ヒヤシンスは香りの良い色鮮やかな花を咲かせる植物で、手軽に水耕栽培で育てられる事から室内のインテリアとしても人気があります。
このページではヒヤシンスの特徴や育て方についてご紹介しています。
ヒヤシンスの特徴
ヒヤシンスはギリシャやシリア、小アジアなどを原産とするキジカクシ科(ユリ科)ヒヤシンス属に分類される多年草です。チューリップやスイセンなどと同じく春に開花する秋植え球根です。
小さなラッパのような花を茎の先にもこもこと咲かせるのが特徴で、花には香水のような強い香りがあります。葉と茎のバランスがよく整った草姿をしています。
原種の花色は青紫色ですが、園芸品種には赤や白、ピンクなど変化に富みます。球根の表皮が花と同じような色をしているので、球根から花色が分かります。
ヒヤシンスはギリシャ神話にも登場するほど古くから鑑賞されており、品種の数も豊富です。日本では約10種が栽培されています。
背丈は20cmほどと大きくなく、水栽培も可能なので、室内でも気軽に育てられる草花として人気があります。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | ヒヤシンス、ダッチヒヤシンス |
成長速度 | 早い |
花・種 | 3月から4月にかけて開花します |
日照量 | 日光を好むので日当たりのよい場所に置きます |
温度 | 寒さに一定期間当てることで花つきがよくなります |
湿度 | 土の過湿に弱いので水はけのよい土を使います |
花言葉 | 控えめな愛らしさ、悲しみ(紫)、あなたとなら幸せ(黄) |
ヒヤシンスが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
ヒヤシンスは太陽の光によく当てることで健康な株になります。日照不足になると茎が間延びするため風通しのよい日なたで管理します。
室内で栽培することもできますが、窓際などの日がよく当たる場所に置いてください。ときどき昼間に戸外へ出して日光浴をさせるとよいでしょう。
ヒヤシンスは一定期間、寒さに当たらないと花を咲かせない植物です。冬は暖かい室内よりも寒い屋外の環境のほうが適しているので、開花前の冬の時期はできるだけ戸外の日なたに置くようにします。
球根の植え付けは水はけのよい土壌が適しています。土が常に湿った状態になると球根が腐りやすくなるので、水はけが悪い場合は砂やパーライトなどを混ぜてください。
水栽培の場合、根が出るまでは涼しくて暗い場所に置いておくか、箱などで光を遮りましょう。芽が出てきたら日当たりのよい場所へ移して管理します。
温度・湿度
ヒヤシンスは冬に低温の環境に置くことで花芽をつけるため、冬はなるべく戸外に置いて寒さに当てましょう。
水栽培で育てる場合、12月いっぱいまで外に置いて寒さに十分当ててから、日当たりのよい室内へ移すと、花つきがよくなります。
ヒヤシンスは気温が高くなる6月頃には株が枯れ始め、休眠期に入ります。球根を増やす場合は、水やりを控えて葉が完全に枯れるのを待ってから掘り上げます。
鉢植えや水栽培にすると気温の調節がこまめにできるので便利です。
用土
ヒヤシンスは土の過湿に弱いので、水はけのよい用土を使用します。
基本的には市販の草花用培養土や球根用培養土でかまいませんが、水はけが気になる場合は砂やパーライトを足すと改善します。
自分でブレンドする場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:パーライト1などの割合で混ぜた土を使うのがおすすめです。ヒヤシンスは酸性土を嫌うため、地植えの場合はあらかじめ苦土石灰を混ぜて土壌の酸度を調整しておきましょう。
ヒヤシンスを上手に育てるコツ
水やり
ヒヤシンスの水やりは、鉢土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。鉢の底から水が流れ出るくらいの量が目安です。受け皿に溜まった水は根腐れの原因となるためすぐに捨てましょう。
地植の場合も、土が乾いていたらたっぷりと水やりをしますが、雨に当たるため根が張ってきたら定期的な水やりは必要ありません。
ヒヤシンスは秋から春にかけて栽培するので、夜間は冷え込みます。夕方以降に水やりをすると土が凍ることがあるので、早朝から午前にかけて水やりをしましょう。
肥料の与え方
ヒヤシンスは、球根や苗を植え付ける時に、元肥として緩効性の粒状化成肥料を施しておけば、開花するまで特に肥料を与えなくてもかまいません。
株元からつぼみが見え始めたら、花が咲き始めてからは、規定の濃度より少し薄めの液体肥料を1週間~10日に1度のペースで水やりの代わりに与えます。もしくは緩効性の固形肥料を株元から離れた土の上に置いて追肥します。
花後に緩効性肥料を追肥すると球根の肥大化を促しますが、与えすぎると球根が傷むことがあるので与えすぎには注意しましょう。
冬越し
ヒヤシンスは一定期間の寒さに当てることで花芽がついて開花するので、冬はできるだけ戸外に置いて日光と寒さに当てるようにします。
室内で栽培する場合、鉢植えのものはベランダなどの戸外で、水栽培であれば戸外もしくは冷蔵庫内などの暗くて涼しい場所で管理します。
また、ヒヤシンスは9月から4月にかけてよく生育するので、冬場は土の表面が乾燥したらたっぷりと水を与えてください。ただし、夜間に水を与えると土が凍ってしまうことがあるので午前中のうちに済ませましょう。
ヒヤシンスの選び方
ヒヤシンスの球根を購入する際は、病気にかかっておらず、ずっしりとして重みがあり、大きなものを選びましょう。
苗を購入するときは害虫がついていないか必ず確認してください。葉がいきいきとしていて根がしっかり張っているものがよく育ちます。
ヒヤシンスの増やし方
ヒヤシンスは球根を分ける分球という方法で増やすことができます。
花が咲き終わると古い球根に新しい球根(子球)がくっつくようにして数が増えるので、球根を掘り上げて子球を切り離し、新しく植え付けます。
球根を肥大化させるため、花が咲き終わった後も葉が枯れるまでは通常通り管理しましょう。5~6月頃、葉が枯れているのを確認したら球根を掘り上げます。
一般的なヒヤシンスは自然に分球しにくいため、ナイフなどで切れ込みを入れて分球を促す「ノッチング」という作業が必要です。
球根を掘り上げたら、根が出ている底の部分に浅い切り込みを入れてください。湿気が少なく風通しのよい場所に置き、逆さにした状態で乾燥させましょう。
秋になると子球が確認できるので、親株から切り離して通常通り植え付けます。
ヒヤシンスの植え替え
ヒヤシンスは多年草なので、1度花が咲いた後も2~3年であれば毎年花が咲きます。基本的に植え替えは不要ですが、土が痩せてくるので2~3年に1度は球根を掘り起こして分球させ、新しい用土に植え付けましょう。
水栽培のヒヤシンスの場合も、花が咲き終わった後に花茎を取って土に植え、葉を光合成させてあげると新芽が出てきます。
球根を植え付ける土には腐葉土や堆肥などを混ぜて有機質に富んだ土壌にしておくと、翌年も上手に開花させることができます。
病気・害虫
ヒヤシンスがかかりやすい病気には「軟腐病」が挙げられます。
軟腐病は植物に細菌が入り込むことにより葉や球根が腐ってしまう病気です。梅雨などの高温多湿な環境の下で発生しやすいため、土の通気性と水はけは常によくしておきます。
発症したら元に戻らないため、被害に遭った株や球根は処分してください。球根を増やす場合は、土の過湿をふせぐため梅雨に入る前に掘り上げましょう。
ヒヤシンスにはあまり害虫はつきませんが、まれにアブラムシが発生することがあります。
アブラムシは茎や葉に棲みついて栄養分を吸汁し、株を弱らせてしまう害虫です。見つけたらすぐに割り箸や粘着テープなどで取り除きましょう。数が多い場合は薬剤を使って駆除します。
ヒヤシンスの毒性や危険性について
ヒヤシンスの球根や葉、茎には有毒成分であるシュウ酸カルシウムか含まれています。
球根を掘り上げて分球させる際などに触れると、体質によっては皮膚が炎症を起こしてしまう可能性があります。球根を扱う時は手袋などを使用しましょう。
また、ペットや小さな子どもが誤って口にすると嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こす恐れがあります。できるだけ手の届かない場所に置くようにしてください。