エアプランツは空中の水分で育ち、土を必要としない変わった植物として非常に人気があります。
このページではエアプランツの特徴や育て方についてご紹介しています。
エアプランツの特徴
エアプランツは、葉や根から雨や空気中の水分を吸収して成長する、土のいらない植物です。もとは中南米を原産とするパイナップル科に分類される多年草で、属名の「チランジア」と呼ばれることもあります。
原生地では木の幹や岩などに着生しているため、根があまり発達していないのが特徴です。そのため、鉢植えではなくコルク材や流木に活着させたり、ガラス容器や空中に吊るしたりして飾る楽しみ方もあります。
世界には600種以上のエアプランツが存在すると言われています。大きく分けると葉の表面が銀色の繊毛に覆われた「銀葉種」と、つやつやした葉を持つ「緑葉種」の2タイプに分類されます。
エアプランツには水やりが不要というイメージがありますが、原産地よりも湿度の低い日本での管理では定期的な水やりが必要です。
基本データ
難易度 | 易しい |
価格 | 1,000円~5,000円(4号サイズ) |
成長速度 | やや速い |
花・種 | 十分に成長するとピンクや青などの花が咲きます |
日照量 | 日光を好みますが直射日光は避けましょう |
温度 | 寒さにやや弱いため冬は5℃以上を保ちます |
湿度 | 多湿を好みますが風通しは必要です |
花言葉 | 不屈 |
エアプランツが好む環境
日当たりと置き場所
エアプランツは日光を好みますが、葉焼けを防止するため直射日光は避けましょう。
屋内で育てる場合
エアプランツは耐陰性があるため屋内でも育てることができますが、日照不足になると葉の色が悪くなりやすいので、できるだけ日がよく当たる場所に置くようにします。
ただし、強い日差しが当たると葉焼けを起こしてしまうので、レースのカーテン越し程度の光に当ててください。
多湿な環境を好みますが健康に育てるには風通しが必要なので、サーキュレーターを利用したり窓を開けたりして空気を循環させましょう。
屋外で育てる場合
エアプランツは春から秋にかけて屋外で管理することができます。日当たりと風通しのよい戸外で栽培することでより元気な株に育ちます。
軒下などの明るい日陰が適していますが、日なたに置く場合は遮光ネットや寒冷紗などを使って30~50%の遮光をしてください。
寒さにはやや弱い植物なので、冬は気温が10℃を下回ってきたら暖かい室内へ取り込みましょう。
温度・湿度
エアプランツは暖かい地域を原産とする植物なので、暑さには強いものの寒さには弱いです。年間を通して10℃以上を保つのが理想です。
夏の暑さには基本的に耐えますが、40℃近くになる真夏の時期は強い日差しが当たる場所には置かないようにします。夏場は蒸れを防ぐため高温になる日中の水やりは避けます。
エアプランツは水が不要だと言われることがありますが、基本的には湿度の高い環境を好む植物です。冷暖房などの乾いた風が当たらないよう管理し、定期的に水やりをしてください。
用土
エアプランツは根があまり発達していないため、特に土は必要ありません。
コルク材や流木、ヘゴ板などに活着させたり、ガラス容器に飾ったり、針金などを使って空中に吊り下げたりと、いろんな方法で鑑賞することができます。キアネアなどの一部の品種は水苔やヤシ殻などを用土として用います。
インテリアとしてガラス瓶などに入れる場合は、空気の流れが悪くなると株が弱ってしまうので、密閉しないよう気をつけましょう。
エアプランツを上手に育てるコツ
水やり
エアプランツは葉から空気中の水分を吸収して育つため毎日の水やりは不要ですが、もとは湿潤な環境で自生する植物なので、定期的に水をあげるようにします。
土を用いないエアプランツの水やりは、主に霧吹きによっておこないます。春から秋の暖かい時期は2~3日に1度、冬場はやや回数を減らして、株全体に水を吹きかけましょう。
屋外で育てている場合は雨に当てるだけでも構いませんが、状態によってはジョウロなどで水を与えてください。
乾燥が気になる時には月に1回程度のソーキングがおすすめです。エアプランツを常温の水に4~6時間ほど浸し、逆さにして自然乾燥させてから元の場所に戻します。
葉水
エアプランツへの水やりは基本的に葉水(ミスティング、シリンジ)でおこないます。
土を用いた鉢植えであれば株元に水を注ぐ方法を採りますが、土が不要なエアプランツには2~3日に1度を目安に霧吹きなどを使って水を吹きかけます。
ミスティングの際に株の根元にたまった水は蒸れの原因となるので、逆さにして落としてから元の場所に飾るようにします。
冬場は水やりの回数を減らしますが、暖房の風などで乾燥しやすいため、植物の様子を見ながら必要であればこまめに葉水を与えてください。
肥料の与え方
エアプランツは丈夫な植物なので肥料はなくても育ちますが、春から秋の生育期に施肥するとより元気な株になります。
肥料を与える場合は、規定の濃度に薄めた液体肥料を霧吹きに入れて株全体に吹きかけます。もしくは生育期におこなうソーキングの際に、水へ少量の液体肥料を入れてもよいでしょう。
キアネアなど鉢植えにする一部の種類には、春から秋にかけて2~3か月に1度の頻度で固形の緩効性肥料を置き肥します。
ただし、肥料の量が多いとコケが生えたり株が傷んだりする原因にもなるので、与えすぎには注意してください。
エアプランツの選び方
エアプランツを買う際には害虫が付着していないか必ず確認しましょう。害虫がついた株を買ってしまうと、後になって株が弱ったり他の植物へ被害が広がったりする可能性があります。
葉に弾力があり、株がしっかりしたものを選びましょう。
エアプランツの増やし方
エアプランツは種まきと株分けによって増やすことができますが、4~5年かけて栽培しないと花を咲かせず、種はめったに手に入りません。まずは株分けで数を増やすのが簡単です。
エアプランツの株が大きく成長すると、株元に子株ができることがあります。この子株を親株から切り離して、新しい株を作ります。子株を切り離す際は、葉が5~6枚ついたものを選びます。茎が非常に折れやすいので、手でつまんでゆっくり剥がすように取ってください。
まだ十分に成長していない子株を切り離してしまうと、株の生育が遅くなるので注意します。親株の2/3ほどの大きさになるまで待ちましょう。
切り離した子株は、コルクなどに活着させたりして通常通り育てます。株分けに適した時期は、生育期である春から秋ごろです。
エアプランツの植え替え
エアプランツは根があまり発達しておらず土が不要なため、空中に吊るしたりコルクや流木などに活着させたりして飾ることが多いです。そのため、基本的には植え替えの必要はありません。
ただし、キアネアなどの一部の種類で、水苔やベラボン(ヤシ殻)などに植え付けているものは、劣化した用土を新しくするためにも定期的に植え替えをするとよいでしょう。
水苔に植えたエアプランツの植え替えは、以下の手順でおこないます。
- 新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 株を鉢から抜き出して古い水苔を取り除く
- 水を含ませた新しい水苔を根に巻きつけ、軽く絞る
- 鉢の中に株を入れ、隙間に水苔を詰める
- 数日は水やりを控え、風通しのよい半日陰で管理する
植え替えはエアプランツの生育期である春から夏が適期です。
病気・害虫
エアプランツには特に目立った病気の心配はありません。
管理状態によっては葉がしなしなになることがありますが、主な原因は水不足です。乾燥には強いものの水を与えないでいると葉が乾いて萎びてしまいます。また、葉色が悪くなってきたときは日照不足のサインです。日当たりのよい場所に移すか、室内管理の場合は時々外に出してあげることで元に戻るでしょう。
エアプランツには害虫がつく可能性も低いですが、まれにカイガラムシが発生することがあります。
カイガラムシは白い綿毛を背負った1~3mmほどの害虫で、葉や茎に付着して養分を吸い取り、株を弱らせます。発生しているのを見つけたらすぐに割りばしや粘着テープで取り除くか、被害が大きい場合は殺虫剤を使って駆除しましょう。
ただし、カイガラムシの成虫には薬剤が効きにくいため、歯ブラシなどでこすり落としてください。