トキワシノブは涼しげな印象を与えてくれるシダ植物の仲間です。
観葉植物としても人気の高いトキワシノブを育てる時のポイントについて解説しています。
トキワシノブの特徴
トキワシノブはシダ性の着生植物です。苔や水分の多い土を使用し鉢植えできます。また、丈夫で岩にも着生します。
常盤(トキワ)に緑の葉を保ち、暑さ寒さや乾燥などの過酷な環境でも耐え忍ぶ(シノブ)姿からトキワシノブと名付けられました。
切れこみが多く清々しい葉は、根元から先端にかけ、長い葉から短い葉へと変化して逆三角形になっています。
また、ふさふさとした毛に覆われた根も特徴的です。根茎は年数が増すごとに、とぐろをまいてグルグルと存在感を醸し出します。
トキワシノブは、徐々に鉢を囲みながら丸く生長していきます。葉や根、全体のフォルムが特徴的で好奇心を駆り立てる姿が、盆栽として人気です。
トキワシノブは昔から夏の涼として、苔玉に植え込み、軒先につるして親しまれてきました。
基本データ
難易度 | 初心者でも簡単に育てられます |
価格 | 1000円(3号サイズ) |
成長速度 | 普通 |
花・種 | シダ性植物なので胞子で増えます |
日照量 | 半日陰を好みます |
温度 | やや寒さに弱いですが、霜を避ければ屋外でも越冬可能です |
湿度 | 多湿を好みます |
花言葉 | 魅惑的、愛きょう |
トキワシノブが好む環境
日当たりと置き場所
夏の直射日光を避け、半日陰に置きます。冬は屋内に取り込みましょう。十分に水分を与えていれば、室内でも管理できます。
屋内で育てる場合
葉焼けを防ぐために、直射日光を避けて置きます。明るい日差しは、トキワシノブを健康にします。レースカーテン越しに、やさしい日光が当たるよう環境づくりしてください。
耐寒性が十分にあり室内で生育できますが、冷暖房の風に当たらないように注意が必要です。
黄色い胞子が落ちるため、室内管理の場合は掃除を小まめに行います。
屋外で育てる場合
トキワシノブは山野草として親しまれていたため、春から秋にかけて屋外に置けます。耐寒性はありますが、霜に当たると越冬できません。
注意して欲しいのが、夏の直射日光です。強い日差しに当てると、葉焼するので日陰に移しましょう。
日陰は遮光ネットや寒冷紗でも作れます。遮光ネットや寒冷紗は、園芸店やホームセンター、100円ショップで手軽に購入できます。遮光率は30~50%がいいです。
気温が暑くなるほど葉焼けを起こしやすいので、40度を超える場合は、すみやかに日陰に移してください。水やりも朝晩の涼しいときに行います。
温度・湿度
寒さに強いため、−5度以下まで耐えられます。屋外で育てている場合は、5度以下になるようでしたら屋内に移動しましょう。
10度前後で成長が緩慢になります。温度が低いときに肥料を与えると、肥料焼けを起こしやすいので注意してください。
多湿を好みますが、シダにしては乾燥に強いです。より丈夫に育てるために、葉水を小まめに行います。
用土
山野草の用土を使用します。鹿沼土などがいいです。園芸店やホームセンターで購入できます。
トキワシノブは着生植物ですので、保水性の高い苔を用いると着生率が良くなります。やり方は、山野草用土の上に苔を敷くだけです。手軽に出来るので試してみてください。
また、苔玉に植え込むこともできます。涼しい風貌なので、暑さを和げる効果もあります。酷暑が厳しいとき、トキワシノブを飾り涼みましょう。
トキワシノブを上手に育てるコツ
水やり
トキワシノブは10度以下で成長が緩慢になるので、気温(室温)によって水やりのタイミングを調整しましょう。
成長が活発な春から秋にかけては、土の表面が乾いてから、鉢底から水があふれるくらい水を与えます。鉢皿を使用している場合は、適宜たまった水を取りのぞいてあげましょう。
成長が緩慢になる冬は、あまり水を必要としなくなります。土の表面が乾いてから2~3日経ってから水を与えます。また、あえて乾燥させて樹液の濃度をあげ、耐寒性をあげることもできます。
葉水
トキワシノブは、空気中の湿度を好みます。葉に霧吹きなどで水を散布してあげましょう。
葉水は害虫を防ぎ、健康な葉を保ちます。トキワシノブは乾燥に弱いので、小まめに葉水を行います。頻度は毎日1度くらいが良いです。
葉水の際に、ハンディモップやティッシュペーパーで葉にたまったホコリを取りのぞきましょう。
肥料の与え方
トキワシノブは丈夫な植物ですので、基本的に肥料は必要ありません。どうしても生育が芳しくない場合は、液肥を与えましょう。
肥料の時期は成長が活発になる春から秋にかけて、頻度は月に1度あるかないか程度でかまいません。極端な寒さにさらさなければ、安心して育てられます。
トキワシノブの選び方
トキワシノブは園芸店や盆栽を扱っている店舗、ネット通販で購入できます。ポットに植えられていたり、苔玉に植え込まれていたりします。いずれも育てやすさは同じです。十分な湿度を保って生育させましょう。
購入時は害虫がついていないかよく確認します。害虫は、トキワシノブを弱らせ枯らすだけではなく、他の植物にも移ることもあるので注意しましょう。
トキワシノブの増やし方
シダ植物ですので、種はなく胞子で増えます。高湿度な環境下で、ミズゴケなどに胞子を撒くと発芽する場合があります。なお、発芽したばかりの時は、乾燥に極端に弱いので気をつけましょう。
トキワシノブの植え替え
植え替えは基本的に必要ありませんが、根が鉢からはみ出すようでしたら、適宜行ってください。
病気・害虫
屋外で育てる場合は、ナメクジやダンゴムシに食害される機会がふえます。生長点を食べられると枯れてしまうので、防虫ネットなどで予防すると安心です。
屋内外ともに、カイガラムシやハダニ、アブラムシに注意が必要です。0.5~4㎜ほどの小さな害虫が、蕾や葉を吸汁し、トキワシノブを弱らせます。
害虫は群生している場合が多いです。ウイルスの感染経路になることもあり他の植物に移る危険もあります。
害虫を見つけたら手で取ってつぶすか、歯ブラシなどで優しくこすって落としましょう。また、木酢液を使用して害虫の予防・駆除を行えます。木酢液は養分豊富なので、栄養剤としても使用できオススメです。
葉水するときに、害虫がついていないか確認し対策してください。
トキワシノブを管理するポイント
トキワシノブは、ほとんど一年中みどりの葉をつけていますが、ずっと同じ葉がついている訳ではありません。古い葉が枯れ、新しい葉がつくといったサイクルで成長します。
この時、そのまま枯れた葉をつけていると、新しい葉に十分な養分がいかなくなります。枯れた葉を剪定し、整えてあげましょう。
トキワシノブは根が渦巻き状に生えるので、植え付けをする際に優しくほぐしてあげてください。土や苔を巻き込んで、生育の妨げになるのを防ぎます。