料理用のスパイスとして主に利用されるハーブの一種、オレガノの育て方を解説しているページです。
バジルと並びトマト料理によく合うハーブのオレガノは、ややほろ苦さのあるさわやかな香りが特徴的です。
下記ではオレガノを自宅で育てる時のポイントについてご紹介しています。
オレガノの特徴
オレガノはヨーロッパから中央アジアにかけて自生するシソ科ハナハッカ属に分類される多年草のハーブです。
料理に使うハーブとして広く知られますが、夏に咲く花の観賞価値も高いです。真っ直ぐ伸びる茎の先に赤紫色の苞に包まれた薄紅色の小さな花が玉状に集まり、次々と開花します。
葉はそのままでもハーブとして利用できますが、乾燥させた方が強く香り苦味も薄れるため、料理には乾燥したオレガノが好まれます。
他のハーブと同様、栽培される気候や品種、収穫時期によって風味がかなり異なります。高温かつ乾燥した環境で育ったオレガノには力強い香りがあるといわれます。
寒さに強く丈夫な植物ですが、高温多湿になる日本の夏は苦手です。生育が旺盛でよく茂るため、梅雨前に切り戻して風通しをよくしましょう。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | オレガノ |
成長速度 | 速い |
花・種 | 6月から8月にかけてピンクや白の花が咲きます |
日照量 | 日光を好むので日当たりのよい場所で管理します |
温度 | 暑さ・寒さともに比較的強い植物です |
湿度 | 多湿を嫌うので乾燥気味に育てましょう |
花言葉 | 輝き、財産、あなたの苦痛を除きます、自然の恵み、富 |
オレガノが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
オレガノは日当たりと風通しのよい環境が適しています。耐陰性はありますが、日照不足になると花が咲きにくくなり、密生すると蒸れて株が弱るので注意します。
年間を通して乾燥気味の状態を好み、多湿を嫌います。鉢植えのオレガノは梅雨時や秋の長雨の時期に雨に当たらないよう軒下などに移動させてください。
耐寒性に優れているため防寒対策は特に不要ですが、氷点下が続くような寒冷地では、株元を敷きわらや腐葉土などで覆って寒さを防ぎます。鉢植えの場合は室内へ取り込むと安心です。
種や苗を植え付ける用土には、水はけがよく有機質に富んだ土が最適です。土の過湿は根腐れを引き起こすので、水はけが悪い場合はパーライトや軽石を加えて改良します。
酸性土を嫌うため、地植えの場合はあらかじめ苦土石灰を混ぜ込んで酸度を調整しておきましょう。
温度・湿度
オレガノは暑さ・寒さともに比較的強い植物ですが、高温多湿になる日本の夏は苦手です。
暑い夏に湿度が高いと株が蒸れて傷むことがあります。葉が密生している場合は梅雨前に刈り込んで風通しを確保しましょう。また、地中が蒸れないよう夏場は午前中もしくは夕方の涼しい時間帯に水やりをします。
耐寒性があるとはいえ霜や雪が当たると株が弱るので、冬に氷点下になるような寒冷地では軒下などに移すか、鉢植えの場合は室内へ取り込んで管理してください。
用土
オレガノは多湿を苦手とするため、用土には水はけのよい土を使用します。土が過湿状態になると根腐れを起こす可能性があります。
鉢植えの場合、赤玉土(小粒)6:腐葉土2:堆肥2などの割合で混ぜた土がおすすめです。園芸店などで販売されている草花用培養土を使用してもかまいません。
地植えにする場合、酸性土を嫌うためあらかじめ苦土石灰を混ぜて酸度を調整しておきます。水はけが悪い場合はパーライトや軽石を2~3割加えると改善します。
オレガノを上手に育てるコツ
水やり
鉢植えのオレガノには、鉢土の表面が乾いて白っぽくなったらたっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安ですが、根腐れを防ぐため受け皿に溜まった水はすぐに捨てましょう。
オレガノは基本的に乾燥気味に管理するのがポイントですが、気温が上がる夏場は水切れを起こしやすいので注意します。こまめに土の状態を確認し、乾いていたら水やりをします。
冬は地上部の茎葉が枯れても根は生きているので忘れずに水を与えてください。地植えの場合は降雨に任せますが、極度に乾燥した時は水やりをします。
肥料の与え方
鉢植え・地植えともに植え付ける際に元肥として緩効性化成肥料を施します。
他のハーブと同じくあまり肥料を必要とせず、与えすぎると香りが弱まったり茎が徒長して軟弱な株になったりするので、追肥は基本的に不要です。
ただし、生育をよくしたい場合は適宜施肥してもかまいません。花を収穫した後の9月頃に緩効性肥料を与えると、秋に収穫できる葉の量が増えます。
窒素分を多く含む肥料を与えると葉ばかり茂り株の風通しが悪くなるので気をつけます。
冬越し
オレガノは寒さに強い植物なので、基本的には防寒の必要はありません。
ただし、氷点下が続くような寒冷地では霜や雪が当たって株が傷んでしまうので、株元を敷きわらや腐葉土などを覆ってマルチングを施します。
鉢植えの場合は、寒風の当たらない軒下などに移動させるか、室内へ取り込んで管理すると安心です。
寒い地域では冬の間に地上部が枯れますが、根は生きているので春になると芽が出ます。土が乾いたら水を与えるのを忘れないでください。
オレガノの選び方
オレガノの苗を購入する際は、葉が黒ずんでいるものや株がぐらぐらしているものは避けましょう。葉の裏まで確認して病害虫に侵されていないかチェックします。
葉の色が鮮やかで、茎が間延びしていないものを選んでください。
オレガノの増やし方
オレガノは挿し木と株分けによって数を増やすことができます。種を採取して増やすことも可能ですが、香りや味、花色にばらつきが出ます。親株と同じタイプのものを育てるには、挿し木や株分けが適しています。
挿し木で増やす場合は、健康な茎を先端から10cmほどの長さで切り取り、挿し穂にします。土に埋まる部分の下葉は取り除いてください。
挿し穂を水に浸して吸水させたら、清潔なナイフやハサミで切り口を斜めにカットし直し、ポットへ入れた挿し木用の土に挿し込みます。
挿し木後は、明るい日陰に置いて乾燥させないよう管理します。2週間ほどで根が出るので、鉢や庭などへ植え付けましょう。
数年かけて大きく育ったオレガノは、株分けでも増やすことができます。
株を土から取り出し、古い土と傷んだ根を丁寧に取り除きましょう。1つの株に芽が3つ以上つくように手やナイフで切り分け、それぞれ鉢や庭へ植え付けます。
オレガノの挿し木は3~4月、9~10月頃、株分けは3~4月頃が適期です。
オレガノの植え替え
オレガノを何年も同じ鉢で育てていると、鉢の中が根でいっぱいになり根詰まりを起こします。根詰まりは根腐れや生育不良の原因となるため、1~2年に1度を目安に一回り大きな鉢へ植え替えてください。
大きく成長した株は、植え替えと同時に株分けをおこないコンパクトに仕立て直してもよいでしょう。
オレガノの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な用土を鉢の1/3まで入れる
- 鉢から株を抜き出して古い根土を落とす
- 鉢の中央へ株を置き、土を加えて安定させる
- 水をたっぷり与えて明るい日陰で管理する
地植えの株をあまり大きくしたくない場合は、底を抜いた鉢などを土に埋め、その中に植え替えると広がりすぎずに済みます。
オレガノの植え替えは生育期にあたる4~5月もしくは9~10月が適期です。
病気・害虫
オレガノのようなハーブは基本的に病害虫の被害を受けにくいですが、栽培環境や管理方法によっては葉が枯れたり根が腐ったりすることがあります。
これらの症状を防ぐには、育てる環境の水はけと風通しのよさが大切です。高温多湿を苦手とするので、水の与えすぎにも注意しましょう。
密生している場合は、梅雨前に枝を間引くとなどして風通しを確保してください。株が蒸れてカビが発生した時は、薬剤を用いて症状を抑えるか、ひどい場合は株ごと処分します。
オレガノには春先にアブラムシがつくことがあります。
アブラムシは、葉や茎に棲みついて養分を吸汁し、株を弱らせる害虫です。気づかずに放置すると株を枯らすことがあるので早めに退治してください。
見つけ次第、手や粘着テープを使って取り除きます。数が多い場合は殺虫剤を吹きかけて駆除しましょう。
オレガノの効能や使い方
オレガノは料理だけでなく、香料や精油、鎮痛剤などとして広く利用されるハーブです。
「天然の抗生物質」とも呼ばれており、抗菌・殺菌作用を始め、消化促進や強壮作用などが期待できます。
オレガノに含まれるビタミンによる美肌効果もあり、肌の老化を防止するとされています。
スパイスのほか、ハーブティーとして服用したり、オレガノオイルを料理に加える、基礎化粧品やシャンプーなどに混ぜたりなど、オレガノの効能を引き出す使い方はさまざまです。
イライラや不安などを抑えるリラックス効果もあるので、疲れた時にはぜひ試してみてください。