レモンのような柑橘系の香りがする植物、レモンバームの育て方をまとめたページです。
レモンバームは爽やかな香りがするためハーブティーとして楽しまれる事が多い植物です。下記では家庭でレモンバームを育てる際のポイントを解説しています。
レモンバームの特徴
レモンバームは南ヨーロッパや西アジア北部などを原産とするシソ科コウスイハッカ属に分類される多年草のハーブです。
ミントに似た明るい緑色の葉が特徴で、レモンのような芳香(balm)を持つことからレモンバームと名付けられています。
乾燥させると香りが飛んでしまうため、主にフレッシュハーブとして料理やお菓子の香り付、ハーブティーなどに利用されます。摂取すると鎮静効果などを期待できる薬用植物でもあり、古くから「長寿のハーブ」として知られています。
夏になると白い小さな花が咲きます。あまり目立ちませんがミツバチが好んで集まることから、ギリシャ語でミツバチを意味する「メリッサ」という学名が付いています。
寒さに強く耐寒性もある丈夫なハーブなので、初心者にも育てやすく人気があります。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | レモンバーム、メリッサ |
成長速度 | 速い |
花・種 | 6月~7月に小さな白い花を咲かせます |
日照量 | 日光を好みますが真夏の直射日光は避けます |
温度 | 耐暑性・耐寒性ともに優れたハーブです |
湿度 | やや湿り気のある環境を好みます |
花言葉 | 思いやり、共感、同情 |
レモンバームが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
レモンバームは日光を好む植物ですが、耐陰性があるため半日陰でも育ちます。
暑さには強いものの、直射日光や強い西日に当たると葉焼けを起こす可能性があるため、真夏はとくに注意します。軒下や木陰などの明るい日陰に移すか、地植えの場合は寒冷紗で日よけを施すのがおすすめです。
やや湿り気のある環境を好みますが、雨が多い時期には株が蒸れて枯れることがあります。梅雨に入る前に収穫を兼ねて全体の1/3ほど切り戻しをすると安心です。
レモンバームは寒さにも強いため、関東以南の暖かい地域では基本的に戸外での冬越しが可能です。地上部が枯れても根は生きているので春になると再び芽吹きます。
冬に霜や雪が当たる寒冷地では、軒下に移動させるか室内へ移すなどして株の凍結を避けましょう。地植えであれば株元にマルチングを施すとよいでしょう。
温度・湿度
レモンバームは耐暑性・耐寒性ともに優れた植物です。
夏越しのための特別な対策は不要ですが、強い日差しに当たると葉焼けを起こしてしまうので、真夏の直射日光や強い西日は避けてください。
地植えの場合は寒冷紗などで日よけをする、鉢植えの場合は半日陰に移すなどの対策をしましょう。
-5℃前後まで耐えるので、関東以南の暖地であれば戸外での冬越しも可能です。霜や雪が降りるような寒冷地ではマルチングを施して凍結を防ぎます。
やや湿り気のある環境を好みますが、暑い時期に群れると枯れる可能性があります。梅雨前に適度に間引いて風通しを確保しておきましょう。
用土
レモンバームにはやや湿り気のある肥沃な土が適しています。乾燥にあまり強くないため保水性に優れた土がおすすめです。
ただし、強健な植物なので基本的には土質を選びません。鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)1:腐葉土1で混ぜた土か、市販の野菜用もしくはハーブ用の培養土を使用しましょう。
アルカリ性~中性の土壌を好むため、地植えの場合は植付けの2週間前に苦土石灰を混ぜて酸度を調整しておきます。
さらに1週間前には腐葉土やパーライトを混ぜて水はけのよい有機質に富んだ土を作ります。
レモンバームを上手に育てるコツ
水やり
レモンバームはあまり乾燥に強くなく、やや湿り気のある土壌を好みます。
鉢植えの場合、土の表面が乾燥したらたっぷりと水を与えてください。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安です。
乾燥して水切れを起こすと、葉が硬くなったり黄色く変色したりするので注意してください。
地植えのレモンバームには基本的に水やりは不要ですが、乾燥しやすい高温期には、朝か夕方以降の涼しい時間帯に水をかけてハダニの発生を防ぎます。
肥料の与え方
レモンバームは肥料が不足すると葉が黄色く変色したり、小さくなったりします。植え付ける際には元肥として緩効性肥料を施しましょう。
さらに、追肥として生育期の3~6月に緩効性化成肥料を1~2月に1度のペースで与えるか、規定の濃度に薄めた液体肥料を1週間に1回水やりの代わりに与えます。
化成肥料を与える場合は、根を傷めないよう株元から離れた場所に置きましょう。
収穫を兼ねて刈り取った後に追肥を施すと、新芽が出やすくなります。
冬越し
レモンバームは寒さに強く、-5℃程度まで耐えます。関東以南の暖かい地域であれば特に防寒対策は必要ありません。
冬に氷点下が続くような寒冷地では、凍結を防ぐため株元に敷きわらや腐葉土を覆うマルチングを施すと安心です。マルチングには保湿効果もあります。
寒さで地上部が枯れることがありますが、根は生きているので春になると再び芽を出します。誤って処分しないようにしましょう。
冬はレモンバームの生育が緩やかになるため水やりの頻度は減らします。
レモンバームの選び方
レモンバームの苗を購入する際は、葉が生き生きとした緑色をしていて、茎が間延びしていないものを選びます。
葉が硬くなっていたり黄ばんだりしている苗は、水切れを起こしている可能性があるため避けてください。
レモンバームの増やし方
レモンバームは種まきや挿し木、株分けによって数を増やすことができます。
種を収穫する場合は、花を咲かせて枯れるのを待ちましょう。茶色く枯れたら花茎から切り取って乾燥させ、種を落として採取します。
採取した種は春または秋に鉢や庭などに直まきします。こぼれ種でも新しい芽を出すため、放っておいても増えることがあります。
挿し木で増やす場合は、まず元気な茎を選んで8~10cmほどの位置でカットします。下葉を落として先端の葉を2~3枚残し、茎の切り口を水に30分~1時間ほど浸します。
赤玉土(小粒)などの挿し木ようの土に茎を挿し込み、根付いたら鉢や庭へ植え付けます。
成長したレモンバームは株分けによって増やせます。
まずは鉢から株を抜き取り、自然に分かれそうな箇所を探します。手や清潔なナイフを使い、それぞれ茎が数本つくよう2~3つに分けます。切り分けた株を新しい鉢へ植え付けて完了です。
レモンバームの種まきや挿し木、株分けの適期は3~4月もしくは10月頃です。
レモンバームの植え替え
レモンバームを何年も同じ土で育てていると生育が衰えて株が弱ってきます。株が老化すると葉が小さくなってくるので、鉢植えの場合は1~2年に1度、地植えであれば3~4年に1度のペースで植え替えましょう。
レモンバームの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な用土を鉢の1/3程度まで入れる
- 鉢から株を抜き出して古い根土を軽く落とす
- 鉢の中央へ株を置き、土を隙間なく入れる
- 水をたっぷり与えてしばらく半日陰で管理する
大きくなったレモンバームは植え替えのタイミングで株分けをおこなうのもおすすめです。
レモンバームの植え替えは、生育期である4月~5月もしくは10月上旬頃が適期です。
病気・害虫
レモンバームにかかりやすい病気には「すす病」があります。
すす病にかかると葉の表面に黒いススがついたように変色し、見た目が悪くなります。対処を怠ると落葉し、株が弱ってしまいます。
アブラムシなどの排泄物が原因となって発症することが多いため、害虫を見つけたらすぐに駆除しましょう。
レモンバームにつきやすい害虫にはアブラムシやカイガラムシがいます。
これらの害虫は植物の養分を吸い取って株を弱らせます。見つけたらすぐに粘着テープや殺虫剤を使って退治します。
ただし、カイガラムシは成虫すると硬い殻に覆われるため薬剤が効きづらくなります。歯ブラシなどでこすり落として取り除いてください。
日当たりと風通しのよい場所に置くことで予防になります。
レモンバームの効能や使い方
レモンバームには鎮静作用、鎮痛作用があるとされ、薬用植物として広く知られています。消化器系の不調にも効果があり、レモンバームのハーブティーを摂取すると胃の調子がよくなるともいわれます。
また、抗うつ作用も期待でき、レモンのような爽やかな香りには不安や緊張を和らげる効果もあります。
食用・薬用の他に、入浴剤や化粧品、ポプリ、精油を使ったアロマテラピーなどにも利用されます。香りによるリラックス効果が得られるでしょう。