健康に良いとされるリコピンを豊富に含んだ夏野菜、トマトの育て方をまとめているページです。
トマトは日本でも一般的な野菜で何度も収穫できる事から家庭菜園でも好んで植えられる植物です。自分で育てるトマトは売り物と違い不揃いで不格好だったりもしますが、完熟させてから収穫する事ができるため、家庭菜園で育てていて面白い野菜です。
下記ではトマトを上手に育てるポイントについて解説しています。
トマトの特徴
トマトはペルー、エクアドルといった南アメリカのアンデス山脈高原地帯原産のナス科ナス属の植物です。
日本国内の栽培では冬になると枯れる1年草ですが、熱帯地方の低温になりにくい地域では枯れることなく何年も花と実をつける多年生植物です。
16世紀にヨーロッパへ伝わったものの、赤い実をつけるという見た目から有毒植物として最初は扱われており、あまり普及しなかったという歴史があります。18世紀ごろからヨーロッパで普及される様になり、日本では17世紀あたりから伝わってきています。
最初は観賞用として栽培されていましたが、明治時代以降から食用として普及される様になりました。
ビタミンCやカロテン、リコピン等、実は栄養豊富です。トマトの本葉の8葉から9葉目あたりから花をつけ、以降は3葉おきに花をつけ実ができる様になります。
基本データ
難易度 | やや難しい |
流通名 | トマト |
成長速度 | 遅い |
花・種 | 黄色い花を咲かせ、白っぽい2㎜ほどの種ができます |
日照量 | 日なたを好む |
温度 | 25 ~ 30℃ |
湿度 | やや乾かし気味に栽培 |
花言葉 | 完成美、感謝 |
トマトが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
トマトは日当たりが良く風通しが良い場所を好みます。日の当たり方により熟成具合に違いがあり、日当たりが良い場所のトマトは赤く熟す傾向があります。
庭や畑等、屋外で栽培する場合は、やや乾かし気味に育てた方が良いので、水はけがよい場所を選ぶ様にしてください。
ベランダでの家庭菜園でプランターで栽培する時も、日当たりが良く風通しが良い場所に置きましょう。
プランター栽培の時に注意したいのが、梅雨時期の置き場所です。
栽培中に雨が多くなると実が割れやすくなったり、ウドンコ病等の病気の原因にもなります。雨の多い時期は雨が直接当たらない様に、軒下に移動することをおすすめします。
連作障害が起きやすいので、毎年移動させ同じ場所で繰り返し育てないでください。
温度・湿度
トマトの栽培に適している育成気温は25~30℃ぐらいです。
ある程度気温が上がってくる4月ごろに種を植え、苗を植える場合は5月あたりから植える様にするとよいでしょう。
寒さには良さいので、夜間は10度以下にならない時期になってから植えた方が良いです。
湿度が高い環境はあまり好みません。湿度が高い環境が続くと病気になりやすい傾向がありますので、栽培時にはやや乾かし気味になる様に育てます。
用土
庭や畑でトマトを植える場合は2週間ぐらい前から植える準備をして土をなじませておきます。
2週間前に苦土石灰を撒いて耕しておき、1週間前に堆肥と粒状肥料の元肥を入れ耕しておきます。ポリマルチをかけ、土温を上げておくとよいです。
ベランダで家庭菜園をする場合は大きめのプランターがおすすめです。
プランターの大きさは、トマト一株に対して土が10リットルぐらいあると良いという目安があります。このぐらいの量の土があった方が栽培に必要な養分や水が確保しやすい環境にしやすいです。
土は野菜栽培用の培養土でも育ちます。
トマトを上手に育てるコツ
水やり
トマトを植え付けてから1週間ぐらいは根づかせるために土の表面が乾いたら水をしっかりと与える様にしてください。以降は控え気味にします。
畑の地植えだとあまり水やりの必要がありませんが、プランター栽培の場合は地植えよりも乾きやすいです。
目安としては葉に元気がなく萎びれそうになったら水を与える様にしてください。
水を控えめにすることで根を生やし甘い実が付きやすくなります。
5月~6月あたりは2日~7日に1回ぐらい、実ができる7月~9月あたりには、5~10日に1~2回与える程度が目安です。
肥料の与え方
トマトは早めに肥料を与えると葉ばかりが成長して茂る様になり実の付きが悪くなりますので、肥料を与えるタイミングがあります。
トマトの肥料を与えるタイミングは第1花房の実の大きさを目安にしてください。一番果の大きさがピンポン玉くらいの大きさになったら液肥を株の周囲に与えます。
畑の直植えの場合は1株当たり化成肥料軽く1握りを株の横(畝であれば肩部分)に与え、軽く耕します。
次に肥料を与える目安は第3花房の実が成長し始めたらというペースで定期的に与えます。肥料の与えすぎは葉が成長するだけになり、実の付きが悪くなることがありますので注意してください。
冬越し
トマトは通常多年草ですが、低温環境に弱く冬になると枯れてしまうので、日本では一年草扱いとなり冬を越すための対策は不要です。
プランター栽培の場合は家の中に取り込む事で防寒対策はできますが、室内は日照量の問題があるのであまり上手くはいかないでしょう。
花が咲いて実ができた後にそのままにしておくと落下した実の種から芽が出る場合もあります。
実際にトマトの実を直接植えて栽培するという例もあるので、時間経過により発芽する場合もありますが、基本的には温度条件が合わないので自然な状態では冬時期の栽培、管理は難しいです。
トマトの選び方
トマトのポット苗は4月ごろに販売されます。
苗は双葉がついている状態、そして節間が開いていない詰まった苗を選びましょう。花が咲き始めるあたりの苗を選ぶのがおすすめです。
葉の色のグリーンが濃いものを選び、根本のぐらつきがない苗を選ぶと根もある程度しっかりしている苗を選ぶことができます。
見た目にも病害虫がない苗を選ぶ様にしてください。
トマトの増やし方
トマトの増やし方は種からと差し芽があります。
種の場合は完熟したトマトを選び、種部分を取り出し、1週間ぐらい置いておき、ゼリー部分からとれる様に目の細かいザルを使って洗い流します。種周辺のぬるぬるが取れたら水分を取って乾かしておき、乾燥後、ジッパー付きの袋に入れ冷蔵庫で保管します。
もう一つ、差し芽は葉の付け根から出てくるわき芽を取る摘心を行います。摘心したわき芽はそのまま土に挿しておくと条件次第では根が付きそのまま育てる事も可能です。
トマトの植え替え
トマトの苗を買った際に植え付けるタイミングは5月、GW過ぎあたりが適しています。
4月の早い時期だとまだ遅霜の可能性もあり、枯れる原因となるからです。25~30℃あたりの温度になる気候条件になってから植える事をおすすめします。
ポット苗は植え替える前にポットごと充分に水を含ませる様にして、そのままポットの土ごと植えます。
畑の直植えを行う場合は、隣の苗と50㎝~70㎝程間が空く様に植えます。植えた後に支柱を立て、麻ひもで結んでください。
病気・害虫
トマトの葉が粉をまぶした様に白くなっていたり、葉や実にまだら模様が現れ、葉先から枯れた見た目になっている場合があります。
これらの症状はうどんこ病や灰色かび病、炭疽病の病気にかかっている可能性があります。
夏の温度が高い時期や梅雨時期の湿度が多い時期にかかりやすいので、湿度の多い時期に雨に当てない様にしたり、風通しを良くし、病変箇所は撤去してください。
実ができてから穴が開いている場合はオオタバコガ・タバコガにやられている可能性がありますので、実ごと取り除きましょう。
乾燥している時期にはハダニが付きやすいので、乾燥時期は葉水をかけてあげると予防対策になります。
実はトマトには毒がある
ナス科にはアルカロイド系の毒が含まれている植物が多いですが、実はトマトにもトマチンと呼ばれる天然毒素が含まれています。
このトマチンは葉や茎に多く含まれる毒素ですが、熟した赤い実にも極少量トマチンが含まれています。しかし、完熟したトマトを食べている分には全く気にすることは無く、毒と言っても数トン一度に食べない限り問題ないそうです。
以上、トマトの豆知識でした。