ハーブティーやモヒートなどの材料として親しまれるミントの育て方をまとめているページです。
スースーした清涼感のある香りが特徴的なハーブで、食用から薬用まで非常に幅広く利用されている植物です。
このページではミントの育て方や種類、注意点などを解説しています。
ミントの特徴
ミントは、寒帯や中南米、インド中部、西アフリカを除き、世界中に生息するシソ科ハッカ属に分類される多年草(まれに一年草)です。
清涼感のある爽やかな香りが魅力的なハーブで、ペパーミントやスペアミントなどの品種が古くから栽培されてきました。
自然雑種ができやすいことから様々なタイプが存在し、ハッカのような香りだけでなく、チョコレートやりんご、グレープフルーツ、オーデコロンなど、珍しい香りを放つミントもあります。
ミントの多くは多年草で、冬の寒さで地上部が枯れても春になると再び芽吹きます。生育が旺盛で増えやすいので、地植えにする場合は仕切りを使って根が広がるのを防ぎます。
食用や薬用、香料などに利用されますが、品種によって利用方法が異なります。
いろんな品種を植えていると自然交雑しやすく、用途が分かりにくくなります。複数の種を育てる場合は名札つけて管理するとよいでしょう。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | ミント、ペパーミント、スペアミント、アップルミント、チョコレートミントなど |
成長速度 | 速い |
花・種 | 7月から9月にかけて白やピンクの花が咲きます |
日照量 | 木陰や建物の東側などの半日陰で管理します |
温度 | 暑さ・寒さともに比較的強い植物です |
湿度 | やや湿り気のある環境を好み乾燥を苦手とします |
花言葉 | 美徳、貞淑、効能、爽快、元気回復、温かい心 |
ミントが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
ミントは日当たりと風通しのよい環境を好みますが、耐陰性が高いため日陰でも育ちます。ただし、日照不足が続くと葉色や香りが悪くなるので、半日陰になる場所で管理します。
強い日差しが当たると葉が枯れることがあるので、夏の直射日光や西日は避けましょう。
鉢植えの場合は、土が乾きやすいので夏の日差しには特に注意します。普段は日がよく当たる場所に置いている鉢植えも、夏場は半日陰に移すのが無難です。
ミントを植え付ける土壌には、やや湿り気があり肥沃な土が適しています。乾燥にそれほど強くないため保水性のある用土がおすすめですが、非常に丈夫な植物なので土質にはあまりこだわる必要はありません。
剪定の時に切り取った茎を使ってハイドロカルチャーにすることも可能です。透明のコップなどに水を入れて管理しましょう。水は毎日入れ替えてください。
温度・湿度
ミントの生育適温は15~20℃前後ですが、暑さ・寒さともに比較的強いです。
ただし、夏の高温期に葉が密生した状態が続くと、株が蒸れて弱ってしまいます。夏になる前に全体の1/2~1/3を残して切り戻し、風通しを確保しましょう。
冬は特別な防寒対策は特に必要ありません。寒さで地上部が枯れても根は生きているので、春になると再び芽吹きます。
ミントの葉の収穫は4~10月が適期ですが、10℃以上を保つ室内で管理すれば冬の収穫も可能です。
用土
ミントはやや湿り気のある環境を好むため、保水性と排水性のバランスに優れた土を使用します。
鉢植えの場合、赤玉土(小粒)5:腐葉土3:バーミキュライト2などの割合で配合した土がおすすめです。初心者の場合は、ハーブ専用もしくは野菜栽培用の培養土を使用するのが最も簡単です。
肥沃な土壌を好むので、地植えの場合は植え付ける前にあらかじめ腐葉土や堆肥などを混ぜて有機質の土を作っておきましょう。
ミントを植える時の注意点
ミントは一度根付くと広範囲に根を伸ばし生息範囲を急激に広げるので、地植えする場合はよく検討してからにしましょう。
一度広がると雑草化し駆除が難しくなるので、ハーブティーなどで楽しむ分であればプランター栽培がおすすめです。
ミントを上手に育てるコツ
水やり
ミントは乾燥に弱いハーブです。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るくらいの量の水をたっぷり与えます。
乾燥すると下葉が落ちて収穫量が減るため水切れに注意しますが、土が過湿状態になると根腐れを起こします。必ず土の様子を確認してから水やりをしましょう。
夏は乾燥しやすいので、午前中と夕方の2回水を与えてもかまいません。高温になる日中の水やりは蒸れの原因となるので避けます。
地植えのミントには、植え付け直後にたっぷりと水をあげたら、その後は降雨に任せます。
肥料の与え方
鉢植え・地植えともに、苗を植え付ける際に元肥として緩効性化成肥料を施します。
地植えのミントには基本的に追肥は不要です。鉢植えの場合も、生育期に入る初春に緩効性肥料を置き肥する程度でかまいません。
葉が黄色く変色してきた時や、葉数を増やしたい時、切り戻しや収穫の後には、生育をよくするために薄めの液体肥料を水やりの代わりに与えてもよいでしょう。
肥料を与えすぎるとミントの香りが弱まるので気をつけてください。
冬越し
ミントは寒さに強いハーブなので、基本的には防寒の必要はありません。
寒さで地上部が枯れても、根は生きているので春になると再び芽を出します。冬に入る前にばっさりと剪定をするとよいでしょう。
ただし、氷点下が続くような寒冷地では、敷きわらや腐葉土などを株元に敷いて寒さを防ぐマルチングを施すと安心です。
鉢植えの場合、地上部が枯れている間も土が乾いたら水を与えます。日当たりのよい場所に置き、温かい日中に水やりをすると凍結防止になります。
ミントの種類
ミントは非常に種類の多いハーブですがここでは代表的な品種を一部ご紹介します。
ペパーミント
ペパーミントは別名セイヨウハッカとも呼ばれるミントの仲間で、食品売り場などでもよく先端の葉っぱの部分だけがパックに入れられ売っています。
強い清涼感のある香りが特徴のミントです。
スペアミント
ペパーミントと並んでメジャーなミントの一種です。こちらも食品売り場などでよく見かけます。
育成状況により葉の形などが若干変わるため姿だけでの特定が難しいのですが、ペパーミントに比べるとこちらの方が香りはマイルドです。ハーブティーならこちらの品種がオススメです。
アップルミント
アップルミントの由来はリンゴのような香りがするという部分から来ています。
ですが、育成環境が悪かったりすると匂いが悪くなりやすいとの報告もあります。
モヒートミント(イエルバブエナ)
ミントを使ったカクテルと言えばモヒートが有名ですが、モヒート発祥の地キューバではイエルバブエナを使います。
日本ではモヒートミントやキューバミントとも呼ばれ流通しています。ペパーミントに比べると草っぽい匂いが強いです。
ミントの選び方
ミントの苗を購入する際は、株元がぐらぐらしていたり、葉が黒ずんだりしているものは避けます。日当たりのよい場所で管理されている苗を選ぶとよいでしょう。
葉の裏まで確認し、病害虫に侵されていないかチェックするのも大切です。
ミントの増やし方
ミントを増やすには挿し木による方法が最も簡単です。
種を採取して増やすことも可能ですが、親株と同じ性質のものに育たない可能性が高いので、同じ香りのミントを増やしたい場合は挿し木または株分けが適しています。
挿し木で増やす場合、健康な茎を先端から10~15cmほどの長さで切り取って挿し穂にします。先端の葉を2~3枚ほど残し、土に埋まる部分の下葉を取り除いてください。
切り口を水に浸して吸水させたら、育苗ポットへ入れた赤玉土などの挿し木用の土へ挿し込みます。たっぷりと水を与えて日陰で管理すると10日~2週間で発根します。
ミントの株分けは、作業の数日前から水やりを控えて土を乾燥させておきます。草丈が15~20cmほどになるよう切り戻し、株を掘り起こしましょう。
根についた土をほぐした後、それぞれの株に茎が3~4本つくよう手またはナイフで切り分けます。それぞれを新しい株や庭へ植え付け、発根するまで乾燥させないよう水をあげてください。
ミントの挿し木や株分けは、4~5月、9~10月頃が適期です。
ミントの植え替え
ミントは生育が非常に旺盛なので、同じ鉢で育て続けているとすぐに根がまわって根詰まりを起こします。根詰まりは根腐れの原因となるため、1~2年に1度を目安に一回り大きな鉢へ植え替えましょう。
植え替えと同時に株分けをおこない、コンパクトに仕立て直すのもおすすめです。
ミントの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な用土を鉢の6割程度まで入れる
- 鉢から株を抜き出して古い根土を落とす
- 鉢の中央へ株を置き、土を加えて安定させる
- 水をたっぷり与え、2~3日ほど日陰で管理する
地植えの株をあまり大きくしたくない場合は、地中深くにブロックなどを埋めて仕切り、その中に植え替えると繁殖を抑制できます。
ミントの植え替えは真夏を除いた3~10月が適期です。
病気・害虫
ミントのようなハーブには基本的に病害虫の心配は不要ですが、まれに「さび病」にかかることがあります。
さび病にかかると葉に黒や黄褐色の斑点ができ、進行すると落葉します。高温多湿の時期に発生しやすいため、梅雨時や夏場は注意が必要です。
葉が茂りすぎている場合は、剪定をして風通しを確保しましょう。発症した箇所は速やかに切除し、処分してください。
ミントにつきやすい害虫にはアブラムシやヨトウムシ、ハダニがいます。
アブラムシは植物に付着して植物の養分を吸い取り、株を弱らせる害虫です。発見したら粘着テープや薬剤を用いて駆除しましょう。
ヨトウムシは植物の葉や茎、実、花の広範囲に発生し、株を食害に遭わせます。
放っておくと植物全体を食い尽くす可能性があるので、発見したらすぐに薬剤を使って退治します。卵を見つけたら葉ごと切り取り処分してください。
ハダニは主に先端部分の葉の裏に潜んでいます。ハダニに樹液を吸われると葉が色褪せ枯れたようになってきますので見つけたらする対処しましょう。ハダニは非常によく増え、薬剤耐性も付きやすいので特に注意が必要です。
ミントの効能や使い方
ミントの効能や利用方法は種によって異なり、多岐に渡ります。
スペアミントペパーミント、ハッカは、飲食用や香料用、薬用など幅広く利用されていますが、グランドカバーや虫除けとして利用されるペニーロイヤルには毒性があり、飲食や内服用には利用できません。
品種によって異なりますが、ミントには一般的に鎮静作用や抗アレルギー作用、殺菌作用、整腸作用などがあるとされています。
ハーブティーやミント水にして摂取するほか、ミントの精油をアロマテラピーや化粧品に利用して効果を得る方法があります。