苔テラリウムで育っている苔を綺麗に保つための、日常管理やお手入れ方法をまとめているページです。
他の植物に比べ手間がかからない苔テラリウムもさすがに完全放置という訳にはいきません。環境が合わないと苔が枯れてきたりカビが生えたりとトラブルが起きてしまいます。
苔テラリウムを作ったら定期的に状態を観察し、トラブルには早めに対処して苔を綺麗に維持していきましょう。
なお、苔テラリウムの作り方については下記をご参照ください。
苔テラリウムの管理方法
水やり・霧吹き
植物は光合成をしながら成長していますが、苔も同様に光合成を行いながら成長していく一方、湿りやすく乾燥しやすいという特徴があります。
乾燥してしまうと苔は光合成もうまくできなくなりますし、活動を止めてしまうので、乾燥させない様に水やりが必要になります。テラリウムの形状によって必要となる水やりの程度に違いがあるので、注意してください。
例えば蓋がついていて密閉タイプの容器の場合は、特に水やりの必要はない場合が多いです。
蓋部分に若干の隙間があり、隙間から水分が出ていくタイプの容器の場合は2週間~3週間おきに霧吹きで水やりしたり、上部分がオープンな容器の場合は1週間おきに水を与えるものもあります。
実際には使用する容器や植え付けた苔の種類、状態によって適した水やりに違いが出てくるので、一概にこの程度の頻度というのが言い切れないのが本当のところです。
一応、目安としては植えている土の状況を見てください。土が水を含みすぎてべちゃつかない程度にするのがポイントです。
土が乾いていない程度に水分を与え、様子を見てみましょう。
肥料
苔は適度な水分、そして光合成をする事で成長していきます。
植物を育てていくという点で考えると何らか肥料が必要になるものも多いですが、基本的に苔の栽培に関しては肥料は必要ないと考えた方が良いでしょう。
理由としては苔は根を持つ植物ではありません。植物と同じ感覚で土から養分を吸って成長している方法ではないからです。
少量なら良いかと肥料を与えた結果、翌日赤く変色してしまうという例もあります。肥料はやらずに水と日当たりに意識して栽培した方が管理しやすいです。
とはいえ、ゼニゴケやジャゴケといった葉が成長する種類の苔に関しては、肥料を若干ではありますが好む種類もあります。
色が薄くなってきたという理由で肥料を検討している場合は、ハイポネックス等、観葉植物用の液体肥料を薄めて霧吹きで少量与える程度に。春や秋あたりの年2回程度で充分です。
油かす等の有機肥料や固形肥料は蒸れやすくなったり変色の原因となるので絶対に使わない様にしてください。
日当たり
苔は光合成をしながら成長していきます。
とはいえ直射日光は嫌いますので、日当たりが良すぎる場所は避けてください。自生している苔は適度に水分がある場所、そして適度に光合成が出来る半日陰の場所や日陰を好みます。
苔テラリウムでの苔栽培の場合は、室内での管理の場合、やや明るめの場所に置いてあげて日中に適度に光が当たる程度でも充分に成長していきます。
注意点としては外出している間に光の当たり具合が確認できない場合、直射日光が当たってしまっている場合もあります。特に夏場は蒸れやすくなるので、適度に明るさのある涼しい場所で管理する等、調整してください。
もし外出や仕事で光の当たり具合の管理が難しいという場合は、LED照明器具を使い、タイマーを設定して光を当てるという形での管理をしている例もありますので、参考にしてみてください。
照明器具を使用する際は距離が近すぎると、テラリウム容器に熱が発生しやすくなるので、確認、調整も若干しつつ適度な日光浴をさせる事がポイントです。
温度・湿度管理
苔テラリウムの温度管理に関して、寒さにはある程度強い傾向があります。
一方、高温環境は苔にとって苦手な環境となるので注意してください。特に夏場に30℃を超える様な場所、直射日光が当たりやすく容器の温度が上がりやすくなる場所での管理は避けてください。
苔の栽培管理なので、ある程度湿度は必要になります。
蓋がついていて密閉性が高い容器での栽培は湿度を確保できますが、蓋がついていない容器での管理では乾燥させない程度に管理します。
土壌に適度な水分を含んだ状態にして、含んだ水分を蒸発させる事で適度な湿度を維持できる様になります。もし乾燥が気になる時期はラップを利用して乾燥対策するのも一つの方法です。
湿度に固執するあまり蒸れて苔が弱ってしまう例もありますので、密閉性がある容器の管理でもたまに蓋を開け、適度に風を通しながら管理していきましょう。
容器内の清掃
苔テラリウムの容器内の様子は定期的に確認しましょう。
特に密閉性の高い容器で管理している場合は水やりの必要もないのでつい放置してしまっていませんか?
放置していると日当たりが悪い場所はカビが生えてきたり、枯れてきている場所も出てきます。
枯れている個所がある程度あるけど、カビは生えていない状況であれば、枯れている部分を取り去り、汚れがある部分をふき取る程度の掃除をします。
カビが生えていたという場合は土にもカビが生えている可能性もあるので、一度容器から土や苔を全部出して新しい土に交換した上で植え替える方法もおすすめです。
苔もカビている個所がないか、枯れている場所はないかを確認して取り除きましょう。
容器内も汚れがあったらキレイにふき取ります。
もし、容器の中を一度全部出す機会があった場合は容器の消毒も忘れずに。
これらの消毒が出来ない容器は流水で容器を洗ってください。エタノールや熱湯消毒で消毒をしてから植えなおしましょう。
苔テラリウムで起きやすいトラブル
苔テラリウムで起きやすいトラブル事例をまとめています。苔は病気には強い一方、他の生物(カビや藍藻)に侵食されやすいので容器内の様子は定期的にチェックしておくようにしましょう。
虫
苔テラリウムを管理していく中でのトラブルの一つに虫があります。最初に苔テラリウムをセッティングしてわりと初期あたりに遭遇する問題です。
原因としては苔に問題がある場合が多く、屋外から採集した苔についてきて気がつかないまま植え付けてしまったという事が考えられます。
多く見られる虫の例は、ガガンボやユスリカ、蛾の幼虫がついていたり、小さなムカデやヤスデがついていたという場合も。羽化したり成長していく中で発見される事が多いです。
もう一つの原因としては、蓋がついておらず一部が解放されている容器での場合、苔テラリウムの湿度によってきてコバエの繁殖元となってしまう事もあります。
対策としては、苔を植える時に虫や幼虫がついていないかよく観察してください。虫の糞がついている場合は特に要注意です。
苔の裏側についている土に幼虫や虫が潜んでいる可能性が高いので、しっかり洗浄して確認してから植え付ける様にしましょう。
もし虫を見つけたら丁寧に取り除き駆除してください。
カビ
苔テラリウムの管理は適度な湿度を保つ事が大事です。しかし、そんな環境ゆえに起きやすい問題の一つにカビが生えてきてしまうというのがあります。
苔テラリウムの立ち上げ初期から遭遇しやすい問題です。
容器内の多湿、そして空気の流れがあまりない、まさにカビにとっては好都合になり、増殖する原因にもなります。カビの菌はどこにでも存在するという点と、増殖しやすいという特徴がありますので、ある程度の対策をしておきましょう。
まず植え付ける時の土は、市販の清潔な土を使うのをおすすめします。
屋外から採取した土だと、カビ菌だけでなく虫の死骸も含まれているのでカビが増殖しやすいのです。使用する場合は事前に日光消毒を行い、落ち葉や枝も取り除いてください。
苔の植え付けの際も弱っている部分や変色部分は取り除き、緑色をして元気な部分のみを植えましょう。
そして定期的に観察をしてください。
苔の変色した部分があると弱っている証拠。その部分からもカビが生えやすいです。カビは発生初期であればすぐに取り除く事で対処できます。
藍藻
キレイに植え付けたお気に入りの苔テラリウム。
ある程度管理していき観察してみたら植え付けた記憶のないべったりした感じの苔がついた。そんな経験をした人もいると思います。
べったりした苔は藍藻(らんそう)と呼ばれ、細菌の分類に入ります。別名はシアノバクテリア。
特徴としてどこにでも存在しているため、養分が多く湿度が高い苔テラリウム内では繁殖しやすいのです。富栄養化環境を好み、通気性や通水性が悪い場所に繁殖しやすいです。
見た目はドロッとした明るく濃い緑色、もしくは焦げ茶色っぽくなることもあります。初期だと苔の一部と見間違う可能性もあります。
繁殖して増えてくると見た目にも不快に感じますし、悪臭も発する点が問題です。苔テラリウム内では、容器と用土の隙間に発生しやすいので、もし発生初期に見つけることが出来れば、取り除く事で対処できます。
もし、広範囲に広がっているようであれば苔テラリウムのリセットをした方が手っ取り早いです。
汚染された用土は破棄し新しい清潔な土を使い、苔にも藍藻が付いているなら取り除き、酷い部分は破棄しましょう。
葉が茶色くなってきた
苔をテラリウム内で育てていくうちに、葉が茶色くなってきたという問題はおきやすいです。苔の葉が茶色くなるのにはいくつか原因があります。
葉先から茶色くなっている場合で多い原因は葉の乾燥です。
水やりをしているつもりでも種類によっては乾燥に弱い苔も。乾燥が続くと茶色に変色してしまうので、充分な湿度環境ではない可能性があります。
もう一つの原因では湿度が高すぎて蒸れてしまっているという場合もあります。
特に夏場は容器内の空気の流れも良くないですし、ムレによる変色がおきやすいです。
温度環境による変色ではヒノキゴケの様に低温が苦手な種類もいます。冬場に調子を崩し葉が茶色くなる事があるので注意してください。
他には虫による被害も。ガガンボの幼虫に苔を食べられてしまうと茶色くなってしまう場合があります。
一度、茶色くなってしまった苔は元の緑色には戻りません。茶色く変色した部分はカットしてあげましょう。
もし茶色い糸状の物がついている場合は仮根の可能性があります。仮根は枯れている個所と間違って処分せず、植え付けてあげましょう。
苔の徒長
苔は一応成長しているけど、植え付けた頃に比べてなんだか貧弱な感じにひょろひょろと伸びてくる場合もあります。これは苔が徒長している状況です。
苔の徒長にはいくつか原因があるのですが、まず一つの原因としては、容器の密閉性です。
密閉性が高い容器になるほど徒長しやすくなります。もし対策をしたいのであれば通期の良い容器に変更すると改善出来ます。
生育環境に関しては温度が関係する場合があります。
一般的な苔の生育温度で適しているのが10℃~25℃なのですが、これよりも高い温度が続くと徒長しやすいです。
もう一つ、気を付けたい生育環境として光の当たり具合です。光の当たる量が少ないと徒長しやすくなります。
ちなみに元々種類的にひょろひょろと伸びる場合もあります。ハイゴケ、シノブゴケ、ツヤゴケ、ジャゴケ、ゼニゴケあたりは徒長した感じに成長しやすいです。
徒長した苔は根元あたりから切り戻してあげます。
思い当たる原因は改善してあげないとまた徒長してしまうので、改善した生育環境を整えてあげてください。
まとめ
苔テラリウムは小さなスペースにお気に入りの苔を植え付けて育てることが出来ます。テラリウムフィギュアを入れてあげると更に愛着も沸きますよね。
基本的に光の当たり具合、温度、湿度管理をする事で成長を楽しめ、乾燥しない程度に水やりをするだけといった手軽さもあるのですが、その一方で湿度があるが故の悩みや問題点も出てくるかもしれません。
最初は慣れないかもしれませんが、ちょっとした管理のコツや対処法を知る事でいつまでもお気に入りの苔テラリウムを維持する事が可能です。
今回の記事を参考にしてあなたのお気に入りの苔テラリウム、どんどん増やしていってみてください。