色鮮やかな葉が特徴的なハボタンの育て方をまとめたページです。
日本でもプランターや花壇などによく植えられているので見る機会が多い園芸植物です。
下記ではハボタンを上手に育てるポイントについて解説しています。
ハボタンの特徴
ハボタンはヨーロッパを原産とするアブラナ科アブラナ属(ブラシカ属)に分類される多年草です。
夏に種をまき、寒くなると色づいてくる葉を冬~春に観賞する草花です。キャベツの仲間であるケールから改良されたと言われています。
日本へは江戸時代ごろ食用として渡来しましたが、現在は観賞用として利用されるのが一般的です。渡来してから品種改良が重ねられ、葉が丸いものから縮れたもの、光沢があるものなど系統の多さは世界屈指です。
殺風景になりがちな冬の花壇に彩りを添える数少ない植物として広く親しまれています。かつては大きな株を植えつけて冬枯れの庭を飾るのが主流でしたが、現在は3号ほどのポットで小さく仕立てられたものがよく出回っています。
2年目以降も育て続けると分枝し、その姿を「踊りハボタン」として楽しむ愛好家も多いです。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | ハボタン |
成長速度 | 普通 |
花・種 | 春にナノハナに似た黄色い花が咲きます |
日照量 | 日光を好むため日当たりのよい場所で管理します |
温度 | 寒さ・暑さともに比較的強い植物です |
湿度 | 多湿にやや弱いため水はけのよい土を使用します |
花言葉 | 祝福、物事に動じない、利益 |
ハボタンが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
ハボタンは日光を好むため、年間を通して日なたで管理します。関東地方以西の暖かい地域では冬の間も戸外で管理できますが、きれいな見た目で長く楽しむには、寒風や強い霜を避けます。
ただし、ハボタンは秋に気温が低くなると色づき始め、冬の寒さを経験することで鮮やかに発色するので、暖かい室内や温室に移すときれいに色づかないことがあります。北風を凌げるベランダなどに置くとよいでしょう。
暑さにも比較的耐えますが、夏場の直射日光や強い西日は葉焼けの原因となるため注意します。高温多湿の環境下では病気にかかりやすくなるので、風通しのよい場所で管理してください。
踊りハボタンに仕立てるために茎を切りもどした場合は、茎の切り口が水分を含んで腐らないよう、軒下など雨の当たらない場所に置きましょう。
酸性土を苦手とするため、地植えにする場合はあらかじめ苦土石灰を混ぜて土壌の酸度を中和しておきます。
温度・湿度
ハボタンの生育適温は5~20℃程度で、耐暑性・耐寒性ともに比較的優れた植物です。
冬の寒さに当たることで葉が色づきますが、強い霜が当たる環境では株が傷むことがあります。氷点下が続くような寒冷地では霜よけを施すか、寒風が当たらない軒下などに移動させましょう。
夏の暑さにも耐えますが、強い日差しが当たると葉焼けの原因となるため、夏場の直射日光や西日はなるべく当てないようにします。
高温多湿を苦手とするので、管理する場所の風通しは常によくしておき、用土には水はけのよい土を使用してください。
用土
ハボタンは高温多湿に弱く、土が常に湿った状態になると根腐れを起こしてしまうため、用土には排水性に優れた土を使用します。有機質に富んだ土だとなおよいでしょう。
自作する場合は、赤玉土(中粒)4:腐葉土3:ピートモス2などの割合で混ぜた土がおすすめです。園芸店などで販売されている草花専用の土を使用してもかまいません。
酸性土を嫌うため、地植えにする場合は植え付ける前に苦土石灰をすき込んで土壌の酸度を中和しておきます。
ハボタンを上手に育てるコツ
水やり
鉢植えのハボタンには、鉢土の表面が乾いたのを確認してからたっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安ですが、受け皿に溜まった水は根腐れの原因となるのですぐに捨ててください。
種まきや植え付け直後の苗は水分を多く必要とするため、土が乾かないように水を与えましょう。根が伸びてきたらやや乾燥気味に管理するのがポイントです。
夏は土中が蒸れるのを防ぐため夕方以降の涼しい時間帯に、冬は凍結を防ぐため午前中に水やりをしてください。地植えのハボタンには基本的に降雨のみで問題ありません。
肥料の与え方
ハボタンを植え付ける際にはあらかじめ元肥としてリン酸分を多く含む緩効性化成肥料を混ぜておきます。
その後は追肥として、5月から9月にかけて緩効性肥料を、9月末から10月上旬までは規定の濃度に希釈した液体肥料を水やりの代わりに与えましょう。
10月下旬になると葉が色づき始めますが、その頃に肥料が多いと緑色が強くなるので、9月末以降は効き目がすぐに切れる液体肥料がおすすめです。
冬越し
ハボタンは耐寒性に比較的優れた草花です。関東以西の団地であれば戸外でも冬を越すことができます。雪や強い霜に当たると枯れることがあるので、氷点下が続く寒冷地では軒下などに移すか霜よけを施すと安心です。
ただし、ハボタンは冬の低温を経験させることで葉が色づくため、室内や温室など暖かい場所で管理するときれいに発色しないことがあるので注意します。
冬も水分を必要とするので、土の表面が乾いたのを確認したらしっかりと水を与えます。
ハボタンの選び方
ハボタンの苗を買う際は、下葉が色褪せたり変色したりしておらず、きれいな状態ものをを選びましょう。
病害虫に侵されている苗を購入してしまうと健全に育たないため、葉や花に縮れや黒い斑点などがないかよく確認してください。
ハボタンの増やし方
ハボタンは種まきによって数を増やすことができますが、家庭で採取した種では親株と同じ草姿には育たないことが多いです。
種の採取は、花後にサヤができたタイミングでおこないます。種が熟すとサヤが黄色く変色してきます。そのままにしておくとサヤが弾けて種が落ちるので、サヤが乾燥し始めた段階で花茎ごと採取しましょう。
紙袋や封筒などに入れて乾燥させると、袋の中に種がたまります。採取した種は、紙袋などに入れて、乾燥剤と一緒に密閉容器に入れ、冷蔵庫などの冷暗所で保管してください。
ハボタンの種まきの適期は7月から8月頃です。
暑い季節に種をまくため、蒸れたりして腐らないよう、種まき用の土は新しく清潔なものを使用します。種は育苗箱などにまき、薄く3㎜ほど土を覆いましょう。
種まあき後は水をたっぷりと与え、芽が出るまでは明るい日陰で管理します。発芽したら日なたに移して日光に当ててください。
本葉が2~3枚ほどそろったらポットへ植え替え、根が安定したら鉢などへ定植します。
ハボタンの植え替え
葉を鑑賞するための一年草として楽しむ場合は、基本的に植え替えは不要です。花が咲いた後の株を踊りハボタンに仕立てる場合は、一回り大きな鉢へ植え替えます。
ハボタンの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な培養土を鉢1/3程度入れる
- 鉢から株を抜き出し、根土をやさしくほぐす
- 鉢の中央へ株を置いて土を隙間なく入れる
- 水をたっぷり与えてしばらく半日陰で管理する
ハボタンの植え替えは、春から初夏が適期です。地植えの場合は植え替える必要はありません。
病気・害虫
ハボタンがかかりやすい病気には「黒腐病」が挙げられます。
黒腐病にかかると、葉の縁に灰白色から黄白色の斑点が現れ、進行すると葉全体に広がって黒く枯れ込みます。
7月から10月にかけて、高温多湿の環境下や肥料過多の場合に多く発症します。病気を予防するには、常に風通しを確保し、肥料を与えすぎないことが大切です。
ハボタンにはつきやすい害虫にはアブラムシがいます。
アブラムシは葉や茎に付着して植物の養分を吸い取り、株を弱らせる害虫です。春から秋の高温かつ乾燥する時期に発生しやすく、排泄物が病気の原因となることもあります。
発見したら粘着テープや手袋をつけた手で取り除くか、大量に発生した場合は薬剤を用いて退治します。