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カタクリの育て方

山野草

紫色の可憐な花を咲かせるカタクリの育て方をまとめているページです。

カタクリはユリ科らしい花を付け開花期間は短いながらも、その花はとても美しいです。カタクリの名前の通り料理に使う片栗粉はこの植物が由来となっています。また、山菜としてもカタクリは食べられています。

下記であカタクリを観賞用に育てる場合のポイントについて解説しています。

カタクリの特徴

カタクリ(片栗)はユリ科カタクリ属の多年草です。誰でも知っている片栗粉は本来この植物に由来する食材です。

料理にとろみをつけるのに片栗粉はなくてはならない存在です。かつて、その片栗粉はこのカタクリの球根のデンプンを利用していました。

現在はジャガイモのデンプンを使うのですが、片栗粉の名称はそのまま残っています。他にもカタクリは葉や花も食用にできます。

カタクリの花は早春に咲きます。花は下を向いていながら花弁だけがピンと上を向いている姿は可憐で、この花の人気が高いのが頷けます。

しかし、花の時期は短く、1週間ほどで寿命を終えます。そして、葉も3か月ほどで枯れ落ち、地上部にはなにも残らなくなります。

このような植物はスプリング・エフェメラルと呼ばれています。エフェメラルとは短命、はかないという意味で、まさしく「春のはかない命」であるカタクリを表現しているといっていいでしょう。

基本データ

難易度 やや難しい
流通名 カタクリ
成長速度 球根植物で、発芽・成長・開花・枯れ落ちることを毎年繰り返す
花・種 花色は紫、白、ピンク、黄色など。花が終わると果実が充実して種子が成長する
日照量 涼しくなる秋から開花時期までは日なた。葉が枯れ始めたら半日陰に移動させる
温度 低温を好み、夏はできるだけ気温が上がりにくいところで育てる
湿度 年間を通して乾燥させないようにする。特に、葉がある時期は注意する必要がある
花言葉 初恋、寂しさに耐える

カタクリが好む環境

カタクリの花
カタクリの花は綺麗だが開花期間はごく僅か

日当たりと植えるのに適した場所

カタクリの地上部があるのはわずか3か月程度です。その間に光合成で栄養を蓄えなければなりませんから、日光を十分浴びるところで育てます。

しかし、花が終わったあとは日光が強くなることもあって葉を守るため木漏れ日程度の半日陰エリアに移動させます。

地植えの場合は落葉樹の下を選びます。冬になると葉が落ち、日当たりがよくなるからです。

落ち葉が溜まって軟らかく、水はけのいい土壌が適しています。

植え付ける前に腐葉土をたっぷり混ぜて、野菜を育てるときのように畦(うね)を作るといいでしょう。周囲より高くすると水はけがよくなるからです。

温度・湿度

カタクリが自生しているのは涼しい北海道~本州中部です。そのため高音に弱く、冬越しは楽なのですが、夏の暑い時期は涼しい環境を作ってやらなければなりません。

といって、常に気温が低いと問題が生じます。カタクリの花は日光が差して温度が13度前後を超えると開き、夕方になってそれ以下に下がると閉じます。

開花期間中はこれを毎日繰り返すのです。雨や曇りで日光が差さないと花は開きません。

湿度は常に乾かさないように心がけてください。特に、鉢植えの場合は乾かさないようにしないといけません。

地上部が枯れる夏~冬はうっかりしがちです。他の鉢植えと同様に毎日チェックします。

用土

常に湿り気は必要ですが、過湿にすると球根が腐ってしまいます。

水はけがよくないといけないので、鹿沼土や赤玉土、それに軽石、または砂を混ぜたものを使います。注いだ水がすぐ鉢底から流れ出るほどの水はけが理想的です。

ただし、軽石や砂を混ぜると水はけはいいのですが、鉢植えの場合は乾燥しすぎる可能性があります。割合は少なめにしてください。

用土全体を軟らかくするには有機質をたくさん含んだ腐葉土を加えます。全体の20~30%と少し多めにすればいいでしょう。ヤシ殻チップを使う人もいます。

カタクリを上手に育てるコツ

水やり

3~5月の葉がある間は土を乾燥させると株が弱ってしまいます。

この間は絶対に乾かさないようにする必要があり、用土の表面が乾いたら水やりをします。ただ、開花時期は花弁に水をかけないように。

夏になって地上部が枯れると水やりを忘れがちになりますが、この間も湿気は欠かせません。鉢を地面に埋めたり、鉢の外側にもうひとつ鉢を重ねて二重鉢にしたりして乾燥を防ぎます。

ほかの鉢植え植物と並べておくと水やりを忘れることはないでしょう。シクラメンのように底面吸水させるのもひとつの方法です。

肥料の与え方

スプリング・エフェメラルという言葉通り、カタクリは地上部が活動している時期は3か月程度しかありません。

また、根も少ないため肥料はほとんど必要ありません。しかし、鉢植えの場合はどうしても栄養分が不足するため、最低限の肥料は欠かせません。

植え付け時は元肥として堆肥、腐葉土、ピートモスなどの有機肥料を全体の30%程度混ぜ込みます。このとき、緩効性の化成肥料を加える人もいるようです。

葉がある時期は液肥を追い肥として与えます。規定通りに希釈して月に2回、水やり代わりに注ぎます。

冬越し

もともと耐寒性の強い植物なので、気温が下がっても一向に気にしません。

ただ、用土や球根が凍るエリアでは問題が発生します。凍結・解凍を繰り返すと球根は傷んでしまいますし、凍ると用土は硬くなり、水はけが悪くなって根の成長を妨げます。

それを避けるには鉢を南向きの軒下に移動させます。それだけでは凍る場合は穴を掘って埋めてしまいます。

こうすれば凍結と同時に乾燥も防ぐことができます。地植えでは株の上から落ち葉をたっぷりとかけてやります。

カタクリの選び方

乾燥に弱いため球根はポットに埋めた状態で販売されています。さらに、現在は通販がメインのため、なかなか球根を確認できません。

知人から分けてもらえる機会があれば、湿り気を帯びて重たく、充実したものを選びます。

カタクリの増やし方

球根の場合、植え替え時に分球して増やすのが一般的です。

しかし、国産のカタクリは球根で増える力が弱く、期待できません。その点、海外種は分球しやすく、増やすのは比較的楽です。

カタクリは種子で増やすことも可能ですが、実生には問題があります。

まず、発芽して開花するまで長く、7~8年もかかります。次に、種子も乾燥に弱いため、取り蒔きしなければならないことです。それが影響して、ほとんど流通していません。

一般の愛好家が種子を入手するのは不可能なのです。地植えにして、そこの環境が適していれば種子で増えるものの、長い目で見る必要があります。

カタクリの植え替え

カタクリの球根は面白い性質を持っています。充実するまでは根の成長につれて下へ下へと移動していくのです。

そのため、本来は地植えの方が適しており、鉢やプランターではなかなか成長しません。

とはいえ、わが国の住宅環境からそうもいかない人が多いのは確かです。そういう人たちのために鉢植えの植え替えを解説しましょう。

植え替え時期は夏

カタクリの葉が枯れ落ちて休眠に入る8~9月が植え替えに適した時期です。

前述したようにカタクリの球根は下へ下へと伸びるため、2~3年に1回は植え替える必要があります。

鉢は腰高鉢を

素焼き鉢の高さはスタンダード、浅鉢、深鉢、腰高鉢と四種類あります。カタクリに適したのは腰高鉢で、サイズは5~6号(15~18㎝径)を選びます。

カタクリの球根は大きくはないのですが、鉢が小さいと乾きやすく、気温の変化も受けやすいため芳しくありません。

球根の深さは5~6㎝

植え替え時の球根の深さは5~6㎝が標準です。可能なら球根は3~5個植えると開花したとき見栄えがします。

病気・害虫

カタクリは早春~初夏にしか地上部はありませんから、病気・害虫の被害は非常に少ないといえます。

ただし、2~3月にサビ病が発生することがあります。葉に鉄さび色の斑点ができ、葉が変形して開花しなくなります。

感染したら切り捨てて消却処分してください。ほかの葉に移る可能性があります。

害虫はアブラムシとナメクジに注意すればいいでしょう。

カタクリの味と美味しい食べ方

カタクリは山菜として地上部の葉や花を食べます。

クセの無い山菜のためおひたしや天ぷら等がおすすめです。特にカタクリの葉の天ぷらは美味しいです。衣を葉の裏面に薄く付けサッと揚げるのがポイントです。

カタクリを山菜として採集する時は根を傷付けないように食べる部分だけを取りましょう。

また、翌年も葉を付けられるように群生部分を全て取りきらず、食べる分だけを取るようにしてください。

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