カンノンチク(観音竹)は古くから親しまれてきた観葉植物で、縁起が良い植物として愛好されてきました。
このページではカンノンチクの育て方について解説しています。
カンノンチクの特徴
カンノンチクは中国南部・東南アジアを原産とする常緑小低木です。
漢字での表記は「観音竹」となりますが、竹の仲間ではなくヤシ科の植物です。
カンノンチクは耐寒性が比較的高く病害虫にも強いため、育てやすい観葉植物として人気があります。低木のため成長しても高さは3mほどと低めで、手を広げたような光沢のある葉が特徴です。
古典園芸植物として古くから親しまれてきたカンノンチクは、江戸時代の初期から縁起のよい植物として愛好されています。落ち着いた雰囲気で、和風のインテリアとよく合います。
カンノンチクとよく似た植物にシュロチク(棕櫚竹)があります。カンノンチクはシュロチクよりも葉の幅が太く、成長が比較的早いという違いがあります。
基本データ
難易度 | やや易しい |
別名 | 観音竹、似ているがシュロチクは別品種 |
成長速度 | やや遅い |
成長期 | 4月~9月 |
花・種 | ピンク、オレンジ色のような花が咲く。非常に珍しい |
日照量 | 日当たりを好みますが耐陰性があり室内でも育ちます |
温度 | 15度以上が適温。耐寒性はあるが冬は5度以上で管理 |
湿度 | 多湿・乾燥ともに弱い植物です |
花言葉 | スマートな淑女、日々の平安 |
カンノンチクの育て方
室内で育てる場合
カンノンチクは耐陰性があるので室内で育てるのにも向いていますが、葉が徒長しない様にある程度日光は必要となるので室内の明るい場所がおすすめです。
葉が乾燥すると葉先から枯れてくることがありますので、エアコンの風が当たる場所は避けた方が良いでしょう。もし葉焼けを起こすくらいの日当たりがある場合は、薄いカーテン越しに置いたり、寒冷紗、遮光ネットを使って調整します。
耐寒性はありますが寒いと枯れてしまう場合もあるので、室内でも5度以上で管理できる場所に置いてください。
屋外で育てる場合
雪や霜がない地域であれば年間通して屋外で育てる事も可能です。風通しが良い直射日光が当たらない半日陰の場所を選びます。
日当たりが良すぎると葉焼けを起こしますので、遮光ネットや寒冷紗で遮光調整をしてあげてください。風当たりが強すぎる場所も葉が痛む原因となりやすいので、注意しましょう。
関東程度の寒さだと屋外でそのまま冬越ししているケースも見かけますが、10度を下回る温度環境になったら室内で管理する事をおすすめします。
適した用土
カンノンチクは多湿に弱い植物なので、根腐れ防止のため水はけの良い用土を使用します。
初心者の場合は市販されている観葉植物用の土を使うのが最も簡単です。自分で作る場合は「赤玉土(小粒)6:腐葉土3:軽石(小粒)1」などの割合でブレンドします。
土の表面を赤玉土や化粧砂、鹿沼土などの無機質の用土で覆って管理すると、コバエの発生を防ぐことができます。
植木鉢の選び方
カンノンチクは成長するに伴って高さが出てきます。安定させやすい普通鉢や深鉢を選ぶと良いでしょう。
多湿にも乾燥にも弱い植物なので根腐れには注意したいところ。鉢のサイズは今植えてあるサイズより一回り大きいサイズを選びましょう。
鉢の底部から側面にかけて大きくスリットが入っているスリット鉢も水はけが良くなるのでおすすめです。
カンノンチクの管理方法
水やりと肥料の与え方
成長期の管理方法
4月~9月くらいの時期は良く成長していく時期なので、この期間の水やりは土の表面が乾いてきた時にたっぷり与えてください。
特に夏場は水不足になる事があります。1日に1~2回程度の水やりをしてあげましょう。
葉の乾燥を防いだり害虫対策にもなるので、葉水は頻度を上げて行いましょう。
肥料は緩効性の化成肥料を2か月に1回のペースで鉢の端部分に置きます。液体肥料の場合は、規定の濃度に希釈したものを2週間おきに与えましょう。
冬場の管理方法
冬の時期はあまり多くの水を必要としません。水のやりすぎは根腐れを起こす原因になるので乾燥気味に管理します。
水やりのペースも土の表面が乾いてから3~4日後に与える程度で充分です。エアコンや暖房で空気が乾燥している場合は葉水を与えます。
また、肥料もこの時期は特に必要としません。
植え替えるタイミング
カンノンチクの植え替えの目安は2年に1回程度となります。
もし、以下の条件に当てはまる場合は植え替えのサインです。
- 2年以上植え替えをしていない
- 鉢底から根が出てきている
- 水やりをしても水が浸透しにくくなっている
成長期に当たる5月~6月が植え替えに適しています。
植え替えの際に土を落としにくい状況の場合は、水に浸けながら行うと良いでしょう。植え替え後は、たっぷりと水やりをして風当たりが強くない半日陰の場所で管理します。
剪定方法
カンノンチクは乾燥が続くと葉先だけ枯れてしまう事があります。見た目にも気になる場合は、葉先部分だけを剪定すると良いでしょう。
カンノンチクの中でも斑が入った種類の場合、斑が消えて緑葉になる先祖返りが起こる場合があります。
放置しておくと他の葉も斑の入り方が弱まる可能性があるため、斑が抜けた葉は植え替えのタイミングで一緒に切り落としておきましょう。
カンノンチクの選び方
カンノンチクは植え付けに適した5~6月に購入するのがおすすめです。
株を購入する際には害虫が付いていないか必ず確認してください。害虫が付着していると買った後に株が弱ってしまったり、他の植物に移ったりする可能性があります。
カンノンチクの増やし方
成長したカンノンチクは株分けによって増やすことができます。
株分けとは、親株から出ている茎や芽を切り分けて新しい株を増やす方法です。根をつけたまま切り離すため安全で確実な増やし方です。
カンノンチクを株分けで増やす場合、まずは株を鉢から取り出して古い土を丁寧に落としましょう。株が自然と分かれている場合は手で根を2~3つに切り分けます。分けづらい状態であれば茎の間にナイフなどを入れて切り分けてください。
根をほぐす際には水を張った容器の中で土を落とすようにしてください。小さく分けると生育がよくないため2、3株つけて分けるのをおすすめします。
伸びすぎている根や傷んでいる根をカットしたら、根を広げるようにしてそれぞれ新しいポットや鉢へ植え替えます。
株分けの直後は植物が弱っているため2~3日は日陰で管理し、安定したら日当たりの良い場所へ移して通常通り育てましょう。
株分けのタイミングは5~6月頃が適しています。
カンノンチクの病気や付きやすい害虫
カンノンチクは下記の病気、害虫に気を付けます。
病気 | 特になし |
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害虫 | ハダニ、カイガラムシ |
かかりやすい病気
カンノンチクは元々病害虫に強い事から観葉植物として人気があります。
その一方で多湿・水切れには弱く、葉先が枯れやすいといった特徴がありますので、夏は水切れを起こさない様に水やりをして冬は乾燥気味に管理しましょう。
付きやすい害虫
害虫ではハダニやカイガラムシがつく事があります。
ハダニの場合はテープや霧吹きで水をかけるといった方法で駆除を行い、カイガラムシは歯ブラシを使ってこすり落とす方法で駆除を行います。
そのまま放置していると養分を吸い取られてしまうので、見つけ次第駆除しましょう。