まん丸の見た目が可愛らしいタマサボテンは柱サボテンと並ぶ人気のサボテンです。
このページではタマサボテンの特徴や育て方についてご紹介しています。
タマサボテンの特徴
タマサボテンは、メキシコなどを原産とするサボテン科の植物です。サボテン科に分類される植物は数多くありますが、その中でも球状に育つ種をタマサボテンと呼びます。
球状のサボテンは、サボテン科タマサボテン属を始め、アストロフィツム属やフェロカクタス属などによく見られます。
サボテンといえば細長く上へ伸びていく姿がよくイメージされますが、タマサボテンは丸くころんとした形をしています。手のひらサイズの品種も多く、可愛らしい草姿が印象的です。
代表的な品種には、黄色味を帯びたトゲが特徴の「金鯱」や、トゲがなく縦に稜線が入った「ランポー玉」、赤みを帯びた大きなトゲを持つ「日の出丸」などがあります。
品種によって茎の模様やトゲの形、花の咲き方がさまざまなので、好みのサボテンをいくつか飾って楽しむこともできます。
基本データ
難易度 | やや易しい |
流通名 | タマサボテン、玉サボテン |
成長速度 | やや速い |
花・種 | 長く育てると大きな花を咲かせる品種が多いです |
日照量 | 日当たりを好みますが真夏の直射日光は避けます |
温度 | 寒さにはやや弱いので冬は5℃以上を保ちます |
湿度 | 土の過湿を嫌うので水を与えすぎないようにします |
花言葉 | 儚い夢 |
タマサボテンが好む環境
日当たりと置き場所
タマサボテンは日光を好みますが、葉焼けを防止するため真夏の直射日光は避けてください。
屋内で育てる場合
タマサボテンは屋内で育てることもできますが、日によく当てた方が元気な株に育つため明るい場所に置いて管理します。
日当たりと風通しのよい窓辺などで栽培するのがおすすめです。ただし、真夏の直射日光に当てると葉焼けを起こしてしまうので、半日陰に移すのがおすすめです。
日光が好きな植物などで春から秋の暖かい時期は時々戸外に出してあげるとよいでしょう。
屋外で育てる場合
タマサボテンは太陽光を浴びるのが好きなので、春から秋にかけては風通しのよい日なたで管理します。日照不足になると茎が間延びして丸いフォルムが崩れてしまうので気をつけてください。
ただし、高温になる真夏の直射日光には弱いので、葉焼けを防止するため軒下などの明るい日陰に移すか、遮光ネットなどで遮光するとよいでしょう。
寒さにはやや弱く霜が当たると株が弱ってしまうので、冬は室内の明るい場所に取り込みます。
温度・湿度
タマサボテンは寒さにやや弱く、日本の夏の暑さにも強いとはいえません。
春から秋にかけては日なたに置いた方が健康な株に育ちますが、40℃近くになる真夏や5℃以下になる冬の時期は生育が衰えます。夏場は半日陰に移し、冬は室内へ取り込んでください。
タマサボテンは乾燥に強く土の過湿に弱いので、水を与えすぎには気をつけます。土が乾いたらたっぷりと水を与え、また乾き始めるまでは控えるといったメリハリのある水やりを心がけましょう。
用土
タマサボテンは多湿にも比較的強い植物ですが、葉や茎に水分を溜めているため乾燥気味の環境を好みます。土の過湿は根腐れの原因となるため、用土には水はけのよい土を使用してください。
自分でブレンドする場合は、赤玉土(小粒)4:バーミキュライト4:鹿沼土(小粒)2などの割合で混ぜた土を使うのがおすすめです。
初心者であればホームセンターなどで売られているサボテン用の土や多肉植物用の土を使用するのが簡単です。
タマサボテンを上手に育てるコツ
水やり
タマサボテンの水やりは季節によって量やタイミングが異なります。葉や茎に水を貯めるサボテンの仲間なので、毎日の水やりは基本的に不要です。
春から秋の生育期には、土の表面が乾いてから2~3日後に株元へたっぷりと水を注ぎます。鉢底から水が流れ出るまで与えましょう。
高温になる真夏や休眠する冬の時期は水分をあまり吸わなくなるため、水やりの回数は月1回程度まで減らします。冬になり10℃を下回ってきたら断水してもかまいません。
葉水
タマサボテンのようなサボテン科の植物は葉や茎に水分を蓄えているため、定期的な葉水は必要ありません。
ただし、水やりをあまり必要としない夏と冬の時期や、室内の冷暖房の風による乾燥が気になった時には霧吹きなどで水を吹きかけるとよいでしょう。
気温が上がる夏場の葉水は蒸れを防ぐためにも涼しい時間帯に与えます。また、葉水には害虫やホコリの付着を予防する効果もあります。
肥料の与え方
タマサボテンは特に肥料を必要としませんが、大きく育てたい場合は生育が盛んになる春と秋に施肥します。
肥料を与える場合は、規定の濃度に希釈した液体肥料を月2~3回のペースで水やりの代わりに与えましょう。観葉植物の肥料としてよく使われる緩効性の固形肥料は、水やりの際にゆっくりと溶け出す性質があるため、水やりの頻度が少ないタマサボテンには少し不向きです。
タマサボテンの生育が衰える夏と冬は、栄養過多となるため肥料は与えないでください。
冬越し
タマサボテンは寒さにやや弱いため、気温が低くなる冬は室内へ取り込みます。日照不足は徒長の原因となるため、日当たりと風通しのよい場所に置くようにします。
霜に当たると凍害に遭って枯れてしまうので、室温は5℃以上を保ちます。日中に日がよく当たる窓際に置いている場合、夜になると冷え込むので窓から離れた場所に移しましょう。
冬場はタマサボテンが休眠期に入るため水をあまり必要としません。水やりは月1回程度に抑えて乾燥気味に管理してください。
タマサボテンの選び方
タマサボテンを購入する際には害虫が付いていないか必ず確認してください。
害虫が付いたものを買ってしまうと、株が弱ってしまったり他の植物に移ったりする可能性があります。株の形に変色や歪みがなく、しわしわになっていないものを選びましょう。
タマサボテンの増やし方
タマサボテンは株分けによって増やすことができます。
株が成長すると株元から子株が出てくるので、3cm程度の大きさに育ったらナイフなどで切り込みを入れて親株から切り離します。切り分けた子株は、風通しのよい日陰に1週間ほど置いて切り口を乾燥させます。切り口が乾いたら子株を挿し木用の土に軽く挿し込みましょう。
約1か月すると発根するので、それまでは水を与えず、時々土の表面を湿らせる程度に霧吹きをします。根が出ているのを確認したら、新しい鉢へ植え付けてください。
タマサボテンの花が咲いた後のタネからも株を増やすことができますが、長く育てないと花を付けない品種が多いので、子株を切り分けて増やす方が簡単です。
タマサボテンの株分けは生育期に入る春から初夏が適しています。
タマサボテンの植え替え
成長したタマサボテンを同じ鉢で育てていると、鉢に根が回って根詰まりを起こします。根詰まりは根腐れの原因にもなるので、できれば1年に1度は植え替えをしましょう。
株と鉢のバランスが悪くなってきたり、鉢底から根が出てきたりした時も、植え替えのタイミングです。
タマサボテンの植え替えは以下の手順でおこないます。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な土を鉢の1/3程度まで入れる
- 鉢から株を抜き出し、根についた土を揉み落とす
- 鉢の中央へ株を置いて周りに土を入れる
- 半日陰で管理し1~2週間後に水を与える
株を鉢から抜いた際、伸びすぎている根は5cm程度に切り詰めましょう。
タマサボテンの植え替えの適期は3~5月頃、もしくは9月頃です。
病気・害虫
タマサボテンは特に目立った病気の心配はありません。
管理状態によっては茎が伸びてしまったり変色したりすることがありますが、日照不足や水の与えすぎが原因となっている場合が多いです。日頃から風通しと日当たりの良い場所に置き、乾燥気味に管理するようにします。
タマサボテンには害虫もあまりつきませんが、稀にカイガラムシが発生します。
カイガラムシは白い綿毛や硬い殻を背負った1~3mm程度の害虫で、葉や茎に棲みついて株を弱らせます。
発見したらすぐに粘着テープなどで取り除きましょう。大量に発生している場合は殺虫剤を使って駆除しますが、カイガラムシの成虫は殻が固く薬剤が聞きにくいため、歯ブラシでこすり落としてください。
年間を通して風通しのよい場所に置くことで発生を予防することができます。