森のバターとも呼ばれサラダや料理に使われるフルーツ、アボカドの育て方をまとめているページです。
フルーツと言うと甘い果実を想像しますが甘くなく野菜のように使われるアボカドも立派なフルーツの一種です。アボカドは昔でこそ珍しい食べ物でしたが、今では多くのレシピが考案され日本のスーパー等でも一般的に見られる食材となりました。また、アボカドは余った種を使い観葉植物代わりに育てる方も多いいです。
このページでは自宅でアボカドを育てる場合のポイントについて解説しています。
アボカドの特徴
アボカドは中南米原産のクスノキ科ワニナシ属の果樹です。追熟させたアボカドの実は脂肪分も多くビタミンAやビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、ミネラル分も豊富で「森のバター」と呼ばれています。
アボカドを食べた後、中央にある種を水耕栽培していると根や芽が出てくるという栽培を試してみたことがある人も多いと思います。この段階まではある程度簡単に出来るのですが、実際になんとなく庭に植えていた木が10年以上経過して大きくなってから、花が咲くというケースも多い様です。
しかもアボカドの場合、1本だけだと結実しにくい傾向があり、若干、違う種類と2本で植える事で結実しやすいという傾向があります。
そのため、鉢植えだけでの栽培は行いにくく、結実までにかなり期間を要する、木自体が大きくなるといった点で考えると手軽に栽培して結実させるまでには色々と条件が必要になる事が分かります。
基本データ
難易度 | 結実までに色々と条件が必要、やや難しい |
流通名 | アボカド |
成長速度 | 実生から結実までに15年以上かかる |
花・種 | 雌雄異熟花で白く小さな雌花が咲いた後で雄花が咲き、条件次第では実をつける |
日照量 | 日当たりを好む |
温度 | 温かい生育環境を好みます |
湿度 | 多湿環境は病虫害に注意 |
花言葉 | 豊かな心 |
アボカドの花や果実
中々見る機会の無いアボカドの花や木に成ったアボカドの実の写真です。
アボカドは生理落果が多い植物ですが、栽培している農家では摘果して質の良い果実に仕上げています。個人栽培だと沢山実らせるのは難しいと思うので、少ないと感じたら摘果はせず生理落果を防ぐために新芽の摘芯を行うと良いでしょう。
アボカドが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
アボカドは日当たりが良い生育環境を好みます。種から水耕栽培する場合や種を土に植える場合も日当たりが良い場所を選んであげましょう。
鉢植えでの管理も、最初は小さめの鉢で充分ですが、植え替えるごとに一回り大きな鉢に植え替えてあげてください。
ある程度の大きさまでは鉢植えでの栽培を行う事が出来ますが、アボカドは大きく成長する木です。鉢植えで成長していく段階ではうまく結実まではいかないでしょう。10年後、20年後に実が出来るのを期待して育てる場合は庭に植え替える事も最終的に検討してください。
高さも生育状況、環境によりますが10m~20m以上になる事も。たくさん葉を茂らせ成長します。ある程度大きい木に成長する事を見据えて庭に植える事になるでしょう。
温度・湿度
アボカドはメキシコや中南米あたりの原産なので、耐暑性もありますが、耐寒性もある程度持ち合わせています。
温かい地域での栽培しか向いていないのでは?と思うかもしれませんが、意外に東京都内や静岡県あたりでもアボカドの木が成長して実が出来ているという実例がいくつかあります。
庭でどんどん大きな木が成長していくなと思っていたら実はアボカドだった。そんな例もあるのです。生ごみの中にアボカドの種が入っていて発芽したと推測されています。このケースの場合は、放置状態でどんどん成長しているという例ですね。
なので、関東あたりまでは実際に地植えでも成長している例があるという程度で参考にしてください。
湿度に関しては、熱帯地域の木なのである程度の湿度は対応できますが、多湿状況によっては病虫害の原因となる可能性も考えられます。大きさ的に鉢植えで管理できる段階までは風通しを良くして管理していくと良いでしょう。
用土
地植えする場合は、腐葉土を混ぜ込んだ土を準備して植えてあげましょう。
庭先で知らないうちに種から芽が出て立派なアボカドの木に成長したという例も多く聞かれるのですが、その場合は特に土の準備をしていないケースもあります。ある程度水はけが良い土壌であればどんどん成長していく木です。
種から芽が出てしばらく観葉植物感覚で管理していくという場合は、鉢植えでの栽培になるので、赤玉土に腐葉土を混ぜ込んだものを利用すると良いです。土を混ぜて準備するのが面倒だという場合は、観葉植物用の培養土を利用すると便利です。
鉢の大きさも成長具合に合わせて徐々に大きくしてあげてください。最初は観葉植物用の手ごろな鉢に植え付けても大丈夫ですが、成長が早いので根が鉢から見えていないかは確認して鉢を大きくしていくと良いでしょう。
アボカドを上手に育てるコツ
水やり
アボカドを発芽させる際に多くの方がネット等の情報を参考にして水耕栽培で発芽させていると思います。
その他の方法として土に植える方法もありますが、その場合は発芽して根付くまで水やりを欠かさない様に管理するのがポイントです。ある程度根付いたら後は土の表面が乾くまで待って、乾いてからたっぷりと水やりをするペースに変更します。
3月から10月ぐらいの時期は生育期でもあるので、土が乾燥する頻度も多くなります。水切れを起こしやすいのでなるべくチェックしてあげてください。
基本的に庭に地植えをして根付いて安定してきたなという状況の場合は以降の水やりは基本的に必要ありません。
水やりが必要なタイミングは、葉の向きが下に垂れた見た目になった時です。水やりのサインが出ていないかも参考にして、様子を見つつ水やりを行ってください。
肥料の与え方
基本的にアボカドの栽培では実が出来る段階まで育てるのはかなり大きく成長させる必要があるため、観葉植物感覚で楽しむという人が多いです。
鉢植えで管理している時には、アボカドの生育期でもある3月から9月あたりの期間で1か月おきに緩効性の化成肥料を与える方法で肥料を与えます。
成長していくに伴って、もしかしたら花が咲く様になるかもしれません。目安としては5月あたりが開花時期です。花が咲くと肥料を必要としていますので、液肥を定期的に与えても良いでしょう。
冬越し
アボカドはある程度の耐寒性がありますが、耐寒温度は-5℃程度までです。それ以下の温度になりそうな場合は、鉢植えの場合、屋内に移動させて日当たりの良い場所で栽培します。
地植えでまだそれほど大きくなっていないという場合は、トマト用の雨除けを利用して簡易的に防寒対策をしている例もあります。もし温度的に心配な場合は参考にしてみると良いでしょう。
ここ最近は温暖化傾向もあるからでしょうか。東京都内での栽培例では、特に対策もせずに冬超しをして、どんどん大きく成長したという例もあります。
アボカドの選び方
アボカドは種から発芽させるというイメージが強いですが、基本的に観葉植物で楽しむ程度になってしまいます。
もし、本腰を入れて栽培させたいという場合は、実の付き具合が良くなる様に別の種類2種を近くに植える方法で結実を期待します。アボカドは以下の7種類が良く知られています。
- ハス
- ベーコン
- フエルテ
- ピンカートン
- グエン
- メキシコーラ
- ズタノ
日本での栽培がしやすいのはベーコン、フエルテ、ピンカートンあたりなので、この種類の苗を購入する事になるでしょう。
ハス種はマイナス7度までの耐寒性、ベーコン種はマイナス4度程度まで耐えられますので、ハス種かベーコン種あたりで組み合わせで選ぶのがおすすめです。
アボカドの増やし方
アボカドを手軽に増やす方法としては、種から栽培する方法です。
市販のアボカドを調理する際に、中央部分にある種を利用します。種は周辺についた果肉を洗ってください。
ややとがった形を上に向け、そのまま赤玉土に上半分が見える状態で植え、発芽するまで乾燥させない様に水やりをする方法もあります。他には下の方に3か所程度、つまようじを挿して、球根栽培の様な要領で下部分を水につけるという方法でも芽が出ます。
成長した木を選定した枝を利用した挿し木でも根がついて増やす事もできます。切った枝をしばらく水差しで管理していると白い粒状のものがついてきます。そこから根が出てきますので、土に植えて根付くまで乾燥させない様に水やりをしてください。
アボカドの植え替え
アボカドは観葉植物感覚で楽しむ人が多いですが、成長も早く、大きくなると20m近い高さまで成長します。そのため、鉢植えでの管理をしている際も成長が早い方なので根つまりを起こしやすいです。一般的に鉢植えの植物は2~3年ごとに植え替えといわれていますが、アボカドの場合は毎年、植え替えてあげましょう。
植え替えの際に注意したいのは、根が弱い方なので根を傷めずに植え替えます。一回り大きめの鉢に根の周辺の土ごと一緒に移動して植え替えてあげてください。
地植えに切り替える場合も、鉢の大きさよりも一回り大きめに掘り、根の周辺の土ごと植え替えます。アボカドの植え替えは気温が上がった5月~6月あたりに植え替えると良いでしょう。
病気・害虫
アボカドはハダニやカイガラムシがつく事があります。枝や葉から栄養を吸い取ってしまうので、見つけ次第駆除してください。カイガラムシの成虫は歯ブラシを使って擦り落とす方法がおすすめです。
病気では炭疽病にかかる可能性があります。これは葉に黒い病斑が出てくる病気で広がりやすいです。早めに見つけるためにも普段からこまめに木の様子を観察しておくと良いでしょう。
病変部は取り去ってください。カビの菌が原因で風通しも関係しています。ある程度の大きさになってきたら剪定をして風通しが良い環境にしてあげましょう。