カンノンチク(観音竹)は古くから親しまれてきた観葉植物で、縁起が良い植物として愛好されてきました。
このページではカンノンチクの育て方について解説しています。
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カンノンチクの特徴
カンノンチクは中国南部・東南アジアを原産とする常緑小低木です。
漢字での表記は「観音竹」となりますが、竹の仲間ではなくヤシ科の植物です。
カンノンチクは耐寒性が比較的高く病害虫にも強いため、育てやすい観葉植物として人気があります。低木のため成長しても高さは3mほどと低めで、手を広げたような光沢のある葉が特徴です。
古典園芸植物として古くから親しまれてきたカンノンチクは、江戸時代の初期から縁起のよい植物として愛好されています。落ち着いた雰囲気で、和風のインテリアとよく合います。
カンノンチクとよく似た植物にシュロチク(棕櫚竹)があります。カンノンチクはシュロチクよりも葉の幅が太く、成長が比較的早いという違いがあります。
基本データ
難易度 | やや易しい |
価格 | 7,000円~20,000円(8号サイズ) |
成長速度 | やや遅い |
花・種 | オレンジ色の花がつきますが開花は非常に珍しいです |
日照量 | 日当たりを好みますが耐陰性があり室内でも育ちます |
温度 | 耐寒性がありますが冬は3℃以上で管理してください |
湿度 | 多湿・乾燥ともに弱い植物です |
花言葉 | スマートな淑女、日々の平安 |
カンノンチクが好む環境
日当たりと置き場所
カンノンチクは日光を好みますが直射日光による葉焼けには注意しましょう。
屋内で育てる場合
カンノンチクには耐陰性があるため日陰や室内でも育ちますが、日光を好むためなるべく明るい日陰に置いて管理します。日照不足は葉の徒長を引き起こす可能性があります。
ただし、直射日光は葉焼けの原因になるためレースのカーテン越しのやわらかい光を当ててください。
葉が乾燥すると枯れてしまうので、クーラーや暖房などの風が直接当たらない場所で管理しましょう。
屋外で育てる場合
カンノンチクは耐寒性があるため、雪や霜がつかない3℃以上の環境であれば年間を通して屋外で管理することができます。
ただし、屋外は直射日光に当たりやすく葉焼けを起こす可能性があります。遮光ネットや寒冷紗などで30%~50%程度の遮光をしてください。
葉が傷むのを防ぐため、屋外でも強風の当たる場所に置くのは避けましょう。
温度・湿度
カンノンチクは高温に強く低温にも耐えられる植物ですが、気温が低すぎると枯れてしまうため3℃以上を保つようにします。
霜や雪がつかない地域であれば1年を通して屋外で育てることもできますが、それ以外の環境では15℃を下回ったら室内へ移動して管理しましょう。
カンノンチクは加湿にも乾燥にも弱い植物です。根腐れを防止するために水はけの良い用土を使用してください。
用土
カンノンチクは加湿に弱い植物なので、根腐れ防止のため水はけの良い用土を使用します。
初心者の場合は市販されている観葉植物用の土を使うのが最も簡単です。自分で作る場合は赤玉土(小粒)6:腐葉土3:軽石(小粒)1などの割合でブレンドします。
土の表面を赤玉土や化粧砂、鹿沼土などの無機質の用土で覆って管理すると、コバエの発生を防ぐことができます。
カンノンチクを上手に育てるコツ
水やり
カンノンチクの水やりの量やタイミングは季節や気温によって異なります。
基本的には土の表面が乾いてきたら鉢の底からしみ出る程度の水をたっぷりと与えます。
夏場は水不足になると葉が枯れてしまうので、夏の期間は1日に1~2回のペースで水やりをしましょう。冬は成長が緩慢になるので、土の表面が乾いてから3~4日後に与える程度でかまいません。
冬場は水を与えすぎると根腐れを起こす可能性があるため乾燥気味の状態を保ちます。
葉水
葉水は葉の乾燥のほか病害虫の予防にも役立ちます。なるべく1日1回は霧吹きなどで葉に水を吹きかけましょう。
カンノンチクは葉数が多くホコリが積もりやすい植物です。ホコリは光合成の妨げになるので、積もっていたら葉水の際に濡らしたティッシュペーパーなどでふき取るようにしてください。
定期的な葉水はカンノンチクの特徴である葉の光沢を保つ効果もあります。
肥料の与え方
肥料はカンノンチクの成長期である春から秋にかけて与えます。緩効性の化成肥料を2か月に1回のペースで土の上に置くようにします。
液体肥料を使う場合は、適切な濃度に希釈したものを2週間に1回与えましょう。
ただし、生育がゆるやかになる冬場や植え替えから間もない時期に肥料を与えると栄養過多になるため、肥料は不要です。
また、肥料の種類や鉢の大きさによって与える量が異なるので気をつけましょう。
カンノンチクの選び方
カンノンチクは植え付けに適した5~6月に購入するのがおすすめです。
株を購入する際には害虫が付いていないか必ず確認してください。害虫が付着していると買った後に株が弱ってしまったり、他の植物に移ったりする可能性があります。
初心者の場合はガーデニングの専門店などで専門知識がある人から購入すると失敗しにくいでしょう。
カンノンチクの増やし方
成長したカンノンチクは株分けによって増やすことができます。
株分けとは、親株から出ている茎や芽を切り分けて新しい株を増やす方法です。根をつけたまま切り離すため安全で確実な増やし方です。
カンノンチクを株分けで増やす場合、まずは株を鉢から取り出して古い土を丁寧に落としましょう。株が自然と分かれている場合は手で根を2~3つに切り分けます。分けづらい状態であれば茎の間にナイフなどを入れて切り分けてください。
根をほぐす際には水を張った容器の中で土を落とすようにしてください。小さく分けると生育がよくないため2、3株つけて分けるのをおすすめします。
伸びすぎている根や傷んでいる根をカットしたら、根を広げるようにしてそれぞれ新しいポットや鉢へ植え替えます。
株分けの直後は植物が弱っているため2~3日は日陰で管理し、安定したら日当たりの良い場所へ移して通常通り育てましょう。
株分けのタイミングは5~6月頃が適しています。
カンノンチクの植え替え
カンノンチクは2年に1回を目安に植え替えをおこないます。植え替えをせず放っておくと鉢の中に根がまわり根詰まりを引き起こします。根詰まりの状態では根が呼吸しづらくなり枯れてしまう原因となります。
また、鉢の底から根が出てきたり上手く水が染み込まなかったりした時も植え替えのタイミングです。
カンノンチクの植え替えの手順は以下の通りです。
- 一回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 培養土を鉢の1/3程度まで入れる
- カンノンチクを鉢から抜き取って水の中で土を落とす
- 鉢の中央へカンノンチクを置き、土を追加する
- たっぷりの水を与え、風の当たらない半日陰で管理する
植え替えの時期はカンノンチクが成育期に入る5~6月が最適です。
病気・害虫
カンノンチクがかかる病気として特に目立つものはありません。
ただし、カンノンチクは多湿・水切れともに弱い観葉植物なので、与える水が多すぎても少なすぎても葉先が簡単に枯れてしまいます。
夏場は水切れを防ぐため土が乾燥する前にたっぷりの水を与えるようにして、冬場は常に乾燥気味の状態に保ち加湿を避けましょう。
カンノンチクに付きやすい害虫にはハダニやカイガラムシがいます。
害虫が葉や茎に付着すると養分を吸い取られて株が弱ってしまうので、発見次第すぐに霧吹きや粘着テープなどで除去してください。被害が大きい場合は薬剤を使用して駆除します。
ただし、カイガラムシの成虫には殺虫剤が効きにくいため歯ブラシなどでこすり落とす必要があります。