スパティフィラムは白い仏炎苞の花を咲かせる人気の観葉植物です。
このページではスパティフィラムの育て方について解説しています。
スパティフィラムの特徴
スパティフィラムは中南米の熱帯や東南アジアに30種以上が分布するサトイモ科の多年草です。
白い花のように見える仏炎苞と葉の濃緑とのコントラスとが美しく、細く伸びる上品な草姿が清楚な印象を与えるのが特徴です。
耐陰性があり丈夫なため育てやすく、小鉢から中鉢の大きさで楽しむ室内向けの観葉植物として人気があります。
スパティフィラムには小型なものから大型なものまでさまざまな品種がありますが、日本では「スパティフィラム・メリー」という品種が広く流通しています。
寒さに弱いため鉢植えで育てるのが一般的ですが、気温が高い夏の期間には庭の日陰に植え込み、花を鑑賞することも可能です。
繊細で優しい雰囲気を持つスパティフィラムは、さりげない存在感でお部屋のインテリアを華やかにしてくれるおしゃれな観葉植物です。
基本データ
難易度 | 初心者向き |
価格 | 3,000円〜10,000円程度(6号サイズ) |
成長速度 | 速い |
花・種 | 白い仏炎苞に黄色い小さな花を咲かせます |
日照量 | 日光を好むものの耐陰性があるため室内でも育ちます |
温度 | 寒さに弱いため5℃以下にならないようにします |
湿度 | 多湿を好みますが根腐れ防止に水はけのよい土を使用します |
花言葉 | 上品な淑女、清らかな心 |
スパティフィラムが好む環境
日当たりと置き場所
スパティフィラムは日光を好みますが葉焼けを防止するため直射日光を当てないように注意します。
屋内で育てる場合
スパティフィラムは耐陰性があるので屋内でも管理することができます。
ただし、日光によく当たるほうが健康な株になるためなるべく日当たりのよい場所に置きましょう。
室内で育てていても直射日光を当てると葉焼けを起こす可能性があるので、レースのカーテン越し程度の光を当ててください。
スパティフィラムは湿度の高い環境を好みます。乾燥を防ぐため冷暖房の風が直接当たる場所には置かないようにしましょう。
屋外で育てる場合
スパティフィラムは日当たりを好むため、春から秋にかけては屋外で育てることもできます。
ただし、直射日光に当てると葉焼けを起こし、葉の全体が茶褐色に変色してしまいます。屋外で育てる場合は、環境に合わせて30%〜70%の遮光をしてください。遮光ネットや寒冷紗を使用すると簡単に遮光ができます。
また、気温が高ければ高いほど葉焼けが起きやすくなるため、40℃を超える場合は室内での管理をおすすめします。
温度・湿度
スパティフィラムは高温多湿を好みますが、適切に管理すれば四季のある日本でも健やかに育ちます。
熱帯植物のため高温には強いものの低温には弱いです。スパティフィラムを管理する場所は5℃以下にならないように注意しましょう。
ベランダなどの屋外で育てている場合は、外気が15℃を切ってきたら室内に取り込んでください。
ただし、室内外を移動させる際には、急に環境を変えると株が弱ってしまうことがあるため少しずつ慣らしながら移すようにしましょう。
用土
スパティフィラムは湿度の高い環境を好みますが、土の過湿は根腐れの原因となるため水はけの良い用土を使用しましょう。
初心者であればホームセンターなどで市販されている観葉植物用の土を使用するのが最も簡単な方法です。
自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3、あるいは赤玉土(小粒)8:腐葉土1:川砂1などの割合でブレンドするとよいでしょう。
コバエ対策として、土の表面を赤玉土や鹿沼土、化粧砂など無機質の用土で覆うと効果的です。
スパティフィラムを上手に育てるコツ
水やり
スパティフィラムは気温や季節によって水やりのタイミングや量を変える必要があります。
春から秋にかけての生育期には、土の表面が乾燥したらたっぷりと水を与えます。鉢の底から水がしみ出てくる程度の量が目安です。
気温が15℃を下回ると成長が緩慢になるため、水を与えすぎると土の過湿により根腐れを起こしてしまいます。冬は土の表面が乾燥してから2〜3日後に水やりをしてください。
スパティフィラムは乾燥させて樹液の濃度を高めることで耐寒性を高めることができます。ただし、葉が落ちてくるようであれば水やりの回数を増やすようにしてください。
葉水
葉水は葉の乾燥を予防するだけでなく、害虫を予防するのにも効果的です。霧吹きなどを使って1日1回は葉の表裏に水を吹きかけるようにしましょう。
葉水を与えることで葉に艶が出て生き生きとした印象になります。
スパティフィラムの葉にはホコリが積もりやすいため、葉水の際に濡らしたティッシュペーパーなどで優しく拭き取るようにしてください。葉のホコリは光合成を妨げる恐れがあります。
肥料の与え方
スパティフィラムがよく育つのは春から秋にかけてです。5月〜9月の生育期には2か月に1回、緩効性の固形肥料を置くようにします。
液体肥料を使う場合は、規定濃度に希釈したものを2週間に1回のペースで与えてください。冬の期間は生育が緩慢になるため基本的には肥料は不要です。
スパティフィラムは肥料を与えることで花付きがよくなります。ただし、窒素を多く含むものを与えると花が咲きにくくなるため、肥料の成分には注意しましょう。
スパティフィラムの選び方
スパティフィラムを購入する際には必ず害虫が付いていないか確認してください。
ハダニやアブラムシなどが付着している株を選んでしまうと、スパティフィラムが傷みやすくなったり、他の植物へ被害が広がったりする可能性があります。
スパティフィラムの購入は生育期の暖かい時期がおすすめです。
スパティフィラムの増やし方
スパティフィラムは、株分けや挿し木で増やすことができます。
株分けで増やす場合は、まず鉢からスパティフィラムを抜き出して古い土を落とし、手で株を2〜3つに分けていきます。根が固い場合はナイフなどを使って切り分けます。傷んだ根があればハサミで取り除きましょう。
切り分けた株をそれぞれ新しい鉢へ植え替え、新芽が出るまで日陰で管理します。
スパティフィラムの挿し木は、虫がいない丈夫な枝を選び、先端から2〜3節のところで斜めにカットします。下のほうの葉は取り除き、残りの葉も半分〜1/3程度を残して切り取ります。
枝の断面を水に浸してから水苔か小粒の赤玉土へ植え込み、発根するまで土を常に湿った状態に保ち、明るい日陰で管理します。根が出たら水はけの良い土へ植え替えましょう。
スパティフィラムの植え替え
スパティフィラムは成長スピードが速いため、放置していると鉢の中に根がまわり根詰まりを起こします。
根詰まりが起きると水を上手く吸えなくなり葉が枯れてしまうため、1〜2年に1度は一回り大きい鉢へ植え替える必要があります。鉢の底から根が出ている時も植え替えのタイミングです。
スパティフィラムの植え替えの手順は以下の通りです。
- 一回り大きな鉢の底穴に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な土を鉢の1/3程度まで入れる
- スパティフィラムを鉢から抜き出し古い土を落とす
- 鉢の中心にスパティフィラムを置き、土を追加する
- たっぷりの水を与え、根が落ち着くまで半日陰で管理する
植え替えのタイミングは生育期である5〜8月頃が適しています。
病気・害虫
スパティフィラムがかかる可能性のある目立った病気は特にありません。
ただし、ハダニやカイガラムシなどの害虫が発生することがあるため注意しましょう。
ハダニは葉の裏側につきやすい白い粉のような虫です。乾燥を好むため、常に葉水を与えて湿った状態を保つことで発生を防ぐことができます。
カイガラムシは白い綿毛のようなものを背負った1〜3mmほどの害虫です。発生を防ぐには1年を通して風通しの良い場所へ株を置くようにしましょう。
害虫を発生したら、初期の場合は霧吹きや粘着テープなどで取り除きます。被害が大きい時は殺虫剤を吹きかけて駆除してください。
ただし、カイガラムシは成虫すると殻で覆われ薬剤が効きにくくなるため、歯ブラシなどでこすり落とすようにします。
スパティフィラムの毒性や危険性について
スパティフィラムは猫にとって中毒性のある植物です。
猫がスパティフィラムの葉や茎を間違って食べてしまうと、口の中が刺激され、口腔内の痒みやよだれ、起動閉塞、痙攣などの神経症状を引き起こすことがあります。
猫を飼っている家庭ではスパティフィラムの栽培は避けたほうが賢明です。