薔薇のような形が特徴的なエケベリアは人気の高い多肉植物です。
このページではエケベリアの育て方や品種を写真付きでご紹介しています。
エケベリアの特徴
エケベリアはメキシコなどの中南米を原産とするベンケイソウ科エケベリア属の多肉植物です。約180の原種が知られており、園芸種も多数存在します。
多肉質の葉がバラの花のようにロゼットを形成するのが特徴で、正面から見たときの華やかな草姿が美しいためブーケやフラワーアレンジにも使われます。
エケベリアは、直径3~5cmの小さなものから40cm近くにもなる大型種まで種類が豊富です。葉の大きさや形もさまざまで、葉の色も緑や赤、白、黒など多様です。春から夏にかけては小さく色鮮やかな花が咲き、秋になると紅葉色に染まります。1年を通して色々な変化を楽しめるので、多肉植物のなかでも人気があります。
エケベリアという名称は、18世紀にメキシコで活躍した植物画家アタナシオ・エチェベリアにちなみます。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | エケベリア |
成長速度 | 普通 |
花・種 | 品種によって開花時期や花の色が異なります |
日照量 | 日当たりを好みますが直射日光は避けましょう |
温度 | 寒さにはやや弱いため5℃以上を保つようにします |
湿度 | 多湿が苦手なので水の与えすぎには注意します |
花言葉 | 穏やか、優美な、風雅な、逞しい |
エケベリアが好む環境
日当たりと置き場所
日光を好む植物ですが、葉焼けを防止するため真夏の直射日光は避けましょう。
屋内で育てる場合
エケベリアは年間を通して室内で育てることができますが、日当たりを好むため窓際などの明るい場所で管理してください。
ただし、エケベリアは夏に休眠するため真夏の直射日光には弱いです。レースのカーテン越し程度の光を当てるようにしましょう。冬場は窓際などの冷え込む場所は避け、なるべく暖かい部屋で管理してください。
屋外で育てる場合
エケベリアは春から秋にかけて屋外で育てることができます。日光を好む植物なので、春と秋の生育期には日当たりの良い戸外に置くことで元気な株に育ちます。
高温多湿を苦手とするため、梅雨から夏の時期には雨に当てず、風通しの良い明るい日陰に移しましょう。冬場は霜が降りない暖かい地域であれば屋外で冬を越すこともできますが、気温が5℃を下回ってきたら室内へ取り込むのが無難です。
温度・湿度
エケベリアは高温多湿に弱い植物です。梅雨の季節は雨が当たらない風通しのよい場所に置き、真夏は直射日光を避けて葉焼けと蒸れを防止します。
冬の寒さにもあまり強くないため、最低気温が5℃を下回ってきたら室内の明るい場所に移してください。
エケベリアは葉に水分を蓄える多肉植物なので乾燥に強く、湿気が多い環境を苦手とします。なるべく風通しのよい場所に置き、梅雨の時期は雨が当たらないよう気をつけましょう。
夏場はとくに蒸れやすい季節なので、水やりの際には土を湿らせる程度の量を与えます。
用土
エケベリアは多湿を苦手とする植物です。土が常に湿った状態になると根が蒸れて腐ってしまうことがあるので、用土には水はけの良い土を使用しましょう。
自分でブレンドする場合は赤玉土(小粒)4:鹿沼土2:日向土2:粒状培養土1.5:燻炭0.5、もしくは赤玉土(小粒)2:鹿沼土2:ピートモス2:川砂2:燻炭2などの割合で混ぜた土がおすすめです。
ホームセンターなどに売られている多肉植物用の土やサボテン用の土を使用してもよいでしょう。
エケベリアを上手に育てるコツ
水やり
エケベリアは春秋型の植物なので、春と秋の生育期には土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。湿気に弱いため葉に水がかからないよう注意しましょう。
夏と冬の季節は生育が緩やかになるため、水やりは控えます。葉がしなしなになってきたら水を与える程度でかまいません。
気温が上がる夏場は土の中が蒸れやすくなるので、夕方以降の涼しい時間帯に水やりをしてください。土を湿らす程度の量で大丈夫です。冬は水を控えて乾燥気味の状態に保つことで耐寒性を高めることができます。
葉水
エケベリアのような多肉植物には基本的に葉水は不要です。葉に水分を蓄えているため乾燥に強く、葉からの水分はあまり必要としません。
生育期には土が乾いたらたっぷりと水を与え、休眠期には乾燥が気になる時に土壌を湿らせる程度に水やりをすれば、乾燥が原因で枯れることはありません。
冬場の室内では暖房による乾燥やホコリの付着を防ぐために、霧吹きで水を吹きかけても良いでしょう。その際はエケベリアの葉を薄く濡らす程度の量に止めてください。
肥料の与え方
エケベリアのような多肉植物は葉に栄養を蓄えることができるため、肥料をあまり必要としません。生育を良くしたい場合は、春と秋の生育期に規定の濃度に薄めた液体肥料を10~15日に1度のペースで水やりの替わりに与えます。
植え付けや植え替えの際には緩効性の固形肥料を置き肥してもよいでしょう。
ただし、紅葉の時期に肥料が効いていると発色がくすんでしまいます。きれいな紅葉を見たいのであれば秋になる前に肥料を施すのがおすすめです。
冬越し
エケベリアは霜や雪が当たらない地域であれば屋外で冬を越すことができます。基本的には寒さに弱いため、最低気温が5℃を下回ってきたら室内へ取り込むようにします。霜や雪に当たると株が弱ってしまいます。
冬場はエケベリアの生育が緩やかになるため水やりは控えましょう。葉が乾燥してしなびてきたら水を与えるくらいでかまいません。乾燥気味の状態を保つことで耐寒性が高まり、土の過湿による根腐れを防ぐことができます。
エケベリアの選び方
エケベリアを購入する際には害虫が付いていないか必ず確認してください。害虫が付着したものを買ってしまうと株が弱ったり他の植物に被害が及んだりする可能性があります。
葉と葉の間隔がぎゅっと詰まっており、株がぐらついていないものを選びましょう。
エケベリアの増やし方
エケベリアは挿し木や葉挿し、株分けによって簡単に増やすことができます。
挿し木で増やす場合は、まず増やしたい部分の茎をハサミで切り取り、下の方の葉を取り除きます。切り取った茎を1週間ほど風通しの良い日陰に干して切り口を乾燥させてから、バーミキュライトを入れた鉢に植え込みます。2~3週間たち発根をしたら水を与えましょう。
エケベリアの葉挿しは、葉を付け根から剥がすように摘み取ります。トレイなどの浅い容器にバーミキュライトを敷き、付け根が軽く埋まるように摘み取った葉を置きます。発根したら根をバーミキュライトに植え、苗が育ったら鉢へ植え替えます。
株分けで増やす場合は、まず親株を鉢から抜き取って根についた土を軽く落とし、ばらすように子株を分けます。傷んだ根をハサミで取り除き、切り離した株を新しい鉢へ植え付けます。株分けから4~5日後に水を与えてください。
挿し木、葉挿し、株分けのいずれも3月~6月、9月~10月ごろが適期です。
エケベリアの植え替え
エケベリアを同じ鉢で育て続けていると、鉢の中に根が回って根詰まりを起こしてしまいます。根詰まりは根腐れの原因になるため2~3年に1度を目安に植え替えましょう。
鉢の底から根が出ていたり、水の吸収が悪くなったりした時も植え替えのタイミングです。エケベリアの植え替えは以下の手順でおこないます。
- 植え替えの数日前から水を控えて土を乾燥させる
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な土を鉢の1/3程度まで入れる
- 鉢から株を抜き出し、根についた土を軽く落とす
- 鉢の中央へ株を置いて土を隙間なく入れる
- 半日陰に置いて管理し、4~5日後に水を与える
エケベリアの植え替えは生育期の初期である3~4月頃が適しています。
エケベリアの種類
エケベリアのメジャーな原種。別名は「セクンダ 寿宝」、「セクンダ・レグレンシス」。
こちらは開花した七福神。
フワフワした毛が生えるエケベリア。別名は「セトーサ ミノール」。
桃太郎は「エケベリア チワワエンシス」と「エケベリア リンゼアナ」の交配種。
別名はデレンベルギー、ホワイトローズ、白蓮華とも呼ばれる。
ボンビシナは「エケベリア セトーサ」と「エケベリア 錦晃星(別名:プルビナータ)」の交配種。
白鳳は「エケベリア パリダ(別名:霜の鶴、桃姫)」と「エケベリア ラウイ」の交配種。
野ばらの精は日本生まれのエケベリア。親は「エケベリア ザラコサノバ」と「エケベリア 静夜」の交配種。
ブルーバードはエケベリアの女王「エケベリア カンテ」と「エケベリア サブセシリス」の交配種と言われている。
女雛(メビナ)は日本で誕生した交配種とも言われていますが詳細は不明です。
病気・害虫
エケベリアは高温多湿の状態が続くと「黒班病」にかかることがあります。黒斑病にかかると葉や茎に黒褐色の斑点が発生し、進行すると大きな病班がいくつもできて葉が縮んでしまいます。
被害にあった箇所は元に戻らないので早めに摘み取りましょう。黒斑病は菌によって感染するので、風通しの良い場所に置き、水やりの際に泥はねを防ぐことで予防できます。
エケベリアにつきやすい害虫にはハダニやアブラムシ、カイガラムシなどがいます。
これらの害虫は、葉や茎から養分を吸い取って株を弱らせます。数が少ない場合は粘着テープなどで取り除き、被害が大きい時は薬剤を使って駆除してください。カイガラムシの成虫には薬剤が効きにくいため、歯ブラシなどでこすり落としましょう。