の1/3~1/2程度の深さまで挿し込んでください。周りの土を細い棒などで押さえるようにして枝を安定させます。

発根するまでは土が乾かないように水やりを続けます。2~3か月ほど経って根が伸びたら、2号サイズのポットに植え替えましょう。地植えにする場合は次の年に植え付けます。

沈丁花の挿し木は4月もしくは7~8月頃が適期です。

沈丁花の植え替え

沈丁花の根はとてもデリケートなので、植え替えや移植は基本的にはおこないません。特に80cm以上の株幅のあるものや3年以上育てた大きな株は、根が傷つくと枯れてしまう可能性があるため、移植は避けましょう。

ただし、鉢植えの沈丁花は、ずっと同じ鉢で育てていると鉢に根が回って根詰まりを起こしてしまいます。鉢底から根が出ているなど根詰まりを確認したときは、一回り大きな鉢へ植え替えてください。

沈丁花の植え替えの手順は以下の通りです。

  1. 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
  2. 清潔な用土を鉢の1/3程度まで入れる
  3. 鉢から株を優しく抜き出し、土を丁寧に落とす
  4. 鉢の中央へ株を置いて土を隙間なく入れる
  5. 水をたっぷり与え、落ち着くまで半日陰で管理する

沈丁花の植え替えは、5月下旬から6月下旬頃におこなうのが適しています。

病気・害虫

沈丁花がかかりやすい病気には「白紋羽病」があります。

白紋羽病(しろもんぱびょう)は、根に白い菌糸が生え、葉が変色したり縮れたりして生育が悪くなる病気です。樹木に発生しやすく、発病すると最終的には枯れてしまいます。

苗を植え付ける際に根を消毒し、清潔な土を用いることで予防が可能です。土が過湿状態になると病原菌が発生しやすいので、水の与えすぎに注意します。

被害箇所は元に戻らないため、周りの土ごと株を抜き取って処分してください。

沈丁花につきやすい害虫には「アブラムシ」や「ハマキムシ」がいます。

アブラムシは高温かつ乾燥した環境下で発生しやすく、葉や新芽に付着して栄養分を吸い取る害虫です。見つけたらすぐに手や粘着テープなどで取り除きましょう。数が多い場合は薬剤を散布します。

ハマキムシは、幼虫が糸をはいて葉を丸め、その中に棲みついて葉を食害に遭わせます。発見したら被害を受けた葉ごと取り除いて退治します。

沈丁花の毒性や危険性について

沈丁花の花や葉、根、実や樹液には、ダフネチンという有毒成分が含まれています。

樹液に触れると、皮膚がかゆくなったり水疱ができたりすることがあります。また、誤って口にすると下痢や嘔吐、心臓障害などの中毒症状を引き起こす可能性があります。

剪定などの作業をする際には必ず手袋を使用してください。犬や猫などのペットや小さな子どものいる家庭では、手の届かない場所で管理すると安心です。

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