エンドウ豆の品種である緑黄色野菜のスナップエンドウの育て方を解説しているページです。
スナップエンドウは少量が小分けになった物がスーパー等によく並び、サヤが柔らかくポリポリとした食感も味も良い野菜として食べられています。
育てるのは簡単な野菜なので、このページではスナップエンドウを家庭菜園で育てる場合のポイントについて紹介しています。
スナップエンドウの特徴
スナップエンドウはマメ科エンドウ属の若いさやを食用とするえんどう豆です。
1970年代にアメリカから入ってきた種類ですが、「スナックエンドウ、スナップタイプエンドウ、スナックタイプエンドウ」と色々な名前で呼ばれていたことから、1983年に農林水産省が名称をスナップエンドウに統一しました。
つるなしとつるあり、どちらかを選ぶかはそれぞれの特徴や好みで決めると良いです。
つるなしは草丈が80㎝程度なのでプランターでも育てやすく、初心者でも育てやすいです。一方、つるありは2m近くまで成長しますが、つるなしタイプよりも収穫を長く楽しめるというメリットがあります。
若い未熟のサヤはさやえんどうとして、そしてある程度サヤが大きくなった段階でスナップエンドウとして、サヤが育ちすぎた場合はグリーンピースとしてそれぞれ楽しめます。発芽したばかりのものは豆苗として楽しむなど、様々な野菜、豆類として食用にされています。
サヤごと食べられるので、栄養も取りやすく、ビタミンA、B1、Cや食物繊維、カルシウムやカリウムといったミネラルも豊富です。
基本データ
難易度 | 簡単 |
流通名 | スナップエンドウ、スナックエンドウ |
成長速度 | 種まきから6か月~8か月程度で収穫 |
花・種 | 白いえんどう豆特有の花を咲かせ、エンドウ豆の丸い種がとれます |
日照量 | 日なた |
温度 | 15℃~20℃ |
湿度 | 多湿を嫌う |
花言葉 | 永遠の悲しみ、いつまでも続く楽しみ、必ずくる幸福、約束 |
スナップエンドウが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
スナップエンドウは日なたを好む植物なので、植える場所は日当たりがよく水はけのよい場所を選びます。
地植えで植える場所については、連作を避ける点も考慮します。特にスナップエンドウはエンドウ豆の中でも連作障害が起こりやすい方です。
続けてマメ科を同じ場所で作り続けると生育が悪くなります。マメ科の栽培を行ってから3年~5年経過している場所に植えてください。連作を行う場合は土壌消毒が必要です。
ベランダでプランターを利用した家庭菜園を行う場合も同様に日当たりが良い場所を選びます。
つるあり、つるなし共に支柱やつるを這わせるネットを使いますので、セットしても問題ない場所に置きましょう。
温度・湿度
スナップエンドウの生育に適している温度は15℃~20℃とやや涼しい温度環境を好みます。
ある程度の寒さにも対応できるので、秋に種まきをして春頃に収穫をするという栽培がおすすめです。特に生育中の冬時期は、冬の低温に当たるといった条件や日に長く当たるといった条件で、花芽ができます。
種をまいた時の発芽温度は20℃あたりです。
湿度に関しては、苗の育成段階では乾燥しない様に注意しつつ育て、植え替えをした後は水はけがよく風通しの良い生育環境にしましょう。
用土
スナップエンドウは酸性の土壌を嫌います。
植える予定の2週間前に石灰を混ぜ込みよく耕してから、1週間前に堆肥と元肥を入れて更に良く耕しましょう。1条、もしくは2条の畝を作っておき、土を寝かせておきます。
家庭菜園を行う場合は、25㎝より深さのあるプランターがあれば手軽に育てる事が出来ます。土は野菜用の培養土を購入して使用した方が便利です。
使っていた土を使いまわすといった場合、他の野菜や花に使用していると思いますが、5年ほど他の豆類の生育に使っている場合は使用しない方が良いです。
スナップエンドウを上手に育てるコツ
水やり
スナップエンドウの種を植えて発芽するまでは水を切らさない様に与えてください。発芽してある程度生育したあたりから乾燥気味に育てます。
地植えで育てている場合は、基本的に降雨だけでも成長する事が多いので、雨が降らない日が続き乾燥がひどい場合は様子を見つつ与えるという方法でも大丈夫です。
鉢植えやプランターで栽培している場合は、土の表面が乾燥してから与えます。特に冬時期は多湿にならない様に、水やりの回数は減らし気味で管理しましょう。
肥料の与え方
スナップエンドウを最初に植える段階で肥料を混ぜ込んでいるという点と、マメ科特有の根に含まれている根粒菌が窒素を作り出していますので、肥料のやりすぎには注意してください。
- 2本立てに間引きして、支柱を立てるあたりで1回目の追肥
- 春先に花が咲き出したタイミングで2回目の追肥
- サヤが育ち、収穫が始まったころに3回目の追肥を行います
肥料を与えすぎてしまうと葉だけが成長してサヤがつきにくくなるつるぼけを起こしやすくなります。化成肥料を軽く与える程度にしましょう。
冬越し
スナップエンドウはうまく冬超しをさせることが出来るかどうかがポイントとなります。
幼苗の状態では寒さに強いという特徴があります。4℃~7℃程度の低温にも耐えられるので、冬超しはしやすい方です。
根の部分に土寄せをしたり、ワラを土のところにかぶせる方法で冬超しできます。
もし、幼苗とは言えない程度まで成長している場合は、トンネル栽培をする要領で支柱を立てて不織布をかけてあげるといった方法で冬を乗り切ります。この時期に花が咲くまで成長している時は株が消耗しやすくなるので、早めに花芽を摘み取った方が良いです。
春にはお楽しみの収穫が近づいてきます。低温環境になりすぎない管理を行い冬超しをさせましょう。
スナップエンドウの選び方
スナップエンドウの苗は秋に栽培を始める野菜の苗が販売される頃に販売されているのを見かけると思います。緑色が濃く、本葉が2枚程度ついている苗を選びましょう。
あまり成長が早い苗を購入するのはおすすめしません。成長している苗は幼苗に比べ寒さにあまり強くないので冬超しの事を考えると不利になります。
20㎝程度までは冬超ししやすいので、小さく管理していくのがポイントです。購入する時期と苗の成長をある程度考慮した大きさのものを選びましょう。
また、春になってから苗が販売している場合もありますので、春に苗を購入してから植えるという方法もアリです。
スナップエンドウのつるありタイプ
スナップエンドウのつるなしタイプ
スナップエンドウの増やし方
スナップエンドウは種まきで簡単に増やすことが出来ます。
収穫のタイミングが遅れてエンドウ豆として収穫する予定のサヤをいくつか種とり用でそのまま置いておき、しばらくしてから種として収穫します。
スナップエンドウの種を植えるタイミングは10月から11月あたりです。根を傷めない目的でそのまま地植えをするか、育苗ポットに植えるかのいずれかで種まきします。
- 3~4粒ずつ種をまきますが、地植えの場合は30cmの間隔をあけてください
- 4粒以上植えるのは全部が発芽した際に栄養の取り合いになるので多くても4粒までにしましょう
- 1cm~2cmほど土をかけます
種を植えた際に注意したいのは、スナップエンドウの種が鳥に食べられやすい事です。種まきした後は寒冷紗を掛けて守りましょう。
スナップエンドウの植え替え
スナップエンドウの植えかえに適している大きさは本葉が2枚から3枚程度出ている状態です。
いくつか芽が出ている状態になっていると思いますが、丈夫そうな2本を残し、間引きを行います。抜くと元気な株の根を傷める可能性があるので、根元からはさみで切る方法で間引きを行ってください。
ポットが入る分の穴を掘り、水を充分に与えた苗を根の周辺についている土ごと一緒に植え替えます。植え替えてからは充分に水やりを行い、支柱を立てておくと管理しやすいです。
病気・害虫
スナップエンドウにはエカキムシやハモグリバエ・ヨウトウムシ・アオムシの被害に遭いやすいです。見つけ次第駆除するか、薬剤散布で対応します。
病気ではうどん粉病になりやすいです。
肥料が多くなってチッソ成分が多くなっている、土が酸性寄り(石灰不足)、水はけが悪い、連作しているといった原因が考えられます。これらの原因を避ける管理で対策しましょう。
他にも炭疽病や褐斑病・立ち枯れ病といった菌による病気になりやすいので、多湿環境にならない管理を心がけてください。
毒性や危険性について
スナップエンドウにはサポニンやレクチンが少量含まれていて、生で食べると体質により影響を受けてしまうそうです。
サポニンは水溶性なのでスナップエンドウを茹でればお湯に流れ出し、レクチンは十分に加熱すれば性質が変化し毒性が無くなります。
新鮮なスナップエンドウなら生食も可能で美味しいと言われていますが、豆類は毒素があるのでしっかり加熱調理して食べる事をおすすめします。