爽やかな香りが特徴的な山椒(さんしょう)の育て方をまとめたページです。
山椒はうなぎの蒲焼や木の芽和えの材料に欠かせない食材で、香味野菜の一種となります。日本料理には欠かせない食材の一種ですね。
このページでは山椒を自宅で育てる際のポイントについて解説しています。
山椒の特徴
山椒は日本を原産とするミカン科サンショウ属の落葉低木です。3m~5mほどの高さに育ち、楕円形の小さな葉が5~10枚ほどの対になっています。
葉の付け根部分に対になるように鋭い棘がついているのも特徴的です。
食用として利用でき、若芽は木の芽として、花は花山椒として、果実は実山椒や粉山椒などに利用できます。
山椒は多くのビタミンやミネラル、食物繊維など栄養が豊富に含まれていますす。 他にもリモネンやゲラニオール、サンショオールといった特徴的な成分も注目したいところ。 中でもサンショオールという成分が山椒独特のピリっと辛い味を出しています。
4月~5月になると小さな黄色い花が咲き、6月になると緑色の果実ができはじめ、9月~10月に赤く実ります。
基本データ
難易度 | 難しい |
流通名 | 山椒、ハジカミ |
成長速度 | 遅い |
花・種 | 春ごろに黄色い小さな花を咲かせます |
日照量 | 日当たりがいい場所を好みますが、半日陰の条件でも育ちます |
温度 | 日本で自生しているため、暑さ寒さには強いです |
湿度 | 乾燥には弱く、ある程度の湿度は大丈夫ですが加湿状態はよくありません |
花言葉 | 健康、魅惑、好意 |
山椒が好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
山椒の木が自生している場所の条件は低い山地の湿り気のある場所です。山椒は日当たりが良い場所を好む木ですが、半日陰でも良く育ちます。
乾燥と真夏の強い日光には弱いので、直射日光が当たり続けるような場所、そして西日が当たるような場所は葉が茶色くなったり乾燥しやすくなるため避けた方が良いでしょう。
直射日光は数時間程度なら大丈夫です。
屋外で植える場合は適度に日光が当たり半日陰になるような場所が病虫害にもあいにくく元気に育ちやすいです。養分が多くて水はけが良い土を好むので、腐葉土のたっぷり含まれていて保水性の良い場所に植えるようにします。
屋内など鉢植えで栽培する場合は、直射日光が当たりすぎる場所を避け、半日陰の場所に置くようにします。
温度・湿度
山椒の木は暑さや寒さにも強いという特徴がありますので、屋外で植えていても温度による影響を受けることはあまりないです。
湿度に関しては注意しておきたい条件があります。元々山椒の木の自生地は湿り気のある場所です。乾燥にとても弱いので、土が乾燥しないように水やりなどの管理をします。
ある程度の湿度は問題ないのですが、加湿状態になると今度は根腐れや白絹病を起こしてしまう原因にもなりますので、加湿状態にならないように注意しつつ管理します。
用土
山椒は腐葉土などで肥えている水はけの良い土を好みます。
屋外で植える時に粘土質の土だと水はけが悪く、根腐れや白絹病などの害病を起こしやすくなりますので避けてください。植える場所の掘った土に腐葉土や堆肥を2割程度混ぜ込んで使用します。
鉢植えなど、用土を準備する時には赤玉土5:腐葉土4:川砂かパーライト1を混ぜます。赤玉土は小粒を使うと良いです。市販の草花用培養土を利用する方法もあります。
鉢は素焼きの鉢がおすすめです。土の乾燥を防ぐためにも7号以上の深くて大きめの鉢を用意します。鉢底石を敷き、用土を入れ山椒を植えます。
山椒を上手に育てるコツ
水やり
山椒は根の張り方が浅いという特徴がありますので、乾燥しやすいです。
屋外で育てている時に夏場は特に乾燥しないように注意してください。庭など地植えしている場合はそれほど水やりをする必要がありませんが、土が乾燥しないように根元にワラを敷くというのも対策の一つになります。
鉢植えの場合は土の表面が乾燥したらたっぷりと水を与えるようにします。また、素焼きの鉢を使っている場合、鉢が乾いた色になっていると乾燥しているので水やりをした方が良いです。
他にも特に土が乾燥していなくても1週間ほど雨などが降っていない時も様子を見つつ水やりをした方が乾燥を防げます。
肥料の与え方
肥料を与えるタイミングは冬です。1月ごろに追肥として油かすを使います。
また、栽培している時に若芽や実を収穫する5月~9月ごろにも2か月おきに追肥として油かすを与えます。
液肥を使っても良いのですが、化学肥料を使うより有機肥料を使った方が育ちは良くなる傾向がありますので、油かすを使う人が多いです。
注意点として、水切れや過湿などの条件で木が弱っているような条件の時に肥料を与えると枯れる原因となります。肥料は様子を見ながら与えるようにしてください。
冬越し
山椒は元々寒さに強いという特徴がありますので、冬場の寒さ対策についての注意点は特になく、冬超しの準備をする必要もありません。1~2月には油かすで追肥をする程度です。
山椒は落葉低木という秋に葉が落ちる木の分類なので、秋になると葉が落ち、春になると新たに新芽が出てきます。
落葉期に枝の状況を見て剪定管理を行い、伸びすぎていたり枝が混み合っている部分を選定して風通しを良くしている栽培例もあります。
生長期に伸びた枝の中でも短いものに花がつく傾向があるため、枝は切り過ぎないように注意してください。
山椒の選び方
春頃から初夏にかけて山椒の鉢植えが販売されるようになります。葉の付きが良い苗を選びましょう。
山椒は雄株と雄株があり、両方が一緒ではないと実が付きません。
葉を収穫するだけなら1株だけで良いのですが、実を収穫したい場合は雄株と雄株両方の購入が必要です。
もしくはブドウ山椒と朝倉山椒といった雌雄同種の種類を選ぶようにするという方法もあります。特に朝倉山椒は山椒の特徴の一つでもある棘がないため管理もしやすいです。
山椒の増やし方
挿し木
落葉後に剪定した若い枝を10㎝~20㎝程度の長さに切り、葉は2~3枚くらい残します。
切り口を斜めに切り一時間程度、水やメネデールなど発根剤少量混ぜた水に挿しておきます。赤土やバミューライト等混ぜた土、もしくは水はけのよい土に挿し木をします。
日陰で管理をし、根がつき新芽が出たら大きめの鉢に植え替えます。
種まき
10月ごろに収穫した山椒の種を3月頃に撒きます。
種をまいたら1~2cmくらいの土をかけておき、土が乾燥しないように水をまきます。1か月程度で発芽します。
山椒の植え替え
山椒の栽培で注意したい点は根が弱く、環境の変化にも弱いという事です。
植え替えが原因で枯れてしまう事もあるので、極力植え替えの回数は少なくなるようにします。庭などに地植えしている場合はスペースを広めに確保して植え替えをしないようにした方が良いでしょう。
鉢植えでの栽培の場合は2~3年に1回程度、新芽が出る3月ぐらいまでのうちに行います。
植え替えの際には根詰まりを起こさないように1~2回り程度大きな鉢に植え替えるようにしてください。植え替えの時に根の周辺についている土は崩さないように、そのまま植え替えるようにします。
病気・害虫
アゲハチョウの幼虫
山椒はアゲハチョウの幼虫が付きやすいです。
アゲハチョウの幼虫は体も大きく食べる量も多いので、一匹付いただけでも葉がほとんど食べらてしまう事があります。見つけたらすぐに取るようにしてください。
白絹病
湿度が高い環境で発生しやすいのが白絹病です。
カビが発生し、根元が白い綿のようなものがついている状態になります。対処法がないので、感染を広げないためにも株ごと掘り上げて処分してください。