ほろ苦さが美味しい野菜、シシトウガラシの育て方の育て方をまとめているページです。
シシトウガラシ(獅子唐辛子、通称:シシトウ)は天ぷらや揚げ物にアクセントとして添えられていたりするお馴染みの野菜です。見た目が青唐辛子にそっくりなので辛いと思って食べない人もいますが、シシトウは基本辛くなくピーマンのようで美味しいです。
シシトウは自宅でも比較的容易に栽培できる植物ですので、家庭菜園などで育てるポイントについて解説していきます。
シシトウガラシの特徴
シシトウは中南米原産、ナス科トウガラシ属の野菜です。辛みの少ないトウガラシの甘味種に分類されます。
実の先端部分が獅子の頭に似ている事から名前が由来している説があります。
実の部分は熟成すると赤くなりますが、赤くなる前の未熟果部分を食用としています。天ぷらや炒め物、煮びたし等に向いている野菜です。
βカロチンやビタミンC、ビタミンEといった抗酸化作用が高いビタミンが豊富です。夏場の栄養源としても適しています。
以前は購入したシシトウの中に辛い物が1個ぐらい混ざっているという経験をした人もいるかもしれませんが、ここ最近では品種改良のおかげで辛い物が出回る事はなくなりつつあります。
高温には強く育てやすいので、家庭菜園向き、初心者向きの野菜です。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | シシトウ、獅子唐辛子 |
成長速度 | 遅い |
花・種 | ピーマンの花に似た白い小さな花を咲かせ、実の中に白く平らな種がたくさんできます |
日照量 | 耐陰性はやや弱く、日なたを好む |
温度 | 22℃~30℃ |
湿度 | 乾燥を嫌いますが、加湿にも注意してください |
花言葉 | 旧友、雅味、嫉妬 |
シシトウガラシが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
シシトウは日当たりがよく風通しが良い場所を選んで植えます。
畑で直植えをする場合は、日当たりへの配慮も必要ですが、ナス科とウリ科の連作障害も考えて植える場所を決めます。
3年ほどウリ科やナス科の野菜を植えていない場所を選んで植えてください。近くに別のシシトウや唐辛子が植えてある場合、辛いシシトウができてしまう可能性がありますので、離れた場所に植えると良いでしょう。
ベランダで家庭菜園として植える場合も日当たりが良い場所を選びます。
シシトウは花が咲いた時に雨に当たると落花してしまうので、雨が当たらない場所に移動してあげましょう。エアコンの室外機が置いてある場合は室外機の風が当たらない場所にしてください。
温度・湿度
シシトウは寒さには弱いですが、耐暑性があります。
夜間に気温が下がってしまった際に単為結果(受精なしで実ができる)状態になり、実が硬くなったり辛くなる事もあります。
育成に適した温度は22℃~30℃ですが、種の発芽温度は28℃~30℃といった高温環境が適しています。35℃以上になると逆に実の付き具合が悪くなります。
根を浅く張る性質があるので、土は乾燥しない様に配慮します。逆にシシトウは加湿も嫌うので、水のやりすぎに注意してください。
用土
シシトウを植える前に、育成用の土の準備をします。
植える予定の2週間前には石灰を土に混ぜ耕しておき、1週間前には堆肥と化成肥料を混ぜて耕しておきます。
畑で植える予定の場合は畝を作っておきましょう。
ベランダで家庭菜園を行う場合は、赤玉土6に対して腐葉土3・バーミキュライト1の割合で土を混ぜ、石灰を少量混ぜ込んで2週間ぐらい置いてから植えます。
手軽に植える方法としては、市販の野菜用の培養土が販売されていますので、利用するのも良いでしょう。
シシトウの根は広く浅く伸びていく性質がありますので、プランターや鉢を準備する際には、15リットルから25リットル程度の鉢、もしくは60㎝以上の大きめサイズのプランターを準備すると良いです。
底石を敷き、水はけが適度に良い状態で植えます。
シシトウガラシを上手に育てるコツ
水やり
シシトウは乾燥に注意しなくてはいけません。
土が乾燥しがちな状態で育つと、シシトウがストレスを感じる状態になり、辛い実をつけやすくなります。そのため、土が乾燥したらたっぷりと水やりをしてください。
夏場の気温が高い時期は朝と夕方の1日2回、水やりをしますが、夏場以外の時期は1日1回程度の水やりで大丈夫です。真夏の昼間に水やりをすると根が暑さにやられてしまう可能性があるので避けます。
肥料の与え方
シシトウの追肥に関しては、実が付きだしたあたりから与えます。緩効性の化成肥料を使う場合は、1か月に1度程度、液肥を使う場合は2週間おきに与えます。
シシトウは実が付きだすとたくさん肥料を必要とします。
注意点として、肥料不足にならない程度に与えてください。肥料が足りない状態になると、水不足の時と同様にストレスを与え、辛い実がついてしまう原因の一つになりますので、肥料は充分に与えましょう。
冬越し
シシトウは10度以下の温度環境になると枯れてしまいます。
屋外栽培の場合はハウス栽培やビニールをかけて温度を維持させる方法で越冬させるている例も見られます。
家庭菜園の場合は、鉢植えの状態で主軸部分を20㎝程度残した状態まで剪定して、窓際の屋内で越冬させ、春になり気温が上がってから別の場所に植えているという方法も可能です。
もし室内を利用して越冬させたいと考えているのであれば、10度以下にならない温度管理をする事がポイントです。
また、連作障害がありますので、翌年は違う場所に植える、もしくは土を変えて植え替えを行います。
シシトウガラシの選び方
シシトウは苗を購入して苗から育てていく方法がおすすめです。苗を選ぶ際は、茎が太くてまっすぐ伸びている株を選びます。
節間が間延びしていない短いものを選び、色も緑が濃いか、葉が大きく広がっているか?という部分をチェックして元気な苗を選びましょう。
葉が丸まっていたり、葉の色が薄い苗は病虫害による影響を受けている可能性がありますので、避けます。
シシトウガラシの増やし方
シシトウは挿し木は向いていませんので、種から増やす事になります。
種用にするシシトウの実は収穫せずにしばらく置いてから収穫して種を採取してください。乾燥させ、保管しておいたものを春に種まきします。
シシトウの種は嫌光性種子なので、日光が当たらない様に多めに土をかぶせる必要があります。発芽するまでは充分に水やりをしてください。
シシトウは種から植えた場合、苗として植える事ができる大きさになるまで80日程度かかります。
そのため、温度管理に注意しながら2月から3月あたりに種まきをする事になりますので、手間を考えると苗を購入してから植えた方が時期的にも遅れることなく育てる事ができます。
シシトウガラシの植え替え
シシトウの苗は本葉が10枚程度出てくる程度まで育ったら植え替えます。
ポットが入るくらいの穴を掘り、苗の根元を指で挟み根鉢が崩れない様にポットから外し、穴に植えます。
シシトウはあまり深植えしない方が良いので、畝の表面と同じ高さに植えるか、若干、高めに植えても大丈夫です。植え替えたら、株の根元を手で押さえ、安定させます。
シシトウは育つと支柱を使用するので、仮支柱を立てます。仮支柱は斜めに差し込み、上のあたりで軽く止める程度にしておきましょう。
植え付けて仮支柱を立てたら水をたっぷりとやってください。
病気・害虫
アブラムシに注意してください。
アブラムシが原因でウイルスを媒介し、モザイク病になる事も多いです。モザイク病は治療法がなく病変部を取る程度しか対処できませんので、アブラムシを見つけたらすぐに駆除してください。
梅雨明け時期にはハダニも発生しやすく、栄養を吸収してしまうので、見つけ次第駆除します。
カメムシも同様に汁を吸ってしまい、場合によっては実の変形、落果にもつながりますので、駆除するしてください。
害虫対策として植え替え時に除粒剤を施す対策法もありますが、スプレータイプの農薬を使用する方法もあります。
青枯れ病になった場合は連作障害が原因として考えられますので、3年以上ナス科植物を同じ場所に植えない様にしましょう。