魚介類の臭み消しによく利用される事で知名度の高いハーブ、タイムの育て方をまとめているページです。
一般的にはハーブとしての認知されている植物ですが、タイムには園芸品種もありその用途により幅広く楽しまれている植物でもあります。
下記では家庭でタイムをを育てる際のポイントをご紹介しています。
タイムの特徴
タイムは地中海沿岸を始め北半球を原産とするシソ科イブキジャコウソウ属に分類される常緑性の低木です。西洋料理に欠かせないハーブとして広く親しまれています。
世界には300~400種があるとされるほど種類が豊富で、園芸品種も多数あります。大別すると、コモンタイムのように茎が上に伸びる立性のタイプと、クリーピングタイムのように地面を這うほふく性のタイプに分かれます。
一般にタイムと呼ばれるのは立性のコモンタイムです。ハーブを束ねたブーケガルニや肉の臭み消しなどとして料理に使われる他、お茶や虫除けにも利用されます。
タイムの香りは品種によって異なり、甘い香りから柑橘系の香り、清涼感のある爽やかな香りまでさまざまです。コモンタイムの他に、レモンに似た香りを持つレモンタイムが料理用のハーブとして人気です。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | タイム、コモンタイム、レモンタイム、クリーピングタイムなど |
成長速度 | 速い |
花・種 | 4~6月にかけて赤やピンク、白などの花が咲きます |
日照量 | 日光を好むので日当たりの良い場所で管理します |
温度 | 耐暑性・耐寒性ともに優れた植物です |
湿度 | 多湿を嫌い、やや乾燥気味の環境を好みます |
花言葉 | 勇気、活気、活発、行動力、大きな望み、清潔感 |
タイムが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
タイムの栽培には日当たりと風通しのよい場所が適しています。耐陰性もありますが、日によく当たったほうが葉につやが出て元気な株に育ちます。
暑さにも寒さにも強く、砂利混じりの土壌に向く丈夫な植物ですが、高温多湿には弱いため、密生すると枝葉が蒸れて枯れたり、株が腐ったりすることがあります。
梅雨から夏のじめじめした時期は、鉢植えのタイムは軒下や玄関先など雨が当たらない場所へ移動させます。株の蒸れを防ぐため、梅雨前に収穫を兼ねて1/3ほど刈り込むのもおすすめです。
冬は関東以南の暖地であれば防寒対策は特に不要です。霜が降りるような寒冷地では地上部が枯れますが、根は生きているため春になると再び芽吹きます。寒い地域でも霜よけや寒風対策を施せば戸外でも冬を越すことができます。
タイムはやや乾燥した気候を好み、水はけのよい痩せ地でよく育ちます。酸性土を嫌うため、地植えの場合はあらかじめ苦土石灰を混ぜて土の酸度を調整しておきます。
温度・湿度
タイムは暑さ・寒さともに強い植物ですが、高温多湿になる日本の夏は苦手です。
やや乾燥した気候を好むため、梅雨や夏の時期に湿度が高いと株が蒸れて傷むことがあります。葉が込み合っている場合は、梅雨前に刈り込んで風通しをよくしましょう。
鉢植えのタイムは雨が当たらない軒下などに移動させると安心です。
耐寒性に優れているため、冬は積雪下でも問題ありません。霜や雪が当たると地上部は枯れますが、根は生きているので春になると再び芽を出します。
用土
タイムは多湿が苦手なので、用土には水はけのよい土を使用します。痩せ地でもよく育つ丈夫な植物なので、水はけを確保できればあまり土質を選びません。
鉢植えの場合、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜた土がおすすめです。園芸店などで販売されているハーブ用もしくは草花用の培養土も使用できます。
酸性土を嫌うため、地植えでは植え付ける前に苦土石灰を混ぜて酸度を調整します。鉢植えには酸性度の強いピートモスを使うのは避けましょう。
タイムを上手に育てるコツ
水やり
乾燥を好む植物なので、鉢植えのタイムには土が完全に乾いてからたっぷりと水やりをします。鉢底から水が流れ出るくらいの量を与えますが、根腐れを防ぐため受け皿に溜まった水はすぐに捨ててください。
冬はタイムの生育がゆるやかになるため、水やりの頻度を減らします。土の表面が乾いてから数日後に水を与えます。
地植えの場合は、一度根付いた後は自然の雨のみでかまいません。夏に晴天が続くなど極度に乾燥している時のみ水やりをしましょう。
肥料の与え方
鉢植えのタイムには、生育を促進するため春と秋の生育期に肥料を施します。
2~3か月に1回、緩効性肥料を置き肥するか、規定の濃度に薄めた液体肥料を1~2週間に1度のペースで水やりの代わりに与えます。
地植えの場合、植え付け時に元肥として緩効性肥料を加えたら、追肥はほとんど不要です。
適度に施肥すると花付きがよくなり新鮮な茎葉がたくさん茂りますが、肥料が多いと根腐れの原因になるほか、ハーブ特有の香りが弱まるので気を付けます。
冬越し
タイムは寒さに強い植物なので、基本的には防寒対策の必要はありません。積雪下でも冬を越す丈夫な植物です。
霜や雪に当たる寒い地域では冬に地上部が枯れますが、根は生きているため春になると再び芽を出します。心配であればマルチングを施したり寒風の当たらない軒下に移したりするとよいでしょう。
冬になる前に少しだけ葉を残してばっさり刈り込むと、暖かくなった時に芽がきれいに出揃います。他の季節と比べて水やりの頻度は減らしてください。
タイムの選び方
タイムの苗を購入する際は、下葉が蒸れて傷んでいるものは避け、葉色がきれいな緑色をしているものを選びます。
品種が非常に多いので、食用・観賞用、立性・ほふく性など、用途に合わせたタイプの苗を買うようにしましょう。
タイムの増やし方
タイムは挿し木と株分けによって数を増やすことができます。たくさん増やしたい時は挿し木による方法がおすすめです。
挿し木の手順は、まず健康な茎を10cmほどの位置で切り取り、挿し穂にします。土に埋まる部分の下葉は取り除きましょう。
発根促進剤水を入れた水に挿し穂を1時間ほど浸して吸水させた後、バーミキュライトなど挿し木用の土を入れた容器に挿し込みます。
挿し木後は、明るい日陰に置き、乾燥させないよう水やりをしながら管理します。発根して本葉が数枚育ったら、鉢や庭へ植え付けてください。
大きく成長したタイムは株分けでも増やすことができます。
株を土から取り出し、独立した茎がそれぞれ付くように切り分けます。手で分けるよりも清潔なハサミやナイフを使用すると簡単です。
古い土と傷んだ根を取り除き、新しい鉢や庭へ植え付けましょう。
挿し木と株分けの作業は、真夏と真冬を除けばいつでも可能です。
タイムの植え替え
タイムは成長が速いため、ずっと同じ鉢で育てていると鉢の中が根でいっぱいになり根詰まりを起こします。根詰まりは根腐れの原因となるため、1年に1度を目安に一回り大きな鉢へ植え替えましょう。
鉢底から根が出てきたり葉が黄色く枯れてきたりした時も、植え替えのタイミングです。
タイムの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な用土を鉢の1/3まで入れる
- 鉢から株を抜き出し、古い根土をほぐして落とす
- 株を鉢に入れ、鉢縁から2cmの位置まで土を加える
- 水をたっぷり与えて明るい日陰で管理する
根が多く成長も早い植物なので、土を落とす際に根が多少切れてしまっても問題ありません。
タイムの植え替えは生育期にあたる3~4月もしくは9~10月が適期です。
病気・害虫
タイムは基本的に病害虫の被害を受けにくいでハーブですが、栽培環境や管理方法によっては株が蒸れて腐ることがあります。
株の蒸れを防ぐには、風通しのよい場所に置き、土の水はけをよくすることが大切です。高温多湿を苦手とするので、水の与えすぎにも気をつけます。
密生している時は、梅雨前に全体の1/3ほどを刈り込んで風通しを確保します。暑い時期は日中の水やりを避け、朝か夕方以降の涼しい時間帯に与えましょう。
タイムには防虫効果があり、野菜を栽培する際に虫除けとなる「コンパニオンプランツ」としても利用されます。
そのため害虫は滅多に付きませんが、まれにアオムシが発生して株を食害に遭わせます。ハーブとして食用にする場合はなるべく薬剤を使用せず、見つけたらすぐに捕殺しましょう。
タイムの効能や使い方
タイムに含まれるモチールという成分には強い殺菌効果があります。タイムの抗ウイルス作用が期待され、古くから防腐剤や保存剤として利用されてきました。
タイムのハーブティーをうがい薬として使用すると喉の痛みが和らぐという効能もあります。
西洋料理に欠かせないハーブとして人気が高く、肉や魚料理の臭み消し・香りづけとして広く使われています。また、ポプリやバスハーブに利用すると、タイムの豊かな香りを楽しみながらリラックス効果も得ることができます。