食用の薬味として幅広く利用されているシソの育て方をまとめたページです。
下記では自宅でシソを上手に育てる際のポイントを解説しています。
シソの特徴
シソは、中国やインド、東南アジアを原産とするシソ科シソ属に分類される一年草です。
葉が緑色の青ジソや、紫の赤ジソ、葉が平らな平葉、縮れたちりめんタイプがあり、用途や効果は多岐に渡ります。日本では平安時代から栽培されており「和風のハーブ」とも呼ばれています。
利用する部位も幅広く、葉のほかにも芽や花穂、果実を収穫して楽しむことができます。
ビタミンやミネラルを多く含み、消臭効果や抗酸化作用なども期待されています。初心者でも簡単に育てられ、室内栽培も可能なので、家庭菜園に取り入れる人も多いです。
日が短くなることで花穂を付ける短日植物なので、花穂や実を収穫するのであれば、夜間に明るくなる場所での栽培は避けましょう。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | シソ、青シソ、赤シソ、大葉 |
成長速度 | 速い |
花・種 | 9月~10月にかけて白や紫の花が咲きます |
日照量 | 日光を好みますが日当たりがよいと葉が固くなります |
温度 | 暑さに強いものの寒さに弱い植物です |
湿度 | やや湿り気のある環境を好み乾燥を苦手とします |
花言葉 | 善良な家風、力が蘇る |
シソが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
シソは日光を好む植物です。植え付けるのには日当たりと風通しのよい場所が適しています。
日がよく当たる場所で育てると香りは強くなりますが、葉が厚みを増して固くなるため、食用には向かなくなってしまいます。食用として栽培する場合は、半日陰で管理する方がよいでしょう。柔らかくて食べやすい葉に育ちます。
強い日差しが当たると葉焼けを起こす可能性があるため、真夏は寒冷紗などで日よけを施します。一方で、半日陰よりも暗い環境で管理すると徒長する恐れがあるので注意します。
寒さに弱い植物ですが、秋に花を咲かせると枯れる一年草なので特に防寒対策は必要ありません。
地植えの場合、植え付けの2週間ほど前には苦土石灰をすき込んで土壌の酸度を調整しましょう。その後、堆肥や腐葉土を混ぜ込んで肥沃かつ水もちのよい土を作ります。
温度・湿度
シソは暑さに強いものの寒さに弱く、生育適温は20~23℃前後です。
やや湿り気のある環境を好むため、真夏の高温による乾燥には注意します。湿地で地植えをしているシソは問題ありませんが、プランターなどでの栽培では乾きやすいため、土の表面に腐葉土を敷いて水分の蒸発を防ぐとよいでしょう。もしくは、夏の間のみ午後から日陰になる場所へ移してください。
寒さには耐えませんが、花が咲いたら枯れてしまう一年草なので防寒対策は不要です。
用土
シソは基本的に土質を選びませんが、やや湿り気のある環境を好むため、保水性と排水性のバランスに優れた土を使用します。
鉢植えの場合、赤玉土(小粒)6:腐葉土4の割合で配合した土がおすすめです。初心者の場合は、野菜栽培用の培養土を使用するのが最も簡単です。
肥沃な土壌で育てた方が柔らかい葉になるため、地植えの場合は植え付ける前にあらかじめ腐葉土や堆肥などを混ぜて有機質の土を作っておきましょう。
シソを上手に育てるコツ
水やり
シソは乾燥に弱いです。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るくらいの量の水をたっぷり与えます。
乾燥すると収穫の時期が遅れたり、収穫量が減ったりするため水切れに注意しますが、土が過湿状態になると根腐れを起こします。こまめに土の湿り気をチェックしましょう。
高温になる夏の日中に水やりをすると蒸れの原因となるので、朝か夕方以降の涼しい時間帯に与えます。
地植えのシソには、植え付け直後にたっぷりと水をあげたら、その後は降雨に任せます。
肥料の与え方
鉢植え・地植えともに、苗を植え付ける際に元肥として緩効性の化成肥料を施します。肥料分がすでに入っている市販の培養土を使用する際は、肥料を加える必要はありません。
葉が茂ってきたら、追肥として2週間に一度を目安に規定の濃度に薄めた液体肥料を水やりの代わりに与えてください。
窒素分の多い肥料を与えすぎるとアブラムシなどの害虫がつきやすくなるため注意します。堆肥などの有機物が少なく化学肥料が多いと香りが弱くなることがあります。
冬越し
シソは秋に花を咲かせると枯れてしまう一年草なので、冬を越すための対策は不要です。
花が咲いた後そのままにしておくと茶色く枯れ、種ができます。こぼれ種により翌年も発芽することもありますが、基本的には肥料が必要なため自然な状態では少し生育が悪くなります。
翌年も収穫したい場合は、種を採取して保管しておき春にまくのがおすすめです。
シソの選び方
シソの苗を購入する際は、双葉がしっかりと残っていて全体的に元気なものをえらびましょう。
害虫がついた苗を買ってしまうと後になって株が弱る可能性があるため、必ず葉の裏まで確認し虫がいないかチェックしてください。
シソの増やし方
シソは挿し木によって数を増やすことができます。
挿し木の手順は、まず健康な茎を先端から10~15cmほどの長さで切り取って挿し穂にします。先端の葉を2~4枚ほど残し、土に埋まる部分の下葉を取り除いてください。
挿し穂を透明なコップなどの容器に入れ、茎の1/2ほどが浸かるよう水を入れます。シソの挿し木は土に植えるよりも水の中で発根させる方が成功率は高いです。
水はなるべく毎日交換しましょう。10日ほどすると根が出てくるので、清潔な土を入れた鉢に植えつけます。
鉢土の中央に割り箸などで茎よりも太い穴を開け、挿し穂をゆっくり植え付けます。まわりの土を軽く押さえるようにして植えたら、水をたっぷり与えましょう。
根が落ち着くまでは数日ほど日陰に置いて管理します。1週間ほど経ったら通常通りの管理に戻します。
シソの挿し木や株分けは、5月頃が適期です。
シソの植え替え
シソは一年草のため、秋に花が咲いたら枯れてしまいます。移植にも弱い植物なので基本的に植え替えは必要ありません。
種から育てる場合は、苗のうちに鉢や庭へ植え付けてください。
鉢植えにする際は、7~10号鉢に1つの苗を植えます。シソは上手に管理すると葉がかなり茂ため、大きめの鉢を選びましょう。鉢底ネットと鉢底石を敷いた上に土を入れ、苗を植えます。
地植えの場合は、葉が広がってもいいように、株同士の間隔を15~30cmほど空けて植えてください。
病気・害虫
シソは病気にかかりにくい植物ですが、まれに「さび病」にかかることがあります。
さび病にかかると葉に黄色や橙色の小さな斑点ができ、進行すると落葉します。高温多湿の時期に発生しやすいため、梅雨時や夏場は注意が必要です。
葉が茂りすぎている場合は、剪定をして風通しを確保しましょう。発症した箇所はすぐに切り取って処分します。
ハーブは一般的に虫がつきにくい植物ですが、シソには害虫がよく発生します。バッタや蛾の幼虫、アブラムシ、ハダニ、ハマキムシに注意しましょう。
食用にする場合は薬剤を使用できないので、発生したら手や粘着テープで取り除きます。普段から風通しを確保する、虫除けネットをかけるといった予防策があります。
効能や使い方
シソは非常に栄養豊富なハーブです。
β-カロテンやカルシウム、ビタミンB1においては他の野菜と比べても引けをとりません。さらに、カルシウムや鉄分、カリウムなどのミネラル分も豊富です。
シソには、食欲・消化を促すほか、免疫力を増加させる、骨を丈夫にする、血行をよくする効能があるといわれます。また、栄養を多く含むため、摂取すると心身の疲労回復にも繋がります。
食用として刺身のツマや薬味、天ぷらなどに利用する以外にも、漢方薬として服用する使い方もあります。