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アマドコロの育て方

山野草

アマドコロの特徴

アマドコロ(甘野老)はキジカクシ科アマドコロ属の多年草で、草丈50cm前後になる日本に自生する山野草です。

野老と書いてトコロと読みます。野老はツル性の多年草で、灰汁抜きしないと根は食べられません。

対して、アマドコロの根は甘く、そこから甘野老(アマドコロ)の呼称が生まれました。

落葉性の多年草で、春の新芽は山菜として食用にされています。また、秋になると養分を溜め込むので根が美味しくなります。硬いのできんぴらや天ぷらがいいでしょう。

春には葉の付け根からスズランに似た可憐な白い花を咲かせますが、アマドコロの人気が高いのは葉に白い覆輪が入る品種です。

自生地は主に日当たりのよいところですが、日陰でもよく育つとあってシェードガーデンによく用いられます。

生け花やアレンジメントの花材としても人気はあります。

アマドコロとよく似た植物にナルコユリがありますが、こちらは茎の断面が丸い(アマドコロは陵があり角ばっている)ため区別は簡単です。

基本データ

難易度 易しい
流通名 アマドコロ、ナルコラン、ナルコユリ(酷似により誤表示される事も…)
成長速度 普通
花・種 4~5月下旬に白くてベルのような下向きの花を咲かせる。花が終わると小さくて青黒く、丸い実が成る。中には茶褐色の種子が育つ
日照量 日当たりを好むが、木漏れ日程度でもよく花を咲かせる
温度 耐寒性は強い。耐暑性は普通
湿度 やや湿り気のある状態を好む
花言葉 元気を出して、小さな思い出、心の痛みのわかる人

アマドコロが好む環境

日当たりと植えるのに適した場所

アマドコロは丈夫な植物で、日当たりでも明るい日陰で元気よく育ちます。

とはいっても、鉢植えでは時期によって日照量を調整した方がしっかりした株になります。まず、春は日光にたっぷり当てましょう。新芽がスクスクと伸びます。

しかし、夏は日差しが強くなりますから多少暗くても日陰に移動させます。

直射日光を受けると葉焼けしますから、この時期はできるだけ葉を守ることに心がけます。

秋になれば再び日当たりのいいところに戻しますが、冬が近づくと地上部はなくなりますから春までは日陰でも構いません。

地植えは水はけがいいところを選びましょう。

温度・湿度

わが国では北海道から九州までと広い範囲で自生しています。このことからわかるように暑さ、寒さには強い植物です。

ただ、耐寒性には強い一方で耐暑性はそれほどではありません。

一日中強い直射日光を浴びると葉が傷みますから、夏は遮光するか、鉢植えの場合は日陰に移動させます。

乾燥には強いので、サビ病などの病気予防のため乾かし気味で育てますが、早春の芽出し時は水切れさせないようにします。

対して、夏は多湿にならないようにしてください。

用土

水はけを優先します。市販されている草花用の培養土で問題はありません。

自分でブレンドするなら小粒の赤玉土をメインにして腐葉土、あるいは川砂やパーライトなどを混ぜるといいでしょう。

パーライトには黒曜石パーライトと真珠岩パーライトがありますが、水はけを目的とするなら黒曜石のパーライトを選びます。

黒曜石パーライトといっても白色をしていますので、色だけで選ばないでください。パーライトの詳細については下記記事もご覧ください。

園芸で使う土の種類と用途
園芸に使う基本用土や改良用土の種類別に解説しているページです。用土の特徴や向いている用途等を細かく説明しています。

地植えでは植え付け前(2週間前が理想)に腐葉土をたっぷり加えます。

アマドコロを上手に育てるコツ

斑入りのアマドコロ
斑入りのアマドコロ

水やり

アマドコロは乾燥に強い植物ですから、よほど日照りが続かない限り地植えでは水やりの必要はありません。

鉢植えの場合は土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るほど十分与えます。特に、芽出しから葉が伸びる春は決して水切れさせないようにしてください。

葉が成長すれば多湿にならないよう乾かし気味で育てます。

また、寒くなって地上部がなくなっても完全に乾かさないように注意します。うっかりして完全に乾燥させてしまうと春になっても芽は出てきません。

肥料の与え方

自然の状態で元気よく育ちますから肥料はまず必要ありません。しかし、春の芽出し時期と休眠前に施肥するとさらに生育がよくなります。

この時期の肥料は緩効性の化成肥料が適していますが、代わりに液肥を与えるという方法もあります。

化成肥料はひとつまみも与えれば十分です。液肥は月に3~4回が目安です。

お礼肥えとして花後の6月に施肥してもいいでしょう。植え付ける際にふんだんに腐葉土を混ぜておけば地植えでは無肥料で構いません。

冬越し

春に開花するためには冬の間に低温に遭う必要のある植物があります。

休眠打破というもので、アマドコロもその一種です。低温に遭わないと種子は発芽しませんし、春の開花も期待できません。

というわけで、鉢植えは一年中外に出しておきます。

地上部がないのですから日照は不要です。ただし、水切れさせないようにします。

根まで凍るようなエリアではそれを防ぐための対策が必要になってきます。鉢植えは軒下に移動させ、地植えは腐葉土を被せておきます。

アマドコロの選び方

成長すると50㎝前後にまで伸びますが、ポット苗の段階で選ぶ際はあまり背が高くないものがいいでしょう。

それでいて茎が太く、葉の厚いものを選定します。そのような苗は往々にして根張りがしっかりしているからです。

アマドコロの増やし方

アマドコロは根茎(こんけい)と呼ばれる土中を伸びる茎によって株を増やします。

植え替える際にこの分かれ目を折って株分けするというのが一般的な増やし方ですが、芽が出てなくても根茎を適当な長さに切ればそこから芽が出てきます。

ラン類のバルブ吹きと似た増やし方で、横に寝かせて土を5㎝ほど被せ、水を切らさないようにしておきます。

種でも増やせますが、休眠打破が必要なため発芽まで2年かかります。種子も販売されてなく、入手は困難というのが実情です。

アマドコロの植え替え

アマドコロは根茎を横に伸ばすので、芽が出てくる位置はどんどん移動していきます。

鉢の中央から出ていれば問題はありませんが、いずれは偏っていきます。それを修正するためにも、また根詰まりを防ぐためにも1~3年置きに植え替えをします。

地植えでは植えっぱなしで構わないのですが、エリアを設定していればその範囲に納めるために植え替えます。

時期は春と秋

植え替える時期は地上部のないころが適しています。冬季は避けたいので落葉後の10~11月、または芽出し前の3月がお勧めです。購入したポット苗を植え付ける時期はいつでも構いません。

鉢は5~6号が標準

植え替える際はふたつの方法があります。株をそのままにして一回り大きな鉢に植え替えるか、それとも株を分けて同じサイズの鉢を使うか、です。1株だけ植えるなら5~6号の鉢が適当です。根茎が大きいとこのサイズでは入り切れないことがあります。その場合は小さい根茎を植え付けます。

根に付いた土はよく落とす

新しい用土が古いものとは土質が異なるときは、根に絡んだ土をよく落とします。そのときは決して無理をせず、根を傷めないようにしてください。

植え付けが終わればたっぷり水やりをして、1週間は日陰で管理します。

病気・害虫

比較的強い植物なので病気も害虫もそれほど心配することはありません。

ただ、株が密集して風通しが悪くなるとサビ病の心配が出てきます。同じ原因で褐色斑点病が発生することもあります。

害虫はコウモリガが茎の中に潜り込みます。根際に糞の塊があればコウモリガの幼虫の被害に遭っています。

また、ヒゲナガクロハバチの幼虫が葉を食害します。

どちらも発見したらすぐ捕殺します。

アマドコロの毒性や危険性について

アマドコロは食用可能な植物なので毒性は無いですが、アマドコロと間違いやすい毒草に注意が必要です。

下向きの可愛い花を咲かせる植物としては、アマドコロ、ナルコユリのほかにホウチャクソウがあります。

この植物の新芽はアマドコロに似ており、間違って食べられるケースがままあります。

アマドコロの若芽は美味しい山菜として知られていますが、ホウチャクソウは悪臭がして、食べると下痢を起こしたり吐き気がしたりします。

おかしいと感じたらすぐ廃棄処分してください。

アマドコロの味や食べ方

アマドコロは春先の若芽と根茎を食べる事ができます。

若芽はウルイのような食感でアスパラに似たような風味があるそうです。根茎部分はやや粘りがありほんのりと甘いそうです。

山菜として食べている地域は限られるそうで、流通するのも青森県か山形県産がほとんどのようです。

青森県出身で山は馴染みが深いので山菜類は人より食べてきた方ですが、アマドコロは観賞用としてしか認知していませんでした。

苦い方の野老は地元でも割とメジャーですが、こちらは売られているのを見たことが無いので、珍しい山菜として見つけたら食べてみたいですね。

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