透き通ったライトグリーンの葉色が綺麗な「コツボゴケ(小壺苔)」の育て方を解説しているページです。
コツボゴケは見た目も綺麗で簡単に育成できるので初心者にもオススメの苔植物です。下記ではコツボゴケを上手に管理するポイントをご紹介しています。
コツボゴケの特徴
コツボゴケはチョウチンゴケ科ツルチョウチンゴケ属の植物で、良く苔庭などに見かける植物です。湿潤を好む植物のため、良くパルダリウムや苔テラリウムに利用されます。
庭に生えているものは、自然に生えてきたものも多いようです。日本各地の山地や土手、草むらで見かける代表的な苔の一種です。人工壁や石灰質の場所にもよく着生しています。
コツボゴケは雌雄異株になっているのが特徴で、受精が必要な苔です。
透明感のある明るい緑の葉が特徴で、湿潤を好む割には乾燥にもさほど弱いわけではありません。半日陰~日陰で良く育ちますが、日差しにも弱くはないので、よほどでない限りは失敗することはないでしょう。
茎は横に這うものと縦に伸びるものとがありますが、縦に伸びてもせいぜい2㎝程度で、背が高くなるわけではありません。半日陰や日陰で、湿潤な場所であれば初心者でも簡単に育てることができる植物です。
パルダリウムに利用するだけあって水には強く、腰水管理をすれば室内の乾燥している場所でも育てられます。ただし、密集して育つため、温度が高い夏などに風通しの悪い場所に置いてしまうと、蒸れて枯れてしまうことがあるので注意が必要です。
雨が降るとよく育つため、庭など屋外での管理もしやすいですが、冬になると矮小化し、葉や茎も細くなってしまいます。冬になっても枯れるわけではなく、小さくなりますが特別な準備が無くても越冬することができます。
基本データ
難易度 | 簡単 |
価格 | 500円~2,500円 |
成長速度 | 普通 |
花・種 | 花や種の代わりに胞子を作ります |
日照量 | 半日陰~日陰を好む |
温度 | 普通 |
湿度 | 湿潤を好む |
花言葉 | 母性愛 |
コツボゴケが好む環境
日当たりと置き場所
半日陰~日陰を好む植物ですが、日差しに弱いかといえばそういうわけでもないので、庭などでも問題なく育てることができます。
もともと日本に自生する在来種の苔のため、特に越冬などにも問題はありません。
自生している場所は日陰~半日陰の湿潤な低地~山地、岩場などが多いですが、日差しの強く乾燥した場所にも自生していることがあるため、よほどでない限りは日差しや乾燥を嫌うというわけではないようです。
苔庭、盆栽、苔玉、テラリウムなど、どんな場所でも育てやすい丈夫な苔なのでさまざまな利用法があります。ただし、水中育成には向かないので水面に株が出るように管理しましょう。
屋内で育てる場合
室内で育てる場合は、テラリウムや苔玉にして楽しむことが多いです。室内に置く場合には窓辺の直射日光が当たるような場所は避けましょう。
寝室や玄関、リビングなど、常に直射日光が当たる場所でなければどこに置いても問題なく育ちます。
ただし、蒸れには弱いため、密閉した容器でテラリウムを楽しむ場合であれば、時々ふたを開けて風を入れるか、息を吹きかけるといいでしょう。温度の上がりすぎにも注意してください。
屋外で育てる場合
屋外で育てる場合には苔庭や盆栽が楽しめます。
特に苔庭は、勝手に生えることも多く、特別な管理が必要なわけではありません。夏越しも日陰~半日陰に植えてあるなら問題はありません。
とはいえ、自生しているものは日当たりが強く、そこそこ乾燥している場所に生えているものもあるので、どんな環境でも適応できる植物です。
冬にも準備などは必要なく、矮小化し、色も変色することがありますが、枯れることなく越冬することができます。
温度・湿度
低温にそこまで弱くはないので、特別に温度管理をする必要はありません。
ただし熱には弱いため、あまり高温になりすぎたり、真夏の直射日光を浴びると枯れてくることがあります。湿潤を好みますが、乾燥にも特に弱いというわけではありません。
とはいえ、乾燥してくると葉が縮れてくるので、見た目があまりきれいにはならないため、観賞用として育てる場合にはなるべく乾燥はしないように水をあげるようにしてください。
用土
特別好みの用土はありません。
どんな場所でも育つのがコツボゴケの魅力ですので、程よく保水性のあり、水たまりにならない程度の排水性もあり、通気性のいい土を選ぶといいでしょう。
赤玉土やパーライト、ピートモス、川砂などを配合するのがおすすめです。
苔は根から養分を吸収するわけではないため、特に栄養にこだわる必要はなく、したがって腐葉土などは必要ありません。
コツボゴケを上手に育てるコツ
水やり
乾燥する前に霧吹きなどで水をあげるようにしましょう。
多少水やりが多くても簡単に根腐れを起すことはありませんので、乾いてきたかな、と思えば水をあげる程度で十分です。
苔庭の場合には特に水やりの必要はありません。雨だけで十分に育つことができます。
葉水
もともと、苔なので根は着生するために必要な仮根であり、水分や養分は葉から吸収します。
苔玉や盆栽、テラリウムの場合は水やりの代わりに霧吹きでしっかりと株全体に水を吹きかけるといいでしょう
苔庭の場合には日照りが続かない限りは水やり、葉水ともに必要ありません。
肥料の与え方
根から養分や水分を吸収するわけではないので、特に肥料は必要ありません。
コツボゴケの選び方
太くてしっかり密集し、綺麗に生えそろっているものを選びます。
乾燥してくると緑色が濃くなる傾向にある植物なため、あまり緑色の濃い色ものよりは、できるだけ透明感がある黄緑色のものを選ぶといいでしょう。なるべく枯れている部分や変色している部分のないものにしましょう。
梅雨に購入を考える場合や、テラリウム仕立てになっているものを購入する場合には、蒸れて変色していないか、カビは発生していないかというところにも注意して選ぶようにしましょう。
また、コツボゴケは自然から採集する事もできます。コツボゴケは簡単に剥がれるのでマット状で採集する事が可能です。ただし、自然から採集をする場合はその土地の所有者から必ず許可を取ってから行いましょう。
採集したコツボゴケの難点としては、中に虫が沢山住み着いている事です。そのため、テラリウムや室内で育てる場合には事前にトリートメントしなくてはならず、虫が苦手な方には採集はあまりオススメできません。
虫が苦手な方は、ある程度ゴミ等が取り除かれて小分けにパックされたコツボゴケを探しましょう。最近では、熱帯魚ショップやメルカリ等のフリーマーケットでもコツボゴケが安価で手に入ります。
コツボゴケの増やし方
コツボゴケは雌雄異株が特徴の苔であるため、直立する胞子体からでも受精をして増えることができますが、横に這うように伸びる茎からでも増やすことができます。
家庭で一般的に増やしやすい方法であれば、まき苔方か移植法が簡単にできます。
まき苔法の場合は、コツボゴケをちぎって用土の上にまきます。もしくは乾燥したコツボゴケを砕いて用土の上にまくといった方法でも新芽を出すことができます。
あとはしっかりと水をやりをします。1ヶ月~3か月で新芽が出てきます。
移植法は、マット状になっているものをそのまま用土の上に置き、マットを広げて新芽が伸びるスペースを作ります。
あとは風通しの良い半日陰におき、しっかり水をあげると、どんどん増えていきます。
移植法、まき苔法と、どの方法でも簡単に増やせますが、乾燥にだけは注意しましょう。
コツボゴケの植え替え
特に植え替えの必要はありません。
病気・害虫
病気や害虫がつくことはほとんどありません。
とはいえ、梅雨の時期には湿度と温度が高くなるため、カビが発生することもあるので注意しましょう。
なるべく風通しを良く、温度が上がりすぎないように注意すると予防はできますが、もしもカビが発生した場合にはカビの部分を取り除き蒸れに注意をし、なるべく風を通してあげましょう。