夏の風物詩と言えばアサガオ(朝顔)です。日本では昔から観賞用に楽しまれてきた植物で、日本人にはとても馴染み深い植物です。
このページではアサガオの特徴や育て方についてご紹介しています。
アサガオの特徴
アサガオは、熱帯から亜熱帯地域を原産とするヒルガオ科サツマイモ属に分類される一年草です。
夏に花を咲かせる代表的な植物で、日差しが柔らかい早朝に開花します。暑い季節に涼しげな印象を与える草花として、日本でも古くから親しまれています。
アサガオの花びらは円錐状のものが多く、花色は青や紫、白、赤、ピンクなど変化に富みます。縁取りや絞り、斑入りなど模様もさまざまです。
多くの品種は早朝に花が開いたら午後にはしぼむ一日花です。一部の種には2日ほど開花するものもありますが、基本的には翌日に同じ花は咲きません。
ほとんどの種がつる性のため、育てるには行灯仕立ての支柱や、緑のカーテンを作る場合にはネットを使用します。
小学校低学年の授業で取り上げられるほど、初心者でも容易に育てられる植物ですが、より綺麗にたくさん開花させるには「摘芯」などの手入れが必要です。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | アサガオ |
成長速度 | 早い |
花・種 | 7月中旬から10月上旬にかけて開花し、開花後は種を付けます |
日照量 | 日当たりを好みますが真夏は西日を避けましょう |
温度 | 暑さに強く寒さに弱い夏の花です |
湿度 | 土の過湿に弱いので水の与えすぎには注意します |
花言葉 | 愛情、結束、あふれる喜び(白)、短い愛(青)、冷静(紫) |
アサガオが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
アサガオは暑さに強く日当たりを好むので、基本的には日なたに置いて管理します。ただし、高温になる真夏は葉が萎れやすいため、西日は避けましょう。
また、アサガオは日没から8~10時間ほど暗闇に置くことで開花する短日植物です。街灯などで夜間も明るくなる場所では花付きが悪くなります。
発芽適温は20~25℃前後なので、種から育てる場合は5月中旬から6月にかけて植え付けます。気温が低いと芽が出にくくなります。
鉢植え・地植えともに栽培が可能ですが、湿度の高い環境下では病害虫の被害に遭いやすいため、植え付けの際は風通しのよい場所を選んでください。
アサガオには有機質に富んだ肥沃な土壌が適しています。種や苗を植え付ける前に、堆肥や腐葉土をすき込んでおきましょう。
温度・湿度
アサガオは夏に咲く花なので、基本的には暑さに強い植物です。日光を好みますが、強烈な直射日光が当たると萎れることもあるので、高温になる真夏の西日は避けるようにします。
耐寒性は劣るものの、ほとんどの種は秋になると枯れてしまうため防寒対策は不要です。
アサガオの種がスムーズに発根するには20~25℃程度が適しています。気温が低いと根が出にくくなるので、寒冷地では霜が降りなくなった頃に種まきをしましょう。
湿度の高い環境下に置くと病害虫が発生する可能性が高くなります。季節にかかわらず風通しのよい場所で管理してください。
用土
アサガオの土壌には、有機質に富んだ水はけ・水もちのよい土が適しています。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使用するのが最も簡単です。水はけが悪い場合は川砂を混ぜると改善します。
自作するのであれば、赤玉土6:腐葉土4、あるいは赤玉土5:堆肥2:腐葉土2:燻炭1などの割合で混ぜた土がおすすめです。
地植えにする場合は、あらかじめ堆肥や腐葉土、有機肥料をすき込んで2週間ほど寝かせます。その後、苦土石灰を混ぜてさらに2週間ほど寝かせると土壌が完成します。
アサガオを上手に育てるコツ
水やり
鉢植えのアサガオには、土の表面が白っぽく乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。
春と秋には1日1回、乾燥しやすい夏は朝と夕方の2回を目安に水をあげます。土の中の水分で根が蒸れるのを防ぐため、高温になる日中の水やりは避けましょう。
地植えの場合は、苗を植え付けてから根が定着するまでは水を与えますが、根付いた後の水やりはほとんど必要ありません。
雨が降らない日が続くような時には、地中まで染み渡るくらいの量をたっぷりと与えます。
肥料の与え方
アサガオの種や苗を植え付ける用土には、あらかじめ元肥として緩効性肥料を施しておきます。地植えの場合は、植え付ける前に堆肥や腐葉土、有機肥料を入れてすき込んでおきましょう。
植え付けから3週間ほど経ったら、追肥として速効性肥料を与えます。規定の濃度に薄めた液体肥料を7~10日に1回、水やりの代わりに施すか、固形肥料を1か月に1度のペースで置き肥します。
土壌が栄養過多になると根が肥料焼けを起こすことがあるので、与えすぎには注意してください。
冬越し
アサガオは5月から6月にかけて種をまき、夏に開花する植物です。秋になると枯れてしまう一年草なので、冬越しの対策は必要ありません。
アサガオの仲間であるオーシャンブルー(琉球アサガオ)は多年草のため、冬は寒さで枯れるものの土の中で越冬し、翌年も花を咲かせます。
アサガオの選び方
アサガオの栽培は、種から育てる方法と苗から育てる方法があります。初心者であれば苗から育て始める方が失敗しにくいでしょう。
苗を購入する際は、害虫や虫食いの跡がないか確認します。他の苗と比べて葉色が悪いものや萎れているものは避けてください。
茎が間延びしておらず、株元がしっかり安定している苗を選ぶようにします。
アサガオの増やし方
アサガオは、種まき、挿し木、接ぎ木で数を増やすことができます。
サツマイモの茎を使っておこなう接ぎ木は主にプロがおこなう高度な方法なので、家庭では種まきや挿し木での作業がおすすめです。
アサガオの採種は、実が茶色くなり、がくが反り返った頃が適期です。種を取ったら次の春まで冷暗所で保管してください。ただし、自家受粉を続けると品質が低下する傾向があります。
アサガオの種は、発芽処理済みのもの以外は表皮の一部に傷をつけてまきます。6~7.5cmポットに2粒ずつの間隔で、約1cmの深さに植えましょう。
挿し木で増やす場合、健康な茎葉を切り取って挿し穂にします。大きい葉は蒸散を防ぐために半分ほどにカットし、茎の切り口を1時間ほど水に浸しましょう。
肥料分のないバーミキュライトなどの用土に挿して、乾燥しないよう管理してください。新しい芽が出る頃には根がしっかりしているので、苗として鉢へ植え付けます。
アサガオの挿し木は6月頃におこなうのが適しています。
アサガオの植え替え
アサガオの種を鉢へ植え付ける場合、発芽してから大葉が3~4枚になったタイミングで植え替えをします。つるが伸び始めると扱いにくいので、遅くても本場が7~8枚になる頃までに定植しましょう。
アサガオの植え替えの手順は下記の通りです。
- 新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- アサガオに適した清潔な培養土を入れる
- 元のポットから根鉢を崩さないよう苗を抜き取る
- 根鉢の大きさに合わせて土に穴を掘り、苗を置く
- 土と根鉢の間に土を寄せて支柱を立てる
- 水をたっぷり与えて日当たりよい場所で管理する
苗を鉢に植え替える際は、5.5~6号サイズの鉢を使います。緑のカーテンを作る場合は、支柱の替わりにネットを張っておきます。
病気・害虫
アサガオがかかりやすい病気には、葉に斑点が現れる「斑点病」や、粉のような白いカビが生える「うどんこ病」、ウイルスによる伝染性の「モザイク病」などがあります。
斑点病やうどん粉病を発症したら、被害箇所を切除しましょう。モザイク病にかかったアサガオは株ごと処分します。ウイルスを運ぶ害虫がつかないよう注意したり、作業に使うハサミなどをこまめに消毒したりして予防してください。
アサガオにつきやすい害虫には「ハダニ」や「アブラムシ」、「ヨトウムシ」などがいます。
ハダニやアブラムシは葉や茎に付着して植物の養分を吸い取り、株を弱らせる害虫です。発見したら粘着テープや薬剤を用いて駆除します。
ヨトウムシはアサガオの葉や茎、実、花の広範囲に寄生し、食害に遭わせる蛾の幼虫です。
発生したまま放置すると株全体を食い尽くす可能性があるので、見つけたらすぐに殺虫剤などで退治しましょう。卵を発見したら葉ごと切り取り処分します。
アサガオの毒性や危険性について
日本人に広く親しまれているアサガオですが、その種には毒があります。黒色の硬い表皮のなかにある白っぽい種には、中毒症状を引き起こすファルビチンが含まれています。
誤って食べてしまうと非常に激しい下痢を起こすほか、嘔吐や血尿などの症状を誘引することがあります。
大人でも少量を摂取するだけで症状を起こすので、種まき用に保管する場合は、子どもやペットの手が届かない場所で管理してください。