トマト料理と相性抜群のハーブ、バジルの育て方についてまとめたページです。
食用として育てられる事の多いバジルは日本でもすっかり身近な食材で、栽培も簡単なことから家庭菜園で育てている人も多いです。
下記ではバジルを自宅で育てる際のポイントについてご紹介しています。
バジルの特徴
バジルは、インドや熱帯アジアを原産とするシソ科メボウキ属(オキウム属)に分類されるハーブです。原生地では多年草ですが、寒さに弱いため日本では一年草として扱います。
独自の爽やかな香りを持ち、トマトととてもよく合うことから、今ではイタリア料理に欠かせないハーブとして広く親しまれています。
日本には江戸時代に渡来しましたが、食用ではなく漢方薬として利用されました。種を水に浸した時に出るゼリー状の物質が目の汚れを取り除く目薬とされ、「目箒」という名称が付いたといいます。
生育が旺盛なので初心者でも育てやすく、最近は家庭でバジルを栽培する人も増えてきました。自宅で採れたフレッシュなバジルは一層よく香ります。葉をたくさん収穫した時はドライバジルにして料理などに利用することも可能です。
基本データ
難易度 | やや易しい |
流通名 | バジル、メボウキ |
成長速度 | 速い |
花・種 | 夏に開花しますが葉を収穫したい時は摘心します |
日照量 | 日光を好むので基本的には日なたで管理します |
温度 | 暑さに強いものの寒さには弱い植物です |
湿度 | 日本の高温多湿にも比較的よく耐えます |
花言葉 | 好意、好感、神聖、高貴、良い望み、強壮、憎しみ |
バジルが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
バジルは日光を好むため、基本的には風通しのよい日なたで管理します。暑さに強く、高温多湿になる日本の気候にも負けない丈夫な植物です。日照不足が続くと茎がひょろひょろと徒長するので気をつけましょう。
ただし、直射日光や強い西日が当たると葉焼けを起こす可能性があります。また、多湿には強い反面、乾燥を苦手とします。
鉢植えのバジルは、夏の間は強い日差しが避けられる軒下などに移動させてください。地植えの場合は半日陰になる場所を探して植え付けるようにします。
バジルを植え付ける土壌には、保水性のある有機質に富んだ土が適しています。地植えの場合はあらかじめ堆肥や腐葉土を混ぜておきます。
土が乾燥しやすい時は、株元に敷きわらや腐葉土を被せると効果的です。
温度・湿度
バジルの生育適温は15~28℃前後です。日本の高温多湿にも耐えるほど暑さには強いですが、寒さには弱く冬になると枯れてしまいます。
種の発芽適温は20℃以上と高いため、4月下旬~6月頃におこないます。1日の気温差が大きい時は、寒くなる夜のみ室内へ取り込みます。
夏越しの対策は特に不要ですが、梅雨から夏の時期に葉が茂って風通しが悪い場合は、切り戻しをすると長く収穫を楽しめます。
乾燥に弱いため、土が乾きやすい夏場は水切れしないよう特に注意してください。
用土
バジルはやや湿り気のある環境を好むため、水もちと水はけのよい土を使用します。
鉢植えの場合、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト1などの割合でブレンドした土がおすすめです。ハーブ専用もしくは草花用の培養土を使用してもかまいませんが、水はけが悪い場合は川砂やパーライトなどを加えて調整してください。
地植えの場合は、あらかじめ堆肥や腐葉土をすき込んで有機質の土壌を作ります。酸性土が苦手なので、苦土石灰を混ぜて土の酸度を中和しておきましょう。
バジルを上手に育てるコツ
水やり
バジルは乾燥に弱いため水切れを起こさないよう注意します。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安です。
春と秋は1日1回の頻度が基本ですが、高温になる夏は乾燥しやすいので午前中と夕方の2回水やりをします。土中の蒸れを防ぐため、気温が上がる午後の時間帯は避けてください。
地植えのバジルには、苗を植え付けた直後にたっぷりと水を与えたら、その後は降雨に任せます。極端に乾燥が続く場合のみ水やりをしましょう。
肥料の与え方
バジルは肥料を好む植物です。鉢植え・地植えともに、苗を植え付ける時に元肥として緩効性化成肥料を施します。
定植から1か月程で元肥の効果が薄れてくるので、生育期の間は追肥として規定の濃度に薄めた液体肥料を7~10日に一度のペースで水やりの代わりに与えます。
下の方の葉が黄色く変色してきたら肥料不足のサインなので、こまめに状態を確認して追肥しましょう。肥料を忘れずに与えることで秋まで収穫を楽しめます。
冬越し
バジルは寒さに弱いハーブなので、日本の冬には耐えず枯れてしまいます。本来は多年草ですが、日本では一年草として扱います。
ただし、環境が整っていれば冬越しも可能です。冬の間に5~10℃以上を保つ室内へ取り込むか、温室に移して管理すると枯れずに春を迎えることができます。
しかし、温度管理に手間がかかるため、春に新しい種や苗を購入して育てるのをおすすめします。手をかけて育てたい人は冬越しを試してみてください。
バジルの選び方
バジルの苗を購入する際は、葉が鮮やかな緑色でつやがあり、茎が徒長していないものを選びます。茎が太く、株全体が締まっている苗がおすすめです。
葉の裏まで確認し、病気や害虫に侵されていないか必ず確認してください。
バジルの増やし方
バジルは種まきと挿し木によって増やすことができます。
バジルの種は、花が咲き終わった後に採取します。花のひとつひとつがとても小さく、種が自然とこぼれ落ちていることもあるので、花が完全に枯れる前に花穂ごとネット袋や不織布などで包んでおくとよいでしょう。
採取した種は風通しのよい場所で乾燥させ、茶封筒などに入れて翌年の春まで保管します。
4月下旬~6月になったら、育苗ポットに土を入れて十分に湿らせ、種をまきます。芽を出すのに光を必要とする「好光性」の種なので、土を覆わずに発芽を待ちましょう。
バジルの挿し木は、4~7月頃おこないます。
まずは健康な若い茎を選び、先端から4~5枚の葉をつけた状態でカットします。土に埋まる部分の下葉を取り除き、蒸散を防ぐため残りの葉を1/2程度切り取ります。
挿し穂の切り口を水に1時間ほど浸した後、発根促進剤がある場合は切り口に薄くまぶします。
十分に湿らせた挿し木用の土に穴を開け、茎を挿し込みましょう。乾燥させないよう水やりをしながら明るい日陰で管理し、発根したら鉢や庭へ植え替えます。
バジルの植え替え
バジルはもともと多年草のハーブなので、原生地では大きく成長した株の植え替えが必要となりますが、日本では冬に枯れる一年草として扱うため植え替えは不要です。
ただし、生育が旺盛なバジルは1年の間に大きく茂るので、「摘心」によって株を仕立て直します。
摘心とは、花が咲く前に茎の先端の芽をカットする作業のことです。草丈が20cm以上になり葉が込み合ってきたら、先端から2節目くらいの位置で茎を切り取ります。
切り取った箇所から茎が枝分かれして成長するので、摘心をおこなうと葉の収穫量を増やすことができます。また、株が蒸れて傷んでしまうのを防ぐ効果もあります。
病気・害虫
バジルは病気に強いハーブですが、まれに「軟腐病」にかかることがあります。
軟腐病は細菌が入り込むことによって発症し、枝先が萎れて腐ったようになる病気です。
高温多湿な環境下で発生しやすいため、葉が密に茂ってきたら摘心や切り戻しにより風通しを確保しましょう。一度発症した箇所は元に戻らないため、発見したら速やかに取り除いてください。
バジルにつきやすい害虫にはアブラムシやハダニがいます。
アブラムシは新芽などの柔らかい箇所に発生します。ハダニは葉の裏を好んで棲みつく白い粉のような虫です。
いずれも植物の養分を吸い取って株を弱らせるので、発見したらすぐに霧吹きや粘着力の弱いテープなどで取り除きます。被害が大きいときは殺虫剤を使って駆除しますが、食用にすることが多いので、こまめに観察して早期発見を心がけましょう。
バジルの効能や使い方
バジルにはさまざまな効能があり、料理に使用するなど日常的に摂取しやすいため、ハーブとして広く利用されています。
抗菌・抗アレルギー作用や鎮静作用、鎮痛作用などがあるとされ、摂取するとアレルギー症状を緩和したり、安眠効果を得られたりします。
バジルの効能を得るには、フレッシュバジルやドライバジルを料理に使うほか、ハーブティーとして楽しむ方法があります。
また、バジルのエッセンシャルオイルを湯船に垂らして入浴すると、香りによってリラックス効果が得られるでしょう。精油には他にも、虫除けや肌の炎症を抑える効果もあります。