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園芸で使う土の種類と用途

園芸

観葉植物や多肉植物に最適な土はどれ?園芸用の用土は種類が沢山あってわかりづらい…

そんな疑問を解決するためにこのページでは園芸で使う土の種類と用途についてまとめました。

土の種類

園芸で使う土には大きくわけて基本用土と改良用土(改良材)に分類されます。

土(用土)にはそれぞれの性質があり育てる植物の種類によって使い分けしますが、栽培に適した条件を全て満たす基本用土は無いため、欠点を改良用土を補ってあげる必要があります。

土にはそれぞれ下記の特徴を持っていますので、数種類をブレンドし育てたい植物に適した土壌環境を作ってあげます。

  • 通気性・・・酸素を根に十分供給できるかどうか
  • 排水性・・・水が抜けやすいかどうか
  • 保水性・・・水を保つ力
  • 保肥性・・・肥料成分を保持する力
  • PH(ペーハー)・・・土の水素イオン指数(酸性~アルカリ性)

また、最初から数種類をブレンドして特定の植物用に作り出された土を培養土。ハイドロカルチャー用のハイドロコーンや、水草育成に利用するソイル等特殊な用途を持った土もあります。

次では基本用土、改良用土の性質をみていきます。

基本用土

土の種類 通気性 排水性 保水性 保肥性 PH
赤玉土 弱酸性
鹿沼土 酸性
日向土 × × 弱酸性
黒土 × × 弱酸性
荒木田土 × × 弱酸性
ケト土 × × 弱酸性
川砂 中性
富士砂 弱酸性
桐生砂 中性
水苔 弱酸性

赤玉土

赤玉土(硬質赤玉土)

特徴
通気性・排水性・保水性・保肥性に優れる。リン酸を吸着する。
用途
幅広い植物に利用できる
PH
弱酸性

赤玉土(あかだまつち)は最もポピュラーな園芸用土で、通気性・排水性・保水性・保肥性も優れているので最もよく使われている用土です。

関東ローム層の赤土を粒の大きさでふるい分けたもので、中には非常に硬い硬質赤玉土や焼き固めた焼赤玉土等があります。

硬質赤玉土は水に濡れても形が崩れにくいのでアクアリウムやメダカのビオトープで使う人もいます。

鹿沼土

鹿沼土

特徴
通気性・排水性・保水性・保肥性に優れる。水分を含むと色が変わるので水やりのタイミングがわかりやすい。
用途
酸性土壌を好む植物と相性が良い
PH
弱酸性

鹿沼土(かぬまつち)は黄色っぽい軽石状の用土です。粒は崩れやすいですが通気性と保水性に優れています。

名前の通り栃木県鹿沼市近辺で産出される土で、赤玉土より酸性が強いので酸性土壌を好むツツジやサツキ、ブルーベリー等と相性が良いです。

日向土(ぼら土)

日向土(ぼら土)

特徴
通気性・排水性が良く粒が固く崩れにくい
用途
多肉植物やサボテンの基本用土として
PH
弱酸性

日向土(ひゅうがつち)は宮崎県都城市で産出する軽石の一種で硬く崩れにくいのが特徴の用土です。

ぼら土と呼ばれる事もありますが、それを乾かしたものが日向土と呼ばれています。通気性と排水性に優れますが保水性と保肥性はほとんどありません。

黒土

黒土

特徴
保水性・保肥性が良いが通気性・排水性が悪い
用途
畑の土。根菜の栽培に向く
PH
弱酸性

黒土(くろつち)は別名黒ボクとも呼ばれる黒色の火山灰土で、畑の土として利用される事が多いです。

火山灰と枯れた植物で出来た土ですので保水性や保肥性は良いですが、土自体の肥料成分は少ないとされています。また、リン酸を吸着する性質があるため花や実を付けリン酸を多く消費する植物には不向きです。

一方で黒土はふかふかしているので根菜の栽培に適しています。

荒木田土

特徴
粘土質の土。保水性と保肥性が優れ、通気性・排水性が悪い。
用途
スイレン等の水生植物の用土として
PH
弱酸性

荒木田土(あらきだつち)は水田や河川に堆積した粘土質の土です。

乾いた状態ではダマになっている部分が混じる何の変哲もない土ですが、水を含むと多少粘りが出て粘土状になります。

保水性と保肥性が高くスイレンなどの水生植物を育てる時に最適な用土です。

ケト土

ケト土

特徴
粘り気のある粘土質の土。乾燥すると固くなる
用途
苔玉や盆栽の石付けに利用する
PH
弱酸性

ケト土は葦やまこも等の水生植物が枯れて水底に溜まり、長い年月をかけ粘土状に変化した土です。

水を含むと粘り気があり乾くと固くなる性質を活かして、盆栽の石付けや苔玉等に利用されます。

苔玉を作る時はケト土に水苔や赤玉土、富士砂等をブレンドし水を少しづつ加えながら粘土状になるまでこねます。ケト土は手に付くと取れにくいのでゴム手袋をして作業すると良いです。

また、乾燥してしまうと使えなくなるので開封後はしっかりと密閉して保管します。

川砂

川砂

特徴
通気性・排水性に優れる
用途
サボテンや挿し木に利用できる
PH
中性

川砂(かわずな)は川底や河川敷に積もっている砂のことで、花崗岩などが風化してできた砂です。

通気性と排水性に優れるので、多肉植物やサボテン、東洋ラン等水はけがよい土を好む植物の栽培に使われます。

富士砂

富士砂

特徴
通気性・排水性に優れる
用途
幅広く利用でき鉄分を多く含む
PH
弱酸性

富士砂は富士山麓の火山灰を加工して作られた土で鉄分を多く含む基本用土で、山砂の一種です。

無機質なので清潔で、通気性や排水性が優れるため山野草や東洋蘭、多肉植物など幅広い用途に利用できます。富士砂は硬いので型崩れもし難いです。

桐生砂

桐生砂

特徴
通気性・排水性に優れる
用途
鉄分を多く含む
PH
中性

桐生砂は群馬県桐生市の付近で産出される赤褐色の火山礫で、風化が進んでいるので色合いや質感が土に近い山砂の一種です。

鉄分を多く含み、通気性と排水性が良い基本用土です。保肥性が少ないため山野草や東洋蘭などのあまり肥料を多く必要としない植物の育成用途に最適です。

水苔

水苔(ミズゴケ)

特徴
排水性・保水性が抜群に優れている。基本単体で使用する
用途
胡蝶蘭やシダ植物、食虫植物等の用土に
PH
弱酸性

水苔(みずごけ)はミズゴケ属の苔を乾燥させた物で、ブロック状に固められた物が売っているので水で戻して使用します。

通気性・排水性・保水性・保肥性のバランスが良く、山野草や着生ラン、食虫植物等多くの用途に利用されています。

水苔にはグレードがあり高価な物ほど保水量が高くゴミも少ないので質が良いです。

改良用土

土の種類 通気性 排水性 保水性 保肥性 PH
腐葉土 弱酸性
堆肥 中性
くん炭 弱アルカリ性
バーミキュライト 中性
パーライト(黒曜石) × × 弱アルカリ性
パーライト(真珠岩) × × 弱アルカリ性
ピートモス 酸性
ゼオライト 弱酸性
珪酸塩白土 弱酸性
軽石(パミス) 弱酸性

腐葉土

腐葉土

特徴
土を柔らかくし土壌の有益な微生物を増やす効果があります。
用途
植物全般の改良用土として利用できます。
PH
弱酸性

腐葉土(ふようど)は広葉樹の落ち葉などが発酵してできた土です。

通気性、排水性、保水性、保肥性が良いですが単体で使用する物では無く、他の土に混ぜて改良材として利用します。

腐葉土の中には有益な細菌や原生生物が住み着いていて土壌を良くしてくれます。欠点としては表面がカビやすい点とコバエが湧きやすい点です。

堆肥

牛ふん堆肥

特徴
土を柔らかくし土壌の有益な微生物を増やす効果があります。
用途
畑やガーデニング等の屋外で育てる植物の土壌改良材として利用します。
PH
中性

家畜のふんや落ち葉などの有機物を微生物によって腐熟させた用土を堆肥(たいひ)と言います。

鶏糞堆肥や牛糞堆肥、家庭から出る生ゴミを発酵させて作る生ゴミ堆肥など様々あります。虫が湧きやすいので屋外の畑やガーデニング用の土壌改良材として利用するのが良いと思います。

堆肥は有機肥料と混同しがちですが、こちらは土の排水性や保水性を改善するための土壌改良材として使う物で肥料分は少ないです。

くん炭

籾殻くん炭

特徴
通気性・排水性が高く土壌の保温効果や炭による消臭効果があります。
用途
植物全般の改良用土として利用できます。
PH
弱アルカリ性

くん炭(籾殻くん炭)は精米のときにとれる籾殻をいぶして炭化させた土壌改良材です。

通気性と排水性に優れるため土をフカフカにし、炭による土壌の消臭効果や黒い色により太陽光を吸収して土を温める保温効果があります。

くん炭は雑菌が繁殖しないので清潔で、アブラムシがこの臭いを嫌うため害虫の忌避効果もあります。

植物全般に利用でき室内でも安心して使える土壌改良材ですが、くん炭はPHが8~10と弱アルカリ性のため大量に混ぜたり、酸性を好む植物には使用しないように注意しましょう。

バーミキュライト

バーミキュライト

特徴
保水性と保肥性に優れる軽い土壌改良材です。
用途
植物全般に使え、単体で種まきや挿し木用の土としても利用できます。
PH
中性

バーミキュライト原料の苦土蛭石(くどひるいし)を800℃で加熱風化処理し膨張させた改良用土です。

通気性や排水性が良く、保水性や保肥性にも優れる事から様々な培養土に使われているポピュラーな改良用土と言えます。また、重さが土の1/10しかなく非常に軽いため吊り下げ鉢や室内の観葉植物によく使われています。

バーミキュライトはPHが中性で無菌で清潔なことから単体で種まきや挿し木用の土としても利用されています。

パーライト

黒曜石のパーライト(ビーナスライト)

特徴
非常に軽い。原料が黒曜石か真珠岩で特徴が異なります。
用途
植物全般に使え、軽いので土を軽量化したい時に利用できます。
PH
弱アルカリ性

パーライトは黒曜石や真珠岩を高温で熱処理し作られた発泡質の改良用土です。

黒曜石のパーライト(ビーナスライト)は「通気性・排水性」を改良するために使い、真珠岩のパーライトは「保水性・保肥性」を改良するために使います。

上記写真は黒曜石のパーライトで白と黒い粒が混ざります。

パーライトは単にパーライトとして販売されている事が多いですが、原料を確かめて用途にあった物を選ぶようにしましょう。

ピートモス

ピートモス

特徴
保水性・保肥性が良く軽く清潔な改良用土です。
用途
ブルーベリー等の酸性を好む植物や観葉植物の培養土に利用します。
PH
酸性

ピートモスはミズゴケ等の苔類が堆積、腐植化した泥炭(でいたん)を利用した改良用土です。

保水性・保肥性に優れ軽く清潔なため室内で育てる観葉植物用の培養土によく利用されています。また、ピートモスは酸性のため酸性を好むブルーベリーの用土としても最適です。

ブルーベリー用であればPH無調整のピートモスを、その他であればPH調整済みのピートモスを使うのが良いでしょう。

ゼオライト

ゼオライト

特徴
通気性・保水性が抜群に優れている。
用途
浄化効果が高いためハイドロカルチャーや水耕栽培の根腐れ防止材としよく利用される
PH
弱酸性に傾ける効果がある

ゼオライトは沸石(ふっせき)と呼ばれる鉱物群を加熱し、内部の「沸石水」を除去して作られる改良用土です。

有害物質を吸着し、根腐れを防止する効果があるためハイドロカルチャーや水耕栽培の根腐れ防止材としてよく利用されています。

珪酸塩白土

珪酸塩白土(ソフトシリカ ミリオンA)

特徴
通気性・保水性が抜群に優れています。
用途
浄化効果が高いためハイドロカルチャーや水耕栽培の根腐れ防止材として利用されます。
PH
弱酸性に調整する効果がある

珪酸塩白土(けいさんえんはくど)は白い粘土鉱物で、イオン交換により不純物を吸着してくれるので根腐れ防止剤として主に利用されます。

主にソフトシリカやミリオンの名前で流通しています。効果的にはゼオライトとよく似ていますが別物です。

雑菌類の繁殖を抑える静菌作用があり花瓶に入れておくと切り花を長持ちさせてくれます。

軽石(パミス)

軽石(パミス)

特徴
通気性・排水性に優れた軽い改良用土です。
用途
底鉢石やツヅジやサボテンに利用できます。
PH
弱酸性

軽石(かるいし)は水に浮くほど軽いことから浮石とも呼ばれ、別名パミスという名前でも流通しています。

軽く丈夫で通気性や排水性が高いので底鉢石として利用される事が多いです。

培養土

培養土

特徴
特定の植物用に配合された土です。
用途
対応する植物の土としてそのまま利用できます。
PH
培養土の種類によります

培養土(ばいようど)とは数種類の基本用土や改良用土、肥料が配合された土のことです。

育てる植物に合わせて数種類を混ぜ合わせ好む土壌環境を再現してあげます。

最近では花や観葉植物、野菜やハーブなど特定の植物向けに配合された培養土が数多く販売されています。こちらは安価で使い方も簡単なので初心者でも安心して使えます。

その他

レカトン

ネオコール ブラック

特徴
ハイドロカルチャー向けに開発された用土です。
用途
ハイドロカルチャーや水耕栽培に利用できます。
PH
中性~弱アルカリ性

レカトンはハイドロカルチャー専用の用土で別名ハイドロコーンやハイドロボールという商品名で流通しています。

他に、ネオコールやセラミスグラニューと言った種類もあり原料や形状がやや違うものの基本的に使い方は同じです。写真はネオコールのブラック中粒です。

土に比べると軽く清潔でなんと言っても洗って繰り返し使える事が特徴です。ハイドロカルチャーで育てる場合はこちらの土を使いましょう。

ソイル

ソイル

特徴
水草育成用に開発された用土です。
用途
崩れにくいので水草や水生植物等の用土に最適です。
PH
弱酸性または弱酸性に調整する効果があります。

ソイルはアクアリウム用の低床材として開発された用土で、主に水草の育成に利用されています。

原料となる土を焼き固めているため型崩れしにくく土が舞わないので水中でも濁りづらいのが特徴です。

肥料成分を入れて育成に特化したソイルだったり、水の浄化をさせるソイルだったりと商品により機能も色々あります。

睡蓮鉢で水生植物を育てる場合は荒木田土でも良いですが、ガラス水槽のように水中部分を楽しむ場合はソイルを使うのが良いでしょう。

ロックウール

園芸用にPH調整されたロックウール

特徴
保水性・保肥性が高く無菌で清潔
用途
水耕栽培の培地や種まき・挿し木
PH
中性(栽培用はPH調整されている)

ロックウールは玄武岩を加工した人造鉱物繊維です。園芸では水耕栽培や種まき・挿し木の培地として利用され単体で使用します。

保水性・保肥性が非常に高く無菌で清潔なので水耕栽培にはうってつけの素材です。

ロックウールは切り離しも容易なので種まきや挿し木等に使った場合は、根本にロックウールが付いたまま土壌に植え込みできます。

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